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1章1話 噂
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深く深く眠っていた。
また 同じ夢を見ている…
でも目が覚めると忘れてしまう……
長い夢の中で、途切れ途切れの声……。
“…ごめ……っ………シ…”
『シチ… 志知ーー!!起きなさい!』
ん…ん?
『ママ?おはよう…どうしたの?』
母親の大きな声で、目が覚めた。
『どーしたのぉ~?じゃないよ!!いい加減起きないと遅刻するよ!』
エプロン姿で仁王立ち。
『遅刻~? 今、夏休みだよぉ…… あっ!!』
今日から二学期だ!
慌てて 起こしてくれた母親を突き飛ばしてしまった!
ごめん!!
多分、もう友達が迎えに来てる!
急げ急げぇ
洗面台のシャワーで髪を濡らして、ドライヤーかけながら歯磨き!
髪をポニテにして、制服に着替えて…
『行ってきます!』
母親の『いってらっしゃい』も、最後まで聞かずに玄関を開けた。
『おそーい! 寝坊?』
やっぱり来てた…
待ちくたびれた顔の剣崎結(けんざきゆい)。
『日にち勘違いしてて…えへへ』
申し訳ない…。
そういえば 随分長い夢を見てた気がする…?
何の夢だったかな…
そこへ
『おはよう、志知!結!』
少し眠そうな山寺雪弥(やまでらゆきや)が合流。
雪弥も寝坊か?
珍しく、いつもより遅い。
毎朝、私の家で待ち合わせして、一緒に登校する。
結とは、高校に入ってから仲良くなった。
入学式の日、同じクラスで隣になってから。
親友…かな?何でも話せる友達。
雪弥とは中学が同じで、その頃からの友達。
今も、私と同じ高校に通ってる。
家族ぐるみの付き合い。同じ歳だけど、お兄ちゃんみたいな存在。
私は長瀬志知(ながせしち)。
人見知りが悩みの高校3年生。
少し早歩きで、歩きはじめた。
『ちょっとちょっと~聞いてよん♪』
結が嬉しそうに話しだした。
『なになに~?めっちゃ嬉しそうだね?』
私まで嬉しくなる!!
『あのねぇ…村上爽(むらかみそう)と荒木音羽(あらきおとわ)が! なんと別れたのです!!』
パチパチと拍手をしている結。
結は ずっと村上爽が好きだった。
だけど…
村上爽と付き合ってた、彼女…荒木音羽。
実は、最近のドラマやCMに引っ張りだこの人気俳優。
おまけに美人で成績優秀…
絶対別れるわけ無いって、諦めていた。
『おお!やったね! 誰に聞いたの?』
一緒に拍手しながら聞いた。
『誠(まこと)! 昨日ママと、誠の家に行ったんだ~ その時!』
誠とは、結の従兄妹だ。
『へっ あのチャラ男のどこが良いんだか! 陸上部のプリンケツ!!』
雪弥は、村上爽が好きじゃないみたい…
口を曲げて、嫌味を言った。
『プリンケツじゃなくてプリンスね!! あー?雪弥!村上がイケメンだから妬んでるんでしょ~?わかる!!わかるよ~』
結も負けない。
『はぁ~?ぜんっぜん妬んでませんが! なにアイツ?髪も目もまっ茶々で肌が白いだけだろ?染めてるんでね?カラコンでね?エステ行ってるんでね?それに、ただの高校生なのにアイドルぶってアホだろ! 俺だって、おんんんなじ事やろーと思えばやれるわ!!』
なんて 雪弥が言うから…
髪を染めたり?カラコン入れたり?エステに行ってる雪弥を想像して 結と大爆笑!
『な!なんだ!!お前ら!!』
怒る雪弥の顔を見て、また爆笑!
だって雪弥は、真面目オーラが出過ぎてるんだもの。
うちの高校は、芸能関係の生徒も通ってるので校則がゆるい。
なのに、真っ黒で短い髪、制服も規定通り。生徒会長までやってる!
茶髪の雪弥を想像して、しばらく笑えそう…ふふふ
歩いて15分ぐらいで学校に着いた。
意外と遅刻ギリギリでもなくて、良かった…。
玄関で、同じクラスの女子数人に会ったので
『おはよう~』
いつも通り挨拶をした。
でも
『……おは、おはよ…』
何だか目も合わせないし、声も小さい。
結が
『なーにみんな! 声小さくない?』
女子達に聞いた。
『結、あの話聞いてないの?』
私には、かすかにしか聞こえない大きさで、結に何か話している。
嫌な感じ…
『女子は好きだね~ヒソヒソ話! 俺にも聞かせて~』
雪弥が、結と女子達の間に割り込んだ。
『ちょっと、山寺!邪魔!! 結、また後でね!』
そう言って女子達は居なくなった。
『結、なに言われた?』
雪弥が聞く。
『ん~くだらない話!』
結が答えて…
『私 …?』
私は結に聞いた。
『…志知は何もしてないと…』
途中まで話しかけた結に、雪弥が
『なにっ!志知の事なのかっっ!?』
大きな声を出した!!
『声、大きいって!!アホ!』
結に怒られ 少し声を小さくした雪弥。
『なんだよ~?教えろよ俺にも…』
私にも…。
『志知に…』
『志知に…?』
『パパ活の噂が流れてまーーーす!ぷぷ…』
『『ええええええええええ??』』
雪弥と私は、声を揃えて驚いた!
