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友明
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「これ、りょうとく神社って読むんだ・・・」
夏の鎮守の森は、他の季節にはない生命の力強さを感じる。
きっとそれは、虫たちが鳴いたり飛んだり跳ねたりしているからだけではない。
木々の葉が色濃く輝き、青い香りを森中に放つ。
そんな、夏の森の匂いを胸いっぱいに吸い込み、鳥居に掲げられた額の『陵徳神社』の文字を見上げる。
おばあちゃんが子供の頃からあったのだから、この年期の入りようにも納得だ。
ゴミなどは無いものの、あちらこちらに枯れ葉が落ち、手入れのされていない草木が自由に枝葉を伸ばしまくっている。
「うぇ・・・刺されてる」
ふくらはぎをボリボリと掻きながら鳥居をくぐった。
「あれ?亜子だ!」
二つ目の鳥居をくぐった所にある狛犬の影から友明が顔を出した。
いつもここには誰も居ないのに、どうして友明がいるんだ。
慌てて踵を返して、来た道を戻ろうとするが、友明がしつこく着いてくる。
「おい、何でいっつも逃げんだよ」
ほぼ走っているともいえる程の早歩きで逃げる私を追い抜いた友明は、「おい!」と行く手を阻んだ。
ムッとした表情で真っ直ぐに目を見る友明に、思わず俯いてしまう。
からかわれ、いじめられる原因だったこの傷は、この小さな島でも私を独りにするのか。
「これ」
俯いたままの私に、何かを差し出してきた。
「やるよ。ザリガニのエサ」
「・・・え?」
さっさと受け取れと言わんばかりに、よっちゃんイカの袋を差し出している。
「・・・くれるの?」
動揺する私を気にするでもない友明は、力強く頷いて見せた。
「あ、ありがとう」
「あと!ザリガニはそこらの用水路じゃないと居ないぞ。釣り、したこと無いのか?」
「うん。でも、前に住んでた所は川にも居たから・・・」
「ふーん。ま!ここにはここのやり方があるんだ!俺が教えてやる!」
「握手!」と手を差し出す友明の顔は、木漏れ日に照らされている。
友明は、戸惑う私の手を強引にとり握手をした。
ジリジリジリジリ・・・・
アブラゼミが頭上で鳴き喚いている中で、ジッという声と共に飛び立つセミも居た。
「さっき、何やってたの?その・・・あそこで」
拝殿の階段に座ったまま、友明が居た狛犬を指す。
「あぁ、これだよ」
そう言ってポケットから取り出したのは、王冠だった。
「何かあちこちにあってさ。ほら」
「わっ。良いなぁ、でも何でこんなにいっぱいあるんだろう」
「でもほら。当たりなんて全然無いんだぜ。こんなにあったら1つくらいあっても良さそうなのにさ」
ポケットから更に出して広げた王冠は、どれもハズレだ。
「まぁ、コレクションにでもするよ。亜子も好きなのか?分けてやろうか」
そうして友明は、自分が既に持っているらしい王冠は全て私にくれた。
この島の子供とまともに話したのは、これが初めてだった。
ザリガニは用水路なんかがよく釣れるということ。
釣るなら夕方じゃないと駄目だということ。
そしてエサについては、本当はよっちゃんイカより、釣ったザリガニの身の方が食い付きが良いと言われたが、私がそれは出来る気がしないと言うと「じゃあよっちゃんイカのままでやれよ」と呆れられてしまった。
それからは、棒切れを拾ってきた友明は地面に割り箸の絵を描き、ザリガニの重さで糸が抜けない為の竿のつくりかたなんかも教えてくれた。
