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赤土帯
ストーンショット 4
しおりを挟む一般的にスペルのリキャストタイムというものはレベルで変わらない。
ストーンショットの(SS)場合、術者のレベルが反映するのは石弾の大きさだ。
スキルレベルやスペルレベルで弾速も上がるだろうがメインはサイズだ。
射程も殆ど伸びない。
敵に肉迫された魔導士が放つ『必殺の反撃』 という印象が強い。
石弾を連発して攻勢に出る魔導士など俺は見た事が無い。
ポンポン撃つようなスペルではないのだ。
チャージオプションがあるのだから連射オプションもありそうなものだが、
俺は聞いた事が無い。 ヨッシーからも特に言及はなかった。
( 彼女はただ、『何でも色々試してみるとイイよ!』 とは言っていたけど )
そもそも2秒のインターバルがあるんじゃ連射なんて殆ど意味が無いからな。
都度詠唱で問題無い。
SSより強力な呪文のリキャストタイムはもっと長い。
極大呪文にはリキャストに分単位を要するものもあるし。
・・・まてよ。
『意味が無い』 だと?
意味はあるだろ。
今、俺が唱えて投石用の石弾を造っている "この" 設定の場合は。
重量調整でリキャストタイムがミリ秒レベルに短縮しているこの状況なら。
ヨーコにも同じ規格で石弾を造らせているが、
俺より元の石弾が小さいヨーコですら詠唱がリキャストに追い付いていない。
"連射オプション" は役に立つ筈だ。
必須であるとさえ言える。
「ヨーコ、ちょっと待て」
俺の隣で石弾(というより”鋼球”だな)を作っていたヨーコを止める。
AIの彼女の方が詠唱が精確なのか作成数は少し多い。
「試したいことがある」
石弾を作成している今のスペル設定を "ペレットメーカー" と呼ぶことにしよう。
俺はイメージを固めるとスペルをキャストした。
「連射×10 ペレットメーカー!」
ドドドドドドドドドドッ
一挙に10個の石弾(グラビタイト球)が地に転る。
( ヨシ! )
連射機能はあった。
恐らくリキャストタイムが一定以上短くなると有効になるのだろう。
これがファイナルクエストだ。
常にプレイヤーの先を行く "底無し" とも思える仕込み。
『欲しいものは(探せば)見つかる 』
ウィーザーズ達の抱くその信条は俺にも浸透して来ているのかも知れない。
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