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3話 wrath of God(神の怒り)
しおりを挟むまた…起きていながら夢の中?
私の体おかしい…
『わわ…志知志知、みんな消えちゃったよ!?やばくない!?』
結が私の腕を強く組んで動揺している
『ゆ…結?』
『うわ、どうして冷静な顔してるの?あ、頭が真っ白て感じ?だよね…これって絶対ヤバいよ!』
どうしてって…私の夢だから?
でも、腕を組まれている感触がしっかりある…
この結は現実?それとも私の妄想か…
ついさっき、結は私が消えたって言ってたけど…それは結の幻覚?
それとも既に夢の中だったのか…
“貴様はヤマタノ…”
スサノオは結を見て言った
『音羽…?』
結が不思議そうにスサノオを見て呟いた
“オロチ!!”
スサノオは叫んだ
そして一瞬で私達の所に近付き、結の組んでる腕を祓い除けて私を担ぎ上げた
『わっ!!』
不意に持ち上げられて、手首に付けてた巾着を落とした
それに構う事なく、スサノオは即座に結から離れた
『痛っ!何するの音羽!?』
結は祓われた腕を痛そうに触りながら聞いた
“惚けるな!!分離しても俺には隠せぬぞ!!”
スサノオは私を担いだまま体制を取った
『ちょ、降ろして降ろして!!』
私はスサノオに大きな声で言った
“ならぬ!!例え八岐の1つでも油断大敵!!”
スサノオは更に強く担いでいる私の腰を締めた
『つっ…八岐の1つ?違う違う、結!私の友達!!』
私はスサノオの肩の上で足をバタつかせて言った
“ユイ?”
スサノオは私をそっと降ろした
でも私の腰を強く抱き寄せた
う、近過ぎ…
でも、やっぱり夢なのに感触があるな…
『今の何?…え?…そこにいるの音羽だよね?』
結は私の落とした巾着を拾い、聞きながら座り込んだ
“それに触れるな!…我に使われし者よ宝隠したる守りを相応しき主の元へ…”
スサノオが言うと巾着は結の手から私の手元に飛んで来た
えー??…凄いな、超能力かな?さすが夢。
これは櫛を入れてる巾着だけど、ここでは宝なの?
『えええええ!?えーーー?』
結は驚いて頭に手を乗せて叫んだ
“クシナ、気を付けろ。ヤツは奇声を上げて残りの蛇を呼んでいる”
『や…驚いているだけだと思う』
スサノオは結をオロチと勘違いしている?
どうしてかなぁ…
『あぁ、これは夢かな…?』
結が離れた所に座り込んだまま何か呟いた
“戯け。夢なものか…。蛇よ、どうやら姫と同じ齋(とき)に生まれ変わりを果たしたな。実に不快、この場にまで現れ……”
途中でスサノオは話すのをやめた
『生まれ変わり?この場?』
私は続きが気になってスサノオに聞いた
“もしやクシナの元に生まれ変わっておるのか?蛇…全てのオロチ達は……”
オロチ達?
『ねぇ…音羽、急に何を怒ってるの?もしかして志知と話してたの聞こえてたのかな…だったら謝るからさ』
結が立ち上がって、私達の方へ話しながら歩み寄って来た
“動くな!!…問いが終わり俺が承知するまでそれ以上進むな!!…我の名の下に狙うは蛇の臭放つ者、天羽々斬(アメノハバキリ)よ!その背後に目を付け給え。 これでお前が動けば剣が刺すだろう!”
鋭い眼光を結に向けてスサノオが大きな声で言った
『なっ…何なのよ、怒り過ぎじゃない?何を怒っているのか教えてよ!ツルギが刺すだの…タマエだの…異世界人かって。』
結は半分怒りながらも、立ち止まった
例え夢でも止めた方がいいよね…
『スサノオ?』
まずは彼がスサノオなのか、確認をした
“如何にも。改めて聞くか?良かろう…建速(タケハヤ)須佐之男命だ”
ん?私の知ってる名前より長い…
『あそこに居る彼女は剣崎結、オロチではないよ。誰かの生まれ変わりかもしれないけど…そうじゃないかもしれない。私と同じただの一般人…そして私の大切な友達だから攻撃しない欲しい…』
どうせ夢なんだから…言葉通じるよね?
“大切なトモ…イッパンジ?”
スサノオが私を見詰めて聞き直した
『うん。なんの力もない普通の弱い女の子だよ』
私は結の方を見ながら答えた
“弱き女… だが!ヤツから7つ首の1つが臭う!”