『志知、金に困ってるなら相談すれよ~俺がパパになってやるよ~』
雪弥がふざけて言ったので
『アホ雪弥!』
結に頭を叩かれた。
でも雪弥は笑いながら
『ごめんごめん あまりにくだらなくて、ふざけてしまったわ~ そんな話なら俺、もう教室行くね!』
でも私はショックで下を向いていた…
結が
『大丈夫だよ!そのうち噂も消えるよ!志知がパパ活なんて出来るわけないの、みんなもわかってるはず! でも… 志知がパパ活の噂なんて、前代未聞ねぇ~ 雪弥以外の男子と、ろくに話も出来ない純情な……ぷぷぷ、きゃははは』
人の気も知らないで結は笑ってる…
雪弥も、さっさと居なくなるし…
『結~どうしよ~』
『だーいじょうぶだって!ぷぷ…』
他人事だと思って…
『何、玄関で騒いでるのよ、結。』
声をかけてきたのは、結の従兄妹の剣崎誠(けんざきまこと)。
結が学校に着く前、話に出していた誠だ。
実は私、誠が苦手…
高1の時は…
結と従兄妹なのもあって、抵抗がなかった。
雪弥以外で唯一、普通に話せる男子で…。
家に行って、一緒にゲームしたり…カラオケに行った事もある。
でも…2年になってから、急に冷たくなって、意地悪ばかり言うようになった…
良くわからないけど、嫌われたみたいだし…
何だか怖いから、苦手…。
『また長瀬と一緒か!飽きねーな!』
わざわざ目を細めて言ってる…
『なんで友達を飽きるのよ!誠が志知に飽きられたんでしょ~?ぷぷぷ~』
からかう様に結に言われ、誠は
『けっ。んな事知るか! それより長瀬、パパ活してるんだって? キモいなお前…』
うわーーー!ひどーい!!
でも結は
『私もその話、聞いたけど……キモいって言うな!! 志知にパパ活なんて出来ないでしょーが!そんな事、わかるくせに!』
その言葉に誠は
『まぁ…そうだけど…ごめん。』
あれ?謝った! …意外だ。
『そんな話よりぃ 昨日話していた村上と荒木さんの話ぃ?本当なんだよね?』
そんな話?
私にすれば、そっちの方がそんな話だ。
『あぁ 本当だろ?』
『よっしゃあぁーー』
ガッツポーズの結に、会話が途切れた…
結を無視して、教室に行こうとした時…
『誠!!』
誠を呼び止めて、玄関に駆け込んできた… 天使?
数人の女子に追いかけられながら…
目にかかる茶色の髪、その隙間から見える茶色の瞳…。
バランスのとれた、綺麗な顔立ち…完璧な美形。
一瞬、翼があるかと思うほど…光まで一緒に連れて来た。
彼の事が好きじゃなくても、ドキドキする…
村上爽。
結は迷うことなく、村上爽の前に行き
『おっはよー!村上!!』
顔を近づけて言った。
後ろの女子達が、ざわついても気にせずに…。
彼女がいなくなったから、グイグイいく気か?
『おはよう結。あんまり顔、近づけると…』
村上爽は姿勢を落とし、結の前髪に触れながら、更に顔を近付けた…
私は思わず
『危ない!! 私の……結に何するの!!』
結を引っ張り、村上爽から離した。
何言ってるの私!恥ずかしい…
でも、同じ様に…誰かに守られた事がある。
だから私も、結を守らないと…
村上爽は
『ぷっ… 危ないって何? 俺、危険?』
笑いながら誠に聞いた。
誠は
『さぁ? 危険かもな~ くく…』
誠も笑いながら答えた。
結は…
ボーっと立っているだけ。
どうやら 心ここにあらず……
『でもなぁ爽… 結をからかうのは、やめてくれ。 そこの女はどうでも良いけど。』
誠が結を見ながら、村上爽に言った。
そこの女…? うぅ…
『ああ…わかってるよ、ごめんな誠。結には何もしないさ…くくく…』
反省してない謝り方…。
誠は そんな村上爽を見て、溜息をついた。
『… 行くぞ』
誠がそう言うと、村上爽も頷いた。
ずっと キャーキャー言っていた女子達を連れて、2人は教室に向かった。
『結!結ってば!!』
結の肩を揺すって声をかけた。結は
『あ…志知? 村上は…?』
『教室に行ったよぉ…。 もう!どうしたのよ!! 私、めちゃくちゃ恥ずかしかったんだから!!』
ちょっと怒り気味に言ったが…
『いや…ヤバいわぁ 村上…かっこいい…』
まだ ほわほわしてる結は、私の話を聞いていない。
確かに…あの顔はヤバいけど…。
教室に着くと…
みんな私を見て、ヒソヒソ話をはじめた。
すると結が
『ヒソヒソ言うのやめなよ!』
さすが学級委員長!! 私をかばってくれた!
続いて雪弥も、
『そうだ!同じクラスなんだから そういうのやめろよ?』
おお これまた、こちらも生徒会長!ここでビシッと決めてくれ!
『長瀬が、パパ活してても良いじゃないか!』
ん?
『誰かに迷惑かけてるわけでもないだろ?』
ん?ん?
続けて結も
『そうだよ!! パパ活なんて、他にもやってる人いるし! 志知がやってるから面白いだけでしょ!?』
んんん~??面白い?
また雪弥も
『まぁ、何かあれば俺と結が責任取るから、変わらず仲良くしてやってくれ!』
おいっ!!
パパ活、認めてどうすんじゃ!
バシッ…!
『私、パパ活してないっつーーの!』
思わず大きい声と一緒に、雪弥の背中を叩いてしまった!
一瞬 みんな驚いて、静かになったが…
『だよな~長瀬にパパ活、無理だよな~』
『雪弥以外の男子と、話せねーし!』
『純情乙女!』
『天然記念物!!』
『誰が言い出したの?パパ活してるって?』
『誰だっけ?』
『長瀬さんが、若いイケオジと居る所を見た人が、何人かいて~とかじゃなかった?』
『どこで?』
『私は夏休み、ショッピングモールのジムから出てくるの見たって聞いたよ!』
え~ 何人も?
私って目立たないと思うんだけど…
あれ?
夏休み…?ジム?
もしかして…
うちの両親は19歳で結婚、20歳で私が生まれたので、まだ若いし…
父親は 元ボクサーだから、ちょっと見た目はイケて見えるかも…
これは どうやら誤解のようだ…。
『それ…多分うちのお父さんかも。まだ30代なんだよね… 夏休み中、お父さんとジム行ってたからさ…』
『えっーーー?30代?若っーーー』
クラスのみんなには、誤解を解くために色々話して、何とかわかってもらえた。
結と雪弥のおかげだよね。
いつもありがとう。
わざと私に、言わせた感あったけど…。
でも…
噂は1日で、あっという間に広まった。
こんなに騒がれるものなの…?
