6 / 7
過去
しおりを挟む
ある日、前髪が長い、でも、こぎれいな顔をした男が私を買った。顔はきれいだけど頬に傷があり、服も少し古びた印象だ。この顔なら貴族のおばさまがたに泣きつけばかわいそうって養ってもらえそうなのに、こんな服で生きてるなんてもったいない。
「こんばんは、リサと申します。本日のご要望はなにかありますか?」
「……マリー!」
「えっ!?」
彼は私のことを知っているようだった。誰だろう?
顔をよく見てみたがわからなかった。たぶらかした中のひとりなんだと思うけど。
「誰ですか?」
「イリアです!」
イリア……?って、えっと、
「あ、宰相の息子の!」
メガネがないもので全然わからなかった。メガネかけてる人ってそれ込みで顔を認識しているものだから。
「そうです!」
「メガネ、度入ってなかったの?」
「入ってましたけど、大して悪くなかったので作り直していません。
じゃなくて!なんであなただけこんなのうのうと平和に暮らしてるんですか?てっきり、つらい思いをしてるだろうと思ったのに!こんな最上級の娼館にいて!僕たちが今どんな状況にあると?」
少なくとも貧しい暮らしをしているであろうことは見てわかるわな。見なくてもわかるけど。家事とかできないだろうし笑
「いや、知らんし。あんたらも顔はいいし、勉強はできるんだから男娼として働いたらいいんじゃない?大丈夫、男だから妊娠する心配はないよ」
「こういう世界は女尊男卑だから男娼はほぼろくなお店がありませんよ」
「そうかな?まあ、でも、初期に男娼として働いてたらあんたらに恨みがある奴らが来て、金もうかったかもしれないけど、今はただの顔がいい平民だしな。むしろ、どうやって暮らしてんの」
「それぞれがバイトをして稼いだ金で平屋を借りてみんなで住んでますよ」
「わー、みじめー」
と言っても、別に一般レベルで言ったらけして悪くはないんだけど、元王子が平屋暮らしか。ちょっとじわじわくる。
「あなたのせいでしょうが!」
「私は外野からたぶらかしただけだもん。貴族なのにそれをやったらどんな結果になるかわからなかったあんたたちがバカなのよ。
ノブレスオブリージュって知ってる?より高い地位にいる者はより多くの物を支払わなければならない。あんたたちの方が私より立場を理解しているべきで、私より罪は重いの。実際、私はアンジェラ様の許しを受けることができてここにいる。それに、婚約破棄の慰謝料はちゃんと給料から払ってるわ。アンジェラ様を筆頭に皆様払わなくていいって言ってくださったから、相場よりは安いけれど。
家もそもそも名前だけの貧しい領主だったから大して状況は変わっていない。なんなら、仕送りもしているから前より裕福かもね。
それに対してあんたたちは?誰からも見放されて貧しい暮らし。どっちのほうがまともだと評価されるでしょう。きっと私の方ね。自分の行いを悔いて身を落とし、必死に働いて迷惑をかけた人々に償っている女と外部からは見えるでしょうから」
「うがー!!」
やべ、またマシンガントークをかましてしまった。
「暴れるようなら叩き出すわよ。どうする?そのまま帰る?ヤってから帰る?」
「したい……」
「そ」
まあ、ほっといてもいい女が寄ってきてた人間は女性を誘うのうまくないだろうし、寄ってくると言ってもろくな女が寄って来ないでしょうからね。
「こんばんは、リサと申します。本日のご要望はなにかありますか?」
「……マリー!」
「えっ!?」
彼は私のことを知っているようだった。誰だろう?