「わかったか?それさえ出来れば後は経験だ!ま、俺には勝てないけどな」
偉そうにそう言うと、友明も蚊に刺されたのだろう。
右腕をボリボリと掻き始めた。
それを見た私も、忘れていたふくらはぎの虫刺されが振り返してしまった。
「亜子もやられたのかよ。あんまり掻いたら傷になるぞ。帰ってキンカン塗らないと」
「そうだね。帰ろうかな」
友明は「おし!」と、持っていた棒を放り、階段を駆け降りた。
「そういえばさ、それ痛いか?」
「え・・・?」
階段を降りようと立ち上がると、友明が階段の下からこちらを見上げて指差した。
「ほっぺたの。怪我してるだろ?治ってないのか?」
その言葉に、心臓がドクンと打つのがはっきりわかった。
身体中から血の気が引くような感覚すらした。
「・・・うるさい」
階段を掛け降り、「あ!おい!」と呼び止めようとする友明を無視して逃げ出した。
ズボンのポケットは、友明に貰った王冠がぶつかり合う音を立てていた。
鳥居を2つ抜けて、タケちゃんの駄菓子屋が坂道を下った向こうに見える所まで夢中で走ってきた。
友明の姿は見えない。
「・・・」
込み上げる涙を、溢れる前に拭う。
小さくため息をついたときだ。
静かな森の木々を、ザザッと強い風が吹き抜けた。
・・・カラ・・・カラ・・・
葉が擦れる音でもない。
虫の声でもない。
あの音が、林の中から聞こえてきたのだ。
カサッ
姿は見えないが、背の高い草が大きく揺れる。
それと共にあの不気味な音も、小さいが確実に近付いていた。
何回目であっても、あの奇妙な生き物に会うのは怖い。
一歩後退り。
それと同時に目の前の草がガサガサと激しく揺れる。
すると、草影から姿を顔を半分だけ覗かせ、感情の読めない大きな丸い目をこちらに向けていた。
「ひぃっ・・・!」
思わず出た悲鳴を抑えるように、自分の口をとっさに手で塞ぐ。
『優しい心を持っている者を、自分と違うからって不必要に嫌っちゃいけないよ』
「わかってるけど・・・」
震える声で呟いた私を見て何を思ったのか、その生き物は私の目の前まで出てくると、私を見上げて手を差し出してきたのだ。
その小さな手には、王冠が1つ乗っていた。
10円の当たり王冠だった。
当たりの王冠を手のひらに乗せ、こちらを見上げる何かと、固まって動けない私との間に、どれだけの時間が流れただろう。
カブトムシが斜め前の木を登る姿にも、気付く余裕は無かった。
「あれ・・・コロコロだ」
坂の途中で立ち止まり、不思議そうに言ったのは良太だった。
「こ、ころころ?」
「・・・亜子ちゃん、やっぱり見えてるの?」
良太がコロコロと呼ぶそれは、まだ私に王冠を差し出したまま、まっすぐ瞬きすらせずに見上げていた。
「僕が勝手に名前を付けたんだ」
坂道をこちらに登ってくる良太は、いつも通りの小さな声でそう言った。
コロコロとは、私にはカラカラと聞こえたあの音だろうか。
「見える人と見えない人がいるみたい。大人は皆見えないみたいだけど、子供の頃に見たって人はいるみたいだよ」
そう言うと、「受け取ってあげたら?」とコロコロの差し出す手を指差した。
「えっ・・・あ、あぁ。ありが・・・とう」
恐る恐る王冠を摘まむようにして受け取ると、そのコロコロは突然ひっくり返り、そこらじゅうを転げ回り始めた。
勢いよく転がるものだから、カラカラカラカラと森中に響き渡る程の音を立てている。
「ええええっ!!なっ、なに!」
「あははっ。それ、喜んでるんだと思う。僕が持ってたあんこ玉をあげた時も、コロコロして木の根っこに頭ぶつけてたよ」
あんこ玉は、丸めたあんこにきな粉をまぶした、タケちゃんにも売っている駄菓子だ。
