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40.ウィルバートの焦り
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「ところで父上、アリスはこちらに来ていませんか?」
いつもとは違い、内装工事の者達で書庫は人の出入りが多い。その中をくまなく見渡してもアリスの姿は確認できなかった。
「あぁ、アリスなら今王宮にはいないよ」
「王宮にいない? 街にでも行ったんですか?」
わたしの質問に、父は少し言いにくそうな顔をした。
「いや……アリスは少し前からバトラー邸に滞在していて……」
「バトラー邸に!?」
思いもよらぬ返答に思わず声が大きくなってしまった。響き渡ったわたしの声に職人達が何事かと視線を投げかけてくる。これではわたしの評判が悪くなってしまう。落ちつきをとり戻すようにコホンと一つ咳払いをした。
「アリスがバトラー邸に滞在とは、一体どういうことでしょうか?」
「それがな……」
わたしのいない間に起こった出来事を、父が淡々とした口調で話していく。
「……っというわけなんだよ」
「つまり……母上が読んでいた推理小説の犯人を父上がバラしてしまい、怒った母上がアリスを連れて出て行ったということですか?」
「まぁそういうことだな」
父が何度も首を縦にふった。
く、くだらない。くだらなすぎて話にならない……
我が両親ながら、よくもまぁそんなくだらないことでケンカができたものだ。小説の結末を先に知るということは確かにがっかりすることもあるが、面白い小説というものはたとえ結末が分かっていても面白いものだ。そんなくだらない争いにわたしのアリスを巻き込まないでもらいたい。
「それでこの書庫を、母上の好きな内装に変えたのですね」
なるほど、母の好きそうなシャンデリアや重厚感のあるテーブルなどを揃えて母の機嫌をとろうというわけだ。
「メイシーも書庫の改装を楽しみにしていたからね。これならメイシーの機嫌もなおるに違いないな」
再び天井を見上げ、にんまりと笑った父を見て、大きくため息をついた。
「……アリスを迎えに行ってきます」
くるりと背を向けたわたしの耳に父の声が届く。
「そんなに焦って迎えにいかなくても心配いらないよ。アリスの侍女とエドワードをバトラーの屋敷に送り込んでいるからね」
アリスの侍女というのはアナベルのことだろう。それなら安心だ。だがそれよりも気になるのは……
「今エドワードを送り込んだとおっしゃいましたか?」
振り向いた私に父は大きく頷いた。
「ああ、そう言ったよ」
「エドワードとは……まさかあのエドワードのことでしょうか?」
「お前の言うエドワードが誰のことかは分からないが、わたしが送り込んだのは、我が王宮騎士団団長のエドワードだよ」
エドワード違いであってほしいと願っていたが、やはりあのエドワードなのか!! エドワードだけはアリスに近づけたくはなかった。
そう、エドワードこそ、わたしが絶対に敵わないであろう人物二人の内の一人だ。
エドワード バトラー……この国の歴代騎士団長の中で、最も若く、最も美しい男だ。
剣の腕は凄まじく、精鋭揃いの騎士団の中でも並ぶ者はいない。それだけではなく、知的な面でもすぐれており、団長として各隊をまとめあげる手腕は見事である。それゆえに多くの騎士から絶大なる信頼と尊敬を勝ち取っている。
それだけでも稀な事だが、エドワードは女性からの人気も高い。その容姿の美しさは、一目で多くの令嬢の心をも掴んでしまう。常に冷静沈着であまり笑わない男だが、紳士的な振る舞いは、わたしすら見惚れてしまうほどスマートである。
エドワードは王宮にいても、今は夜会の警備計画で忙しく、アリスに出会うことはないだろうと思っていた。だから私の留守中、アーノルドだけ近づかせなければ大丈夫だと思っていたのだ。
「女ってのは、ちょっと会えない日が続いただけで身近な男にすぐ乗り替えるような薄情な生き物なんだよ」
不意にアーノルドの言葉が思い出される。
まさかアーノルドよりも要注意人物のエドワードがアリスの側にいるなんて。それこそ急いでアリスを迎えにいかなければ。
「殿下、どちらへ行かれるんですか?」
口うるさく言われるのが嫌でこっそり出ていこうと思っていたのだが、やはりルーカスは簡単には見逃してくれない。
「どこへって、アリスの所に決まっているだろう」
「その前に終わらせていただきたい案件が複数ありますが……」