スサノオはまた私の方を見て強く言った
『7つ首?8個じゃなくて?』
私はスサノオに聞いた
“8個?何を言う。オロチはソウキ、ソウキの体に7つの蛇がいる。忘れてしまったのか?”
忘れたと言うより知らないよ、その話…
『ねー!動いてもいーい?』
結が私達に向かって叫んだ
『そうだった! と、とにかく今はオロチとは関係ないから、結の事を剣で刺すとかやめて!これ以上わかってくれないなら…んー噛みますよ!!』
私は少し怒った口調で言った
噛むか抓るぐらいしか出来ないし…
“か、噛む?…ククク。又もや面白い…そこまで言うか。相わかった、しかし不穏な動きあらばすぐに成敗する…良いな?”
間違いなく本気な目をしてスサノオは言った
『う…うん』
多分大丈夫だろう…
“我の名の下に剣よ房に還り、的にされし女の動を許し給う…”
スサノオが呟くと…突然、どこからか剣が現れた
そしてスサノオの腰元に収まった
『げ!マジで刀!?怖い夢だわ…』
結にも剣が見えた様だ…
『結、動いて大丈夫だよ!』
私は結に向かって言った
『志知がこっち来て?音羽モドキ怖いもん…』
結がスサノオを指差して言った
流石に音羽ではないって、わかったみたいだ
『結の所へ行きたいので、離してもらいたいんだけど…』
私はスサノオの顔を見て言った
でもスサノオは私の腰から手を離してくれない、それどころか力が入って来た…
『あの…?』
もう1度声をかけた
“ぶ…無礼者が……”
気のせいか、スサノオはとても怒っている様に見えた
『無礼者?』
私はスサノオに聞いた
“この無礼者が!!!!神の俺に指を挿すとは!!!!許せぬ、許せぬが…姫に噛まれる故に… 此の時は貴様を向こうに飛ばし、それで我慢してやる!!だが無礼は必ず貴様を罰するだろう!!”
スサノオは鼓膜が破れそうなぐらい大きな声を出し、私を結の方に飛ばして着物の袖を振り回した
物凄い突風が吹き、私も結も吹っ飛んだ
『きゃあーーー!!』
『うわーーー!!』
勢い良く飛ばされて、私達は壁らしき所にぶつかった
『痛っーー!!』
『うっっ!!』
私達は尻餅をついた様な体制に…
『きゃっ!!だ、大丈夫?』
目の前にいる音羽が驚いて言った
えっ…?
『…ごめん、そんなにびっくりした?』
ぶつかったのは玄関にある長方形の棚?
そしてツインテールの音羽が立っている…
夢を見る前と変わらない状況だ
『音羽?』
私は確認する様に聞いた
『うん。本当ごめんね、ひっくり返る程驚くなんて… ぷッ…ふふふ』
笑いが込み上げてきたのか、音羽が謝りながら吹き出した
『ふふふ…じゃないよ!音羽が吹っ飛ばしたんでしょっ!?』
結が言いながら立ち上がった
『私?吹っ飛ばしてはいないけど…』
結の言葉に音羽は戸惑っている…
『だって音羽モドキが… あっれ?服…これは音羽?モドキも音羽…?』
結も音羽の姿を見て困惑…
音羽は3組のクラスTシャツに自前のジャージ上下を着ていた
『笑い事じゃないよね、驚かせてごめんね。悪気はなかったの…気を付けるね』
音羽は困った顔をして謝った
『あ…ううん。』
謝られて、結も困った顔をした
『結、大丈夫?』
私も立ち上がって結に聞いた
『ん… なんか飛んでたっぽい』
結は答えた後、周りを見渡した
飛んだ?
『どこに?』
音羽も結に聞いた
『ううん…何でもない。ごめんね音羽、変な事言って…』
結は音羽の顔を見詰めて答えた
もしかして…私の夢の中に居たのは本物の結?