いや、それよりも良太が声を出して笑っているのを初めて見た。
「おばけ・・・じゃないよね?」
「さぁ。そうかもしれないし、わからないよ。僕も久し振りに会ったんだ」
コロコロは転げ回るのを止め、突然むくりと起き上がると、そう話す私たちをじっと見つめた。
「え・・・?」
すると、くるっと草むらの方に体を向け、走って森の中へと消えてしまった。
「い、いなくなっちゃった」
「うん。前もあったんだ。途中で友明が来た時だったよ。友明は見えてないみたいだったけど」
「ふぅん・・・」
確かにささら川で会った時、友明や可奈子、真理も見えていないようだった。
「あ!亜子!」
「友明だ」
良太が私の背後に向かって、胸の前で小さく手を振る。
「わ、私、今日は帰る」
良太が「え?どうして?」と言ったと同時に、友明も坂道を掛け降りる私に「だからー!逃げるなってー!」と叫んでいた。
私はそんな二人を振り返る事もなく、また逃げてしまったのだった。
その日の夕方は雨が降り、夜には止んだがじっとりと湿った風が、肌に汗を滲ませた。
蚊帳に守られた布団に潜り込み、おばあちゃんが「おやすみ。ゆっくり寝るんだよ」と電気を消す。
チッ チッ チッ チッ リーー
「あ。クマコオロギだ」
「へぇ。亜子ちゃんが来てくれてから、ばあちゃんも虫の勉強が出来て嬉しいねぇ」
おばあちゃんは、もう一度「おやすみ」と言うと、そっとふすまを閉めた。
雨の匂いを含んだ湿っぽい風が、電気から垂れ下がる紐を揺らす。
今夜は星は見えそうにない。
夜空には、灰色の雲が漂っていた。
どうしてあの『コロコロ』は、突然逃げてしまったのだろう。
友明から逃げた私がどうこう言える立場には無い気がするが。
「私も駄目だなぁ・・・」
天井をぼんやりと眺めていると、木目やシミが人の顔に見えてくる。
この瞬間がとてつもなく嫌いな私は、ぎゅっと目をつむり、タオルを頭までかぶって眠りについた。
夏の鎮守の森は、他の季節にはない生命の力強さを感じる。
きっとそれは、虫たちが鳴いたり飛んだり跳ねたりしているからだけではない。
木々の葉が色濃く輝き、青い香りを森中に放つ。
そんな、夏の森の匂いを胸いっぱいに吸い込み、鳥居に掲げられた額の『陵徳神社』の文字を見上げる。
おばあちゃんが子供の頃からあったのだから、この年期の入りようにも納得だ。
ゴミなどは無いものの、あちらこちらに枯れ葉が落ち、手入れのされていない草木が自由に枝葉を伸ばしまくっている。
「うぇ・・・刺されてる」
ふくらはぎをボリボリと掻きながら鳥居をくぐった。
「あれ?亜子だ!」
二つ目の鳥居をくぐった所にある狛犬の影から友明が顔を出した。
いつもここには誰も居ないのに、どうして友明がいるんだ。
慌てて踵を返して、来た道を戻ろうとするが、友明がしつこく着いてくる。
「おい、何でいっつも逃げんだよ」
ほぼ走っているともいえる程の早歩きで逃げる私を追い抜いた友明は、「おい!」と行く手を阻んだ。
ムッとした表情で真っ直ぐに目を見る友明に、思わず俯いてしまう。
からかわれ、いじめられる原因だったこの傷は、この小さな島でも私を独りにするのか。
「これ」
俯いたままの私に、何かを差し出してきた。
「やるよ。ザリガニのエサ」
「・・・え?」
さっさと受け取れと言わんばかりに、よっちゃんイカの袋を差し出している。
「・・・くれるの?」
動揺する私を気にするでもない友明は、力強く頷いて見せた。
「あ、ありがとう」
「あと!ザリガニはそこらの用水路じゃないと居ないぞ。釣り、したこと無いのか?」