始業式の間も、目線が痛かった…
結は そのうち噂も消えるよって言ってくれたけど 【そのうち】の間が、キツい…
帰りのホームルームが終わって…
結が
『学級委員の打ち合わせあるから、どっかで待っててくれる?』
結は学級委員長だから、時々こういう事はある。
『じゃあ~また公園で待ってるね!』
公園は学校前にあるので、そこで待つ事が多い。
支度を終えて、公園に急いだ。
学校にいるのが息苦しかった…
公園のベンチに座り、スマホを見ていると
『長瀬…』
突然声をかけられた。 誰…?
華奢な体型、赤毛…二重の女の子みたいな瞳……
ひぇ~誠だ!! 本日2回目!!
また何か言われる! 結、早く来て~!
…心で叫んだ!
誠は隣に座った。そして唐突に
『パパ活の噂 もしかしたら爽が流してるかもしれない…』
えっ!?なんで?私、村上爽と話したこともないのに!!
…これも心で叫んだ…
『長瀬、爽に何かしたか?アイツ、敵に回さない方が良いぞ?』
あれ? ちょっと優しい…
『な、何にもしてないよ?話したこともないもん…』
久しぶりに誠と話した。
『だよなぁ… 俺も、爽と長瀬が話してるの見たことねーから、余計わからなくて…』
考え込んでいる誠。
『でもどうして? 噂流してると思うの?』
疑問に思ったので、私は聞いた。
『ん… 夏休み中の部活の日、爽が自分の親衛隊の子と話してて… その時、長瀬の名前が聞こえたんだよ。 なんでかなぁって思ったけど、爽には何も聞かなかったんだ。 だけど今日学校来たら、お前の噂が広まっていたから、もしかしたら……』
『誠 ナンパ中か?』
いつ来た!?
全然気が付かなかった…!!
村上爽が目の前に立っていた。
『あ……』
誠は、慌てて立ち上がった。
村上爽が
『俺に構わないで、続けろよ?』
そう言って… さっきまで誠が座っていた、私の隣に座った。
『いや、終わったから…もういい。』
誠は村上爽の肩を叩いて、その場を離れようとしたが、村上爽は動かない。
私に
『長瀬さん、だよね?今日から有名人の。』
真横から、顔を近付けてきた…
男なのに、いい匂いがする…!!
いや、違う違う違うー!!
近い近い近い!!離れろーー!!
マジ 目がまっ茶々ーの茶ぁーー!
『はい、長瀬です…』 ボソッ
へーールプ!!ゆーーーいーーー
『あっ!朝、会ったね! 私の結とか言ってた子だよね? 遠くから見たらわからなかったよ~ クラスの子がさ 誠がパパ活の長瀬さんと、公園で話してるって教えてくれてさぁ どんな子かな~と思って見に来たわけよ。 なんだぁ~知ってる人だった~!』
なんか わざとらしい…
『爽、もういいだろ?長瀬、困っているから…』
もう一度村上爽の肩を叩いた。
『え~ 誠が女の子に気を遣ってる? ふ~ん…珍しいね~』
誠のおかげで村上爽は、私から顔を離した。
『はっ? 早く飯食いに行きてーの! それとも、まだパパ活女に用があるわけ?』
パパ活女~?ひどいっ!
『ん~用ね… 誠が怒ってるから、今日はやめておく。 またね、長瀬ちゃん。 イジメられたら俺が守ってあげるから、いつでも言ってね!』
そう言うと、ベンチから立ち上がった。
『お前に守られたら もっとイジメられるわ それに俺は怒ってねーわ!』
誠は、不機嫌そうに話した。
また いつもの誠に戻った…
多分 2人は、隠し事なんてしない仲だろう…。なのに、村上爽の不審な行動を教えてくれた誠…。
“…愛くるしい あなた…”
ズキッ……
… 何?
胸が切ない……
『誠…あ、剣崎君…?あの、ありがとう…』
つい 胸が切なくなって、言ってしまった…
『な!なななな!なんだ!? お礼言われる事してねーだろ!? 変な事言うな!ちんちくりん!!』
ち、ちんちくりん??
『へぇ…』
村上爽が意味深な顔をして、誠の肩を組み
『誠~ 飯食いながらゆっくり話すかぁ?』
『は、話すことなんか、ないわっ!!』
そう言い合いながら、2人は公園を出て行った。
やっと いなくなった…
あの2人と話していると、気持ちが不安定になるみたい。
公園を出た所で村上爽が振り向き、
『長瀬ちゃん、今度デートしようね!』
………?
そら耳だな。
『志知ーーー!』
学校の方から結の声が聞こえて、結の所まで走った!
『結ーーー!誠がーーー、うおおおんおんおん…』
よくわからないが、号泣の私。
『ど、どした?誠? 今、村上居なかった? てか、志知の顔!ボロボロ!! アハハハアハハハ!!』
笑いすぎだ…
公園での出来事を結に話した。
『え!?なにそれ! 誠が嘘つくとは思えないなぁ。 でも…村上が噂、流す理由もわからないよね?』
『あだし、さっぎはじめて村上と話たんだじょ…なんでこんな事ざれるどぉぉ?』
泣きながら話している私に…
『まず 泣くのやめろ…泣き顔ブスな女、初めて見た……ぷぷぷ…』
顔を赤くして、笑いをこらえてる結。
『びぼいっ!』
普通は慰めるところです…
『ごめんごめん…くくっ いや、真面目に話そう!』
だから私は真面目です…
『誠と3人で、話した方が良くない?』
『えっ!?怖い!誠、怖い!!』
『怖くないって~アイツ、究極のツンデレなだけ!顔が可愛いから、わざとあーやってカッコつけてるの!』
『…そういえば さっき優しかったかも…』
『でしょ?だから誠に聞いてみよう!』
『でも 村上とご飯食べに行くって、話してたよ?』
『そっかぁ…じゃ、私達もお昼食べてから連絡してみようか!』
て事で、近くのファミレスへ。
今日は、始業式の学校が多かったから、ファミレスは混んでいた。
待っている人の中に、あの荒木音羽もいた!
