真面目ちゃんの裏の顔

てんてこ米

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第七章 家族の在り方

16 白馬の王子様

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 空港に着いて早々、お腹を空かせた呉宇軒ウーユーシュェンは空港前にあった揚げたてのピロシキの屋台を見つけた。その店は来た時には無かったもので、どうやら朝限定で出しているようだ。
 呉宇軒ウーユーシュェンが食欲を誘う美味しそうな香りに釣られて近付いていくと、きつね色のパンが油にぷかぷか浮いているのが見える。人の良さそうな笑みを浮かべたおばさんが見事な手捌きで次々揚げていくのを眺めていると、追いかけてきた李浩然リーハオランが一つください、と注文してくれた。

「あら、一つでいいの?」

「はい。彼の分だけで大丈夫です」

 昔からピロシキがあまり得意ではない彼は、不思議そうにするおばさんにそう断りを入れる。そして油紙に包まれた熱々のピロシキを受け取ると、そのまま幼馴染に手渡した。
 朝の冷たい空気に晒されて、もくもくといい香りの湯気が立つ。呉宇軒ウーユーシュェンが早速一口食べると、途端に口から白い煙が溢れ出て大変なことになった。

「美味い! 浩然ハオラン、お前もちょっと食べてみろよ」

 しっかり味が染みた春雨が美味しくて、これなら李浩然リーハオランも食べられそうだ。それに何より、寒い場所で食べる揚げたてのピロシキは格別で、得意ではないからといってこの味を逃すのは勿体ない。
 息を吹きかけて少し冷ましてから差し出すと、李浩然リーハオランは躊躇いがちに齧りついた。サクッといい音がして、どうやら彼もこのピロシキの味をお気に召したらしく、目を細めて微笑んだ。
 ふと、呉宇軒ウーユーシュェンは彼の唇が油でテカテカしていていることに気付く。まるでリップグロスを塗ったかのようで忍び笑っていると、それに気付いた李浩然リーハオランも吹き出した。

阿軒アーシュェン、口がすごいことになってる」

 同じものを食べたのだから当然だ。呉宇軒ウーユーシュェンは彼に体を寄せ、コートのポケットから携帯を取り出した。この面白い顔を記念に撮っておこうと思い、期待の眼差しで李浩然リーハオランを見つめる。

「ハハハッ、お揃いだな! 写真撮って若汐ルオシーに送ってやろうぜ」

 とっておきの提案だったのに、李浩然リーハオランは僅かに眉をひそめた。

「撮ったら建物の中に入ってくれる?」

 どうやら彼は呉宇軒ウーユーシュェンがこの寒さで風邪を引かないか心配で、早く空港の中に入りたいようだ。寒い中で食べる熱々のピロシキを気に入った呉宇軒ウーユーシュェンは、せっかちな幼馴染に不貞腐れた顔をする。

「外で食べるのが美味しいのにぃ……」

「わがまま言わない」

 やんわりと幼馴染を叱った李浩然リーハオランは、拗ねた顔をする彼の手から携帯を奪い取ると手早く写真を撮ってしまった。何枚か撮ろうと思っていたのに、彼に引っ張られるようにして空港へ連れて行かれてしまい、呉宇軒ウーユーシュェンは不満げに口を尖らせる。

浩然ハオラン! もうちょっといい感じの写真撮れただろ!?」

 建物の中は暖房が効いて暖かく、ピロシキの湯気もすっかり消えてしまった。幼馴染の撮った写真は可もなく不可もなくの出来栄えで、湯気を利用して面白写真を撮りたかった呉宇軒ウーユーシュェンはムッとして彼を睨む。とはいえ自分を心配している彼にあまり文句を言うのも気が引けるので、壁にあった案内の看板を見てさり気なく話題を変えた。

「ここ、お粥の店入ってるんだっけ? 中で少し暖まろうか。お前が風邪引いても困るしな」

 朝から空いている店はいくつかあるが、朝食と言えばやはりお粥だろう。写真の仕返しに彼をからかうのも忘れない。
 李浩然リーハオランは幼馴染の心配ばかりしているが、実のところ風邪を引きやすいのは彼自身なのだ。そして呉宇軒ウーユーシュェンの方は生まれつき免疫力があるのか、風邪を引いてもいつも軽症でピンピンしている。そういう訳で、二人同時に風邪になった時は、いつも呉宇軒ウーユーシュェンが彼のお世話役をしていた。

