上流階級はダンジョンマスター!?そんな世界で僕は下克上なんて求めません!!

まったりー

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3章 1年1学期後半

64話 死闘

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騒ぎの中で始まったダンジョン好評会ですが、今はとても静かな会場になっていて、僕の応援する声だけが響いています。
それと言うのも、サイラスたちの戦いが凄すぎて静まり返ってしまったんだ。


「シャンティもこっち来て応援してよ」
「も、もう平気ですか?」
「うん、だから応援しよう」


サイラスたちが頑張ってるのを優先して、僕たちは応援しました。
会場はそれでも静かになっていて、画面に釘付けなんですよ。


「ど、どうするんですかアレシャス様」
「そう言われても困るよシャンティ、サイラスたちが張り切りすぎなんだよ」


ジャケン君のダンジョンに入るなり、サイラスたちが武器を構えて走りだしたせいで、司会の人も「いきなり特攻かぁー!」とか驚いて解説したんです。
部屋の扉に当たるまでそれは続き、途中で遭遇したモンスターは、サイラスたちの流れるような連携の餌食になったんだ。


「一人ずつが出会い頭に攻撃して倒していくなんて、凄いですねサイラスさんたち」
「そうだねシャンティ、あれを躱すのは相当大変だろうね」


5人一体の攻撃で、なんちゃらストリームとか言った方が良いのかもしれないっと、僕は呟いて笑ったよ。
モンスターを倒しながら通路をノンストップで走っていて、司会の人も会場も驚きを通り越してしまい、僕たち以外は静かになってしまっているわけです。


「完璧な連携だよ」
「私には、ドロップ品を回収する時間まで惜しんでる様に見えますよ。最後の人が杖を使って拾ってるじゃないですか、それも走りながらとかすごいです」
「黒板に文字を書くあれの応用だね。それほど難しくないけど、良く思いついたと思うよ」


僕はモンスターに拾わせていたし、発想は凄いとロッチェーネを褒めたんですよ。


「それだけじゃないですよアレシャス様、あれは日頃からやっていないと無理です」


シャンティが可哀そうな人を見る目で画面を見てるから、きっと日頃の訓練の賜物です。
僕のダンジョンならそれ位は当然とシャンティに説明したんだ。


「1階は装備を揃える階で、2階はスキルを覚える場所。そして今、僕のダンジョンでサイラスたちが挑んでいるのは3階層だから、肉体強化の階ならあれは当然さ」
「そ、それは!?・・・だからあんな感じなのですね」


僕の解説を聞いてシャンティが頭を抱えだしたよ。
おかげでみんなすごく状態異常に強くなったと、僕は喜んでいたんだ。


「もし戦争で敵に毒矢とかを使われても、サイラスさんたちは平気なんですね」
「それを躱す為にも通路で時間を使わないように走ってるんだ、あれでスタミナも上がるしスキルも覚えてるかもね」


嬉しい誤算という奴で、努力をしているサイラスたちの功績だから、僕は嬉しくて応援に力が入りました。
これからももっと強くなるように、ダンジョンをもっと強化していくよ。


「その為にも、方向の変わった学園の空気を何とかしないといけない。目立たずに強化をするには、とても大変な課題かもだけど、きっとなんとかなるよね」
「そんなこと言ってて良いのですか?コレでは確実に計画が破綻しますよ」


シャンティが凄く心配して来たけど、会場の引きつった空気を感じて「平気かも」って思っています。
鬼畜なダンジョンが浮き彫りになり、僕に申請してくる生徒は少ないと予想しました。それだけ会場の空気は冷たいんですよ。


「まぁまぁ落ち着いてよシャンティ、それは後でゆっくり考える。今はサイラスたちを応援しようよ」
「アレシャス様がそう言われるのでしたら」


僕達に視線が向いていないので、僕は再度隣のイスにシャンティを勧めました。そしていやいやって感じで座ってくれたんだけど、そこでサイラスたちが中部屋に入って司会の人が覚醒したんです。


「おおーっと!コレは前回に続き大物だぁー」


ゴブリンキングの出現を宣言して、会場は盛り上がりを取り戻しました。
シャンティもしっぽを振りだし、戦いを楽しみにしているようで、どんな戦いが見られるのかと注目が集まります。


「でもね~そんな激戦は起きないよ。あの時とはもう違うんだよ」
「おおーっと!コレはどうしたことでしょう、サイラス君だけが前に出て盾と剣を構えだしました。前のように時間稼ぎをしようと言うのでしょうか?」


司会の人が疑問に思いながら解説してくれたけど、あれは全然違う展開で、サイラスは一対一で戦おうとしてるんです。
今やゴブリンキングなんて、相手にもならない実力をサイラスたちは持っているんだよ。


