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第十四章 トラブルは付きもの
16 ご主人様と駄犬 ※R18
しおりを挟む幼馴染からの優しい口づけを受けながら、呉宇軒は何度か下腹に力を入れて中のものを動かしてみる。しかし、じんわりと不思議な感覚が続くばかりで、どうすればいいのかはよく分からなかった。
正解を知っているらしい李浩然に尋ねたかったものの、彼はキスに夢中でなかなか口を離してくれない。興奮を煽るように舌が入り込んできて、呉宇軒はひとまず考えるのを止めた。
艶かしく絡みついてくる舌の感触に、欲を吐き出したものが再び鎌首をもたげてくる。中に入ったままの異物よりも、呉宇軒の意識は次第に硬さを増していく自身の昂りに引っ張られていった。
今すぐにでも手でそこに触れたいのに、李浩然はいけない気配を敏感に感じ取り、呉宇軒の両手首をはしと掴む。彼は名残惜しく唇を食んでから顔を離すと、静かに口を開いた。
「阿軒、そこは触らない約束だろう?」
まるで聞き分けのない子どもに言い聞かせるような穏やかな口調ではあったものの、李浩然の眼差しは鋭く、呉宇軒は小さく息を呑む。
「わ、分かってるけどぉ……」
もじもじしながらお願い、と甘えた声を出すも、手首を掴む手は緩みそうにない。落ち着きをなくした呉宇軒がそわそわと太ももを擦り合わせていると、すっかり意地悪が板についてきた李浩然は彼の両手首を片手で掴み、空いた方の手で愛撫を待つ昂りをそっと撫でた。
ところが、彼は触れただけで手を動かそうともしない。甘やかなその刺激はもどかしく、呉宇軒はもっとしてと言うように彼の手のひらに自身のものを強く押し付ける。白濁と先走りが入り混じり、滑らかな手のひらをぬるぬると濡らした。
どうして触ってくれないのだろう。焦らすように止まったままの手に我慢ができず、呉宇軒は腰を揺らして彼の手のひらに昂りを押し付ける。
何度もそうして甘美な刺激を味わっていると、唇からは次第に熱っぽいため息が漏れ始めた。敏感になったそこは強い刺激を求めて、もはや治まりがつかない。
「待て」
不意に命令するような強い声が部屋に響く。無我夢中で彼の手のひらに欲を擦り付けていた呉宇軒は、反射的にぴたりと動きを止めた。
すっかり欲に飲まれて、彼の言いつけを破ってしまった。
「あ、ごめ……んあっ」
謝ろうとした途端、李浩然の手が硬くそそり立った根本をギュッと掴んだ。急に与えられた強い刺激に、呉宇軒の腰がびくりと跳ねる。
「君は本当に堪え性がないな」
冷めた瞳に見下ろされ、背筋がゾクゾクする。これこそ求めていたものだ。火照った体はますます熱くなり、呉宇軒は期待に目を輝かせて彼を見つめた。
「わ、わんっ!」
ご主人様だ!と尻尾を振らんばかりに喜ぶ彼を見て、李浩然は怒った顔を維持することができなくなったらしい。小さく吹き出すと、厳しい態度を取ることは諦め、穏やかに囁いた。
「後で可愛がってあげるから、今は後ろに集中して」
またもやお預けを食らってしまい、呉宇軒は不満げに唇を尖らせる。しかし、後でという言葉に期待せずにはいられなかった。有言実行の李浩然のことだ、きっととびっきり甘いひとときが待っているに違いない。
ここは大人しく言うことを聞いておこうと、彼は再び腹の中に収まった玩具に意識を集中させた。
呉宇軒は大きく深呼吸して心を落ち着かせようとしたものの、李浩然の手は未だに彼の根本を掴んで離さないので、気が散って仕方がない。それに、彼の手に掴まれていると思うと興奮して、そこはさらに硬さを増してしまった。
「阿軒、集中」
「分かってるけど……手、離してくれない? お前に触られてると治まるものも治まんないよ」
眉をハの字に下げて頼み込むと、彼はようやく手を離してくれた。望んでそうしてもらったはずなのに、解放された途端に彼の手の感触が恋しくなってくる。
呉宇軒は手持ち無沙汰になった李浩然に熱っぽい視線を向けた。
「なあ、他になんかやらしいことしてよ。こういうのはムードが大事なんだろ?」
期待の眼差しに、李浩然の唇が弧を描く。彼は呉宇軒の唇にそっとキスすると、再び熱い舌を割り入れてきた。
口の中を蹂躙されているうちに、互いにどんどん呼吸が荒くなってくる。うっとりと甘い口づけを堪能していると、不意に李浩然の手が伸びてきて、下腹をそっと撫でた。下腹部にあった妙な違和感は、温かな手のひらに反応して次第にじんじんと熱を持った甘い痺れに変わっていく。
この感覚が正解なのだろうか。そう思っていた矢先に、突然蕩けるような強い快楽の波が押し寄せてきた。それは玩具の当たっている辺りから腰全体へと急速に広がり、あまりの展開の速さに驚く暇もない。
