128 / 160
赤土帯
魔力切れ
しおりを挟むヨーコにMPを供給しつつチャージしたファイアボールを撃ち続けていた俺だが
最後のチャージ火球を放ったら2万を超えていたMPが遂に尽きた。
上級魔導士並みの膨大なMPを初級スペルで撃ち尽くしたのだ。
「ヨーコ、ストップ!」
それだけ言うのが精一杯だった。 立っていられずその場に頽れる。
地に倒れた俺の上をヨーコの火球が ビュォン! と通り過ぎた。( ひぇ~っ )
頭も上げられない程の激しい脱力感が俺を襲う。 MP枯渇は初めての体験だ。
霞む視界の中に此方に向かって走り出すヨーコの姿が見えた。
「マスター 大丈夫ですか!?」
ヨーコに呼び掛けられて意識が戻る。 暫く気を失っていたようだ。
俺同様に "疾駆" を持つヨーコだから一瞬の間だったんだろうが。
「・・・・」
立ち上がる力、というか口を利く "気力" も湧いて来ない。
痛みがある訳ではないが四肢体幹を動かすことが出来ない。
このままずっと休んでいたい。 頭を占めるのはその思いだけ。
・・これが "魔力切れ" か。
プレイヤーはHPがゼロになると聖堂送りになる。
身に着けていた装備は失われるがステータスは回復する。
MPが切れると "行動不能" になるというが こういう事か。
これは結構キビシイな。
"魔法" は確かに重宝されるけれど、管理を怠るとこうなるリスクがあるんだ。
( まあ今回は自ら意図してなった訳だが )
「私がお護りします。 ゆっくりお休み下さい」
ヨーコがかけて来る言葉は聞こえるが、軽く頷くのが精一杯だ。
・・この俺が自分のアシスタントとはいえ女に守って貰うことになるとはな。
"情けない" という思いは湧いて来ず、俺はある種心地よい感覚に包まれていた。
王子を介抱する女騎士宜しくしゃがみ込んで俺の状態をチェックするヨーコ。
髪でも撫でて貰いたい処だが生憎ゴブリンに頭髪はない。
俺もヨーコも町人の風体なのでシーン的にも盛り上がりに欠けるのは否めない。
「ヨーコ、 騎士形態」
何とか声に出して指示を出した。
雰囲気を盛り上げる為ではない。
地に横たわる俺から見て かしづくヨーコの背後遠くに土煙が上がったのだ。
地中から出現する巨大な姿。
優に10mを超える全長。
大きく開いた口の全周には無数の棘歯が並んでいる。
見間違えようもない。 あれは、ランドワームだ。
デルモニアでも屈指の巨躯を誇るモンスターはその悍ましい外観もさることながら、
脅威度もとびきりだ。 狼や豹など比較にならない。
Lvは50以上。 中級者パーティが殲滅される事も珍しくない。
俺とヨーコの "花火大会" に引き寄せられでもしたのだろうか。
・・・ 因りによってこんな時に !
.
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる