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3章 1年1学期後半

62話 学期末試験

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「よし!こんなものかな」


僕は今筆記試験を受けていて、答案を半分埋めて僕は終了して他の生徒を見て、たいへんだねぇ~っと応援しています。
ダンジョン科の生徒たちにとっての地獄が始まった感じで、筆記試験は見てられません。


「自分たちで学習は、やっぱり無理があったんだよ」


この学園にも他の授業はありますが、僕たちはそれを受けず、その科目の試験はあるのに勉強しない生徒が多数いる状態で、みんなが悩んでいます。


「小学1年生程度の内容なのに、どうしてそんなに悩むのか分からないけど、みんなは10歳なんだもんねぇ~」


子供たちを心の中で応援して、僕は小さく呟き終了を待ちます。
筆記テストは40分もあり、各教科20問を解かなければいけません。


「半分を埋めたけど、みんな頑張ってよ」


やっと終了の合図がなされると、生徒たちはそれぞれ安堵していたり、ため息をついてダメだぁ~って顔をしている子がいた。
次は本命のテストで今までのは赤点でも良い事、教室を移動してダンジョンの試験が始まります。
前の様にバルサハル先生が助手と見て回り点数を付けていきますよ。


「大体30前後か、前よりは高いね」


1学期の最後と言うこともあり、みんなそれなりの点数を言われていて、そしてその中でジャケン君とマリーさんは50を越えていた。
みんなから歓声があがり、ふたりも嬉しそうにしていたんだ。
僕は遠目でおめでとうって拍手をしたけど、1階しか作ってない事には不満だったね。


「ジャケン君の側近のケーニットは37で、マリーさんのとこは全員36か、まぁ高評価だね」


僕を攻撃してきた子はマリアルと言って、あと二人はライラにイサベラです。
みんな評価は36でしたからなかなかではあるんだ、マリーさんがどや顔をしていて自慢げだけど、最後の僕の番になると、誰もが静かになり注目してきたよ。


「きゅ、90ですかっ!!なななな、なかなか高いですねアレシャス君・・・それで方針は変えましたか?」


バルサハル先生が、ちょっと戸惑いながら聞いて来たので、僕は変えてませんっと返します。
それを聞いて先生は、フンッと鼻をならし点数を修正し、僕の点数は20点と評価され、満点の点数だと喜びを隠していました。


「まったく、どうして学園の方針に従わないのか分からないですね、これでは落第はしなくても、卒業までに結婚相手は見つからないでしょう、国王陛下に頂ける自治領だって小さいでしょうね、はぁ~」


ため息を付きながら先生が教室を出ていきますが、僕はそれを聞いて「やったぜっ!」と思いましたよ。
これを続ければ僕の目標は達成できるんだねっと、とても小さくガッツポーズを取ったよ。


「なにをそんなに喜んでいるアレシャス」


僕がニヤニヤしているのを見てか、ジャケン君が声をかけて来ました。
マリーさんも後ろにいて、いかにもいまから何か起きると、僕はかなり不安になって来ます。
その後ろには、いつもの配下のメンバーが着いてきていて、もう勘弁してと思ったけど、僕の答えは決まってる。


「卒業できるって言われたからね、僕の方針じゃきついと思ってたけど、何とかなりそうだから嬉しいんだ」
「お前は・・・どうしてそんなに頑なに方針を変えないんだ!あれだけのダンジョンを作っているのに、勿体ないとは思わないのかっ!!」


ジャケン君が怒りに震え怒鳴ってきたけど、僕は黙って言い返しません。
サイラスたちにも言われた事だけど、説明しても理解してくれないんだ。


「ジャケン君、この方が中に入る人の為になるんだ、ポイントだけがすべてじゃないんだよ」
「へぇ~中の人の為ねぇ・・・あんた良い人ぶってるだけ何じゃないの?」


マリーさんの後ろにいるイサベラが腰に手を当て、なんだか威嚇して来ています。
離れて見ていた他の子たちは、性格が変わるほど大変な目に会うとか、死ぬ以上の苦しみを味わうとか噂を言っていますね。


「そんなつもりはないよイザベラさん、僕は結果を口にしてるだけなんだよ」
「そうですわ!?わたくしこのままなら学期末のテスト上位3人に入りますの。もしそうなったら、あなたのダンジョンに入っている騎士たちを推薦しますわよ」


マリーさんがそんな提案をしてきて、何故だか取り巻きの人たちと盛り上がり始めます。
学期末テストの最後には、各学年上位3人のダンジョンを公表する行事があり、そのダンジョンに入って戦うのが、今言った推薦なんだ。


「そうしてくれるとみんなは喜ぶね」


僕の返事は冷ややかで、各学年の上位3名が代表とか目立ちたくありません。
そして、その大会はポイントを特別に支給されるんです。


「いいなそれ、俺もそれに乗るとしようじゃないか。3位は誰になるかわからんが、ケーニットお前が入ったら指名しろよ」
「はい!もちろんですよジャケン様」


ジャケン君まで賛成して、後ろのケーニットにそう言うと、マリーさんも同じ感じでマリアルとライラとイサベラに言っていました。


「サイラスたちは指名が入ると思ってたけど、大事になってきたね」


装備はそこで出す予定だったけど、まさかラーツたちの装備までばれちゃうとは思ってなくて、少し心配になって来ます。
まぁいつかはばれてしまうもので、2年生になればほとんどの生徒は入るPTを固定しますから、それまでの間の騒ぎと思う事にしました。


「よしよし、おもしろくなってきたぞ。お前がそうまで言ったPTだ、ダンジョンに入っている奴らがどれだけ腕を上げたか楽しみだぜ」
「そうですわね、何せ前のバトルでは、ゴブリンキングと相打ちみたいな感じだったものね」


笑顔のふたりが楽しそうにして部屋を退出し、取り巻きたちも後ろでそれに賛同していました。
大会は3日後、みんなに言っておく必要が出来たと、ため息が出て来ました。


「次から次に、どうして目立つことをするのだろう、ほんとにガッカリだよ」
「アレシャス様、だからと言って他の科の建物まで行かなくても、私が使いとして赴けば済む話ですよ」


すぐに知らせた方が良いと、僕はダンジョン科の建物を出て、騎士科と魔法科の建物に向かっているんですが、シャンティが言うように使いを出すのが普通です。
でも今は、みんなテストをしている最中で、他の生徒の実力も見れるから楽しみなんだ。
正直な話、サイラスたちの強さは、既に卒業生以上なんだ、絶対注目されているんだよっと、足取りはあまり軽くない僕です。


「シャンティ、直にこの目でみないと分からないこともあるよ、ムクロスに聞いてレベルは知ってるけど、スキルは分からないんだからね」


サイラスたちが卒業生並と言ったのもスキルだけで、レベルはまだ14になったばかりだから、卒業生とは違くて足りないんだ。
それでも1年の1学期で14ですから、普通よりは全然早いんですけどねっと、騎士科の建物を通り過ぎます。


「こっちで試験はしてるのですね」
「うん、入っみようがシャンティ」


実技のテストは、一番遠くの訓練施設で行われていて、教室のある建物では僕たちと同じ筆記テストを行っていた。
教室のある建物はダンジョン科と同じで1階は先生たちの施設となり、2階からが生徒たちの教室らしいです。


「どれくらいの強さかな?」
「サイラスさんたちに比べれば全然でしょう」
「まあ6から8だからね・・・でも興味はあるでしょ?」


変わったスキルが見れるかもっと、僕はちょっとワクワクしているのが分かったのか、シャンティもそれ以上は言ってきませんでした。
でも、戦ってる1年生のスキルや武技は初級ばかりで、あまり迫力はなくおもしろくなかったんだ。


「まぁこんな物だよね」


卒業生と言っていたあの人たちもそれほど使ってなかったですから、あまり覚えないのが普通なんですよ。
でも、テストでどんな事をしてるのか見てみたかったんだ。


「っで、ここにいるわけか・・・目立ってるの分かってるかアレシャス?」


訓練施設の1階でサイラスたちを見つけた僕は、直ぐに側まで行ったんだけど、ダンジョン科の生徒が珍しいのかかなり注目されてしまった。
でも、サイラスに推薦される事を告げる目的は果たせたし問題ないと、僕は胸を張って言い切ります。

「良いじゃないかサイラス、どうせ2人も目立ってたでしょ?」
「うっ!?・・・まぁな」


みんなには1学期のテストで、武技もスキルも使わない様に言ってありました。でもそれ以上にレベルが違いすぎて目立ってしまった。
テストは模擬試合で他の生徒と戦うんですが、相手の剣撃を軽くはじいて一撃を入れて終わってしまい、かなり騒がれて目立っていますよ。


「だからさ、どうせならもっと目立ってよ、これでもかってほどにね」


他のダンジョンで、サイラスたちがどれだけやれるのかも見てみたいし、それにみんなが目立てば僕が薄れるから良いんですよ。
これで更に作戦が進む、そのために装備も武技も隠し、ダンジョンでは披露して更に騒がれてもらう、バッチリな作戦です。


「その顔、何か他に企んでるだろアレシャス」
「え!?そ、そんなことはないよサイラス・・・じゃあ僕は魔法科の方に行ってくるね」


僕は誤魔化しつつ、テストをしている部屋を早足で出ました。
そして魔法科でも同じ感じで説明し、みんなにジト目をされましたよ。
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