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あの日
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それは私のお誕生会の日だった。
それは俺にはなんてことない日だった。
きみに出逢うまでは。
いや、もう出逢っていてすでに惹かれあっていたのかもしれないな、今思えば。
今日は私こと古賀 朱音の生誕パーティー。
いつものショートヘアをアップに編み込み、明るいブルーのシンプルなミニ丈のカクテルドレスに身を包み、いざ、イケメンハントよ!
ふふん、ごらんなさいよ。私の自慢のこの脚。
ってみんな美沙貴ばかり!やっぱりボンッキュッッボンじゃなきゃならないの!?
あ、あの男イケメンじゃない?
「美紗貴、イケメンハントいくわよ。ついてきて!」
「え、ちょ、朱音…!」
そのイケメンはスレンダーで背が高くて鼻も高くて、ハーフっぽい。
スーツもネクタイもいいブランドじゃない。
これはポイント高いわね。
「これはこれは、朱音お嬢様。お誕生日おめでとうございます。スタイルがよくて、ピンクのドレスが素敵です。デ•ルゴメソの新作ですよね?」
…ピンクのフリルが上品に主張するロングドレスを着ている美紗貴がこっちを見る。
「想像以上に美しくてドキドキしてしまいますね。」
「あ、アハハ…ね、朱音。」
美紗貴が男と私を交互に見て苦笑いをこぼす。
「行きましょ!美紗貴!」
私は男をにらみつけ、美紗貴の腕を掴んでその場をドレスには似合わない大股でずんずんと去った。
「まぁー!どの男も美紗貴ばっかりにベタベタしてっ!ねぇじいや。私ってそんなにもオーラないかしら?」
あの後も声を掛けられるのは美紗貴ばかり。
そのままにパーティーもお開きに。
そして今に至るわけだけど。
「そうですね。お嬢様はお転婆でいらっしゃいますからね。そこがじいやは好きなのですが。」
「失敬ね!お転婆じゃないわよ、もう。」
ホント失礼しちゃう。
じいやは嫌味がないから許しちゃうけど…。
もうちょっと気を遣えないのかしら。
「気の遣えないじじいからお嬢様にささやかながら誕生日プレゼントをご用意させていただきます。」
「な、なに?プレゼントって。ささやかならいらないわよ。」
私のハードルは高いんだから今更じいやから私が欲しかったブランドの新作もらったって驚かないに決まってる。
「安心くださいお嬢様。じじいは所詮ただのじじい、そんな大層なものではございません。」
なによ、それ。
ちょいちょいというかずっと私の心と会話してる時点でただ者じゃないっての。
「ほほほ、これはいけませんね。じじいとしたことがレディにデリカシーがなくてはただのボケ老人ですね。まぁ、このスーパースペシャルなプレゼントでご容赦ください。」
そう言ってじいやはいつもの慣れた手つきで紅茶を淹れてくれた。
「紅茶?毎日飲んでるわよ。」
じいやは白く整った口ひげを撫でてウインクする。
「これはこの世界で一枚しかない茶葉を紅茶にさせていただきました。お嬢様に飲んでいただければこのじじいは最高にうれしいですよ。」
「ふーん。ま、淹れてくれたんだし、飲むわよ。」
私はじいやの言うスーパースペシャルな紅茶のカップに口をつけ、一口飲んで息をついた。
「きっとお嬢様ならわかっていただけますでしょう。」
「そうね、スーパースペシャルに眠くなってきわ。だいぶいいお紅茶…」
そうして私は意識を飛ばした。
「行ってらっしゃいませ。お嬢様。頼みましたよ、親愛なる―…」
俺はいつものように収録を終えてくたびれて、家へと帰ってきた。
そしてシャワーを浴びて、アイドル”アキ”からにわかヌルヲタ系男子百瀬 秋輔と戻る。
最近メンバーに勧められドハマりしたのだ。
いいじゃないか。普段はキャーキャー言われて夢売ってる側で恋愛も禁止なんだし、ギャルゲくらい許してくれよ。
というわけで今日も俺は美紗貴ちゃんに会うために、”すぱすぺっ!”を立ち上げた。
んー、なんか今日読み込みおっせーな…。
エラーかよ。画面がブルースクリーンになった。
と、思ったらめっちゃウイイイイイイイイイイイイインとか言ってるし!
めっちゃ光ってるし!まぶしいし!
なんだこれなんだこれなんだこれ!!!??
