太陽と月の禁断

東 万里央(あずま まりお)

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第2部

04.炎天と邂逅(4)

 その夜僕はホテルのベッドで横になりながら、今日得た3つのキーワードを反芻していた。

――結局、あれから瑠奈は戻ってこなかった。

「病院」「容体」「急変」――看護師が直接呼び出しに来る。つまりは身近な人物が重篤な病気になり、入院しているとしか考えられない。瑠奈のあの様子から推察すれば、一時期は持ち直したが、また危篤になったのだろう。そして、彼女に家族は現在たった1人しかいないはずだった。

「……は、馬鹿な」

 僕は額を覆った。

 あの殺しても死なないような、むしろ人の命を食らう悪魔が、入院なんてするはずがないじゃないか。とは言え、世の中は何が起こるのか分からない。一寸先は闇などと言う諺もある。

 誰か瑠奈の事情を知る人物はいないだろうか。

 僕はむくりと起き上がると、枕元に置いたスマートフォンを手に取った。プライベートのアドレス帳を呼び出す。

――そう、松本さんなら知っているかもしれない。



*



 松本さんは僕と瑠奈が高校で天文部にいた頃、副部長を担当していた1つ年下の子だ。世話好きな性格でもあり、瑠奈をよく可愛がっていた。僕が瑠奈と別れてからは連絡が途絶え、年賀状やメッセージを送っても返事が来なくなっていた。不義理な性格の子ではなかったので、なぜなのかと不思議に思ってはいたのだ。

 今回もメッセージを無視されるかもしれないと思ったが、何度かに分け事情とこちらに帰郷している旨を説明する。すると、「明日の夕方なら空いています」との返事と、待ち合わせ場所がリンクに貼られていた。なんとドレスコードまで指定されていたのである。
感想 3

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