めちゃくちゃ可愛い!
近くで見たのは、はじめてだけど 凄い美人!
周りの人達も、荒木音羽だと気付いているが、声はかけれない感じ。
でも結は
『か、可愛い… でも、私の敵ではない……ふんっ!』
勝手にライバル視。
そこへ ゆらゆらと荒木音羽が、こちらに向かってきた!
結の口の動きを読んだ?
ヤバいか?
『こんにちは』
『『ここここんにちは…』』
挨拶されて、私達はカチコチの挨拶を返した。
『剣崎さん、私 荒木です…。 覚えてます?』
『えっ?』
荒木音羽に聞かれて、結は驚いている。
『私、3組の副委員してるけど、1度も委員会に出席してなくて… 今回初めて出たんです。発言もしてないので、記憶にないですか?』
そんな事言われて、結の顔がロボットみたい…
『おおおお覚えてますわよ!そうでしたか、初めての出席でしたか!ご、ごめんなさいね、荒木さん有名人だから、話しかけづらくて、て、て つーか、話しては、いけない気がいたしまして…えぇ』
さては…委員会で音羽がいた事、気付いていなかったな?
結の言葉に寂しそうな顔で
『そうでしたか… ごめんなさい、突然話しかけて。では…』
音羽は、立ち去ろうとした。
結に用があったんじゃないの?
諦めた?
んー 気になる!
我慢できず…
『あの、荒木さん!もし1人でしたら、一緒に食べませんか?』
思わず音羽を誘った。
そんな私を結は…
お前 よくも言いやがったな て目をして、睨んでるけど…
『いいの? 嬉しいです!是非!!』
音羽は、喜んでるので。
音羽の番号札が早く呼ばれて、このあと すぐに座れた。
『私、長瀬です。結の…剣崎と同じクラスです!』
タブレットで注文しながら、自己紹介。
『長瀬さん…? 違っていたらごめんなさい、もしかしてパパ活の噂がある…?』
おおう…やっぱり、音羽も知ってたか…。
『そ、そうなんですよ… 参っちゃいましたよ ははは』
『でも志知は、やってない!誰かが、嘘の噂流してるんだよね!』
結が言ってくれた。
『確かに… パパ活してる子は、他にもいるのに。 長瀬さんだけ、凄く騒がれてますよね?』
音羽も疑問?
『私… 何かしたのかもって…』
私が言うと
『それは ないと思うけどなぁ…』
結が首をかしげて言った。
『私も、顔の整形してるって噂されてますよ!』
音羽が笑いながら言った。
『だけど… 自分が違うなら堂々としてないとね!』
続けて、笑顔で話す音羽。
その強さ 私にもください…
『荒木さんは芸能人だから! 私達とは感覚が違うんじゃない? 特に志知は、打たれ弱くて耐えれないタイプなの!!』
なんか 結、キツくない?
ちょっと驚いた顔の音羽。
『あ、そうなんだね、ごめんなさい…。 自分の考え押し付けて…』
ほら!結が怒った言い方するから!!
『そんな事ないです! 初対面なのに、そんなふうに言ってもらえて…ありがとうございます。』
素直にそう思った。
ちょっと沈黙になったタイミングで、食事が運ばれてきた。
驚いたのが、音羽もすごい食べる!
大食いの結と、同じくらい食べる!
しかも2人は、同じ物注文してて…
気が付けば、食べ物の話で盛り上がって、仲良くなっていた。
食べることは正義かな?
険悪な雰囲気だったから、良かった~
会計の時、音羽が払ってくれた。
悪いから、お金を渡そうとしたが…
『今日のは要らないよ!お給料入ったから!! 代わりに…ふたりのアドレス教えて?』
そう言われて、私達は迷うことなくアドレス交換をした。
店を出て 結が音羽に
『最初、構えちゃってごめんね… 勝手にライバル視してた…』
それに対して…
『大丈夫よ、慣れてるから! ふふふ』
音羽は笑顔で答えた。
『さすがだね~ 荒木さんに比べたら私は、ちっさいわ~ 村上の元カノだからって意識しちゃってさ…』
『…村上? 剣崎さんは小さくないよ!! 本当は私、剣崎さんと友達になりたくて、声かけたの!』
『えええ!?』
珍しく結が赤くなった!
『ふふ。吹部の剣崎さんは知ってたけど… 今日 初めて委員会に出て、いつの間にか中心になってる剣崎さん… かっこいいと思ったよ!この人と友達になれたら、絶対プラスになる!友達になりたい!!てね。』
興奮気味の音羽。
『あ、ありがとう…恥ずかしいぃ…』
照れる結。
『結、かっこいいもんね!私も自慢だよ!』
私も褒めてやった!
『志知~照れるって~』
照れると可愛い結。
『声かけて良かった…。あ!長瀬さん!剣崎さんも付いているし、私も助けます。 だから変な噂に負けないで下さいね!』
優しい言葉に嬉しくなった。
『荒木さん、ありがとう!!』
音羽の言葉に、結も大きく頷き…
『ありがとう!志知の事、思ってくれて。そのついでと言うか… ちょっとお願いがあるんだ! この後、荒木さんは仕事?』
音羽に聞いた。
『ううん 今日は仕事入ってないよ…。お願いって何?』
『そっか! じゃあ、もう少し付き合ってくれる? 実は…パパ活の詳しい話をこれから聞きに行くのよ。もしかしたら、荒木さんに頼る事があるかもしれないし…。』
えっ? 誠との話に付き合わせるの?
『そうなんだ…。うん!付き合う!! 私に手伝える事あるなら、言ってね!』
ええ? いいの?音羽さん。
『志知もいいよね?』
結が私に聞いた。
『う、うん…。』
村上爽絡みだし…
確かに音羽が来てくれた方が良いのかも…?