「分かっている。すぐに戻るよ」
ルーカスの呼び声を半ば無視するようにして王宮を出る。ルーカスの怒りが爆発することを考えると憂鬱だが、それでもアリスにもうすぐ会える喜びから足取りは軽い。
「まぁ、ウィルバート! 一体どうしたんです?」
連絡もせず突然現れたわたしを見て、バトラー夫人と母は驚いた顔を見せた。
「こちらにアリスがいると聞いて、迎えに来たんですよ」
「そうですか……まぁいいわ、とりあえずお座りなさい」
「ウィルバート様にお茶のご用意を」
夫人と母が座っているテーブルにつくよう促される。
「いえ。先にアリスに会わせていただきたい。彼女はどこです?」
こんな時に大人しく座ってお茶を飲む気になんてなりはしない。
「ウィルバート、早くお座りなさい。アリスちゃんはすぐに呼んできますから」
母が側に控えていたメイドに声をかけた。本当はこのメイドについてアリスの所へ行きたいが、大人しく席につくことにした。母の口調からして、逆らうと後がめんどくさくなりそうな気がしたからだ。仕方なく出された紅茶に口をつける。
「ところでウィルバート、ロバートは何か言っていましたか?」
母が何かを期待するような目でわたしを見た。わたしが父に頼まれてここへ来たと思っているのかもしれない。
実の所、父からは特に何も言われてない。けれど馬鹿正直にそう答えたら母はまたへそを曲げてしまうだろう。
「父上は書庫の改装をされていましたよ」
「書庫を?」
想像外の返答だったのだろう。母はキョトンとした顔で私を見た。
「えぇ。母上と一緒に読書をするためみたいですね。母上の好きそうな家具と、素敵なシャンデリアが取り付けられていました」
「まぁ」っという嬉しそうな声が母の口から漏れたが、「そんなものでわたくしの機嫌がなおると思わないでもらいたいわ」と緩む顔をぷいっとそむけた。
それでもどのような内装なのかと細かく聞いてくるあたり、新しい書庫に興味津々なのだろう。それならば、もうさっさと帰ればいいのに。けれど母上のことだ。下手なことを言ってしまえば、ムキになり意地でも王宮に帰らないだろう。
母が自分から王宮に帰ると言い出すには、どのように誘導するべきか……考えを巡らせるわたしの目にアリスの姿がうつる。
「……っ」
声をかけようとして言葉に詰まった。
どうしてエドワードと一緒なんだ?
並んで歩く二人の姿を見て胸がざわつく。
「ウィル……バート様、お帰りになられたんですね」
アリスがわたしを見て軽く笑った。その嬉しそうな顔を見て、なんだかほっとする。
人前ではわたしのことをウィルバート様と呼ぶアリスが、ついウィルと言ってしまいそうになって焦る姿は何とも言えず可愛らしい。
「アリス、久しぶりだね。元気にしてたかい?」
「アリス様は、元気すぎるくらいお元気でしたよ」
アリスが返事をする前にエドワードがそう答え、ぽんっとアリスの肩に手を置いた。
「元気すぎるって、どういう意味ですか?」
「どうって、そのままの意味ですよ。なんたってあの頭突きは強烈でしたからね」
「あれはエドワード様が悪いんですよ」
アリスがぷうっと頬を膨らませる。
頭突き?
二人の会話の内容が分からなくて戸惑ってしまう。本当は根掘り葉掘り聞きたい所だが、さすがに母やデンバー夫人、何よりエドワードの前で余裕のない姿は晒したくない。
エドワードの事なんて、気にするな、気にするな!! 自分に言い聞かせ、何とかいつも通りの笑顔を作り上げる。
「何だか楽しそうな話だね。頭突きって何のことだい?」
「それは……」
アリスがエドワードをチラッと見た。
「秘密ですよ」
エドワードがそう言って軽く口元を緩めた。
はぁ? 秘密って何だ、秘密って。誰がわたしのアリスと秘密の共有をしていいなんて許可したよ?
顔が引き攣りそうなのを必死で堪え、いつもの王太子スマイルを維持する。
「あらあら、すっかり仲良くなって……」
「本当に。こんな楽しそうなエドワードを見るのは珍しいわね」
母とバトラー夫人の言葉に、エドワードが柔らかな笑顔を作った。こんな笑い方をするエドワードを見るのは初めてかもしれない。
言葉を失うわたしの事などお構いなしに、母とバトラー夫人がさらに気になる発言を投下した。
「アリスちゃんの方もエドワードに触られても固まってないみたいね」
「男慣れのレッスンの効果でしょうね」
母とバトラー夫人が顔を見合わせて楽しそうに、おほほほっと笑う。
いやいや、おほほほっじゃないだろう。男慣れのレッスンって何だそれ?