気が付くと収まっていてなんだったのかとひっくり返った俺の上半身を起こそうと力を入れる。
ん?重たい。なんか乗ってる。
…人?女の子?なんだ、女の子か。
「へ?え、え、ええええええええええええええええええ!?なんで!?」
俺はびっくりして深夜にもかかわらず大きな声を出していた。
その声に起きたらしい女の子。
「うっさいわね!誰よ!」
キッとこちらを睨みつける彼女に俺は見覚えがあった。
「…古賀朱音?」
「な、なに?あんた誰よ!私はあんた知らないわよ!だいたいなんで私の部屋に…え。なにこれ…美紗貴?」
間違いない。彼女は古賀朱音らしい。この顔この声、俺の知ってるすぱすぺっ!のキャラだ…。美紗貴って呼んでるし。間違いない、なぜ逆トリップ?
「ちょちょちょっと!なにこの部屋!美紗貴だらけじゃない!ストーカー!?ちょっとじいや!ストーカーよ!捕まえて!美紗貴が!!」
「待て待てまてまて!違う違うから!落ち着いてくれ!朱音!」
「なによ、ストーカー男!落ち着けるわけないでしょ!てか私を誘拐したって美紗貴には会わせないわよ!」
…。
水玉、か。
「…どうしてこうなった…。」
「あ、あんたが私のぱ、ぱんつ…覗いたからでしょ!!!」
いや、覗いてない。
決して覗いてない。
誓う、神に。髪に。紙に。仏にも。西にも。露にも。伊にも。
「ごめん、だれか止めてくれないか。」
「なに言ってんの?」
「いや、だから俺が覗いたわけじゃなくて見せてきたんだろ?」
「なっ!バッカ!変態!ストーカー男のくせに!」
真っ赤になっている朱音と俺の右頬。
起き上がれずにいた俺の上に仁王立ちした朱音が悪いだろ、そうだろ。
俺は悪くない。お前もそう思うだろ?頼む。そうだろ。
なんだこの理不尽。
「聞いてんの!変態男!」
「まあ落ち着け、その、…似合ってたよ。」
「バッカ!」
「ぐはっ。」
本が飛んできた。
「バッカ!」
クッションが飛んできた。
「バッカ!」
リモコンが飛んできた。
「こんの変態色狂い!」
「うぐぼうはぁっ…!」
拳と膝が飛んできた。
そ、そういやこのお嬢様は容赦がないんだったな。
「ごめん。降参ぎぶぎぶ。もう無理。お願い部屋散らかさないで…。」
「それでいいのよ、このバカたれ。」
偉そうにふんぞり返って、いまだに顔を赤らめている。
と、思ったら急にキョロキョロしている。
「んで?目的は?身代金?それだったらいくらでも出してあげるわよ。美紗貴が目的なら私はあんたをフルボッコにしてケーサツ突き出してやるわ。二度と美紗貴に近づけないようにしてやるから覚悟してちょうだい。」
キョロキョロしたと思ったら今度は冷静に俺を睨みつけて、腕を組んでいる。
ううむ、どうしたものか…。
とにかくここがすぱすぺっ!の世界ではないことを説明しないと…。
「なによ、ジロジロ見て…。何企んでんのか知らないけど、私を甘く見ないことね。」
思い切って言ってみるしかないか。
「朱音、たぶんだけど、ここはお前がいた世界じゃないんだ。」
「…はぁ?何言い出すの?詐欺とか簡単には引っかからないわよ?っていうかもっとマシなウソとかあるでしょ?」
「古賀朱音、19歳。6月18日、今日が誕生日で好きなタイプはイケメン。
古賀財閥のご令嬢で、紅茶には砂糖3つとミルク。親友の美紗貴とは小学生の頃にいじめられていたのを助けたのがきっかけで出会い、それ以降美紗貴を守るために転校し、クラスも一緒になるように手を回している。大学受験もホントは海外の予定だったが、美沙貴のために父親の反対を押し切り日本に残った。
趣味で立ち上げたファッションブランド『デ・ルゴメソ』の社長は美紗貴もクラスメイトも知らない。」
「え、なんで。ちょ」
「新作を美紗貴に着せては隠し撮りしてコレクショ」
「ストップストップ!わかったわよ!コレクション渡すから美紗貴には黙ってて」
「美紗貴ちゃんには俺は会えないよ…。」
「あ、あれ…?あんたどっかで…もしかしてリアプリ?」
「えっ、なんで知って」
ええ!嘘だろ?
なんで朱音が俺らのこと知ってんだよ!
