デルモニア紀行

富浦伝十郎

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グリュン大森林

飛び降りる女

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 ヨーコが何か話す時、その内容には確たる根拠がある。
”私見”とはいうものの、それはデータ化された客観的な事実の解析結果だ。
少し前までFQの開発にいたヨーコが”推す”のならそれはオフィシャルの推しだ。
・・そう考えてまず間違いない。

『何故そうするのが良いのか』 という理由については言えないのだろう。
基本的に俺をサポートする存在ではあるけれどヨーコはカンペではないからな。
それが”私見”というレトリックに表れている。

「う~むむむぅ!」
俺はくぐもった呻き声をあげた。

 どうする? ”疾駆” をフルに駆使すれば全大陸踏破も左程難しくないけども。 
かといってオフィシャルの思惑通りに行動するというのもちょっと気が進まない。
・・そもそも今の俺があるのは運営の ”想定枠” をブチ壊したからだし。
 


「ヨシ、登るぞ!」
ヨーコの具申である『登攀スキルのカンスト』を容れることにした。
(  これは俺とヨーコの"素”の関係内で出てきた意見だからな )
確かに砂漠や草原、海岸や丘陵地帯ではSPの獲得が困難だ。 此処で稼ぐ。
踏破領域拡大については俺も当初から念頭に置いている。
別に疎かにしてる訳じゃない。  ( ドームから戻る時の自由度が違うからな )
第一こっちに来てまだ二日目だぞ。 丸一日経ったかどうかじゃないか。
・・まあいい。 登攀をマスターしたらまた考えよう。
グダグダ迷うのは時間のムダだ 。


「よっしゃあ!」
樹を替えながらヨーコと共に30回近く大樹に登り ”登攀”をカンストした。
カンストした俺の樹頂までの到達時間は1秒少々。 ヨーコは3秒。
でもスキルとはあくまで”補正”だ。 限界値を規定する訳じゃない。
  ( このタイムは練習やLvアップで更に短縮可能だ )
傍からは得体のしれないモノが シュルルッと木肌を伝い上るように見える。
( ヨーコの登攀を見た感想 )
 くノ一 なんてもんじゃない 。
 
「もういいぞ~ ヨーコ~ 降りて来~い」
大樹の天辺にいる彼女に呼び掛ける。
「了解!」
返事と共に樹頂から飛び降りて来るヨーコ。
普通の感覚で見たらドキッとさせられるが彼女も ”降着” を持っている。
シュタッ と着地する姿はンキャリー アン・モス又はスカーレット・ヨハンソンも顔色無しだ。
( FQにジャンプスーツ ってあったっけ ?  )

・・立ち上がった彼女が俺の方に歩いて来た。
「マスター ?」
「はい?」
「距離を置いたお召しは ”収納” を御使用下さるとお待たせしませんが」
「あ」
そう言われればその通りだ。

( 俺も何だかヨーコを生身の人間みたいに思って来てるのか? )








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