音羽も巻き込んで 噂の真相を確かめる事になったのです。
また 同じ夢を見ている…
でも目が覚めると忘れてしまう……
長い夢の中で、途切れ途切れの声……。
“…ごめ……っ………シ…”
『シチ… 志知ーー!!起きなさい!』
ん…ん?
『ママ?おはよう…どうしたの?』
母親の大きな声で、目が覚めた。
『どーしたのぉ~?じゃないよ!!いい加減起きないと遅刻するよ!』
エプロン姿で仁王立ち。
『遅刻~? 今、夏休みだよぉ…… あっ!!』
今日から二学期だ!
慌てて 起こしてくれた母親を突き飛ばしてしまった!
ごめん!!
多分、もう友達が迎えに来てる!
急げ急げぇ
洗面台のシャワーで髪を濡らして、ドライヤーかけながら歯磨き!
髪をポニテにして、制服に着替えて…
『行ってきます!』
母親の『いってらっしゃい』も、最後まで聞かずに玄関を開けた。
『おそーい! 寝坊?』
やっぱり来てた…
待ちくたびれた顔の剣崎結(けんざきゆい)。
『日にち勘違いしてて…えへへ』
申し訳ない…。
そういえば 随分長い夢を見てた気がする…?
何の夢だったかな…
そこへ
『おはよう、志知!結!』
少し眠そうな山寺雪弥(やまでらゆきや)が合流。
雪弥も寝坊か?
珍しく、いつもより遅い。
毎朝、私の家で待ち合わせして、一緒に登校する。
結とは、高校に入ってから仲良くなった。
入学式の日、同じクラスで隣になってから。
親友…かな?何でも話せる友達。
雪弥とは中学が同じで、その頃からの友達。
今も、私と同じ高校に通ってる。
家族ぐるみの付き合い。同じ歳だけど、お兄ちゃんみたいな存在。
私は長瀬志知(ながせしち)。
人見知りが悩みの高校3年生。
少し早歩きで、歩きはじめた。
『ちょっとちょっと~聞いてよん♪』
結が嬉しそうに話しだした。
『なになに~?めっちゃ嬉しそうだね?』
私まで嬉しくなる!!
『あのねぇ…村上爽(むらかみそう)と荒木音羽(あらきおとわ)が! なんと別れたのです!!』
パチパチと拍手をしている結。
結は ずっと村上爽が好きだった。
だけど…
村上爽と付き合ってた、彼女…荒木音羽。
実は、最近のドラマやCMに引っ張りだこの人気俳優。
おまけに美人で成績優秀…
絶対別れるわけ無いって、諦めていた。
『おお!やったね! 誰に聞いたの?』
一緒に拍手しながら聞いた。
『誠(まこと)! 昨日ママと、誠の家に行ったんだ~ その時!』
誠とは、結の従兄妹だ。
『へっ あのチャラ男のどこが良いんだか! 陸上部のプリンケツ!!』
雪弥は、村上爽が好きじゃないみたい…
口を曲げて、嫌味を言った。
『プリンケツじゃなくてプリンスね!! あー?雪弥!村上がイケメンだから妬んでるんでしょ~?わかる!!わかるよ~』
結も負けない。
『はぁ~?ぜんっぜん妬んでませんが! なにアイツ?髪も目もまっ茶々で肌が白いだけだろ?染めてるんでね?カラコンでね?エステ行ってるんでね?それに、ただの高校生なのにアイドルぶってアホだろ! 俺だって、おんんんなじ事やろーと思えばやれるわ!!』
なんて 雪弥が言うから…
髪を染めたり?カラコン入れたり?エステに行ってる雪弥を想像して 結と大爆笑!
『な!なんだ!!お前ら!!』
怒る雪弥の顔を見て、また爆笑!
だって雪弥は、真面目オーラが出過ぎてるんだもの。
うちの高校は、芸能関係の生徒も通ってるので校則がゆるい。
なのに、真っ黒で短い髪、制服も規定通り。生徒会長までやってる!
茶髪の雪弥を想像して、しばらく笑えそう…ふふふ
歩いて15分ぐらいで学校に着いた。
意外と遅刻ギリギリでもなくて、良かった…。
玄関で、同じクラスの女子数人に会ったので
『おはよう~』
いつも通り挨拶をした。
でも
『……おは、おはよ…』
何だか目も合わせないし、声も小さい。
結が
『なーにみんな! 声小さくない?』
女子達に聞いた。
『結、あの話聞いてないの?』
私には、かすかにしか聞こえない大きさで、結に何か話している。
嫌な感じ…
『女子は好きだね~ヒソヒソ話! 俺にも聞かせて~』
雪弥が、結と女子達の間に割り込んだ。
『ちょっと、山寺!邪魔!! 結、また後でね!』
そう言って女子達は居なくなった。
『結、なに言われた?』
雪弥が聞く。
『ん~くだらない話!』
結が答えて…
『私 …?』
私は結に聞いた。
『…志知は何もしてないと…』
途中まで話しかけた結に、雪弥が
『なにっ!志知の事なのかっっ!?』
大きな声を出した!!
『声、大きいって!!アホ!』
結に怒られ 少し声を小さくした雪弥。
『なんだよ~?教えろよ俺にも…』
私にも…。
『志知に…』
『志知に…?』
『パパ活の噂が流れてまーーーす!ぷぷ…』
『『ええええええええええ??』』
雪弥と私は、声を揃えて驚いた!
『志知、金に困ってるなら相談すれよ~俺がパパになってやるよ~』
雪弥がふざけて言ったので
『アホ雪弥!』
結に頭を叩かれた。
でも雪弥は笑いながら
『ごめんごめん あまりにくだらなくて、ふざけてしまったわ~ そんな話なら俺、もう教室行くね!』
でも私はショックで下を向いていた…
結が
『大丈夫だよ!そのうち噂も消えるよ!志知がパパ活なんて出来るわけないの、みんなもわかってるはず! でも… 志知がパパ活の噂なんて、前代未聞ねぇ~ 雪弥以外の男子と、ろくに話も出来ない純情な……ぷぷぷ、きゃははは』
人の気も知らないで結は笑ってる…
雪弥も、さっさと居なくなるし…
『結~どうしよ~』
『だーいじょうぶだって!ぷぷ…』
他人事だと思って…
『何、玄関で騒いでるのよ、結。』
声をかけてきたのは、結の従兄妹の剣崎誠(けんざきまこと)。
結が学校に着く前、話に出していた誠だ。
実は私、誠が苦手…
高1の時は…
結と従兄妹なのもあって、抵抗がなかった。
雪弥以外で唯一、普通に話せる男子で…。
家に行って、一緒にゲームしたり…カラオケに行った事もある。
でも…2年になってから、急に冷たくなって、意地悪ばかり言うようになった…
良くわからないけど、嫌われたみたいだし…
何だか怖いから、苦手…。
『また長瀬と一緒か!飽きねーな!』
わざわざ目を細めて言ってる…
『なんで友達を飽きるのよ!誠が志知に飽きられたんでしょ~?ぷぷぷ~』
からかう様に結に言われ、誠は
『けっ。んな事知るか! それより長瀬、パパ活してるんだって? キモいなお前…』
うわーーー!ひどーい!!
でも結は
『私もその話、聞いたけど……キモいって言うな!! 志知にパパ活なんて出来ないでしょーが!そんな事、わかるくせに!』
その言葉に誠は
『まぁ…そうだけど…ごめん。』
あれ?謝った! …意外だ。
『そんな話よりぃ 昨日話していた村上と荒木さんの話ぃ?本当なんだよね?』
そんな話?
私にすれば、そっちの方がそんな話だ。
『あぁ 本当だろ?』
『よっしゃあぁーー』
ガッツポーズの結に、会話が途切れた…
結を無視して、教室に行こうとした時…
『誠!!』
誠を呼び止めて、玄関に駆け込んできた… 天使?
数人の女子に追いかけられながら…
目にかかる茶色の髪、その隙間から見える茶色の瞳…。
バランスのとれた、綺麗な顔立ち…完璧な美形。
一瞬、翼があるかと思うほど…光まで一緒に連れて来た。
彼の事が好きじゃなくても、ドキドキする…
村上爽。
結は迷うことなく、村上爽の前に行き
『おっはよー!村上!!』
顔を近づけて言った。
後ろの女子達が、ざわついても気にせずに…。
彼女がいなくなったから、グイグイいく気か?
『おはよう結。あんまり顔、近づけると…』
村上爽は姿勢を落とし、結の前髪に触れながら、更に顔を近付けた…
私は思わず
『危ない!! 私の……結に何するの!!』
結を引っ張り、村上爽から離した。
何言ってるの私!恥ずかしい…
でも、同じ様に…誰かに守られた事がある。
だから私も、結を守らないと…
村上爽は
『ぷっ… 危ないって何? 俺、危険?』
笑いながら誠に聞いた。
誠は
『さぁ? 危険かもな~ くく…』
誠も笑いながら答えた。
結は…
ボーっと立っているだけ。
どうやら 心ここにあらず……
『でもなぁ爽… 結をからかうのは、やめてくれ。 そこの女はどうでも良いけど。』
誠が結を見ながら、村上爽に言った。
そこの女…? うぅ…
『ああ…わかってるよ、ごめんな誠。結には何もしないさ…くくく…』
反省してない謝り方…。
誠は そんな村上爽を見て、溜息をついた。
『… 行くぞ』
誠がそう言うと、村上爽も頷いた。
ずっと キャーキャー言っていた女子達を連れて、2人は教室に向かった。
『結!結ってば!!』
結の肩を揺すって声をかけた。結は
『あ…志知? 村上は…?』
『教室に行ったよぉ…。 もう!どうしたのよ!! 私、めちゃくちゃ恥ずかしかったんだから!!』
ちょっと怒り気味に言ったが…
『いや…ヤバいわぁ 村上…かっこいい…』
まだ ほわほわしてる結は、私の話を聞いていない。
確かに…あの顔はヤバいけど…。
教室に着くと…
みんな私を見て、ヒソヒソ話をはじめた。
すると結が
『ヒソヒソ言うのやめなよ!』
さすが学級委員長!! 私をかばってくれた!
続いて雪弥も、
『そうだ!同じクラスなんだから そういうのやめろよ?』
おお これまた、こちらも生徒会長!ここでビシッと決めてくれ!
『長瀬が、パパ活してても良いじゃないか!』
ん?
『誰かに迷惑かけてるわけでもないだろ?』
ん?ん?
続けて結も
『そうだよ!! パパ活なんて、他にもやってる人いるし! 志知がやってるから面白いだけでしょ!?』
んんん~??面白い?
また雪弥も
『まぁ、何かあれば俺と結が責任取るから、変わらず仲良くしてやってくれ!』
おいっ!!
パパ活、認めてどうすんじゃ!
バシッ…!
『私、パパ活してないっつーーの!』
思わず大きい声と一緒に、雪弥の背中を叩いてしまった!
一瞬 みんな驚いて、静かになったが…
『だよな~長瀬にパパ活、無理だよな~』
『雪弥以外の男子と、話せねーし!』
『純情乙女!』
『天然記念物!!』
『誰が言い出したの?パパ活してるって?』
『誰だっけ?』
『長瀬さんが、若いイケオジと居る所を見た人が、何人かいて~とかじゃなかった?』
『どこで?』
『私は夏休み、ショッピングモールのジムから出てくるの見たって聞いたよ!』
え~ 何人も?
私って目立たないと思うんだけど…
あれ?
夏休み…?ジム?
もしかして…
うちの両親は19歳で結婚、20歳で私が生まれたので、まだ若いし…
父親は 元ボクサーだから、ちょっと見た目はイケて見えるかも…
これは どうやら誤解のようだ…。
『それ…多分うちのお父さんかも。まだ30代なんだよね… 夏休み中、お父さんとジム行ってたからさ…』
『えっーーー?30代?若っーーー』
クラスのみんなには、誤解を解くために色々話して、何とかわかってもらえた。
結と雪弥のおかげだよね。
いつもありがとう。
わざと私に、言わせた感あったけど…。
でも…
噂は1日で、あっという間に広まった。
こんなに騒がれるものなの…?