「も、もしかして…ここってすみれソーダの世界?ウソ、ほんとに?」
すみれソーダ?わけわかんねー…。
「…ちょっとアキ、手。握力比べよ。」
頭を抱えた朱音がいきなりこちらに向き直り、
にゅっと手を差し出してきたので、
素直に握る。…あったかい。
「いでででででででで!」
「握力比べって言ったでしょ、あんたも来なさいよ。」
くっ、こんの馬鹿力お嬢様め。
俺様をなめるなよ…!
「きゃあああああああああああ!痛いぎぶぎぶ!!」
「ふん、男なめんなよ。一応鍛えてんだからな。」
「ど、どうやら夢じゃないようね…。ホントにトリップしちゃったの私?」
な、トリップだって?
どういうことなんだ?
急に眼を輝かせてこちらを見ている朱音さま。
目が、目がハートになっていらっしゃる…。
「な、なんのことだよ…?」
思い切って聞いてみる。
「すみれよ、すみれソーダ!そういうゲームがあるのよ。アイドル育成シミュレーション。その中のユニットにリアルプリンスっていうあんたらがいるの!私、マネージャーなの!ちなみに私の推しは春翔くん。」
「はぁ!?ゲーム!?トリップ!?信じらんねーけど…実際おまえが出てきたし。」
つか春翔推しかよ…。あいつ確か女そ…、なんでもない。夢は壊すな。壊すな。
「なぁに?ここはアキの部屋なの?てかなんで美紗貴のフィギュアがあるの??」
「ここは俺の部屋。ふゆきりん…冬輝に勧められたゲームすーぱーすぺしゃるスペックがーるずを起動してたら今のこの状況ってわけんだが…ちなみに俺は美紗貴ちゃん推し。」
説明すると、お嬢様は急にうげっと顔をしかめて小さくつぶやいたのを俺は見逃さなかった。
「冬輝ってホントにゲーマーだったんだ…。」
それからお互いに状況やらメタ発言やら情報をまとめた。
まず、ここは俺の世界だが、朱音の世界にはすみれソーダというアイドル育成ゲームがあり、そこの登場キャラクターに俺たちリアルプリンスがいる。
次に、俺の世界には、朱音たちが登場するすーぱーすぺしゃるがーるず!というギャルゲがある。
どうやらトリップのような逆トリップ…?
「とりあえず、今夜はもう2時になるし眠いだろ?客間があるから休んでこいよ。」
「あ、ありがと。ゆ、夢みたい…。」
それは俺にはなんてことない日だった。
きみに出逢うまでは。
いや、もう出逢っていてすでに惹かれあっていたのかもしれないな、今思えば。
今日は私こと古賀 朱音の生誕パーティー。
いつものショートヘアをアップに編み込み、明るいブルーのシンプルなミニ丈のカクテルドレスに身を包み、いざ、イケメンハントよ!
ふふん、ごらんなさいよ。私の自慢のこの脚。
ってみんな美沙貴ばかり!やっぱりボンッキュッッボンじゃなきゃならないの!?
あ、あの男イケメンじゃない?
「美紗貴、イケメンハントいくわよ。ついてきて!」
「え、ちょ、朱音…!」
そのイケメンはスレンダーで背が高くて鼻も高くて、ハーフっぽい。
スーツもネクタイもいいブランドじゃない。
これはポイント高いわね。
「これはこれは、朱音お嬢様。お誕生日おめでとうございます。スタイルがよくて、ピンクのドレスが素敵です。デ•ルゴメソの新作ですよね?」
…ピンクのフリルが上品に主張するロングドレスを着ている美紗貴がこっちを見る。
「想像以上に美しくてドキドキしてしまいますね。」
「あ、アハハ…ね、朱音。」
美紗貴が男と私を交互に見て苦笑いをこぼす。
「行きましょ!美紗貴!」
私は男をにらみつけ、美紗貴の腕を掴んでその場をドレスには似合わない大股でずんずんと去った。
「まぁー!どの男も美紗貴ばっかりにベタベタしてっ!ねぇじいや。私ってそんなにもオーラないかしら?」
あの後も声を掛けられるのは美紗貴ばかり。
そのままにパーティーもお開きに。
そして今に至るわけだけど。
「そうですね。お嬢様はお転婆でいらっしゃいますからね。そこがじいやは好きなのですが。」
「失敬ね!お転婆じゃないわよ、もう。」
ホント失礼しちゃう。
じいやは嫌味がないから許しちゃうけど…。
もうちょっと気を遣えないのかしら。
「気の遣えないじじいからお嬢様にささやかながら誕生日プレゼントをご用意させていただきます。」
