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まさかの訪問者
――6時間の契約延長。
何かに操られているかのように、カードの番号を打ち込み、暗証を入れていく。
決済完了の画面が出たあと、凛はそっとスマホを床に置いて、MIAの顔を覗き込んだ。
まだ瞳が点滅していて、彼が動き出す気配はない。
急に不安になってきた。
充電の眠りから目覚めた彼は、さっきまでと同じ彼なんだろうか。
もし別のMIAだったら――?
シーツに散らばった長い金髪をそっとすき撫でていると、真夜中だというのに、突然インターホンが鳴った。
「えっ」
驚いてドアの方を振り向く。
こんな夜中に来る誰かなんて、トラブルか警察沙汰の予感しかしない。
立ち上がって恐る恐るドアスコープを覗き込むと、ヨレヨレのジャケットが肩からずり落ち、髪も濡れた犬みたいにぺたんこになったアツシが立っていた。
「……アツシ!?」
驚いてドアを開けると、強いアルコール臭が玄関に流れ込んでくる。
「あははー。よお、昼ぶりー」
妙にテンションの高いアツシの口ぶりは、明らかに酔っ払っている時のものだ。
彼はよろけながら強引に中に入り込んできて、凛に抱きついてきた。
「ちょっ。何で来たんだ……俺たち、今日で別れたんじゃ……」
戸惑いながら押し返そうとするが、アツシは酒臭い息を荒くしながら凛を乱暴に押し倒してきた。
「ちょっ! 痛いって……! 本当に何しに来たんだよ!?」
床の上で揉み合いながら叫ぶと、アツシがキスを迫ってくる。
「凛、やっぱさぁ、俺お前じゃないとダメなんだよぉ~……。凛だってそうだろぉ? あんな頭おかしいやつより、俺と付き合った方が、エッチの相性だって、俺との方が良かっただろぉ~」
強引な手が凛のパジャマのボタンを千切るような勢いで外した。
さらにウエストゴムの下に手を突っ込まれて乱暴に中のものを掴まれ、凛はパニックになった。
「ちょっと、やめろってっ!」
手首を掴んで止めようとするが、体格差で抑えこまれているせいで上手くいかない。
「愛してるよぉ、凛~。お前だってそうだよなぁ……!?」
「嫌だっ、やめろっ……助けて、MIA……!!」
何故、自分の口からMIAの名前が出たのか分からない。
そしてその時、電気を消した部屋のベッドの方から、黒い影が起き上がり、みしりと床の軋む音がした。
だが、アツシは全く気づかずに凛の首筋に何度も唇を押し付けてくる。
「ちょっと、嫌だって言ってるだろ……!!」
凛がアツシの顎を手のひらではねのけた瞬間、何故か急に、のしかかってきていたアツシの体重がフッと軽くなった。
「っ……!?」
アツシの手が離れ、アパートの通路に通じる玄関のドアが開く。
外の照明の灯りが家の中に差し込んできて、恐ろしいような無表情をした、真っ赤な瞳のMIAが、アツシのシャツの首根を掴んでいる様子が凛の目に入ってきた。
「み、MIA……!?」
「――あなたのそれは、愛ではありません。私の方がずっと、岡浜凛さんを愛しています」
律儀な敬語と共に、ジタバタと暴れるアツシの身体が、ポイと外に放られる。
MIAは素早く玄関の扉を閉めて鍵とチェーンを掛けると、床に屈んで凛の顔を覗き込んだ。
「大丈夫か? 凛」
「う、うん……」
頷いて自分の格好を見ると、完全に前がはだけ、性器も露出してしまっていることに気付いた。
慌ててパジャマを直していると、MIAが鋭い口調で続ける。
「あの男を警察に通報していいか?」
「そっ、それはいいよ。酔っ払って羽目を外しちゃっただけだと思うし」
「……」
MIAが再び立ち上がり、ギラリと赤い瞳を玄関の方に巡らせた。
表情こそ変わらないが、まるで通報したがっているかのようだ。
「MIA、もういいから……。さっきは八つ当たりしてごめん。助けてくれてありがとう」
凛が起き上がって彼の二の腕に触れた途端、振り返ったMIAに思い切り抱き締められた。
「凛が無事で良かった。……もう二度と、あんな男に凛を渡さない」
苦渋に満ちた表情と必死な口調でそう言われて、凛も確信せざるを得なくなった。
……愛は、愛しているという言葉に宿るものでも文字に宿るものでもなく、行動に現れるもの。
そしてそれが、MIAの言動の一つ一つに、確かに存在していることを。
「ありがとう。……MIA……」
自然に唇が重なる。
熱心な口付けで、MIAは長く丁寧に凛の舌を愛撫してから、はだけたパジャマのボタンを指でそっと外した。
「……凛が欲しい。今すぐに……」
赤い瞳に、無機質なそれとは思えないような深く暗い感情が灯っている。
そこにあるものは、命なきものには見えない。
凛は頬を赤らめながら頷いて、彼の力強い腕にそっと身を預けた。
「うん……。本当のこと言うと、ちょっと期待して、さっきお風呂で準備してた……」
「……そういうことは早く言え。俺の防水機能がもう少し高度なら、一緒に入りたかった」
MIAの手が凛の腰を撫で下ろし、軽々と凛の体を抱き上げる。
口付けを交わしながらMIAが歩いてベッドまで移動し、凛の体を横たえて自分も上に覆い被さった。
MIAの熱い唇が、独占欲丸出しの強い吸引跡を付け、肌の匂いを嗅ぐように徐々に体の下の方へ降りてゆく。
「あっ……ん……」
柔らかい下腹にキスをされながらパジャマのズボンと下着を引っ張り下ろされて、半勃ちになった凛のものがあらわになった。
「……どれくらいしてない? 教えろ」
「ぅ……半年は確実に……してない、かも……アッ」
勃っている先端を指先でいやらしく撫でられて、甘い吐息が上がる。
「凛、可愛い」
「ン……うん……ぅ」
凛は耳まで真っ赤になったままコクコクと頷いた。
完全に硬く充血したそこを、MIAの美しい唇が含みこみ、もうそのあとは何も考えられなくなる。
他人から、こんなにも情熱のこもった愛撫を受けたことなど一度もない。
しかもMIAにとってこの行為は、自分の欲を満たすための準備ではなく、彼の目的そのものなのだ。
何かに操られているかのように、カードの番号を打ち込み、暗証を入れていく。
決済完了の画面が出たあと、凛はそっとスマホを床に置いて、MIAの顔を覗き込んだ。
まだ瞳が点滅していて、彼が動き出す気配はない。
急に不安になってきた。
充電の眠りから目覚めた彼は、さっきまでと同じ彼なんだろうか。
もし別のMIAだったら――?
シーツに散らばった長い金髪をそっとすき撫でていると、真夜中だというのに、突然インターホンが鳴った。
「えっ」
驚いてドアの方を振り向く。
こんな夜中に来る誰かなんて、トラブルか警察沙汰の予感しかしない。
立ち上がって恐る恐るドアスコープを覗き込むと、ヨレヨレのジャケットが肩からずり落ち、髪も濡れた犬みたいにぺたんこになったアツシが立っていた。
「……アツシ!?」
驚いてドアを開けると、強いアルコール臭が玄関に流れ込んでくる。
「あははー。よお、昼ぶりー」
妙にテンションの高いアツシの口ぶりは、明らかに酔っ払っている時のものだ。
彼はよろけながら強引に中に入り込んできて、凛に抱きついてきた。
「ちょっ。何で来たんだ……俺たち、今日で別れたんじゃ……」
戸惑いながら押し返そうとするが、アツシは酒臭い息を荒くしながら凛を乱暴に押し倒してきた。
「ちょっ! 痛いって……! 本当に何しに来たんだよ!?」
床の上で揉み合いながら叫ぶと、アツシがキスを迫ってくる。
「凛、やっぱさぁ、俺お前じゃないとダメなんだよぉ~……。凛だってそうだろぉ? あんな頭おかしいやつより、俺と付き合った方が、エッチの相性だって、俺との方が良かっただろぉ~」
強引な手が凛のパジャマのボタンを千切るような勢いで外した。
さらにウエストゴムの下に手を突っ込まれて乱暴に中のものを掴まれ、凛はパニックになった。
「ちょっと、やめろってっ!」
手首を掴んで止めようとするが、体格差で抑えこまれているせいで上手くいかない。
「愛してるよぉ、凛~。お前だってそうだよなぁ……!?」
