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3章 1年2学期

97話 休み前2

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「お願いします!もう一度見せてください」


僕は今とても困っていて、迫って来てる女の子を押さえてます。
その子はケリーの家臣であるライラで、頭を下げられているんですよ。
その原因は、昨日の戦いで見せた僕のドラゴンソードです。


「そんなに見たいなら良いけど」
「ほ、ほんとですか!お願いします」


僕は、ちょっと引き気味にドラゴンソードを出しました。
それを見て、ライラの目がこれでもかって程に輝きます。


「やっぱりすごい!・・・ささ、さわっても良いですか?」
「勿論だよ、でも良く斬れるから気を付けてね」


ライラが手を震えさせ、両手で丁寧に持ち上げて見始めた。
そんな目をした人に断れるわけ無いって思いましたよ。


「ごめんなさいアレシャス、彼女は装備を扱う商会の娘なのですわ。だから装備の事になると手が付けられませんの」
「まぁドラゴン素材なんてお目に掛かれないもんね」


ケリーが困ったわと、手を頬に当てて言ってきます。
イサベラもマリアルも頷き、やれやれって顔です。
僕の最強装備を見たら、失神しちゃうんじゃないかな。


「まぁ良いけどね・・・それじゃ第2回放課後会議を始めます」


僕の宣言を聞いて、みんなは緊張しました。
みんなの前に立ち、無理もないと黒板に文字を書いていきます。前回は準備の様なものでしたから、今回が本番だとみんなが思ってるんです。


「じゃあ、来年の2学期の話ね。ジャケンたちが論文として出す、ボスに関して詳細を教えるね」


ボスの設置方法と、それに影響されるダンジョンがどう変わるのか、魔法のステッキを使って黒板に書きました。
マリアル以外のみんなが注目し、納得の表情を貰ったよ。


「1つ星のモンスターなら、ハイエンダの上であるレジェンドクラスがボスになる。ここで2つ星のノーマルクラスを使うかの判断は任せるよ」


僕がそう言うと、みんなが黙って固まっています。
そんなに驚くことかなって思いますが、次は注意点に進みますよ。


「気を付けないといけないのは、ボスがそのダンジョンで最強という事だね。それよりも下の階に作ったモンスターは、ボスよりも強いのを設置したとしても、ボスよりも弱くなってしまうんだ」


例えば、4つ星などの強いモンスターを設置しても、1つ星に変異してしまいポイントがかなり損失してしまう。
作り変えるのなら、モンスターを倒し損失がなくなってからと、下ではなく上に階を増設し、ボス部屋を下にして行く。


「そうなんだ、へぇ~」


僕の注意点をマリアルだけが空返事の様に答えました。
あれは分かってないねと思いながら、僕は更に続けましたよ。


「要するにね、このドラゴンソードが銅の剣に変わっちゃうって事だよ、分かったかなマリアル?」


僕は分かり易くする為に、ライラが見ていた剣に布を被せて手品を使いました。
ライラが僕を見て、この世の終わりみたいな顔をしてくれたおかげで、マリアルも分かってくれたんだよ。


「それは分かったが、問題の製作はどうやるんだ?ボス部屋は今まで使えなかったんだぞ、普通の使い方ではないんだろ?」


ジャケンが腕を組んで怖い顔をして聞いてきたけど、僕としては何も難しくない普通の作り方です。
ダンジョンを四角くで3階層分を描き、階層で分ける事を説明をします。


「みんなは1階層目に中ボスを置いてるので、まずその場合で解説すると、次の階にはボス部屋は作らず、普通のダンジョンを作っていきます」
「え、作らないの?」
「そうだよマリアル。普通の階を一度入れる事に意味があるんだ。これは中ボスでも言える事だから、もし階層を増やすなら間に入れるのを忘れずにね」


そして、ここからが一番重要と念押しをします。
みんなはいよいよかと緊張して来たけど、それほど難しいことじゃないんだ。


「3階層目、つまりボス部屋を作る階には、他の物は作ってはいけません。これがボス部屋の使い方です」
「「「「「はいっ???」」」」」


驚いた声が揃ったけど、それだけ信じられない作り方なんでしょう。
でも、しばらくして考えを整理できたのか、数名は納得してくれたよ。


「階層にボス以外のモンスターを設置してはいけないって事ね」
「そうだねイサベラ。休憩の部屋とか通路くらいは問題ないよ、ただ作り過ぎもダメで、他のモンスターを設置するとボスは生まれずに弱体化する」


その場合、難易度に変化がおきずに無駄になってしまう。
休憩部屋と通路を数本にボス部屋だけと言う仕様で、更にはモンスターも1体だけ、だから誰も気づかなかったのかもしれないと僕は補足を入れました。


「ふむ、階層全部を使い中ボスの様に特別な仕様にしたと言うことか、なるほどな」
「さすがジャケンだね。これもモンスターたちの気持ちを考えれば分かる事で、ボスや中ボスは強くて偉い存在だから、滞在する場所は特別な仕様にしないといけないんだよ」


貴族や王族と同じだよと、僕は遠回しに言いました。
これなら少しは気持ちが分かるでしょう。


「途中に挟んだ階層には、すごく強いモンスターが沢山ると言う事ですか。これは早く試したいですねケリー様」


みんなが納得したところで、僕は更に注意点を言おうとした。
でも、僕の心配をライラがケリーに言ってくれて、ケリーは答えず頭を抱えたんだ。


「どうしたんですかケリー様」
「ライラ、そう簡単な事ではないのよ。モンスターが強いと言う事は、それを倒す騎士たちが強くなくてはいけないわ。今は中ボスでもギリギリの戦いをしてるから、今はダメなのよ」


僕の注意点をイサベラが言ってくれました。
そうなんです、ボスを設置すると言うことは、その種族最強と言われるレジェンドクラスがボスで登場するという事です。


「レジェンドってそんなにすごいの?」
「そうよマリアル、ゴブリンのレジェンドは30万Pで召喚できる存在で、強さは50万。それがどれくらいなのかは分かるわよね?」
「う、う~んっと・・・確かワイバーンと同じ?」
「全然違うわよマリアル!ワイバーンの強さは80。これは鬼神と同じ強さなのよ」


更にイサベラは通常モンスターの強さも上がる事を教えます。
通常モンスターがハイエンダクラスになる事が分かり、マリアルは青くなりだしたよ。


「2PTで挑んでやっとの敵がうじゃうじゃよ、そんなの今の状態では出せないでしょ」
「そ、そうだね・・・うん、分かった」
「分かれば良いのよ・・・でも、2年の2学期と言ってもそれほど変わらないわ、そこら辺はどうするのだアレシャス」


注目はイサベラから僕に移り、対策案を期待して来た。
でも、みんなは気づいているんだろうか?50万の強さは、この国の騎士でもトップクラスの実力者でないと超えてないんだよ。


「そこは特技を充実させようと思ってる、後は人数だね」
「なるほどね・・・でも、間に合うのかしら?」
「そこは彼らの頑張り次第だよ」


今の実力じゃ、1つのクラス全員で入っても倒せない。それは今の2年生でも同じで実力を上げる事は決定事項なんだ。


「まぁ今は中ボスが出て来て勢いもあるし、その内レベルも上がるでしょ」
「そうですわね、ほんとの中ボス仕様はわたくしたちだけの物ですが、それでも2つ星の上位までは出ますわ。当分は騎士たちのレベル上げですわね」


ケリーがそう答えをまとめてみんなが頷いています。
僕もそれに賛成ですが、ここで僕の強みを作り、僕たちのPTには一つ上の強さを持ってもらう事を話します。


「そ、そんな事が出来るのか?」
「その為に昨日レベルを上げたんだよジャケン。これを見てよ」


ダンジョン観戦画面をみんなに見せると、みんなはギョッとした顔になりました。
中ではケットシーが僕たちに手を振ってて、僕はニコニコです。


「な、なんだあの通路は!」
「キラキラしていますわ、アレシャスあれは一体」


ジャケンとケリーは、ケットシーには目もくれてません。
みんなを代表して僕に聞いてきたけど、その秘密は簡単で隠し通路だと答えました。


「「「「「隠し通路?」」」」」
「これはね、ダンジョンヒューマン当人のレベルが2じゃないと見えないんだ。そして設置も出来ない物で、僕たちの特権第2段だよ」


部屋と通路を特殊に出来る事以上の秘密で、僕の言葉を聞いたみんなが呆然としてしまった。
そして、更に言わないと行けないことをマリアルが聞いてきたんだ。


「でも、キラキラしてるだけでしょ?それがなんなのさアレシャス」
「それはこれから説明するよマリアル。この通路は見て分かると思うけど、入り口から直通で次の階段の部屋に繋げる事の出来る近道です。そして、その通路に部屋を設置するとお宝部屋になるんだよ」


そこまで言ってマリアル以外が分かったようで、画面に釘付けになった。
僕のダンジョンに入っていたサイラスやラーツたち、あの装備が良いのはこの為だと分かったんでしょう。


「なるほど、装備をよくすると言うことですねアレシャス」
「そうだねケーニット。でもそれだけじゃなく、ちゃんとレベルも上げて貰うよ。まぁモンスターが強いんだからその内あがるだろうけど、もう一つやって貰うことはあるんだ」


そう言って僕は黒い笑顔を見せました。
みんなはまだあるのかとちょっと引いてますが、向こうから言ってきたことなので僕のせいではありません。
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