デルモニア紀行

富浦伝十郎

文字の大きさ
上 下
142 / 153
赤土帯

魔力切れ 2

しおりを挟む


 強力なGペレットに加えて新規格のペレットも作成し収納限度まで確保した。
しかし、100万を超える俺のMP容量はその程度の消費は一瞬で回復してしまう。
MPがたっぷりあるのなら別にそのままでも構わないのかもしれないが、
ファイアボールと同様ストーンショット(SS)も消費MPを半減しておきたい。
SSが消費MP1で撃てる事で助かる事もあるかもしれないからな。
『一円を笑う者は一円に泣く』 という諺を子供の頃に聞いた。
『採れるものは物は採れる時に採っておけ』 という言葉も。
”貧乏性” とも言える俺の慎重傾向はそれらの影響が根本にあるように思う。
( その割には調子に乗って失敗する事が多い気もするが )

「ヨーコ、憑依するぞ」
あらかじめヨーコに声を掛ける。
「了解」
ヨーコの返事を確認してから憑依コマンドを発する。
「アキラモード」
ヨーコの姿が消えた。
というより俺がヨーコに代わった。 視界の向きが反転している。
先程までは裸だったが今はマルグリッドの鎧を纏っている。
Lv34人間ヒューマンとなった俺のMPは233 。
これなら直ぐに使いきれる。

 俺の収納ポケット内容はぺレットやぺブル、スティック等の疑似武器(弾薬)が殆どだ。 
空きはいくらでもある。
"P_01" という予備用ペレットのカテゴリを作成した。
アイテムの収納は1カテゴリあたり1000個を越えられない。
同じアイテムを1000以上持ちたい場合は別名のカテゴリに収納すればよい。
1000個ものペレットを撃ち尽くすのはまだ当分先のことかもしれないが、
ペレットが無くなった時、同じモノが用意されていれば助かる事もあるだろう。
作れる時に作っておく。

「よし、こんなもんか?」
11回の10連射 + 6連射のストーンショットで116個のペレットを造った。
アキラ形態の俺の残MPは1になった。

「憑依解除」
ゴブリンに戻った。
対面に騎士形態のヨーコが立っている。
自分のMPをチェックしてみる。 5500ちょっとに減っていた。
HPは満タンだ。 憑依前の値 × 人間形態時の残割合  で復帰するんだな。

「もう一度行くぞ」
ヨーコに声を掛ける。
「どうぞ」
「アキラモード」
再びアキラの姿となって116個のペレットを造る。 
残MP1となってゴブリンに戻った。 MP値をチェックする。 
24! 

「これからボーナス獲得の為MPを使い切る」
向いに立つヨーコに伝える。
「後は頼むぞ!」
間を置かず 連射コマンドで12個のペレットを造り出す。
( のんびりしていると"回復" が来るからな! )
俺の残MPはゼロになった。 
あの、抗い難い脱力感が俺を襲う。


 立っていられずに地に横たわる俺。
ヨーコが俺の作った200個以上のペレットを回収している。
その姿を眺めている事しかできない。
「?」
ペレットの回収を終えたヨーコが横たわる俺を越えた先を見ている。
「またワームが出現したようです」
ヨーコが報告する。
「6匹を確認。 対処します」
「ま 待て」
立ち上がるヨーコになんとか口だけを動かして伝える。


「・・俺が行くまで殺すなよ?」







しおりを挟む

処理中です...