上流階級はダンジョンマスター!?そんな世界で僕は下克上なんて求めません!!

まったりー

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3章 1年1学期後半

53話 雑草は抜くに限る

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「信じられませんわ、何ですかあれは」


バトルが終わり、ワタクシは自室に戻ったのですが、今まで黙っていた事をが口から飛び出して来ました。
あのアレシャスと言うガキは、ほんとに1年なのかと疑うほどの腕を持っていたのです。


「大部屋を使いこなしていた、そんな事あり得ませんわ」


ワタクシは今になってそれを確信し、恐怖で身体が震えて来ました。
1年に小テストを終えた時点で、キングクラスを召喚するなんて前代未聞です。


「これ以上野放しには出来ませんわね。その為には、外に行かせない方が良いですね」


今更外出禁止には出来ない、そうなれば答えは1つです。


「そう仕向ければ良いのです」


あのガキはダンジョンに生徒を入れた時、過保護に思える程色々助言をしていました。
新たな生徒を入れる様に仕向ければ、アイツはまた勝手に外出をしなくなるでしょう。


「他種族でいつもダンジョンに入れず、生活にも困っている生徒がいます。そいつらを使い学園に留める事は容易いですわね」


これでポイントを与えない様に出来ると、ワタクシは微笑みましたわ。


「さすがワタクシ、ほれぼれする作戦ですね」


ウットリしてしまいますが、それでもまだ甘い気がしたので、更に1手欲しいと考えたワタクシは、北の冒険者ギルトのマスターに手紙を書いたのです。


「彼なら金を払えば動いてくれます。前金も弾めば、更に良い仕事をしてくれますわ」


これで外も万全と考えたワタクシは、ダンジョンバトルを思い返して、またイライラしてきました。


「100万Pを使い、ブースト台座を使ったにも関わらず、それに匹敵するダンジョンを作っているだなんて、ホントに信じられませんわ」


こちらは無理矢理引き出したキングクラスだったのに、あのガキは標準で出したのです。


「1つ星のスライムだったとはいえ、普通ではありません」


背筋がゾッとして、奴は天才かもしれないと思ってしまいましたわ。


「もしそうなら、他にも何手か欲しい所ですね、何かありませんか」


こんな時、調査出来る部下がいればと、姿を消した者たちを思い返しますが、居なくなった者に頼っている場合ではなく、ワタクシは頭を悩ませましたわ。
こんなに悩んだのは、特殊施設のボス部屋の設置方法を研究していた時くらいだと、頭が痛くなってきます。


「公爵家2人も奴に注目し始めましたから、そちらも何か起きるでしょうけど、迷惑を掛けて欲しくないですね」


暴力は今の所ありませんが、平民上がりは本当に分からないのです。
だから今回のダンジョンバトルも、まさかあんな結果に終わるとは思いもしなかった。


「あれだけ減点出来るなら、細工はいりませんでしたね」


まったく勿体ないと、減ってしまったポイントを眺めてため息です。
新たなPTの人選もありますし、自分の時間がどんどん減って行き、ワタクシは嫌になってきました。


「放って置ければ良いのですがそうも行きませんし、全く腹立たしい」


1000万Pの為に学園の教師を引き受けましたが、こうも上手くいかないと辞めたくなります。
例年では、これから忙しくなるというのに、今年はどうなるのかと頭が痛いですわ。


「この分だと、代表はあの3人になりそうですが、何とかあいつだけは落とさなくてはいけませんね」


騎士たちの強さを上げた実績は認めます。
しかしそれ以外は観客たちも言っていたように、誰も入りたがらないどうしようもないダンジョンなのです。
その感想はワタクシも同じで、それを思い出してまずい状況だと、また頭を抱えましたわ。


「あのダンジョンは誰も入りたがらない、それは1年の他種族も同じはずですっ!どうすれば」


あのバトルの噂はかなり流れているはずで、入ろうとする者はそれだけ切羽詰まっていなくてはいけません。
そんな学生がいるのかと、ワタクシは自分のダンジョンよりも悩んでしまいました。


「そうですわ!1年よりも2年の方が困っているはず、ますはそちらに声を掛けて見ましょう」


2年の他種族は更にに困っている者が多く、毎年進級出来ずに国に帰るモノがたえません。
その者たちに声を掛け、多数のPTを押し付けてしまえと考えたのです。


「あいつなら、ポイントの消費を考えずPTを入れようとするでしょう。そうでなくても時間を掛けてすべてのPTの世話をする。良いことだらけですね、ふふふ」


3年以降も呼べれば良かったのですが、それ以降はダンジョンに多数のPTを入れるようになる為、そんなに困っている者はいなくなってしまう。
1年はそれも知らないから嫌がるでしょうし、2年では諦めた生徒も出て来て入ろうとは思わないかもしれないのです。


「死刑宣告に聞こえ、提案を拒むかもしれませんが、これしかありませんね」


それだけ大変悲惨なダンジョンで、ワタクシだったら死を選ぶほどだと、あのダンジョンに入った騎士たちの事を思い出してしまいました。


「彼らには悪い事をしてしまいました。お金を支払ってお詫びをした方が良いでしょうね」


お金で解決できるのならこんなに簡単な事はないと、ワタクシはポイントが無くなってため息が出てしまいます。
早く1学期が終わり長期休暇を貰いたいと、窓の外を眺めてしまいました。


「自分の領地に戻って本格的な数の騎士たちを入れたいですわね」


ここでは1PTしか滞在させられず、早く休暇が欲しいと、またため息です。


「ため息ばかりでは老けそうですね、はぁ~」


結局ため息を出してしまうワタクシですが、どうして今年に限ってこんな事になるのかと、寝具に向かいます。
新たな国王は実力を第一に考えた人物で、成果を出さないと首になってしまうのです。


「誰でもいいから、あのガキを何とかしてよ。じゃないとワタクシが女帝に」


ワタクシは、着替える事も忘れてベッドに横になり目を閉じました。


「元冒険者の女帝と言うだけでも問題なのに、いったいどうなっているのですか」


55階層を作り、難易度70を維持した女帝。
確かに素晴らしいとは思いますが、あれは挑戦した騎士たちが素晴らしかっただけで、直系の血筋でもないのに問題だらけなのです。


「あれくらいわたくしでも出来ますわ」


学園で研究をしていなければ、そう思ってなりません。
そいつが今年は視察に来るのです。嫌味を言われるのはもっと嫌だと、ワタクシは成果を出そうと焦っているのです。


「次こそはワタクシが・・・グゥ~」


寝つきの良いワタクシは、直ぐに寝息を立て始めました。
計画が実行されるのは明日からで、冒険者に他種族と色々やる事はあります。


「うぅ~すみません女帝マリア様」


そんな多忙なワタクシだからか、夢にまで出て来てうなされてしまったのです。
起きた時は、夢で良かったとホッとしましたが、正夢になんてさせないと計画を急ぐことにしたのです。
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