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転生

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「マリー、起きなさい。マリー」

んー?なんか知らない声の人が知らない人の名前を呼んでる……。よくわかんないけど、眠いからもうちょっと……。

しかし、眠り続けることは許されず、揺れ動かされて目が覚めた。なんだか中世風な服装をした女性が横に立っていた。

「誰?」
「誰って、寝ぼけてるの?あなたの母親ですけど?」
「あー……」

この人が私の母な訳がないから私はどうやら夢の中にいるらしい。だったらこの夢を満喫しないと損だよね。

「じゃあ、起きるので、部屋を出てくれます?」
「そう言って、もう一度寝るつもりでしょ?」
「わかった。はい!起きました」
「いいわ。起きたなら顔を洗って、食堂まで来ること」

そう言って母を名乗る女は部屋を出ていった。

まじ眠い、そう思いながら顔を洗い、鏡を見るとそこには美少女がいた。

誰これ?

思わず鏡に手を伸ばすと鏡の中の少女も同じ動きをする。

え、動きが一緒ってことは、これ私じゃん。てか、どっかで見覚えがあるような?

……あ、わかった!あのゲームの主人公だ。

私には大好きなゲームがあった。
男爵令嬢の主人公マリー・リンドが王子とかさまざまなイケメンを口説く、という設定に関してはごく普通の乙女ゲームだ。
私の小さい頃から夢はいつか玉の輿に乗ること。だから、乙女ゲームが大好きでいろいろ漁っていたのだが、その中で特に男性陣の顔面レベルが高かったので課金までしてずぶずぶハマっていた。

乙女ゲームのことを思い出したからか、そのまま、別の記憶まで思い出してきた。私は明日金持ちの御曹司と結婚する予定だったこと。しかし、いきなり突っ込んできた車に轢かれたこと。
玉の輿のためだけに女子大行ってインカレ入ったのに!

ということは、ここは、夢の世界ではない?!え、黄泉の世界かうっかり記憶あるまま転生したってこと?!

……まあ、いいや。とりあえず私が超美少女なのは間違いないし、もし、ゲームの世界のままだとしたら攻略法知ってるわけだから口説き放題なわけじゃん?今度こそ玉の輿に乗るぞー!

というわけで、自分の見た目に向いた服やアクセサリー、メイクを研究しまくった。といっても、この家は大して金がないので、試着と自作を重ねまくってだが。

そんなこんなで学園に入学。
入学式の生徒会長様なリチャード王子がまじで顔がいい。画面の中ですらあの美しさだったわけで、実物はさらに顔がよい。やっぱり王子と結婚したいわー!

その後もありとあらゆるところにイケメンがおり、やっぱりこの世界は乙女ゲームの世界だということが改めて確認できた。

ということで、乙女ゲームのとおりの場所に向かってそのとおりの会話をし、落としていく。イケメンたちまじちょろい。それに、玉の輿に乗るために身につけたしぐさが意外に好印象のようで、積極的だけど品の良さも身につけてる、みたいな感じに受け取られているようだった。
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