顔をよく見てみたがわからなかった。たぶらかした中のひとりなんだと思うけど。
「誰ですか?」
「イリアです!」
イリア……?って、えっと、
「あ、宰相の息子の!」
メガネがないもので全然わからなかった。メガネかけてる人ってそれ込みで顔を認識しているものだから。
「そうです!」
「メガネ、度入ってなかったの?」
「入ってましたけど、大して悪くなかったので作り直していません。
じゃなくて!なんであなただけこんなのうのうと平和に暮らしてるんですか?てっきり、つらい思いをしてるだろうと思ったのに!こんな最上級の娼館にいて!僕たちが今どんな状況にあると?」
少なくとも貧しい暮らしをしているであろうことは見てわかるわな。見なくてもわかるけど。家事とかできないだろうし笑
「いや、知らんし。あんたらも顔はいいし、勉強はできるんだから男娼として働いたらいいんじゃない?大丈夫、男だから妊娠する心配はないよ」
「こういう世界は女尊男卑だから男娼はほぼろくなお店がありませんよ」
「そうかな?まあ、でも、初期に男娼として働いてたらあんたらに恨みがある奴らが来て、金もうかったかもしれないけど、今はただの顔がいい平民だしな。むしろ、どうやって暮らしてんの」
「それぞれがバイトをして稼いだ金で平屋を借りてみんなで住んでますよ」
「わー、みじめー」
と言っても、別に一般レベルで言ったらけして悪くはないんだけど、元王子が平屋暮らしか。ちょっとじわじわくる。
「あなたのせいでしょうが!」
「私は外野からたぶらかしただけだもん。貴族なのにそれをやったらどんな結果になるかわからなかったあんたたちがバカなのよ。
ノブレスオブリージュって知ってる?より高い地位にいる者はより多くの物を支払わなければならない。あんたたちの方が私より立場を理解しているべきで、私より罪は重いの。実際、私はアンジェラ様の許しを受けることができてここにいる。それに、婚約破棄の慰謝料はちゃんと給料から払ってるわ。アンジェラ様を筆頭に皆様払わなくていいって言ってくださったから、相場よりは安いけれど。
家もそもそも名前だけの貧しい領主だったから大して状況は変わっていない。なんなら、仕送りもしているから前より裕福かもね。
それに対してあんたたちは?誰からも見放されて貧しい暮らし。どっちのほうがまともだと評価されるでしょう。きっと私の方ね。自分の行いを悔いて身を落とし、必死に働いて迷惑をかけた人々に償っている女と外部からは見えるでしょうから」
「うがー!!」
やべ、またマシンガントークをかましてしまった。
「暴れるようなら叩き出すわよ。どうする?そのまま帰る?ヤってから帰る?」
「したい……」
「そ」
まあ、ほっといてもいい女が寄ってきてた人間は女性を誘うのうまくないだろうし、寄ってくると言ってもろくな女が寄って来ないでしょうからね。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!
みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。
幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、
いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。
そして――年末の舞踏会の夜。
「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」
エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、
王国の均衡は揺らぎ始める。
誇りを捨てず、誠実を貫く娘。
政の闇に挑む父。
陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。
そして――再び立ち上がる若き王女。
――沈黙は逃げではなく、力の証。
公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。
――荘厳で静謐な政略ロマンス。
(本作品は小説家になろうにも掲載中です)
『婚約破棄されましたが、孤児院を作ったら国が変わりました』
ふわふわ
恋愛
了解です。
では、アルファポリス掲載向け・最適化済みの内容紹介を書きます。
(本命タイトル①を前提にしていますが、他タイトルにも流用可能です)
---
内容紹介
婚約破棄を告げられたとき、
ノエリアは怒りもしなければ、悲しみもしなかった。
それは政略結婚。
家同士の都合で決まり、家同士の都合で終わる話。
貴族の娘として当然の義務が、一つ消えただけだった。
――だから、その後の人生は自由に生きることにした。
捨て猫を拾い、
行き倒れの孤児の少女を保護し、
「収容するだけではない」孤児院を作る。
教育を施し、働く力を与え、
やがて孤児たちは領地を支える人材へと育っていく。
しかしその制度は、
貴族社会の“当たり前”を静かに壊していった。
反発、批判、正論という名の圧力。
それでもノエリアは感情を振り回さず、
ただ淡々と線を引き、責任を果たし続ける。
ざまぁは叫ばれない。
断罪も復讐もない。
あるのは、
「選ばれなかった令嬢」が選び続けた生き方と、
彼女がいなくても回り続ける世界。
これは、
恋愛よりも生き方を選んだ一人の令嬢が、
静かに国を変えていく物語。
---
併せておすすめタグ(参考)
婚約破棄
女主人公
貴族令嬢
孤児院
内政
知的ヒロイン
スローざまぁ
日常系
猫
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる