8 / 13
魔界暦975年 一の月
南の砦
しおりを挟む
南方の獣人族の一派が反旗を翻し、直轄領内、南端にある砦に侵攻中であるという情報がアフレイド城に届いた。
「私が自ら出陣しよう」
「陛下自ら出る必要はございません。獣人族の相手なら、ドグラにお任せすれば、反旗を翻した者もさすがに躊躇しましょう。ドグラ自身も忠誠を示す絶好の機会。良き働きが期待できましょう」
ラウナスは首を横に振った。
「いや、ドグラが裏切ることはないだろう。彼の忠義を疑うような不敬は、反対に疑心を生むやもしれん。ドグラには村の防備を任せよ。それだけで良い。砦は、そなたの息子が守っているんだったな」
「はい、陛下。サルファーは愚息なれど、死を厭わぬ働きをするはずでございます」
「守りに徹しろと命じろ。打って出るな、と。良いな?」
「仰せのままに」
「サルファーは戦闘タイプだったな?斧が得意で、指揮官の中でもかなりの豪傑」
「私とは違い、武勇に秀でておりますが、知恵が足りませぬ。指揮官としては、そこが不安な要素です」
サルトルは渋い顔をした。
「厳しいな、息子に対しても。私が行くまで、防御に徹しろ。魔法を行使しても構わないが、今回は早馬で迎うとしよう」
「すぐに手配を。今回は誰か護衛に付けましょう」
「護衛は必要ない。マナミとアリシアを連れて行く」
「マナミはともかく、アリシアはただの奴隷。戦力になりませぬ」
「いや、アリシアは私が調教する。玩具としてだけでなく、戦士としても鍛える」
サルトルは意見を述べてもラウナスの決断には逆らわない。それが忠臣の勤めとよく理解している。
南の砦には何度も獣人族が攻め込んで来たが、サルファーはその度に撃退した。彼の配下の中には、打って出て一気に殲滅しようと進言する者もいたが、サルファーは動かなかった。
サルトルから念を押されていたこともあるが、魔王ラウナスが自ら出陣すると聞いていたからである。
新たな魔王が主君として相応しいかどうか見極めたいという思いが強い。
父であるサルトルには野心がなく、それもまた尊敬すべき態度であるが、サルファー自身は野心を捨て切れずにいた。
「申し上げます。陛下が只今、こちらに到着なさいました」
サルファーはすぐに迎えに上がろうとして、立ち上がったが、軍議室の入り口にラウナスの姿が現れた。
「陛下、申し訳ございません。お迎えにも上がらずに」
深々と頭を下げるサルファー。
「気にするな。私が迎えは良いと言ったからだ。配下の者を叱るでないぞ」
「はい、分かりました」
マナミが下座の椅子を引くと、ラウナスはそこに座った。
「陛下、こちらの席に」
慌てるサイファーに微笑み掛けて言った。
「くだらぬ。上座も下座も興味はない。そなたが私の仲間であり、忠臣であるなら、何の問題もない」
サイファーは少し恐怖を感じた。
魔王ラウナスは彼の野心に気付いているのかもしれない。その故に自ら前線へ。父サルトルですら、気付いておらぬはずなのに。
「明日の朝、私が自ら出陣する。今宵はゆっくり休ませてもらうが、防備を宜しく頼むぞ」
「御意」
「敵の数は1000程度と聞いているが」
「その通りです。攻撃を仕掛けて来るのは、その内の200程度です」
ラウナスはそれ以上何も言わずに、軍議室を出て寝所へと向かった。武装されたマナミとアリシアを引き連れて。
「私が自ら出陣しよう」
「陛下自ら出る必要はございません。獣人族の相手なら、ドグラにお任せすれば、反旗を翻した者もさすがに躊躇しましょう。ドグラ自身も忠誠を示す絶好の機会。良き働きが期待できましょう」
ラウナスは首を横に振った。
「いや、ドグラが裏切ることはないだろう。彼の忠義を疑うような不敬は、反対に疑心を生むやもしれん。ドグラには村の防備を任せよ。それだけで良い。砦は、そなたの息子が守っているんだったな」
「はい、陛下。サルファーは愚息なれど、死を厭わぬ働きをするはずでございます」
「守りに徹しろと命じろ。打って出るな、と。良いな?」
「仰せのままに」
「サルファーは戦闘タイプだったな?斧が得意で、指揮官の中でもかなりの豪傑」
「私とは違い、武勇に秀でておりますが、知恵が足りませぬ。指揮官としては、そこが不安な要素です」
サルトルは渋い顔をした。
「厳しいな、息子に対しても。私が行くまで、防御に徹しろ。魔法を行使しても構わないが、今回は早馬で迎うとしよう」
「すぐに手配を。今回は誰か護衛に付けましょう」
「護衛は必要ない。マナミとアリシアを連れて行く」
「マナミはともかく、アリシアはただの奴隷。戦力になりませぬ」
「いや、アリシアは私が調教する。玩具としてだけでなく、戦士としても鍛える」
サルトルは意見を述べてもラウナスの決断には逆らわない。それが忠臣の勤めとよく理解している。
南の砦には何度も獣人族が攻め込んで来たが、サルファーはその度に撃退した。彼の配下の中には、打って出て一気に殲滅しようと進言する者もいたが、サルファーは動かなかった。
サルトルから念を押されていたこともあるが、魔王ラウナスが自ら出陣すると聞いていたからである。
新たな魔王が主君として相応しいかどうか見極めたいという思いが強い。
父であるサルトルには野心がなく、それもまた尊敬すべき態度であるが、サルファー自身は野心を捨て切れずにいた。
「申し上げます。陛下が只今、こちらに到着なさいました」
サルファーはすぐに迎えに上がろうとして、立ち上がったが、軍議室の入り口にラウナスの姿が現れた。
「陛下、申し訳ございません。お迎えにも上がらずに」
深々と頭を下げるサルファー。
「気にするな。私が迎えは良いと言ったからだ。配下の者を叱るでないぞ」
「はい、分かりました」
マナミが下座の椅子を引くと、ラウナスはそこに座った。
「陛下、こちらの席に」
慌てるサイファーに微笑み掛けて言った。
「くだらぬ。上座も下座も興味はない。そなたが私の仲間であり、忠臣であるなら、何の問題もない」
サイファーは少し恐怖を感じた。
魔王ラウナスは彼の野心に気付いているのかもしれない。その故に自ら前線へ。父サルトルですら、気付いておらぬはずなのに。
「明日の朝、私が自ら出陣する。今宵はゆっくり休ませてもらうが、防備を宜しく頼むぞ」
「御意」
「敵の数は1000程度と聞いているが」
「その通りです。攻撃を仕掛けて来るのは、その内の200程度です」
ラウナスはそれ以上何も言わずに、軍議室を出て寝所へと向かった。武装されたマナミとアリシアを引き連れて。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです
沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる