デルモニア紀行

富浦伝十郎

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グリュン大森林

頓挫した計画

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「で、どうなんだ?」
俺はやっぱりヨーコに訊いてしまう。
「この森のエルフってのはさ」
( 開発の"設定"とやらを教えてくれよ ! )

「 …この森のエルフはまだ構想が定まっていないのです  」
ヨーコの説明は拍子抜けするものだった。
『森にはエルフ』 という考えで エルフの集落を置く計画はあったらしい。
しかし、巨木が密に茂る大森林ではイベント設定が難しかったのだという。
平原や市街地と比べてレンダリング負荷が桁違いに高くなるのも障害となった。
開けた空間や視野が得られないので大人数イベントは適さない。
結局1on1の "隠れんぼ" のようなものに落ち着いた。
”強力な” 上級プレイヤーに暴れられても困るので条件と確率で絞ったビギナーの前に現れてレアアイテムを渡したり渡さなかったり。
渡す時は 「他の人間プレイヤーに教えたら無くなるよ」 と念を押す。
( "噂" の信憑性が怪しくなるのも尤もだ )

 ちなみにその時のアイテムとは「MP増強リング」 だったそうな。
魔導士を志すビギナーはカウルやマント、杖などの典型的なMP増強装備をギルドで入手して”MPドミナント”状態になるものだが、そのリングは剣士やアーチャーが指に嵌めればそのままMP(容量)が”HP+1”となるという代物で、戦士系のスペックのまま魔法が撃てるようになるという。( かなりのチートアイテムだな )
各サーバーに片手の指の数程しか現存していないそうだ。
・・・今の俺には必要ないけど。



 当初は多くの探索者が訪れたがその時のサーバー負荷が危険レベルまで上がったとかで、エンカウント率は宝籤一等レベルまで下げられたそうだw
彼らの再訪を抑えるため経験値になるモンスターも配置しないようにした。
( 普通のプレイヤーには ”樹上型” モンスターはかなり厄介だろうが )
『エルフ出て来ない。獲物もいない。進み難くて鬱陶しい 』
それらの情報が広まると探索者達の足は遠のき森は静かになった。
今では大陸中央部(帝国領)と西南部諸国を隔てる”壁”と見做されている。
( それが一般的な認識だろう )
『森の奥のエルフ集落』 構想はお預けになったままだという。


 ・・・そうか、やはり森はレンダリング負荷が高いのか。
枝葉が茂り、絡み合って上下の空間を埋めている森は西洋風中層建築の並ぶ街中とはオブジェクトの質量共に圧倒的な差があるからな。
”大森林”が閑散としているのにはそんな理由があったんだな(豆)








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