「な、なに?プレゼントって。ささやかならいらないわよ。」
私のハードルは高いんだから今更じいやから私が欲しかったブランドの新作もらったって驚かないに決まってる。
「安心くださいお嬢様。じじいは所詮ただのじじい、そんな大層なものではございません。」
なによ、それ。
ちょいちょいというかずっと私の心と会話してる時点でただ者じゃないっての。
「ほほほ、これはいけませんね。じじいとしたことがレディにデリカシーがなくてはただのボケ老人ですね。まぁ、このスーパースペシャルなプレゼントでご容赦ください。」
そう言ってじいやはいつもの慣れた手つきで紅茶を淹れてくれた。
「紅茶?毎日飲んでるわよ。」
じいやは白く整った口ひげを撫でてウインクする。
「これはこの世界で一枚しかない茶葉を紅茶にさせていただきました。お嬢様に飲んでいただければこのじじいは最高にうれしいですよ。」
「ふーん。ま、淹れてくれたんだし、飲むわよ。」
私はじいやの言うスーパースペシャルな紅茶のカップに口をつけ、一口飲んで息をついた。
「きっとお嬢様ならわかっていただけますでしょう。」
「そうね、スーパースペシャルに眠くなってきわ。だいぶいいお紅茶…」
そうして私は意識を飛ばした。
「行ってらっしゃいませ。お嬢様。頼みましたよ、親愛なる―…」
俺はいつものように収録を終えてくたびれて、家へと帰ってきた。
そしてシャワーを浴びて、アイドル”アキ”からにわかヌルヲタ系男子百瀬 秋輔と戻る。
最近メンバーに勧められドハマりしたのだ。
いいじゃないか。普段はキャーキャー言われて夢売ってる側で恋愛も禁止なんだし、ギャルゲくらい許してくれよ。
というわけで今日も俺は美紗貴ちゃんに会うために、”すぱすぺっ!”を立ち上げた。
んー、なんか今日読み込みおっせーな…。
エラーかよ。画面がブルースクリーンになった。
と、思ったらめっちゃウイイイイイイイイイイイイインとか言ってるし!
めっちゃ光ってるし!まぶしいし!
なんだこれなんだこれなんだこれ!!!??
気が付くと収まっていてなんだったのかとひっくり返った俺の上半身を起こそうと力を入れる。
ん?重たい。なんか乗ってる。
…人?女の子?なんだ、女の子か。
「へ?え、え、ええええええええええええええええええ!?なんで!?」
俺はびっくりして深夜にもかかわらず大きな声を出していた。
その声に起きたらしい女の子。
「うっさいわね!誰よ!」
キッとこちらを睨みつける彼女に俺は見覚えがあった。
「…古賀朱音?」
「な、なに?あんた誰よ!私はあんた知らないわよ!だいたいなんで私の部屋に…え。なにこれ…美紗貴?」
間違いない。彼女は古賀朱音らしい。この顔この声、俺の知ってるすぱすぺっ!のキャラだ…。美紗貴って呼んでるし。間違いない、なぜ逆トリップ?
「ちょちょちょっと!なにこの部屋!美紗貴だらけじゃない!ストーカー!?ちょっとじいや!ストーカーよ!捕まえて!美紗貴が!!」
「待て待てまてまて!違う違うから!落ち着いてくれ!朱音!」
「なによ、ストーカー男!落ち着けるわけないでしょ!てか私を誘拐したって美紗貴には会わせないわよ!」
…。
水玉、か。
「…どうしてこうなった…。」
「あ、あんたが私のぱ、ぱんつ…覗いたからでしょ!!!」
いや、覗いてない。
決して覗いてない。
誓う、神に。髪に。紙に。仏にも。西にも。露にも。伊にも。
「ごめん、だれか止めてくれないか。」
「なに言ってんの?」
「いや、だから俺が覗いたわけじゃなくて見せてきたんだろ?」
「なっ!バッカ!変態!ストーカー男のくせに!」
真っ赤になっている朱音と俺の右頬。
起き上がれずにいた俺の上に仁王立ちした朱音が悪いだろ、そうだろ。
俺は悪くない。お前もそう思うだろ?頼む。そうだろ。
なんだこの理不尽。
「聞いてんの!変態男!」
「まあ落ち着け、その、…似合ってたよ。」
「バッカ!」
「ぐはっ。」
本が飛んできた。
「バッカ!」
クッションが飛んできた。
「バッカ!」
リモコンが飛んできた。
「こんの変態色狂い!」
「うぐぼうはぁっ…!」
拳と膝が飛んできた。