「うん。でも、前に住んでた所は川にも居たから・・・」
「ふーん。ま!ここにはここのやり方があるんだ!俺が教えてやる!」
「握手!」と手を差し出す友明の顔は、木漏れ日に照らされている。
友明は、戸惑う私の手を強引にとり握手をした。
ジリジリジリジリ・・・・
アブラゼミが頭上で鳴き喚いている中で、ジッという声と共に飛び立つセミも居た。
「さっき、何やってたの?その・・・あそこで」
拝殿の階段に座ったまま、友明が居た狛犬を指す。
「あぁ、これだよ」
そう言ってポケットから取り出したのは、王冠だった。
「何かあちこちにあってさ。ほら」
「わっ。良いなぁ、でも何でこんなにいっぱいあるんだろう」
「でもほら。当たりなんて全然無いんだぜ。こんなにあったら1つくらいあっても良さそうなのにさ」
ポケットから更に出して広げた王冠は、どれもハズレだ。
「まぁ、コレクションにでもするよ。亜子も好きなのか?分けてやろうか」
そうして友明は、自分が既に持っているらしい王冠は全て私にくれた。
この島の子供とまともに話したのは、これが初めてだった。
ザリガニは用水路なんかがよく釣れるということ。
釣るなら夕方じゃないと駄目だということ。
そしてエサについては、本当はよっちゃんイカより、釣ったザリガニの身の方が食い付きが良いと言われたが、私がそれは出来る気がしないと言うと「じゃあよっちゃんイカのままでやれよ」と呆れられてしまった。
それからは、棒切れを拾ってきた友明は地面に割り箸の絵を描き、ザリガニの重さで糸が抜けない為の竿のつくりかたなんかも教えてくれた。
「わかったか?それさえ出来れば後は経験だ!ま、俺には勝てないけどな」
偉そうにそう言うと、友明も蚊に刺されたのだろう。
右腕をボリボリと掻き始めた。
それを見た私も、忘れていたふくらはぎの虫刺されが振り返してしまった。
「亜子もやられたのかよ。あんまり掻いたら傷になるぞ。帰ってキンカン塗らないと」
「そうだね。帰ろうかな」
友明は「おし!」と、持っていた棒を放り、階段を駆け降りた。
「そういえばさ、それ痛いか?」
「え・・・?」
階段を降りようと立ち上がると、友明が階段の下からこちらを見上げて指差した。
「ほっぺたの。怪我してるだろ?治ってないのか?」
その言葉に、心臓がドクンと打つのがはっきりわかった。
身体中から血の気が引くような感覚すらした。
「・・・うるさい」
階段を掛け降り、「あ!おい!」と呼び止めようとする友明を無視して逃げ出した。
ズボンのポケットは、友明に貰った王冠がぶつかり合う音を立てていた。
鳥居を2つ抜けて、タケちゃんの駄菓子屋が坂道を下った向こうに見える所まで夢中で走ってきた。
友明の姿は見えない。
「・・・」
込み上げる涙を、溢れる前に拭う。
小さくため息をついたときだ。
静かな森の木々を、ザザッと強い風が吹き抜けた。
・・・カラ・・・カラ・・・
葉が擦れる音でもない。
虫の声でもない。
あの音が、林の中から聞こえてきたのだ。
カサッ
姿は見えないが、背の高い草が大きく揺れる。
それと共にあの不気味な音も、小さいが確実に近付いていた。
何回目であっても、あの奇妙な生き物に会うのは怖い。
一歩後退り。
それと同時に目の前の草がガサガサと激しく揺れる。
すると、草影から姿を顔を半分だけ覗かせ、感情の読めない大きな丸い目をこちらに向けていた。
「ひぃっ・・・!」
思わず出た悲鳴を抑えるように、自分の口をとっさに手で塞ぐ。
『優しい心を持っている者を、自分と違うからって不必要に嫌っちゃいけないよ』