「ちょっと待って、俺っ……」
びくびくと腰が跳ね、堪えきれず声が上ずる。
一体どうしたというのだろう。予想外の状況に呉宇軒は戸惑うばかりだ。李浩然に助けを求める視線を向けるも、彼は撫でる手は止めず、欲を孕んだ瞳でじっと呉宇軒を見つめていて、まるで聞こえていない。じりじりと熱っぽい視線に晒されて、体を渦巻く熱はより一層勢いを増した。
「然然っ……これ、ダメかも……気持ちよすぎてなんかやばい」
びくびくと体が震え、下腹に甘い痺れが押し寄せる。打ち寄せる波のように体を駆け巡る快楽は止めようもなく、まるで自分の体ではないみたいだ。体からブワッと汗が吹き出し、全身が焼けるように熱くなる。
深呼吸して溢れんばかりの快楽を逃がそうとするも、逆効果だったようだ。弱まるどころかより強い刺激となって、押し留めることができない。
愛しい幼馴染の一大事だというのに、李浩然は焦らすようにベッド横でしゃがんだままで、悶える様を楽しんでいるようにも見える。どうすればいいかも分からず途方に暮れた呉宇軒は、混乱しながらも彼の腕にしがみついた。
「ねえ、抜いちゃダメ? なんか変!」
ぎゅうっと腕を掴み、熱で潤んだ瞳で見上げる。すると、李浩然は彼の頭に空いている方の手をそっと置き、優しく微笑みながら耳元で囁いた。
「大丈夫だから、そのまま身を任せて」
穏やかな声はそれだけで心を落ち着かせてくれる。それまで慌てふためいていた呉宇軒の心は、彼の声と宥めるように頭を撫でてくれる手のひらに少しずつ落ち着きを取り戻していく。
「俺、どうすればいい?」
なんとか息を整えたものの、体の疼きは大きくなるばかりだ。少しでも気を抜くと喘いでしまいそうで、彼は唇をきゅっと閉じて李浩然の言葉を待つ。
荒い呼吸を繰り返す呉宇軒の頭を優しく撫でながら、李浩然は艶を含んだ甘い声で宥めた。
「気を楽にして、ちゃんと息をすること」
「わ、分かった……手、握っててくれる?」
抑えきれず甘い声を出しながら目をうるうるさせてお願いすると、彼は嬉しそうに微笑んで手を握ってくれる。
ところが、お願いを聞いてもらえて気が緩んでしまったらしい。頭とお腹に触れていた彼の手が消えた途端、呉宇軒はもう我慢ができなくなった。
「んあっ、あぁっ……むり、もう無理!!」
びくびくと体を震わせながら、李浩然の手をぎゅっと握りしめる。それでも押し寄せる快楽の波は止まりそうもなく、呉宇軒は慌てて枕を引っ掴むと、顔を埋めて溢れ出る嬌声を押し殺した。
まるで下半身が蕩けてしまったようで、自分が力を入れているのか、それとも抜いているのかも分からない。
吹き荒れる嵐のような快楽の波はしかし、しばらくするとだんだん緩やかになっていった。それと同時に、手を握りしめていた呉宇軒の手からもゆっくりと力が抜けていく。
「阿軒、大丈夫だった?」
「おかしくなったかと思った……まだ、なんか気持ちいい」
落ち着いてきたとはいえ、腹の奥は未だじんじんと甘く疼いている。呉宇軒はまたいつアレが始まるのかと戦々恐々として、涙に濡れた瞳で李浩然を見上げた。
「もう抜いてもいい?」
尋ねると、李浩然は息も絶え絶えでぐったりする彼の唇にキスをして、上機嫌で頷いた。どうやら満足のいく結果になったらしい。手を離すと、また頭を撫でてくれる。
「うん、よく頑張りました」
ようやく許しが出て、呉宇軒はほっと胸を撫で下ろす。彼はまだ性的な特訓を初めて三日目で、よちよち歩きの赤ちゃんも同然なのだ。それなのに、こんなに激しい快楽に溺れることになるなんて、これでは初心者を予備知識なしで上級コースに放り投げるようなものではないか。
体に力が入らない呉宇軒の代わりに、李浩然が玩具を取ってくれる。腹の中を圧迫していたものがずるりと引き抜かれ、呉宇軒は「うあっ」と声を漏らした。
「もっと優しくしてよ! くっそぉ……生意気なイルカめ。次は絶対勝つ!」
大袈裟に嘆くと、彼は自分の中で暴れ回った白イルカの玩具を睨みつけた。表情はないはずなのに、何故かこちらを笑っているように見える。
「阿軒、勝とうとしなくていいから。少し休んでいなさい」
イルカから避妊具を外しながら、李浩然が呆れたように言う。黙々と片付けを始めた彼を見て、呉宇軒は手を伸ばしてそれを止めた。
「然然、片付けにはまだ早いんじゃないか?」
散々喘がされて、このままで終われるはずがない。体にはまだ力が戻っていないが、呉宇軒は気丈にも不敵に微笑んだ。
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