「俺が風邪を引いた時は、君が看病してくれるんだろう?」

「だからって、わざと風邪引くんじゃねぇぞ?」

 彼ならやりかねないと怪しんだ呉宇軒ウーユーシュェンは、幼馴染をジト目で睨みつける。すると彼の言うことが図星だったのか、李浩然リーハオランは誤魔化すようにさっと視線を逸らした。

「おーい、返事はどうした? ちゃんと俺の目を見ろよ!」

 顔を覗き込もうとすると、今度は体ごと避けられてしまう。分かったの一言すらなく、呉宇軒ウーユーシュェンは急に子どもみたいになった幼馴染にやれやれと肩を竦め、冷えた体を温めるためにお粥の店に彼を引っ張り込んだ。



 いつもより少し遅めの朝食を食べた後、ロビーでのんびりしている二人の元へ祖父母が見送りにやって来た。昨日呉宇軒ウーユーシュェンがいなくなった後に一悶着あったのか、祖父の頬には大きな湿布が貼られている。それを見て何があったか尋ねようかとも思ったが、彼は祖父の顔を立てて聞かないことにした。
 その代わり、呉宇軒ウーユーシュェンは昨日の夜から借りたままだった祖父のコートを脱いで返し、早速李浩然リーハオランを二人に紹介した。

「じいちゃん、ばあちゃん、昨日は連絡できなくてごめんね! 浩然ハオランが一緒に居てくれたんだけど、俺うっかりしてて」

 昨日写真を見せていたので、二人は紹介するまでもなく彼が孫の幼馴染だと気付き、久しぶり、と親しげに挨拶をする。そして祖母は立派な美青年に成長した李浩然リーハオランをまじまじと眺め、あの小さかった子がねぇ、と懐かしむように言った。

「お久しぶりです。昨日は阿軒アーシュェンがお世話になりました」

 丁寧な挨拶を返した彼の凛とした雰囲気に飲まれ、祖父たちの背筋が伸びる。
 やっと二人に自慢の幼馴染を紹介できた呉宇軒ウーユーシュェンは、テンションが上がってすっかり落ち着きを無くし、彼らが話し始める前に割り込んだ。

「俺のこと心配して、ハルビンまで来てくれたんだよ! 浩然ハオランはいつでも俺を助けてくれるんだ!」

「ああ、昨日電話で聞いたよ。こんな所まで来るなんて、小然シャオランはお前の白馬の王子様だな」

 呆れ混じりの祖父の言葉に、呉宇軒ウーユーシュェンはぱっと顔を輝かせて頷き、自慢げに胸を張った。二人は長らく李浩然リーハオランと会っていなかったので、今こそ彼の素晴らしさを教えなければと意気込む。

「そうなんだよ! 本当、コイツが居なかったら今頃どうなってたか……」

 祖父が昨日散々聞かされた幼馴染自慢がまた始まった……とうんざりするのも構わず、呉宇軒ウーユーシュェン李浩然リーハオランが夜遅くに駆けつけてくれた話をしては彼を褒め称えた。そして勢いのついた彼の話は止まることを知らず、昨日の晩の話からいつしか学校生活での話にまで広がり、祖父母を完全に置いてけぼりにしてしまっていた。
 昨夜気まずい空気の中別れたので心配していた二人は、孫が落ち込むどころか生き生きと楽しそうにしていて戸惑いの表情を浮かべる。その上、彼があまりにも大はしゃぎするので、祖父に至ってはその豹変ぶりに孫がおかしくなったと顔を引き攣らせた。

小軒シャオシュェン、お前どこかで頭でも打ったんじゃないだろうな」

「えっ、なんで!?」

 まだまだ語り足りない彼は、何がおかしいのか分からずきょとんとして祖父を見る。そんな無自覚な彼の横で、話題の中心に登っている李浩然リーハオランは必死に笑いを堪えて肩を震わせていた。

「お前の幼馴染語りはいつになったら終わるんだ? まさか一日中話しているつもりか?」

浩然ハオランの魅力が一日で語り切れると思う? 一週間はかかるね!」

 呆れ顔をする祖父に、呉宇軒ウーユーシュェンは目をきらりと光らせて負けじと言い返す。その答えに、祖父はぎょっとしてもうお手上げだと天を仰いだ。

「はいはい、その辺にしましょうね。あなたが幼馴染を大好きなのはもう充分伝わったわ。ほら、お土産持って来たのよ」

 嘆いている祖父を脇へ追いやり、祖母は苦笑いを浮かべると、話し足りなそうな顔をしている呉宇軒ウーユーシュェンに保冷バッグを手渡す。中身は昨日買ったハルビンソーセージだ。

