真面目ちゃんの裏の顔

てんてこ米

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第五章 準備は万端?

15 家庭教師

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「やっぱり男の子が居ると賑やかで良いわねぇ」

 ケーキの準備をしながら、アンおばさんは嬉しそうにしている。彼女は昔から呉宇軒ウーユーシュェンたちのことを息子のように可愛がってくれていた。
 ダイニングテーブルに皿を並べてケーキを出すと、それぞれ好きなものを持っていく。呉宇軒ウーユーシュェンの見立てはばっちりで、予想通り李先生はチーズケーキを、アンおばさんはオレンジのタルトを選んだ。楕円形の白っぽいランチョンマットにお茶とケーキが並べられ、お洒落なカフェ風になる。
 幼馴染と一時休戦した呉宇軒ウーユーシュェンは、隣でレモンピールのレアチーズケーキを食べている李浩然リーハオランにこっそり耳打ちした。

然然ランラン、仲直りの儀式する?」

 飾りの苺とロールケーキの乗ったフォークをそっと差し出すと、彼は一瞬だけ躊躇った後、大きな一口でそれを食べた。

「今度は君の番」

 苺のお礼か、李浩然リーハオランは真ん中の一番美味しそうな部分を切って食べさせてくれた。上に乗った甘酸っぱい輪切りのレモンが口の中で瑞々しく弾け、爽やかな香りが広がる。
 程よい甘さの生クリームのロールケーキも美味しいが、レアチーズケーキも絶品だ。あの店はパフェ以外も美味しいものばかりで、呉宇軒ウーユーシュェンは次に行くときは必ずフードメニューも試してみようと心に決めた。
 お互いにケーキを食べさせ合う二人を見た李先生は呆れ顔をして口を開いた。

「お前たち、まだそんなことをしてるのか」

 仲直りの儀式は小さい頃からしていることで、当然李先生もよく知っている。呉宇軒ウーユーシュェンは胸を張って言った。

「おじいちゃんになってもやるし!」

 幼い頃の二人はいつも一緒に寝ていたため、気まずい思いをしないように喧嘩をしてもその日のうちに和解して、翌日まで持ち越さないと決めているのだ。この『仲直りの儀式』は効果覿面で、やり始めてから今まで喧嘩を引きずったことがない。

阿軒アーシュェン、もう一口いる?」

「そんなにいっぱいくれたら、お前の分が無くなっちゃうぞ?」

 李浩然リーハオランが構わず口にフォークを持ってきたので、呉宇軒ウーユーシュェンはそういう事ならと笑って口を開けた。レモンの酸味で甘くなった口の中がさっぱりする。ニコニコしながらケーキを堪能する幼馴染に、李浩然リーハオランは優しい眼差しを向けた。
 食べ終わったケーキの食器はアンおばさんがテキパキと片付けてくれる。最新式のキッチンには食洗機があるので、ケーキの皿くらいならそれで十分なのだ。

「いいなぁ、食洗機。俺の寮にも置いてほしい」

 食洗機が皿を洗う音を聞きながら、呉宇軒ウーユーシュェンは羨ましくてため息が出る。家庭用なので油物はしっかり洗わないと入れられないが、寮暮らしでそこまでの洗い物は出てこないので、面倒な皿洗いは食洗機があると心強い。
 どうにか置き場を作れないか考えていると、李浩然リーハオランに夢を打ち砕かれた。

「鍋でいっぱいなのに置く場所は無いだろう?」

「それなんだよなぁ。寮のキッチン狭すぎ!」

 たとえ鍋を片付けられたとしても、元々のスペースが狭いのでどう頑張っても置き場がない。諦めた呉宇軒ウーユーシュェンがテーブルに伏せていると、李先生が話に入ってきた。