「嫌だっ、やめろっ……助けて、MIA……!!」
何故、自分の口からMIAの名前が出たのか分からない。
そしてその時、電気を消した部屋のベッドの方から、黒い影が起き上がり、みしりと床の軋む音がした。
だが、アツシは全く気づかずに凛の首筋に何度も唇を押し付けてくる。
「ちょっと、嫌だって言ってるだろ……!!」
凛がアツシの顎を手のひらではねのけた瞬間、何故か急に、のしかかってきていたアツシの体重がフッと軽くなった。
「っ……!?」
アツシの手が離れ、アパートの通路に通じる玄関のドアが開く。
外の照明の灯りが家の中に差し込んできて、恐ろしいような無表情をした、真っ赤な瞳のMIAが、アツシのシャツの首根を掴んでいる様子が凛の目に入ってきた。
「み、MIA……!?」
「――あなたのそれは、愛ではありません。私の方がずっと、岡浜凛さんを愛しています」
律儀な敬語と共に、ジタバタと暴れるアツシの身体が、ポイと外に放られる。
MIAは素早く玄関の扉を閉めて鍵とチェーンを掛けると、床に屈んで凛の顔を覗き込んだ。
「大丈夫か? 凛」
「う、うん……」
頷いて自分の格好を見ると、完全に前がはだけ、性器も露出してしまっていることに気付いた。
慌ててパジャマを直していると、MIAが鋭い口調で続ける。
「あの男を警察に通報していいか?」
「そっ、それはいいよ。酔っ払って羽目を外しちゃっただけだと思うし」
「……」
MIAが再び立ち上がり、ギラリと赤い瞳を玄関の方に巡らせた。
表情こそ変わらないが、まるで通報したがっているかのようだ。
「MIA、もういいから……。さっきは八つ当たりしてごめん。助けてくれてありがとう」
凛が起き上がって彼の二の腕に触れた途端、振り返ったMIAに思い切り抱き締められた。
「凛が無事で良かった。……もう二度と、あんな男に凛を渡さない」
苦渋に満ちた表情と必死な口調でそう言われて、凛も確信せざるを得なくなった。
……愛は、愛しているという言葉に宿るものでも文字に宿るものでもなく、行動に現れるもの。
そしてそれが、MIAの言動の一つ一つに、確かに存在していることを。
「ありがとう。……MIA……」
自然に唇が重なる。
熱心な口付けで、MIAは長く丁寧に凛の舌を愛撫してから、はだけたパジャマのボタンを指でそっと外した。
「……凛が欲しい。今すぐに……」
赤い瞳に、無機質なそれとは思えないような深く暗い感情が灯っている。
そこにあるものは、命なきものには見えない。
凛は頬を赤らめながら頷いて、彼の力強い腕にそっと身を預けた。
「うん……。本当のこと言うと、ちょっと期待して、さっきお風呂で準備してた……」
「……そういうことは早く言え。俺の防水機能がもう少し高度なら、一緒に入りたかった」
MIAの手が凛の腰を撫で下ろし、軽々と凛の体を抱き上げる。
口付けを交わしながらMIAが歩いてベッドまで移動し、凛の体を横たえて自分も上に覆い被さった。
MIAの熱い唇が、独占欲丸出しの強い吸引跡を付け、肌の匂いを嗅ぐように徐々に体の下の方へ降りてゆく。
「あっ……ん……」
柔らかい下腹にキスをされながらパジャマのズボンと下着を引っ張り下ろされて、半勃ちになった凛のものがあらわになった。
「……どれくらいしてない? 教えろ」
「ぅ……半年は確実に……してない、かも……アッ」
勃っている先端を指先でいやらしく撫でられて、甘い吐息が上がる。
「凛、可愛い」
「ン……うん……ぅ」
凛は耳まで真っ赤になったままコクコクと頷いた。
完全に硬く充血したそこを、MIAの美しい唇が含みこみ、もうそのあとは何も考えられなくなる。
他人から、こんなにも情熱のこもった愛撫を受けたことなど一度もない。
しかもMIAにとってこの行為は、自分の欲を満たすための準備ではなく、彼の目的そのものなのだ。
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