デルモニア紀行

富浦伝十郎

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赤土帯

魔力切れ

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 ヨーコにMPを供給しつつチャージしたファイアボールを撃ち続けていた俺だが
最後のチャージ火球を放ったら2万を超えていたMPが遂に尽きた。
上級魔導士並みの膨大なMPを初級スペルファイアボールで撃ち尽くしたのだ。

「ヨーコ、ストップ!」
それだけ言うのが精一杯だった。 立っていられずその場に頽れる。
地に倒れた俺の上をヨーコの火球が ビュォン! と通り過ぎた。( ひぇ~っ )
頭も上げられない程の激しい脱力感が俺を襲う。 MP枯渇は初めての体験だ。
霞む視界の中に此方に向かって走り出すヨーコの姿が見えた。


「マスター 大丈夫ですか!?」
ヨーコに呼び掛けられて意識が戻る。 暫く気を失っていたようだ。
俺同様に "疾駆" を持つヨーコだから一瞬の間だったんだろうが。
「・・・・」
立ち上がる力、というか口を利く "気力" も湧いて来ない。
痛みがある訳ではないが四肢体幹を動かすことが出来ない。
このままずっと休んでいたい。 頭を占めるのはその思いだけ。
・・これが "魔力切れ" か。 

  プレイヤーはHPがゼロになると聖堂ドーム送りになる。
身に着けていた装備は失われるがステータスは回復する。
MPが切れると "行動不能" になるというが こういう事か。
これは結構キビシイな。
"魔法" は確かに重宝されるけれど、管理を怠るとこうなるリスクがあるんだ。
( まあ今回は自ら意図してなった訳だが )


「私がお護りします。 ゆっくりお休み下さい」
ヨーコがかけて来る言葉は聞こえるが、軽く頷くのが精一杯だ。
・・この俺が自分のアシスタントとはいえ女に守って貰うことになるとはな。
"情けない" という思いは湧いて来ず、俺はある種心地よい感覚に包まれていた。

 王子を介抱する女騎士宜しくしゃがみ込んで俺の状態をチェックするヨーコ。
髪でも撫でて貰いたい処だが生憎ゴブリンに頭髪はない。
俺もヨーコも町人の風体なのでシーン的にも盛り上がりに欠けるのは否めない。



「ヨーコ、 騎士形態ナイトフォーム
何とか声に出して指示を出した。
雰囲気を盛り上げる為ではない。 
地に横たわる俺から見て かしづくヨーコの背後遠くに土煙が上がったのだ。
地中から出現する巨大な姿。
優に10mを超える全長。 
大きく開いた口の全周には無数の棘歯が並んでいる。
見間違えようもない。 あれは、ランドワームだ。
デルモニアでも屈指の巨躯を誇るモンスターはその悍ましい外観もさることながら、
脅威度もとびきりだ。 狼や豹など比較にならない。
Lvは50以上。 中級者パーティが殲滅される事も珍しくない。
俺とヨーコの "花火大会" に引き寄せられでもしたのだろうか。


・・・ 因りによってこんな時に !








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