始業式の間も、目線が痛かった…
結は そのうち噂も消えるよって言ってくれたけど 【そのうち】の間が、キツい…
帰りのホームルームが終わって…
結が
『学級委員の打ち合わせあるから、どっかで待っててくれる?』
結は学級委員長だから、時々こういう事はある。
『じゃあ~また公園で待ってるね!』
公園は学校前にあるので、そこで待つ事が多い。
支度を終えて、公園に急いだ。
学校にいるのが息苦しかった…
公園のベンチに座り、スマホを見ていると
『長瀬…』
突然声をかけられた。 誰…?
華奢な体型、赤毛…二重の女の子みたいな瞳……
ひぇ~誠だ!! 本日2回目!!
また何か言われる! 結、早く来て~!
…心で叫んだ!
誠は隣に座った。そして唐突に
『パパ活の噂 もしかしたら爽が流してるかもしれない…』
えっ!?なんで?私、村上爽と話したこともないのに!!
…これも心で叫んだ…
『長瀬、爽に何かしたか?アイツ、敵に回さない方が良いぞ?』
あれ? ちょっと優しい…
『な、何にもしてないよ?話したこともないもん…』
久しぶりに誠と話した。
『だよなぁ… 俺も、爽と長瀬が話してるの見たことねーから、余計わからなくて…』
考え込んでいる誠。
『でもどうして? 噂流してると思うの?』
疑問に思ったので、私は聞いた。
『ん… 夏休み中の部活の日、爽が自分の親衛隊の子と話してて… その時、長瀬の名前が聞こえたんだよ。 なんでかなぁって思ったけど、爽には何も聞かなかったんだ。 だけど今日学校来たら、お前の噂が広まっていたから、もしかしたら……』
『誠 ナンパ中か?』
いつ来た!?
全然気が付かなかった…!!
村上爽が目の前に立っていた。
『あ……』
誠は、慌てて立ち上がった。
村上爽が
『俺に構わないで、続けろよ?』
そう言って… さっきまで誠が座っていた、私の隣に座った。
『いや、終わったから…もういい。』
誠は村上爽の肩を叩いて、その場を離れようとしたが、村上爽は動かない。
私に
『長瀬さん、だよね?今日から有名人の。』
真横から、顔を近付けてきた…
男なのに、いい匂いがする…!!
いや、違う違う違うー!!
近い近い近い!!離れろーー!!
マジ 目がまっ茶々ーの茶ぁーー!
『はい、長瀬です…』 ボソッ
へーールプ!!ゆーーーいーーー
『あっ!朝、会ったね! 私の結とか言ってた子だよね? 遠くから見たらわからなかったよ~ クラスの子がさ 誠がパパ活の長瀬さんと、公園で話してるって教えてくれてさぁ どんな子かな~と思って見に来たわけよ。 なんだぁ~知ってる人だった~!』
なんか わざとらしい…
『爽、もういいだろ?長瀬、困っているから…』
もう一度村上爽の肩を叩いた。
『え~ 誠が女の子に気を遣ってる? ふ~ん…珍しいね~』
誠のおかげで村上爽は、私から顔を離した。
『はっ? 早く飯食いに行きてーの! それとも、まだパパ活女に用があるわけ?』
パパ活女~?ひどいっ!
『ん~用ね… 誠が怒ってるから、今日はやめておく。 またね、長瀬ちゃん。 イジメられたら俺が守ってあげるから、いつでも言ってね!』
そう言うと、ベンチから立ち上がった。
『お前に守られたら もっとイジメられるわ それに俺は怒ってねーわ!』
誠は、不機嫌そうに話した。
また いつもの誠に戻った…
多分 2人は、隠し事なんてしない仲だろう…。なのに、村上爽の不審な行動を教えてくれた誠…。
“…愛くるしい あなた…”
ズキッ……
… 何?
胸が切ない……
『誠…あ、剣崎君…?あの、ありがとう…』
つい 胸が切なくなって、言ってしまった…
『な!なななな!なんだ!? お礼言われる事してねーだろ!? 変な事言うな!ちんちくりん!!』
ち、ちんちくりん??
『へぇ…』
村上爽が意味深な顔をして、誠の肩を組み
『誠~ 飯食いながらゆっくり話すかぁ?』
『は、話すことなんか、ないわっ!!』
そう言い合いながら、2人は公園を出て行った。
やっと いなくなった…
あの2人と話していると、気持ちが不安定になるみたい。
公園を出た所で村上爽が振り向き、
『長瀬ちゃん、今度デートしようね!』
………?
そら耳だな。
『志知ーーー!』
学校の方から結の声が聞こえて、結の所まで走った!
『結ーーー!誠がーーー、うおおおんおんおん…』
よくわからないが、号泣の私。
『ど、どした?誠? 今、村上居なかった? てか、志知の顔!ボロボロ!! アハハハアハハハ!!』
笑いすぎだ…
公園での出来事を結に話した。
『え!?なにそれ! 誠が嘘つくとは思えないなぁ。 でも…村上が噂、流す理由もわからないよね?』
『あだし、さっぎはじめて村上と話たんだじょ…なんでこんな事ざれるどぉぉ?』
泣きながら話している私に…
『まず 泣くのやめろ…泣き顔ブスな女、初めて見た……ぷぷぷ…』
顔を赤くして、笑いをこらえてる結。
『びぼいっ!』
普通は慰めるところです…
『ごめんごめん…くくっ いや、真面目に話そう!』
だから私は真面目です…
『誠と3人で、話した方が良くない?』
『えっ!?怖い!誠、怖い!!』
『怖くないって~アイツ、究極のツンデレなだけ!顔が可愛いから、わざとあーやってカッコつけてるの!』
『…そういえば さっき優しかったかも…』
『でしょ?だから誠に聞いてみよう!』
『でも 村上とご飯食べに行くって、話してたよ?』
『そっかぁ…じゃ、私達もお昼食べてから連絡してみようか!』
て事で、近くのファミレスへ。
今日は、始業式の学校が多かったから、ファミレスは混んでいた。
待っている人の中に、あの荒木音羽もいた!