いつもとは違い、内装工事の者達で書庫は人の出入りが多い。その中をくまなく見渡してもアリスの姿は確認できなかった。
「あぁ、アリスなら今王宮にはいないよ」
「王宮にいない? 街にでも行ったんですか?」
わたしの質問に、父は少し言いにくそうな顔をした。
「いや……アリスは少し前からバトラー邸に滞在していて……」
「バトラー邸に!?」
思いもよらぬ返答に思わず声が大きくなってしまった。響き渡ったわたしの声に職人達が何事かと視線を投げかけてくる。これではわたしの評判が悪くなってしまう。落ちつきをとり戻すようにコホンと一つ咳払いをした。
「アリスがバトラー邸に滞在とは、一体どういうことでしょうか?」
「それがな……」
わたしのいない間に起こった出来事を、父が淡々とした口調で話していく。
「……っというわけなんだよ」
「つまり……母上が読んでいた推理小説の犯人を父上がバラしてしまい、怒った母上がアリスを連れて出て行ったということですか?」
「まぁそういうことだな」
父が何度も首を縦にふった。
く、くだらない。くだらなすぎて話にならない……
我が両親ながら、よくもまぁそんなくだらないことでケンカができたものだ。小説の結末を先に知るということは確かにがっかりすることもあるが、面白い小説というものはたとえ結末が分かっていても面白いものだ。そんなくだらない争いにわたしのアリスを巻き込まないでもらいたい。
「それでこの書庫を、母上の好きな内装に変えたのですね」
なるほど、母の好きそうなシャンデリアや重厚感のあるテーブルなどを揃えて母の機嫌をとろうというわけだ。
「メイシーも書庫の改装を楽しみにしていたからね。これならメイシーの機嫌もなおるに違いないな」
再び天井を見上げ、にんまりと笑った父を見て、大きくため息をついた。
「……アリスを迎えに行ってきます」
くるりと背を向けたわたしの耳に父の声が届く。
「そんなに焦って迎えにいかなくても心配いらないよ。アリスの侍女とエドワードをバトラーの屋敷に送り込んでいるからね」
アリスの侍女というのはアナベルのことだろう。それなら安心だ。だがそれよりも気になるのは……
「今エドワードを送り込んだとおっしゃいましたか?」
振り向いた私に父は大きく頷いた。
「ああ、そう言ったよ」
「エドワードとは……まさかあのエドワードのことでしょうか?」
「お前の言うエドワードが誰のことかは分からないが、わたしが送り込んだのは、我が王宮騎士団団長のエドワードだよ」
エドワード違いであってほしいと願っていたが、やはりあのエドワードなのか!! エドワードだけはアリスに近づけたくはなかった。
そう、エドワードこそ、わたしが絶対に敵わないであろう人物二人の内の一人だ。
エドワード バトラー……この国の歴代騎士団長の中で、最も若く、最も美しい男だ。
剣の腕は凄まじく、精鋭揃いの騎士団の中でも並ぶ者はいない。それだけではなく、知的な面でもすぐれており、団長として各隊をまとめあげる手腕は見事である。それゆえに多くの騎士から絶大なる信頼と尊敬を勝ち取っている。
それだけでも稀な事だが、エドワードは女性からの人気も高い。その容姿の美しさは、一目で多くの令嬢の心をも掴んでしまう。常に冷静沈着であまり笑わない男だが、紳士的な振る舞いは、わたしすら見惚れてしまうほどスマートである。
エドワードは王宮にいても、今は夜会の警備計画で忙しく、アリスに出会うことはないだろうと思っていた。だから私の留守中、アーノルドだけ近づかせなければ大丈夫だと思っていたのだ。
「女ってのは、ちょっと会えない日が続いただけで身近な男にすぐ乗り替えるような薄情な生き物なんだよ」
不意にアーノルドの言葉が思い出される。
まさかアーノルドよりも要注意人物のエドワードがアリスの側にいるなんて。それこそ急いでアリスを迎えにいかなければ。
「殿下、どちらへ行かれるんですか?」
口うるさく言われるのが嫌でこっそり出ていこうと思っていたのだが、やはりルーカスは簡単には見逃してくれない。
「どこへって、アリスの所に決まっているだろう」
「その前に終わらせていただきたい案件が複数ありますが……」
「分かっている。すぐに戻るよ」
ルーカスの呼び声を半ば無視するようにして王宮を出る。ルーカスの怒りが爆発することを考えると憂鬱だが、それでもアリスにもうすぐ会える喜びから足取りは軽い。