『全然いいんだけど…本当は何かあった?2人とも驚き過ぎだし…』
音羽が心配そうな顔をして私達に聞いた
『大丈夫だよ!びっくりしただけ。それより学祭回ろう?今日は明日より早く終わるからさ』
結は音羽に笑顔で言った
『本当に大丈夫なの…?』
音羽は私達の顔を交互に見た
『うん、大丈夫大丈夫!行こう!』
結は明るく言って歩き出そうとしたが、振ら付いた…
『結?』
私は結の手を掴んだ
『ありがとう、貧血かなぁ…視界が薄暗くて何か変。まだ目が覚めていない感じ…』
そう言って私の手に掴まれたまま座り込んだ
『大丈夫…?保健室行って少し休む?』
私も隣に座り、結に聞いた
『うん…』
結は返事をしたが、私に抱きついて寝てしまった…
『ゆ、結!?…重っ、ここで寝ないで?』
力が抜けた結の全体重が私に掛かった
片方の膝を床に付いて、何とか耐えた…
『あ、大丈夫??』
咄嗟に音羽も座り込んで、一緒に結を支えてくれた
寝息が聞こえるから気を失った訳ではないみたいだけど…
こんな急に寝れるものかな?
と、とにかくどうしよ…
『結!ゆーい!!本当に寝たの?』
音羽が結の顔を軽く叩いて声を掛けたが、起きない…
周りにいる人達も私達を見て集まってきた
『長瀬さん?』
その中から私を呼ぶ声がした
『…岸田君』
クラスの副委員長、岸田良牙君が近寄ってきた
『剣崎さん、どうしたの?貧血?』
『なんかね、寝ちゃったの。保健室に行こうとしてたけど起きなくて…』
岸田君に簡単に話した
『起きないの?それはマズくないかな…。僕、保健室に剣崎さん運ぶよ…背中に乗せてくれる?』
岸田君は私達の前にしゃがんだ
『う、うん』
私は返事をして音羽と2人で結を岸田君の背中に乗せた
『う…うーん』
結は岸田君の背中に移った時、声を出したがやはり起きない
『…よっと』
岸田君は軽々と結を背負い立ちあがった
『大丈夫?』
岸田君に音羽が聞いた
『うん。荒木さんと長瀬さんも保健室に付いて来てね』
岸田君は歩き出しながら言った
『勿論。ありがとう岸田君』
私は巾着2つを持って、岸田君の後ろに続いた
『あ…私は職員室に居る先生に伝えてくるね、一応家に連絡してもらった方が良くない?』
音羽が私の後ろで言った
『そうだね…荒木さんお願いします。』
岸田君は1度立ち止まって言った
『うん!伝えたら私も保健室に行くね』
そう言うと岸田君を追い越して、音羽は急いで居なくなった
『あ、家になら保健室の先生が連絡してくれるよ…』
音羽に向かって言ったが、相変わらず素早くて姿はもう見えなかった
『そうなの?』
岸田君が私に聞いた
『うん、私が倒れた時もそうだったから…』
『…そう。とりあえず、剣崎さん運ぼう』
『うん。』
私は岸田君の隣について歩いた
特に何も話さず保健室に向かって歩き出した
保健室は玄関と同じ階にあるし、差程遠くない
それに岸田君の腕力なら結を運ぶぐらい平気だろう
『変な事、聞いてもいいかな…』
無言だった岸田君が聞いて来た
『変な事?』
『うん。やっぱり剣崎さんて村上君の事が好きなのかな…』
少しうつ向きながら呟く様に言った
『え…?』
『ごめん、本人に聞けなくて…』
もしかして岸田君…
『…結の気持ちだから、私からは言えないよ。』
私も小声で答えた
『そっか…。うん、ごめんね』
岸田君は顔を上げた
『ううん…』
岸田君、結の事が好きなのかも…
『一応…誤解しないで欲しいんだけどね、長瀬さんもあまり村上君に近付かない方がいいと思うんだ』
岸田君が私の顔を見て言った
『どうして?』
『ん… ごめん、何となく。』
『あ…うん。そっか…』
良くわからないが、それ以上聞けなかった
保健室に着いてノックをした
応答がないのでドアを開けると誰も居なかった
鍵も開いていたから、先生はトイレにでも行ってるのだろうか…
『先生、居ないね?とりあえずベッドに寝かせなきゃ…手伝ってくれる?』
岸田君は中に入り、ベッド横のカーテンを片手で開けて言った
『うん、わかった。鍵も掛けてないからすぐ戻ってくるよね?』
私も中に入って岸田君の反対側にまわり、ベッドの上に座って結を受け取る用意をして聞いた
『そうだね。 …よいっしょっ』
岸田君がゆっくりベッドに座ったので、私は結を受け止めて横に寝かせた
いくら結が痩せていても、力が抜けているとこんなに重く感じるんだな…
『んー……』
急に結が大きく寝返りをした
『わわ…』
まだベッドの上にいた私はバランスを崩した
『おっと』
ベッドから落ちそうになった私の両腕を岸田君が掴んでくれて、落ちずに済んだ
『あ…ありがとう』
『うん…』
寝ている結を挟んで、私の腕を掴んだまま動かない岸田君…
『岸田君?』
『あ…のさ……』
岸田君が何か言おうとしている?