めちゃくちゃ可愛い!
近くで見たのは、はじめてだけど 凄い美人!
周りの人達も、荒木音羽だと気付いているが、声はかけれない感じ。
でも結は
『か、可愛い… でも、私の敵ではない……ふんっ!』
勝手にライバル視。
そこへ ゆらゆらと荒木音羽が、こちらに向かってきた!
結の口の動きを読んだ?
ヤバいか?
『こんにちは』
『『ここここんにちは…』』
挨拶されて、私達はカチコチの挨拶を返した。
『剣崎さん、私 荒木です…。 覚えてます?』
『えっ?』
荒木音羽に聞かれて、結は驚いている。
『私、3組の副委員してるけど、1度も委員会に出席してなくて… 今回初めて出たんです。発言もしてないので、記憶にないですか?』
そんな事言われて、結の顔がロボットみたい…
『おおおお覚えてますわよ!そうでしたか、初めての出席でしたか!ご、ごめんなさいね、荒木さん有名人だから、話しかけづらくて、て、て つーか、話しては、いけない気がいたしまして…えぇ』
さては…委員会で音羽がいた事、気付いていなかったな?
結の言葉に寂しそうな顔で
『そうでしたか… ごめんなさい、突然話しかけて。では…』
音羽は、立ち去ろうとした。
結に用があったんじゃないの?
諦めた?
んー 気になる!
我慢できず…
『あの、荒木さん!もし1人でしたら、一緒に食べませんか?』
思わず音羽を誘った。
そんな私を結は…
お前 よくも言いやがったな て目をして、睨んでるけど…
『いいの? 嬉しいです!是非!!』
音羽は、喜んでるので。
音羽の番号札が早く呼ばれて、このあと すぐに座れた。
『私、長瀬です。結の…剣崎と同じクラスです!』
タブレットで注文しながら、自己紹介。
『長瀬さん…? 違っていたらごめんなさい、もしかしてパパ活の噂がある…?』
おおう…やっぱり、音羽も知ってたか…。
『そ、そうなんですよ… 参っちゃいましたよ ははは』
『でも志知は、やってない!誰かが、嘘の噂流してるんだよね!』
結が言ってくれた。
『確かに… パパ活してる子は、他にもいるのに。 長瀬さんだけ、凄く騒がれてますよね?』
音羽も疑問?
『私… 何かしたのかもって…』
私が言うと
『それは ないと思うけどなぁ…』
結が首をかしげて言った。
『私も、顔の整形してるって噂されてますよ!』
音羽が笑いながら言った。
『だけど… 自分が違うなら堂々としてないとね!』
続けて、笑顔で話す音羽。
その強さ 私にもください…
『荒木さんは芸能人だから! 私達とは感覚が違うんじゃない? 特に志知は、打たれ弱くて耐えれないタイプなの!!』
なんか 結、キツくない?
ちょっと驚いた顔の音羽。
『あ、そうなんだね、ごめんなさい…。 自分の考え押し付けて…』
ほら!結が怒った言い方するから!!
『そんな事ないです! 初対面なのに、そんなふうに言ってもらえて…ありがとうございます。』
素直にそう思った。
ちょっと沈黙になったタイミングで、食事が運ばれてきた。
驚いたのが、音羽もすごい食べる!
大食いの結と、同じくらい食べる!
しかも2人は、同じ物注文してて…
気が付けば、食べ物の話で盛り上がって、仲良くなっていた。
食べることは正義かな?
険悪な雰囲気だったから、良かった~
会計の時、音羽が払ってくれた。
悪いから、お金を渡そうとしたが…
『今日のは要らないよ!お給料入ったから!! 代わりに…ふたりのアドレス教えて?』
そう言われて、私達は迷うことなくアドレス交換をした。
店を出て 結が音羽に
『最初、構えちゃってごめんね… 勝手にライバル視してた…』
それに対して…
『大丈夫よ、慣れてるから! ふふふ』
音羽は笑顔で答えた。
『さすがだね~ 荒木さんに比べたら私は、ちっさいわ~ 村上の元カノだからって意識しちゃってさ…』
『…村上? 剣崎さんは小さくないよ!! 本当は私、剣崎さんと友達になりたくて、声かけたの!』
『えええ!?』
珍しく結が赤くなった!
『ふふ。吹部の剣崎さんは知ってたけど… 今日 初めて委員会に出て、いつの間にか中心になってる剣崎さん… かっこいいと思ったよ!この人と友達になれたら、絶対プラスになる!友達になりたい!!てね。』
興奮気味の音羽。
『あ、ありがとう…恥ずかしいぃ…』
照れる結。
『結、かっこいいもんね!私も自慢だよ!』
私も褒めてやった!
『志知~照れるって~』
照れると可愛い結。
『声かけて良かった…。あ!長瀬さん!剣崎さんも付いているし、私も助けます。 だから変な噂に負けないで下さいね!』
優しい言葉に嬉しくなった。
『荒木さん、ありがとう!!』
音羽の言葉に、結も大きく頷き…
『ありがとう!志知の事、思ってくれて。そのついでと言うか… ちょっとお願いがあるんだ! この後、荒木さんは仕事?』
音羽に聞いた。
『ううん 今日は仕事入ってないよ…。お願いって何?』
『そっか! じゃあ、もう少し付き合ってくれる? 実は…パパ活の詳しい話をこれから聞きに行くのよ。もしかしたら、荒木さんに頼る事があるかもしれないし…。』
えっ? 誠との話に付き合わせるの?
『そうなんだ…。うん!付き合う!! 私に手伝える事あるなら、言ってね!』
ええ? いいの?音羽さん。
『志知もいいよね?』
結が私に聞いた。
『う、うん…。』
村上爽絡みだし…
確かに音羽が来てくれた方が良いのかも…?
音羽も巻き込んで 噂の真相を確かめる事になったのです。
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