「キッチンがあるだけいいだろう。六人部屋や八人部屋にキッチンはないぞ?」

 長いこと大学の教授をしているので、李先生は内部事情についてとても詳しい。
 呉宇軒ウーユーシュェンは机やベッドでぎゅうぎゅうになった部屋の中を想像してゾッとした。そう考えると、自分のところの寮はキッチンとバスルームが分かれていてかなり広々している。食洗機が欲しいなんて贅沢な我儘だ。

「俺四人部屋で良かった……もし六人とか八人の部屋だったらこの家に住み着いてたよ」

「残念だ。俺としてはそちらの方が良かった」

 いつでも幼馴染と一緒がいい李浩然リーハオランは、惜しいことをしたと残念がる。

「でも、もしそうだったら子星ズーシンたちと友だちになれなかったかもしれないぞ?」

 男子は基本的に揉めることが少ないが、ルームメイトの相性は大事だった。呉宇軒ウーユーシュェンは今のルームメイトたちとの生活に満足しているので、彼らが居ないとなると少し寂しい。
 彼の言葉に李先生はうんうんと頷いた。

「友人は大切だからな。阿軒アーシュェンは四年目までいるのか?」

「俺店継ぐから三年の予定でいるけど? いざとなったら編入できるし良いかなって」

 幼馴染二人は同じ学部ではあるが、李浩然リーハオランは四年制、呉宇軒ウーユーシュェンは三年制だ。経済学部は四年制の本科と三年制の専科でクラスが分かれていないため、今の所二人は一緒に授業を受けている。会計士などの資格を取りたい人はほとんどが本科の生徒だ。

「せっかく通うんだから本科にしたらどうだ? 勿体ないぞ」

「別に学位要らないからなぁ……」

 学位を貰えるのは本科の生徒だけだが、そもそも料理人になるのに学歴は不要だ。呉宇軒ウーユーシュェンとしては、その一年でどこかの店で修行したほうが余程いい。
 李先生は幼馴染にべったりな甥っ子が何も言わないことを不思議に思ったらしい。お前からも何か言ってくれと、李浩然リーハオランに同意を求める視線を向けた。

阿軒アーシュェンは北京料理の修行があるから。卒業後はうちに泊めればいいのでは?」

「あっ、その手があったな!」

 彼が紹介してくれた北京料理の店で修行を始める事にはなっていたものの、大学生活との両立はなかなか難しく、今のところ週三回店に出ることで落ち着いていた。
 李浩然リーハオランが卒業するまでの一年間を北京料理の修行に当てれば、確かに無駄がないし一緒に居られる。彼が祖父の弟子の店を紹介してくれたのは、先を見越してのことだったのかもしれない。

「例の『黒蓮楼』か? まあ、お前がそれで良いなら構わんが」

 あの店のことは李先生にも伝わっていたようで、彼は進学を希望しない呉宇軒ウーユーシュェンを残念に思いながらも渋々引き下がった。



 濡れた服を着替え、呉宇軒ウーユーシュェンは幼馴染を連れて李若汐リールオシーの部屋へ勉強の進み具合を見に行く事にした。足を忍ばせて向かったにも関わらず、扉を開けると目の前に仁王立ちした彼女が居て、思わずうわっと声が出る。

シュェン兄遅い!」

「待ち構えてる事ないだろ! まさかずっとそこに居たのか?」

「そんなわけ無いじゃん。二人が上がってきた音に気付いただけだし!」

 そう言って呉宇軒ウーユーシュェンの鳩尾にパンチすると、彼女はプンプン怒りながら机に戻って行った。ご丁寧にも椅子が二つ並んでいて、勉強を教えてもらう準備は万端だ。
 彼女の見事な一撃に痛む腹をさすると、呉宇軒ウーユーシュェンは幼馴染に目配せしてから隣に座った。

「それで、お姫様は何を教えてほしいんだ?」

「今はまだ大丈夫」

 机の上には数学の宿題が載っていて、彼女はスラスラと解いている。今の所順調そうだ。
 教えることがないと暇なので、呉宇軒ウーユーシュェンは横に積まれた問題集から一つ取って中身を流し見した。
 女の子の可愛らしい字で書き込みがたくさんされていて、どの問題も丸が付いている。ざっと目を通してみても間違えているところは見当たらない。この様子なら志望大学がどこでも余裕で受かる。

