デルモニア紀行

富浦伝十郎

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ゲルブ平原

豹との遭遇

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 回収アイテムは”牙”にした。
太陽が地平線に近付いて来ている。 ( まだ行ける! )

 間を置かずダッシュする。 
スキルエフェクトが尽きるまで走り抜く。 30秒くらいか。
エフェクトが切れれば”獲物”を探す。 
ただし索敵は前方(西側)だけだ。  後方(東側)や両横(南北)は無視する。


 (狼が)居れば狩る。 居なければまた疾る。


 狼の牙を10本獲得したところで報酬を爪に変更、4本を獲得した。
そして遂に狼以外の獣に遭遇した。 
豹だ。 
草原や森に湧く獣で狼より強い。
しかし単独で出現することが殆どだ。
周囲の風景はまだ岩地だが所々に草生が目に付くようになって来ている。

 距離は300。 こちらにほぼ尻を向けている。 (俺に気付いてない)
臭覚の無いFQ世界では匂いで気付かれる事は無い。
レールガン投石の射程内( 余裕で倒せる )だが”格闘3に上がった”で倒す。
俺は息を潜めて気配を絶ちスキルの回復を待った。



 ・・・スキルが戻るなり俺は豹に向けてダッシュした。
ペレットもハンマーも手に持たず、 雄叫びを上げることもなく。 疾風の如く。

 瞬く間に距離が縮まる。 
20m余を残してジャンプ。
豹が俺に気付いた。 
鼻先を俺の方に向けようとしている。
しかし空中を飛翔する俺は既に右手に”ゴブリンハンマー”を召喚していた。
BTバレットタイムの中で剥製のように固まる豹の眉間に俺はハンマーを振り下ろす。
音の消えた視界の中でハンマーは俺の掌まで豹の頭にめり込んだ。
ハンマーを右手から放したが俺のBTバレットタイムは終わらない。
左手に”ぺブル”を召喚してあるのだ。
引き延ばされた時間の中で俺は両脚を引き付ける。
両足を揃えてゴブリンハンマー豹の額に刺さったに乗ると思い切り真上に跳躍した。

 ジャンプの頂点でぺブルを収納し両手を挙げて”ゴブリンロック”を召喚。
再び始まるBT《バレットタイム》。
地に伏せた豹の頭部( ハンマーは完全にめり込んでいる ) が近づいて来る。
ゴブリンロックを頭頂部に叩き付けた。
脳漿が飛び散る。


  ( 豹はやっぱり ”毛皮”かな ? )




 豹の毛皮は狼のそれよりもずっと高価だ。
ちょっとホクホク気分で討伐報酬アイテムを回収する俺。
躯が消えて後に残るゴブリンハンマーとゴブリンロックも勿論しっかり収納する。

 ( …そうだ、ステータスを確認してみるか! )


  =================================
  【 種族 】  ゴブリン
  【レベル】    9
  【ジョブ】    -
  【スキル】  投石[8***] 対獣格闘[3*] 疾駆[10*] 跳躍[4]
  【 HP 】   408/408
  【 MP 】    51/51
  【 装備 】    -
  =================================


 予想通り 狼より強力な豹を倒したのでレベルは上がっていた。
それに伴いHPとMPも上がっている。 ( やっぱり 人間 ヒューマンより上りが速いな )
人間ならLv10になってもHPは(MPも)30に届かない。
ゴブリンの初期MPはたったの 2だったがもう同レベルの人間を凌駕している。
人間のLvあたりのアップ率は1割だが、モンスターは3割はありそうだ。
( いや、MPはもっと高い のか? )

 この調子だとLv20頃にはかなり物凄い値になりそうだ。( 電卓が欲しい )
Lv30とか行くとフル装備のカンストプレヤーでも敵わなくなるんじゃないか。
・・・それはもうレイド対象と言って過言でない。 ( 俺は逃げるけどな!)


 普通のゴブリンがプレヤーとの戦闘を複数回生き延びる可能性は殆どない。
自分より高Lvの敵を倒さなければ戦闘から逃がれてもレベルは上がらない。
だから今の俺のようなゴブリンは過去存在しなかった筈だ。

 ・・・・・

 しかも俺はプレヤーとしてもスキルシステムの重要性をしっかりと認識していて
その習得と上昇、活用に人一倍(?)注力している。



  ( これはとんでもないバケモノができあがるかもしれないぞ ♪ )




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