白いワンコ系αなのに運命の番は、虐待されてる優秀すぎるΩで、なかなか溺愛させてもらえません

モスマンの娘

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9月

124.同室者

『だれ?すいません、一人だと思ってたから…うるさかったでしょ?
あなたも牙狼だね、捕まったの?こんな町中であなたみたいな狼型の牙狼は目立つでしょ?』

『あぁ……、もう年老いて死ぬのを待つだけの老牙狼じゃよ?
お前さんは若いのに可哀想にのう
なんじゃ?人間に逆らったか?暴れでもしたか?』


暗い部屋の隅に毛布をかぶった牙狼が伏していた。
この部屋の糞尿とこびりついたような血の匂いの中じゃ、僕の優秀な鼻でも気づかなかった。


『人間を好きになったんだよ、それでここに送られた。
逆らってないし、暴れてもいない
ただ好きになって、愛し合っただけだよ』

『ははっ!そりゃエライ大罪を犯したな……
それで少しでも、番えたか?』


僕は小さく首を振ると、老牙狼はため息をついて……可哀想になぁっとポツリと呟いて、部屋は静寂に包まれた。


『俺はなぁ…冒険者に番を殺されたんだよ
もうババァ牙狼で、足腰も弱ってるような状態だった。
俺が飯を狩っている間にやられちまってな……もうババァだったから、ろくな魔石が出なかったのか
腹を立てたのか、ぐちゃぐちゃに蹴り潰されててな……』


老牙狼さんがポツリポツリっと呟き出した。思い出話をするように


『本当に綺麗な牙狼だったんだよ…、昔は黒い毛が多いって気にしてて
年取ったら白髪が増えたって気にしてたなぁ…笑っちまうだろ?
ババァになっても毎日毛づくろいして、俺のはいいって言うのに次いでだって毎日してきてなぁ……』


優しい声で泣きたくなるような優しい声で


『なのにあんな…酷い姿にされちまって……
許せなかったんだよ!だからせめて冒険者見つけて、噛み殺そうと思ったんだけどなぁ
情けないことに鼻がもう…そこまで効かなくてなぁ
必死に臭いを探して、うろうろしてたら人間の生活圏に来てた……、情けない老牙狼だよ』

『それだけ?おじいさんがやったことは、生活圏に入っただけなの?』

『あぁ…それだけだ、地面に鼻をこすり付けてウロウロしてたんだ
そしたら取り囲まれて、あぁ…でもその時に暴れちまったなぁ
はぁ…あと少しで番と一緒に幸せな最後になるはずだったんだがなぁ』


僕は立ち上がって老牙狼さんに近づいていく、老牙狼さんが頭を上げるけどそれ以上は動かない
近づくと糞尿と血の臭いが強くなる
きっともう動けないんだ


『怪我してますね?
取り押さえられたときにやられたの?
よかったらですが、治療してもいいですか?僕も話し相手が欲しいんです。』

『治療できるのか?やっぱり人型は違うねぇ…
もうすぐ死んじまう身だが…、話し相手くらいなら喜んでするよ
ははっ、もうこのまま寂しく死ぬと思ってたが……、こりゃ楽しい時間になりそうだよ』


僕は清浄魔法をかけて老牙狼さんの体や周りを綺麗にすると、体に回復魔法をかけていった。
肋も腰も足も折れていた。ガリガリに痩せ細ったバサバサの毛、こんな老牙狼にどうしてこんなひどい暴力が必要だったのか……、理解ができなかった。
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