「まぁ、ウィルバート! 一体どうしたんです?」
連絡もせず突然現れたわたしを見て、バトラー夫人と母は驚いた顔を見せた。
「こちらにアリスがいると聞いて、迎えに来たんですよ」
「そうですか……まぁいいわ、とりあえずお座りなさい」
「ウィルバート様にお茶のご用意を」
夫人と母が座っているテーブルにつくよう促される。
「いえ。先にアリスに会わせていただきたい。彼女はどこです?」
こんな時に大人しく座ってお茶を飲む気になんてなりはしない。
「ウィルバート、早くお座りなさい。アリスちゃんはすぐに呼んできますから」
母が側に控えていたメイドに声をかけた。本当はこのメイドについてアリスの所へ行きたいが、大人しく席につくことにした。母の口調からして、逆らうと後がめんどくさくなりそうな気がしたからだ。仕方なく出された紅茶に口をつける。
「ところでウィルバート、ロバートは何か言っていましたか?」
母が何かを期待するような目でわたしを見た。わたしが父に頼まれてここへ来たと思っているのかもしれない。
実の所、父からは特に何も言われてない。けれど馬鹿正直にそう答えたら母はまたへそを曲げてしまうだろう。
「父上は書庫の改装をされていましたよ」
「書庫を?」
想像外の返答だったのだろう。母はキョトンとした顔で私を見た。
「えぇ。母上と一緒に読書をするためみたいですね。母上の好きそうな家具と、素敵なシャンデリアが取り付けられていました」
「まぁ」っという嬉しそうな声が母の口から漏れたが、「そんなものでわたくしの機嫌がなおると思わないでもらいたいわ」と緩む顔をぷいっとそむけた。
それでもどのような内装なのかと細かく聞いてくるあたり、新しい書庫に興味津々なのだろう。それならば、もうさっさと帰ればいいのに。けれど母上のことだ。下手なことを言ってしまえば、ムキになり意地でも王宮に帰らないだろう。
母が自分から王宮に帰ると言い出すには、どのように誘導するべきか……考えを巡らせるわたしの目にアリスの姿がうつる。
「……っ」
声をかけようとして言葉に詰まった。
どうしてエドワードと一緒なんだ?
並んで歩く二人の姿を見て胸がざわつく。
「ウィル……バート様、お帰りになられたんですね」
アリスがわたしを見て軽く笑った。その嬉しそうな顔を見て、なんだかほっとする。
人前ではわたしのことをウィルバート様と呼ぶアリスが、ついウィルと言ってしまいそうになって焦る姿は何とも言えず可愛らしい。
「アリス、久しぶりだね。元気にしてたかい?」
「アリス様は、元気すぎるくらいお元気でしたよ」
アリスが返事をする前にエドワードがそう答え、ぽんっとアリスの肩に手を置いた。
「元気すぎるって、どういう意味ですか?」
「どうって、そのままの意味ですよ。なんたってあの頭突きは強烈でしたからね」
「あれはエドワード様が悪いんですよ」
アリスがぷうっと頬を膨らませる。
頭突き?
二人の会話の内容が分からなくて戸惑ってしまう。本当は根掘り葉掘り聞きたい所だが、さすがに母やデンバー夫人、何よりエドワードの前で余裕のない姿は晒したくない。
エドワードの事なんて、気にするな、気にするな!! 自分に言い聞かせ、何とかいつも通りの笑顔を作り上げる。
「何だか楽しそうな話だね。頭突きって何のことだい?」
「それは……」
アリスがエドワードをチラッと見た。
「秘密ですよ」
エドワードがそう言って軽く口元を緩めた。
はぁ? 秘密って何だ、秘密って。誰がわたしのアリスと秘密の共有をしていいなんて許可したよ?
顔が引き攣りそうなのを必死で堪え、いつもの王太子スマイルを維持する。
「あらあら、すっかり仲良くなって……」
「本当に。こんな楽しそうなエドワードを見るのは珍しいわね」
母とバトラー夫人の言葉に、エドワードが柔らかな笑顔を作った。こんな笑い方をするエドワードを見るのは初めてかもしれない。
言葉を失うわたしの事などお構いなしに、母とバトラー夫人がさらに気になる発言を投下した。
「アリスちゃんの方もエドワードに触られても固まってないみたいね」
「男慣れのレッスンの効果でしょうね」
母とバトラー夫人が顔を見合わせて楽しそうに、おほほほっと笑う。
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