『志知、2組の先生居たから伝えてきたよ!後ね山寺君が岸田君…探して…て』
開けっ放しにしてたドアから音羽が入って来た
『良牙!玄関で待ってるって…お、お前達…何してる?』
音羽の後ろから雪弥も入って来た
『いや…何も。』
岸田君は私の腕を離して雪弥に答えた
『私がベッドから落ちそうになったから、掴まえてくれたの』
私はベッドを降りて、結の靴を脱がせて布団を掛けながら説明した
『あーそうなんだ!良かったね志知、落ちなくて』
音羽が安心した様に言った
『そか…告白でもしてるかと思ったけど。』
雪弥は入口に立ったまま岸田君を見て言った
『雪弥…僕は友達の好きな人に告白なんてしないよ、それに…』
岸田君は雪弥に近付いて静かに言った
『ばっ…!良牙!!』
雪弥が慌てて、岸田君が話しているのを止めた
友達の好きな人…?
『あら、何かあった?』
保健室の先生が戻って来て、雪弥に声を掛けた
『俺は良くわからない…』
雪弥は音羽を見ながら答えた
『あ…先生。友達が突然、気を失うように寝てしまって起きないんです』
音羽が雪弥の目線に気付いて答えた
『全然起きないの?』
音羽の話を聞いて、先生は結の元へ駆け寄った
『話している最中に寝ちゃって…顔とか叩いても起きないんです』
結の近くに来た先生に私は話した
『そうか…』
先生は私に頷くと結の脈を測り出した
みんながそれを見てる所に、担任の先生が保健室に入って来た
『お。山寺と岸田、剣崎は?』
担任は雪弥達に聞いた
『今、ベッドに寝てます』
岸田君が答えた
それを聞いて担任が結の所に来た
『剣崎!剣崎!…先生、どうですか?』
結に声を掛けてから、担任は保健の先生に尋ねた
『脈も落ち着いてるし…普通に寝ている感じなんだけど、目覚めないのはおかしいです。寝てる振りもしてないんですよ…』
保健の先生は結の瞼をそっと開けて、医療用ペンライトをあてた
その様子を見て担任は…
『どういう事なんだ…?とりあえず家に連絡しましたらご両親が迎えに来るそうです』
『そうですか…様子が変わらなければご両親が来てから病院に連絡するか、考えますか。…普通に目覚めてくれれば良いのだけど』
保健の先生は、結の首元を熱を確かめる様に触って答えた
『先生、結…ヤバいの?』
音羽がベッドの側に来て聞いた
『多分大丈夫よ。後は先生達が見てるから学祭に戻りなさい』
保健の先生は優しく微笑んで答えた
『でも…』
音羽が心配そうに結を見て呟いた
『大丈夫だ、心配するな荒木。お前達がここにいても他の邪魔になるからな。学祭、行って来い?最後なんだからな!』
担任も音羽に優しく声を掛けた
『あの…何かあったら呼んで下さい、結の事よろしくお願いします。』
私は音羽の手を握り、2人の先生に言った
『志知…』
『行こ、音羽。先生達にお願いしよ?』
『う、うん…わかった。先生、お願いします。』
音羽は頭を下げた
そして音羽の手を引いて、入口にいる雪弥達の所へ行った
『先生、頼むね!』
雪弥が担任に向かって言った
『ああ。』
担任は手を上げて答えた
それから私達は保健室を出た
担任が言う通り、保健室に居ても何も出来ない…
『結…起きると良いね』
音羽が保健室を出てすぐ言った
『うん。眠りが深すぎるのかな?こんな事あるんだね…』
私は歩きながら話した
『な…?明日も結が起きなかったら劇のクシナダヒメどうなるんだ?』
雪弥が私の後ろから聞いて来た
どうなる…って?