「わあ、ありがとう! みんなで食べるね!」

 ずっしりと重いバッグを受け取り、呉宇軒ウーユーシュェンはニコニコしてお礼を言った。食べ盛りのルームメイトたちは大喜びするだろう。
 それでようやく長い幼馴染語りが終わり、祖父が安堵の表情を浮かべる。新しく貰ったお土産は、李浩然リーハオランが荷物の手続きをするために自分の物と一緒にまとめて持って行ってくれた。

「俺の幼馴染、最高に格好いいだろ?」

 昨日からずっと至れり尽くせりで幼馴染のお世話になっていた呉宇軒ウーユーシュェンは、ここぞとばかりに自慢しようとした。ところが孫による幼馴染語りですっかりお腹いっぱいの祖父はもういいから、と慌てて手を振って彼を静かにさせる。そして祖母と二人で改まった顔をすると、真面目な雰囲気で姿勢を正した。

小軒シャオシュェン、昨日のことなんだけど……」

 祖母の言葉に、呉宇軒ウーユーシュェンもこれはふざけている場合ではないなと身を正す。そして李浩然リーハオランが一人で手続きに行ったのはこのためだったのかと気付き、空気の読める彼に心の中で感謝した。
 祖母は胸に手を当てて深呼吸すると、静かに口を開いた。

「お父さんが言ったこと、本当にごめんなさいね。おばあちゃんたちが悪いのよ。あの件をあなたが背負う必要はないわ」

 父の話が出ると、さっきまでの楽しかった気持ちがたちまち萎んでしまう。彼女は申し訳なさそうにそう言うと、慈しむように呉宇軒ウーユーシュェンを抱きしめ、そっと囁いた。

「あなたが悪いんじゃないの。だからもう、そのことで悩まないで」

 胸の奥深くに刺さったままの棘が、その言葉にちくりと痛む。目の奥がジンと熱くなり、彼は震える祖母の背中にそっと手を回すと、込み上げてくる涙を堪えて力いっぱい抱きしめ返した。

「ありがとう。俺、もう平気だよ」

 幼馴染が側で支えてくれていたお陰で、心の傷はあの頃よりもずいぶんと小さくなった。一度ついた傷は治らなくとも、彼の支えがあればもう心配はない。
 呉宇軒ウーユーシュェンはもう大丈夫と繰り返し、しばらくの間、啜り泣く祖母の背を優しく撫でていた。
 手続きを終えた李浩然リーハオランが帰ってきて、そろそろ行こうかと話し始めたその時、後ろからバタバタと慌ただしい足音が聞こえてくる。

阿軒アーシュェン!」

 聞き覚えのある声が響き、呉宇軒ウーユーシュェンは顔を強張らせた。それと同時に、祖母も彼の後ろを見て青ざめる。
 振り返るとそこには、昨日の夜に見たままの姿をした父が立っていた。

「……あなた?」

 ゾッとする声がして、鬼の形相になった祖母が夫を睨む。それだけで、呉宇軒ウーユーシュェンは何があったのかすぐに察しがついた。
 祖父はまだ父子の和解を手助けする気でいるらしい。それも祖母に内緒でやったようで、修羅場一歩手前の空気をひしひしと感じる。

浩然ハオラン、行こう。あんな奴と話す必要なんてないし」

 搭乗手続きはとっくに済ませたので、あとはもう飛行機に乗り込むだけでいい。今更話し合う気などさらさら無かった呉宇軒ウーユーシュェンは幼馴染の腕を引いたが、どうしたことか彼は一歩も動かない。

浩然ハオラン?」

 不思議に思って呼びかけると、彼は考え込むような表情を浮かべたまま呉宇軒ウーユーシュェンを見た。彼の目には決意の色が浮かび、どうしても譲れないことがあるようだ。

阿軒アーシュェン、おじさんと少し話してきてもいい?」

「あんな奴と? 時間の無駄だよ?」

 思いがけない言葉に、呉宇軒ウーユーシュェンは驚いて目を見開く。あんなやつと何を話すことがあるのか、すぐにでも飛行機に乗りたいのに、李浩然リーハオランが真剣な眼差しで頷いたので彼は少しだけ不安になった。こうなった幼馴染はてこでも動かないと長年の付き合いで分かっている。

「……分かった。けど、すぐ戻ってきてくれよ?」

 止めるのは無理と判断した呉宇軒ウーユーシュェンは、それだけ約束させると渋々彼を送り出した。
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