「これだけ出来てるなら、そんなに頑張らなくても大丈夫じゃないのか?」

「駄目なの! 私も高考ガオカオで満点取るんだから!」

 そう言うと、李若汐リールオシーは気合い十分に手を動かし始めた。何故そこまで拘るのか、妙に張り切っている。

「別に満点取らなくても合格できりゃ良いだろ」

「やだ。シュェン兄の高考ガオカオマウントうざいから、絶っっ対満点で合格してやる!」

 彼女の言葉に呉宇軒ウーユーシュェンは面食らった。まさか自分が原因だったとは。
 彼は吹き出しそうになるのをなんとか堪えると、後ろのベッドに座っていた李浩然リーハオランへ視線を向け、机に齧り付く彼女をこっそり指差した。

「ちょっとシュェン兄! 馬鹿にしてるでしょ!」

 からかう気配を感じてか、宿題に視線を落としたまま李若汐リールオシーが怒る。まるで後ろに目がついているようだ。

「何もしてないって!」

 笑いを堪えたままそろりと席を立つと、呉宇軒ウーユーシュェンは幼馴染を手招きして彼に椅子を譲ってやった。隣に居る人が入れ替わったらさぞびっくりするだろうと企んでいたのに、李浩然リーハオランは退こうとする彼の手をしっかり掴んで自分の元へ引き寄せると、膝の上に座らせてしまう。
 これはこれで驚くだろうな、と思いながらも幼馴染の暴挙に呆れていると、闘志を燃やす李若汐リールオシーがふと顔を上げた。

「……何してんの?」

 仲良く一つの椅子に座る二人に、彼女は冷ややかな眼差しを向ける。その顔は怒った時の李浩然リーハオランにそっくりで、呉宇軒ウーユーシュェンはついに我慢ができなくなってぷっと吹き出した。

「もう! イチャイチャするなら部屋に帰って!」

 女子にしては力が強い彼女にバシバシ叩かれ、堪らず後ろへのけ反る。すると李浩然リーハオランが手をかざして従姉妹の手から呉宇軒ウーユーシュェンを守ってくれた。

「ごめんって! やる事ないから暇で……あっ、自信ない教科とか無いのか?」

 慌てて話題を変えると、李若汐リールオシーはしばらく考え込んだ後に、恨みがましい顔をしながら口を開いた。

「……英語とか」

「俺英語得意だよ!」

 何を隠そう、呉宇軒ウーユーシュェンは高校時代、よく観光客相手に英語でガイドをしていたのだ。受け持った観光客をそのまま実家の店に誘導すると、その安さと美味しさに大層喜ばれ、いつしか予約が取れないほどの大人気ガイドになった。そういう訳で、呉宇軒ウーユーシュェン李浩然リーハオランよりも早くに英語をマスターして使いこなしていた。
 早速数学から英語に宿題を変えると、呉宇軒ウーユーシュェンは彼女のために分かりやすく文法の解説をして、次々に問題を解いて行かせる。李若汐リールオシーは飲み込みが早いので、少し教えただけでもうスラスラと書き始めた。
 隣でスペルミスが無いか注意しながら見守っていると、そう時間が経たないうちに英語の宿題が終わった。彼女はぐっと伸びをすると、すっきりした顔で呉宇軒ウーユーシュェンを見てにっこり笑う。

シュェン兄ありがと! 英語の宿題がこんなに早く終わったの初めてだよ」

「会話の練習相手もできるぞ。やっておくか?」

 彼女が頷いたので、今度は李浩然リーハオランも交えて三人で会話の練習を始めた。質問係と答える係を交互にしたり、即興で日常会話をしているうちに、いつしか寝る時間になっていた。
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