しずくの旅路

しろがね白昼夢

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9期待するだけ無駄だ

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 ティアポットから頭だけ出しカタツムリスタイルで2人が夜の準備をしているのを眺めていたら、スコットが不意に聞いてきた

「そういえばティア様は食事が必要無いのは知ってますけど、食事は出来ないのですか?」

「残念だけど口に入ると噛む前に食べ物が消える」
 私が不憫に想うのか、彼は悲しい顔をしたので慌てて訂正する

「もう何百年前からそうだし諦めているよ。だからそんな顔しないでよ、何だかんだで食事無しで生きられるの便利だよ?何日もポットに籠もって寝られるからね」
 良いでしょう!胸を張り言う

「それを言われると神様も[ティア]に食事の必要性だけ与えて下されば良かったですね。どんなに寝てもお腹空いたら起きますから」
 テリアがすかさず釘刺してきた…でも確かにそうだね神様グッジョブ!

「まあ私は皆が食べてるのを見てるだけで十分楽しいし、気にしないでいいよ」

「分かりました、余計な事聞いてすみません。ティア様はやはり人とは異なる存在なんですね、何だか見た目は普通の人なのに…。あっ気を悪くしたらすみません、[ティア]という存在がただ不思議でつい」

「ティアじゃ無かったら普通の美少女だもんね!どうして神様は[ティア]の姿を人と同じに作ったんだろね?」

「美少女って自分で言うんですね…確かに可愛いですが、ティア様はもう少女ではありませんよね?」
 テリア酷い…嫉妬か!ティアの永遠の若さに嫉妬だねきっと後数年の若さを謳歌するがいい!

「まあ美人はともかく、ティア教会の聖書には人という存在が神様が世界に作った芸術品であると書かれていますし。[ティア]は人を模造して作られたと考えられます」
 ヘェ~、テリア何でも知ってるね、研究の為だろうか聖書なんてコアな物まで読んで凄!

「今の見た目に不満は無いけど、せめてドラゴンとかが良かった。飛べたら楽だし」

「ドラゴン?何ですか?」
 スコットが聞く、テリアも分からないみたいだ、そういえばこの世界モンスターいないもんなドラゴンも当然いないよね

「テリアも分からないと言うことは、この世界では物語とか空想でも出て来ないんだね。トカゲに羽はやして家ぐらいに大きくした生き物何だけど…トカゲは流石に知ってるよね?」

「はい、トカゲは街の中にはいますが…すみません、ティア様の前世にはそんな生き物がいたんですか?」
 スコットが驚いているが、私的に魔法が存在するファンタジー世界に何故ドラゴンがいない方が驚きだよ?

「居ないよ、私の前世にだった世界にドラゴンなんて実在しないただ空想の生き物だよ。それでそのドラゴンは飛ぶ事ができるから、今より楽だろうってね」
 飛んで数日で巡れる!きっと楽だし数十年寝ていても問題ない!
 まあ期待するだけ無駄だな!もう寝よう、そして夢の中で空でも飛ぼうじゃないか
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