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過去
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ある日、前髪が長い、でも、こぎれいな顔をした男が私を買った。顔はきれいだけど頬に傷があり、服も少し古びた印象だ。この顔なら貴族のおばさまがたに泣きつけばかわいそうって養ってもらえそうなのに、こんな服で生きてるなんてもったいない。
「こんばんは、リサと申します。本日のご要望はなにかありますか?」
「……マリー!」
「えっ!?」
彼は私のことを知っているようだった。誰だろう?
顔をよく見てみたがわからなかった。たぶらかした中のひとりなんだと思うけど。
「誰ですか?」
「イリアです!」
イリア……?って、えっと、
「あ、宰相の息子の!」
メガネがないもので全然わからなかった。メガネかけてる人ってそれ込みで顔を認識しているものだから。
「そうです!」
「メガネ、度入ってなかったの?」
「入ってましたけど、大して悪くなかったので作り直していません。
じゃなくて!なんであなただけこんなのうのうと平和に暮らしてるんですか?てっきり、つらい思いをしてるだろうと思ったのに!こんな最上級の娼館にいて!僕たちが今どんな状況にあると?」
少なくとも貧しい暮らしをしているであろうことは見てわかるわな。見なくてもわかるけど。家事とかできないだろうし笑
「いや、知らんし。あんたらも顔はいいし、勉強はできるんだから男娼として働いたらいいんじゃない?大丈夫、男だから妊娠する心配はないよ」
「こういう世界は女尊男卑だから男娼はほぼろくなお店がありませんよ」
「そうかな?まあ、でも、初期に男娼として働いてたらあんたらに恨みがある奴らが来て、金もうかったかもしれないけど、今はただの顔がいい平民だしな。むしろ、どうやって暮らしてんの」
「それぞれがバイトをして稼いだ金で平屋を借りてみんなで住んでますよ」
「わー、みじめー」
と言っても、別に一般レベルで言ったらけして悪くはないんだけど、元王子が平屋暮らしか。ちょっとじわじわくる。
「あなたのせいでしょうが!」
「私は外野からたぶらかしただけだもん。貴族なのにそれをやったらどんな結果になるかわからなかったあんたたちがバカなのよ。
ノブレスオブリージュって知ってる?より高い地位にいる者はより多くの物を支払わなければならない。あんたたちの方が私より立場を理解しているべきで、私より罪は重いの。実際、私はアンジェラ様の許しを受けることができてここにいる。それに、婚約破棄の慰謝料はちゃんと給料から払ってるわ。アンジェラ様を筆頭に皆様払わなくていいって言ってくださったから、相場よりは安いけれど。
家もそもそも名前だけの貧しい領主だったから大して状況は変わっていない。なんなら、仕送りもしているから前より裕福かもね。
それに対してあんたたちは?誰からも見放されて貧しい暮らし。どっちのほうがまともだと評価されるでしょう。きっと私の方ね。自分の行いを悔いて身を落とし、必死に働いて迷惑をかけた人々に償っている女と外部からは見えるでしょうから」
「うがー!!」
やべ、またマシンガントークをかましてしまった。
「暴れるようなら叩き出すわよ。どうする?そのまま帰る?ヤってから帰る?」
「したい……」
「そ」
まあ、ほっといてもいい女が寄ってきてた人間は女性を誘うのうまくないだろうし、寄ってくると言ってもろくな女が寄って来ないでしょうからね。
「こんばんは、リサと申します。本日のご要望はなにかありますか?」
「……マリー!」
「えっ!?」
彼は私のことを知っているようだった。誰だろう?
顔をよく見てみたがわからなかった。たぶらかした中のひとりなんだと思うけど。
「誰ですか?」
「イリアです!」
イリア……?って、えっと、
「あ、宰相の息子の!」
メガネがないもので全然わからなかった。メガネかけてる人ってそれ込みで顔を認識しているものだから。
「そうです!」
「メガネ、度入ってなかったの?」
「入ってましたけど、大して悪くなかったので作り直していません。
じゃなくて!なんであなただけこんなのうのうと平和に暮らしてるんですか?てっきり、つらい思いをしてるだろうと思ったのに!こんな最上級の娼館にいて!僕たちが今どんな状況にあると?」
少なくとも貧しい暮らしをしているであろうことは見てわかるわな。見なくてもわかるけど。家事とかできないだろうし笑
「いや、知らんし。あんたらも顔はいいし、勉強はできるんだから男娼として働いたらいいんじゃない?大丈夫、男だから妊娠する心配はないよ」
「こういう世界は女尊男卑だから男娼はほぼろくなお店がありませんよ」
「そうかな?まあ、でも、初期に男娼として働いてたらあんたらに恨みがある奴らが来て、金もうかったかもしれないけど、今はただの顔がいい平民だしな。むしろ、どうやって暮らしてんの」
「それぞれがバイトをして稼いだ金で平屋を借りてみんなで住んでますよ」
「わー、みじめー」
と言っても、別に一般レベルで言ったらけして悪くはないんだけど、元王子が平屋暮らしか。ちょっとじわじわくる。
「あなたのせいでしょうが!」
「私は外野からたぶらかしただけだもん。貴族なのにそれをやったらどんな結果になるかわからなかったあんたたちがバカなのよ。
ノブレスオブリージュって知ってる?より高い地位にいる者はより多くの物を支払わなければならない。あんたたちの方が私より立場を理解しているべきで、私より罪は重いの。実際、私はアンジェラ様の許しを受けることができてここにいる。それに、婚約破棄の慰謝料はちゃんと給料から払ってるわ。アンジェラ様を筆頭に皆様払わなくていいって言ってくださったから、相場よりは安いけれど。
家もそもそも名前だけの貧しい領主だったから大して状況は変わっていない。なんなら、仕送りもしているから前より裕福かもね。
それに対してあんたたちは?誰からも見放されて貧しい暮らし。どっちのほうがまともだと評価されるでしょう。きっと私の方ね。自分の行いを悔いて身を落とし、必死に働いて迷惑をかけた人々に償っている女と外部からは見えるでしょうから」
「うがー!!」
やべ、またマシンガントークをかましてしまった。
「暴れるようなら叩き出すわよ。どうする?そのまま帰る?ヤってから帰る?」
「したい……」
「そ」
まあ、ほっといてもいい女が寄ってきてた人間は女性を誘うのうまくないだろうし、寄ってくると言ってもろくな女が寄って来ないでしょうからね。
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