「わかってるけど・・・」
震える声で呟いた私を見て何を思ったのか、その生き物は私の目の前まで出てくると、私を見上げて手を差し出してきたのだ。
その小さな手には、王冠が1つ乗っていた。
10円の当たり王冠だった。
当たりの王冠を手のひらに乗せ、こちらを見上げる何かと、固まって動けない私との間に、どれだけの時間が流れただろう。
カブトムシが斜め前の木を登る姿にも、気付く余裕は無かった。
「あれ・・・コロコロだ」
坂の途中で立ち止まり、不思議そうに言ったのは良太だった。
「こ、ころころ?」
「・・・亜子ちゃん、やっぱり見えてるの?」
良太がコロコロと呼ぶそれは、まだ私に王冠を差し出したまま、まっすぐ瞬きすらせずに見上げていた。
「僕が勝手に名前を付けたんだ」
坂道をこちらに登ってくる良太は、いつも通りの小さな声でそう言った。
コロコロとは、私にはカラカラと聞こえたあの音だろうか。
「見える人と見えない人がいるみたい。大人は皆見えないみたいだけど、子供の頃に見たって人はいるみたいだよ」
そう言うと、「受け取ってあげたら?」とコロコロの差し出す手を指差した。
「えっ・・・あ、あぁ。ありが・・・とう」
恐る恐る王冠を摘まむようにして受け取ると、そのコロコロは突然ひっくり返り、そこらじゅうを転げ回り始めた。
勢いよく転がるものだから、カラカラカラカラと森中に響き渡る程の音を立てている。
「ええええっ!!なっ、なに!」
「あははっ。それ、喜んでるんだと思う。僕が持ってたあんこ玉をあげた時も、コロコロして木の根っこに頭ぶつけてたよ」
あんこ玉は、丸めたあんこにきな粉をまぶした、タケちゃんにも売っている駄菓子だ。
いや、それよりも良太が声を出して笑っているのを初めて見た。
「おばけ・・・じゃないよね?」
「さぁ。そうかもしれないし、わからないよ。僕も久し振りに会ったんだ」
コロコロは転げ回るのを止め、突然むくりと起き上がると、そう話す私たちをじっと見つめた。
「え・・・?」
すると、くるっと草むらの方に体を向け、走って森の中へと消えてしまった。
「い、いなくなっちゃった」
「うん。前もあったんだ。途中で友明が来た時だったよ。友明は見えてないみたいだったけど」
「ふぅん・・・」
確かにささら川で会った時、友明や可奈子、真理も見えていないようだった。
「あ!亜子!」
「友明だ」
良太が私の背後に向かって、胸の前で小さく手を振る。
「わ、私、今日は帰る」
良太が「え?どうして?」と言ったと同時に、友明も坂道を掛け降りる私に「だからー!逃げるなってー!」と叫んでいた。
私はそんな二人を振り返る事もなく、また逃げてしまったのだった。
その日の夕方は雨が降り、夜には止んだがじっとりと湿った風が、肌に汗を滲ませた。
蚊帳に守られた布団に潜り込み、おばあちゃんが「おやすみ。ゆっくり寝るんだよ」と電気を消す。
チッ チッ チッ チッ リーー
「あ。クマコオロギだ」
「へぇ。亜子ちゃんが来てくれてから、ばあちゃんも虫の勉強が出来て嬉しいねぇ」
おばあちゃんは、もう一度「おやすみ」と言うと、そっとふすまを閉めた。
雨の匂いを含んだ湿っぽい風が、電気から垂れ下がる紐を揺らす。
今夜は星は見えそうにない。
夜空には、灰色の雲が漂っていた。
どうしてあの『コロコロ』は、突然逃げてしまったのだろう。
友明から逃げた私がどうこう言える立場には無い気がするが。
「私も駄目だなぁ・・・」
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