デルモニア紀行

富浦伝十郎

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グリュン大森林

ゴブリンの意志

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「ぶっ壊してやる!」

 ・・・と言いかけた処でヨーコに両肩を掴まれている事に気付いた。

「マスター!?」
( よ ヨーコが俺の肩を・・! )
「聞いてますか ??」
ヨーコの声色が高い。
「へ… あ ?」
我に返る。 え~と。 何だったっけ ?
「…マスターは相変わらずですね」
ヨーコは頸を振りながら言う。
「直ぐに御自身の世界に入ってしまわれる」
( 前からそうだったの? )

「そのような性癖はFQ世界こちらではリスク要因に成り得るのでは?」
 ・・・・ 
「マスターのログを拝見いたしました処…」
「わーっ もういい!」
やっぱり俺の一部始終こっちでのを知ってるんだな。 まあ当然だけど。
「で、何だっけ?」
NPCにリセットが掛かる、て話だったよな。


「デリドールがロックされた処までは宜しいですか?」
「え? ロック、 て?」
ヨーコはちょっとの間口を噤んだが  ”では初めから” という態で語り出した。
「FQの担当スタッフは既にマスターの御意向を認識しております」
・・え そうなの?
「帝都入り後にマスターが抱かれた御懸念は部署一同に衝撃を与えました」
技量は兎も角、 "センス" には疑問符の付く連中だからな ! 
「オンラインとは全く異なる視点をお持ちだ、と皆さん仰っていました」
そりゃADサーバーなんだからな。( やっぱり〇〇なのか? )

「お前はどう思ったんだよ」
俺はヨーコに尋ねた。 彼女は開発の連中の反応を客観的に述べただけだ。
「どう、と仰いますと?」
「 "俺の意向"、てやつについてだよ」
「NPCをクエストの繰り返しから解放されたいのだ、と理解しております」
凄い。 正確な解釈だ。 だが ”正解” じゃないぞ。
「それをお前はどう評価する。マルか? バツか?」
さあ、同じAIとしての意見を言ってみろ。

「お答え致しかねます」
ヨーコの答えはあっさりしたものだった。
「私はマスターの御意志を評価する立場では御座いませんので」
そう来たか。
ヨーコはスマホ時代にもこういう返しをすることはあった。
エージェントが価値を測れない事項について尋ねた時だ。
これは ”価値観の問題” という側面もあるけれど、立場によって(デ)メリットが異なる事柄だからな。  TFの社員 にとっては ”面倒事”であるのは確かだろう。

「法規に反しない限りマスターをお助けするのが私の務めですから」
ヨーコはさらりと俺の問い掛けを受け流した。

「・・それが実現し得る課題であれば」









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