そ、そういやこのお嬢様は容赦がないんだったな。
「ごめん。降参ぎぶぎぶ。もう無理。お願い部屋散らかさないで…。」
「それでいいのよ、このバカたれ。」
偉そうにふんぞり返って、いまだに顔を赤らめている。
と、思ったら急にキョロキョロしている。
「んで?目的は?身代金?それだったらいくらでも出してあげるわよ。美紗貴が目的なら私はあんたをフルボッコにしてケーサツ突き出してやるわ。二度と美紗貴に近づけないようにしてやるから覚悟してちょうだい。」
キョロキョロしたと思ったら今度は冷静に俺を睨みつけて、腕を組んでいる。
ううむ、どうしたものか…。
とにかくここがすぱすぺっ!の世界ではないことを説明しないと…。
「なによ、ジロジロ見て…。何企んでんのか知らないけど、私を甘く見ないことね。」
思い切って言ってみるしかないか。
「朱音、たぶんだけど、ここはお前がいた世界じゃないんだ。」
「…はぁ?何言い出すの?詐欺とか簡単には引っかからないわよ?っていうかもっとマシなウソとかあるでしょ?」
「古賀朱音、19歳。6月18日、今日が誕生日で好きなタイプはイケメン。
古賀財閥のご令嬢で、紅茶には砂糖3つとミルク。親友の美紗貴とは小学生の頃にいじめられていたのを助けたのがきっかけで出会い、それ以降美紗貴を守るために転校し、クラスも一緒になるように手を回している。大学受験もホントは海外の予定だったが、美沙貴のために父親の反対を押し切り日本に残った。
趣味で立ち上げたファッションブランド『デ・ルゴメソ』の社長は美紗貴もクラスメイトも知らない。」
「え、なんで。ちょ」
「新作を美紗貴に着せては隠し撮りしてコレクショ」
「ストップストップ!わかったわよ!コレクション渡すから美紗貴には黙ってて」
「美紗貴ちゃんには俺は会えないよ…。」
「あ、あれ…?あんたどっかで…もしかしてリアプリ?」
「えっ、なんで知って」
ええ!嘘だろ?
なんで朱音が俺らのこと知ってんだよ!
「も、もしかして…ここってすみれソーダの世界?ウソ、ほんとに?」
すみれソーダ?わけわかんねー…。
「…ちょっとアキ、手。握力比べよ。」
頭を抱えた朱音がいきなりこちらに向き直り、
にゅっと手を差し出してきたので、
素直に握る。…あったかい。
「いでででででででで!」
「握力比べって言ったでしょ、あんたも来なさいよ。」
くっ、こんの馬鹿力お嬢様め。
俺様をなめるなよ…!
「きゃあああああああああああ!痛いぎぶぎぶ!!」
「ふん、男なめんなよ。一応鍛えてんだからな。」
「ど、どうやら夢じゃないようね…。ホントにトリップしちゃったの私?」
な、トリップだって?
どういうことなんだ?
急に眼を輝かせてこちらを見ている朱音さま。
目が、目がハートになっていらっしゃる…。
「な、なんのことだよ…?」
思い切って聞いてみる。
「すみれよ、すみれソーダ!そういうゲームがあるのよ。アイドル育成シミュレーション。その中のユニットにリアルプリンスっていうあんたらがいるの!私、マネージャーなの!ちなみに私の推しは春翔くん。」
「はぁ!?ゲーム!?トリップ!?信じらんねーけど…実際おまえが出てきたし。」
つか春翔推しかよ…。あいつ確か女そ…、なんでもない。夢は壊すな。壊すな。
「なぁに?ここはアキの部屋なの?てかなんで美紗貴のフィギュアがあるの??」
「ここは俺の部屋。ふゆきりん…冬輝に勧められたゲームすーぱーすぺしゃるスペックがーるずを起動してたら今のこの状況ってわけんだが…ちなみに俺は美紗貴ちゃん推し。」
説明すると、お嬢様は急にうげっと顔をしかめて小さくつぶやいたのを俺は見逃さなかった。
「冬輝ってホントにゲーマーだったんだ…。」
それからお互いに状況やらメタ発言やら情報をまとめた。
まず、ここは俺の世界だが、朱音の世界にはすみれソーダというアイドル育成ゲームがあり、そこの登場キャラクターに俺たちリアルプリンスがいる。
次に、俺の世界には、朱音たちが登場するすーぱーすぺしゃるがーるず!というギャルゲがある。
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