『そうなったら長瀬さんがフルで演るしかないよ』
岸田君がサラッと言った
『えっ!?』
『そうなるよなぁ…』
『ええっ!?』
『志知、一応セリフに目を通さないとね』
音羽が笑顔で言った
うそーーーーっ
『ゆ、結!結を起こして来る!!』
私は振り向いて保健室に戻ろうとした
『待て待て!志知が保健室出よう、みたいな言い方したんだぞ?それに普通に寝てるだけなら、とっくに起きてるだろ…』
雪弥に止められた…
確かにそうだけど…
『どーーしょう……全部セリフなんて覚えれないし、体力ないし…ううう』
声に出して私は嘆いた
『練習、付き合うよ?演るしかない。』
何故か意欲的に音羽が言った
『まだわからないけどな…準備しておいた方がいいよな?俺も付き合うよ練習。』
雪弥が私の前に来て言った
『う…ん。』
泣きそう…
『所で剣崎さんって急に倒れて寝ちゃったの?僕…剣崎さん運ぶ時、実は動揺してたみたいで長瀬さんの話覚えてないんだ…ごめんね』
岸田君は結の事を聞いてから、少し首を傾けて謝った
『ううん、大丈夫だよ。誰だって動揺するよ… 結ね、普通に話していたけど「まだ目が覚めていない感じ」って言ってそのまま寝ちゃったの』
私はうつ向いて答えた
『そうなんだ…どうしたのかな。不思議だね?』
岸田君は私に頷いて、雪弥の方を見て聞いた
『ん…そうだな。結、夢魔にでも取り憑かれたか?』
雪弥が岸田君に返事をしてから、立ち止まって言った
『むま?』
私は聞き直した
『夢魔は子供とかを連れ去る為に、魔法をかけて眠らせる妖怪じゃなかった?』
音羽が答えた
『あ…ザントマン?』
岸田君が人指し指を立てて言った
『それは精霊!』
音羽も指を立てて岸田君の真似をした
…知らないわ…そんな話。
『まー子供みたいなモンだろ結は。神様に罰当たりな事でも言ったんじゃないのか…?本当ガキだからな。』
雪弥は結の悪口を言いながら、心配そうに保健室の方を見た
罰当たりか…
『そんな非現実的な事ある訳ないよ…』
岸田君が指を立てたまま雪弥に言った
指、立てたままだよ岸田君……
“…無礼は必ず貴様を罰するだろう”
『うわーー!!』
指に気を取られてる時…スサノオの言っていた言葉を思い出した私は、思わず大声を出した
『…なっ!?なんだ?志知?』
『び…びっくりしたぁ…』
『どうしたの長瀬さん?突然…』
3人は驚いて私を見た
『いや…あの……』
結はスサノオを指差した罰を受けているの?
いや、あれは私の夢…夢の話でしょ?
でもでも…夢じゃなかったら?
スサノオに許してもらうまで、結は目覚めない?
『わーーー!』
気が動転して、また叫んだ
『だから何なんだ?』
『長瀬さん?』
『志知、落ち着いて?』
3人は私を見て困っている…
話したいけど話せない…
バカだって笑われるだけだ
『…ごめん、忘れ物を思い出しただけ。』
目をキョロキョロさせながら答えた
『志知…お前、何か隠してる時キョロキョロするよな?』
雪弥が私に顔を近付けて聞いた
『…うっ』
付き合い長いのは考えものだ…
『隠していないよ!忘れ物した物を言いたくないだけだから』
雪弥から目を逸らして答えた
『それは隠してるって事じゃね?』
更に顔を覗き込んで雪弥は聞いた
『山寺君、女の子には言いたくない事あるんだよ?』
音羽が私と雪弥の間に入って言った
『あう… わ、わかったわかった』
雪弥は音羽に言われて、渋々私から離れた
『とりあえず、2組で練習しよう。僕も付き合うね、シナリオも覚えてるし。』
岸田君が本題に戻してくれた
全部覚えてるの?
…すご。
『じゃあ行こうか。先に忘れ物取りに行く?』
音羽が私に聞いた
『ううん…後で取りに行くよ。音羽、学祭見に行かなくて良いの?見てからでも…』
音羽に悪いな…
『明日もあるから大丈夫だよ!気にしないで?ありがとう。』
音羽は笑顔で答えてくれた
『私こそ…』
『早く行こう!私…お芝居って大好き。どんな形でもワクワクするの!次の映画もスサノオ関係だし、こうやって携わるのも縁なんだって思うよ?だから本当に気にしないでね!』
申し訳なさそうにしてる私の腕を組んで音羽は言った
いつも音羽は笑顔で優しい…
今だって、私に気を使ってくれてるんだ…
気を使わせてばかりじゃダメだ
私自身、萎えてる場合じゃない
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『志知!山寺君達、行っちゃったよ!』
私を呼ぶ音羽は、いつの間にか私の腕から離れていた
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“健速須佐之男命だ”
凄く速いって意味なのかな…
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もし 音羽がスサノオの生まれ変わりだったら…結を助けてくれるだろうか
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