「サイラスは防御型の騎士だから、スキルも受け流しやシールドアタックといった物が主流なんだ」
「つまり、受け流しなどを駆使して戦うのですね」
「そうだよシャンティ、力だけのキングなんて普通のゴブリンと同じさ」


相手の体勢を崩したところで、必殺の武技の一撃をおみまいするんです。


「こ、これは!?」


司会の人のそんな声とともに、会場がまた静まりかえりました。
僕の言ったとおりにゴブリンキングの攻撃を受け流し、盾で顎をかち上げ脳を揺さぶり、トドメに武技の【パワード・ストライク】をサイラスはお見舞いして倒したんだ。


「【パワード・ストライク】は、剣術スキルが3以上でないと使えられない正式な騎士が覚えてる中級武技で、あの卒業生たちも使ってたやつだ」
「ですけど、まだまだ威力は落ちますね」
「さすがシャンティ、レベルが足りないから、大きなダメージを与えるために中級武技を使ったんだね・・・まぁ分かるけど、やりすぎじゃないかな?」


僕のそんな声とほぼ同時に観客からの大歓声が響き会場が震えました。
かなりの騒ぎで司会の人は耳を押さえてるけど、その後は称賛してくれたんだよ。


「サイラスさんたち凄いですね」
「シャンティ、僕は君たちにもああやって戦ってほしいと思ってるんだよ。レベルだけ上げていたら、あんな洗礼された戦いは出来ない」


そのための冒険者指導だったりしますが、みんなにはより強くなってほしいと願ってる。
シャンティにそう言うと、頑張りますって言葉を貰う事が出来た。


「良い子だねシャンティ」
「私は本心を伝えただけです」
「それでもさ、素直に言える事じゃないよ」


僕が心からの思っている事を伝える中、観客が落ち着き始め司会の人が喋り出しました。


「なんという逸材!100年に1度の天才が現れたのかあぁー!!あれだけの武技を1年生が使うとは、まったく恐れ入りました。わたくし、次がとても楽しみになってきましたよ!」


すこし耐性がついたのか、司会の人が元気を取り戻してテンションが上がって行きます。
でも、まだまだ先はあるんだよ、なにせみんなそれぞれ違うスタンスなんだからね。


「おおっと!またしても中部屋でゴブリンキングの出現だぁ!サイラス君の華麗な戦いがまた見られるのかぁぁーー!」


司会の人も観客も、サイラスの戦いを見られると会場は盛り上がりますけど、前に出たのはサイラスではなくモンドルです。
彼もまた一人で戦うようだと司会の人が予想し、会場はどんな戦いをするのかと静かになります。


「モンドルさんの装備を見る限り、素早さを生かした戦い方ですか、私と同じ感じですね」


モンドルの構えを見て、シャンティがすぐに見抜いてきました。
モンドルは戦闘スタイルを変え双剣を使い始めたんです。


「前はサイラスと同じ片手剣だったけど、彼は素早さを生かした戦い方を教えたらそちらを選んだんだ」


シャンティが注目するのと同じで会場も画面を見るけど、モンドルが走ってゴブリンキングの一撃を食らうかと言う時、ゴブリンキングの大斧は空を切り、モンドルはゴブリンキングの背後に移動していた。
ゴブリンキングに背中を見せるモンドルを画面で見て、どうしたのかと会場はざわついた中、ゴブリンキングはその場に膝を付いて消滅していったんだ。


「勝負は一瞬だったね、双剣乱舞お見事だよ」


モンドルの動きをしっかりと見れた人が、この会場に何人いるんだろうねってほどのスピードを出し、モンドルがゴブリンキングをしとめました。
最初のダッシュは誰もが見えていたと思う、でもゴブリンキングの大斧がモンドルめがけて振り下ろされた瞬間、モンドルは消えたように見えたはずなんです。


「ゴブリンキングの攻撃した腕を4回切り付け、そのまま顔に向かって走り胸と首を攻撃。後ろに回って着地する間に背中を4連続攻撃ですか・・・凄いです」
「凄いでしょシャンティ」


シャンティが凄く驚いていますが、今のシャンティなら同じ事をスキルも武技も使わず出来るでしょう。
でもそれはレベルが上がっているから出来る事で、この差をモンドルは、瞬歩というスピードスキルと武技の双剣乱舞でやりきったんです。


「瞬歩は初級で双剣乱舞は中級。同時使用はかなりの難易度となり反動もすごい。背中を見せたままだったのは、反動で動けなかったからだけど、あれはカッコよく見えたね」
「アレシャス様、私もっと訓練がしたいです」
「そうだねシャンティ、時間を作れるように考えておくよ」


シャンティの要望を叶える為にどうするか考えていると、観客からの声援が聞こえてきました。
サイラスと同じ感じでモンドルも称賛され、それは残りのメンバーの時にも起きたんですよ。
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