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5お持ち帰り猫
「――……なんでなんだろう……」
大きな洗濯ネットみたいな防護網を獣人医に借り、ぐっすり眠っている司をその中に包んで抱いたまま、俺は埼玉に帰る電車に揺られていた。
バリカンで刈られたのは目立たない尻や腹の方で、ところどころハゲが出来ている。
長毛種の毎日のブラッシングをサボると最終的にこうなってしまうという、典型的な末路だ……。
それにしても、おかしい。
ここ一ヶ月間……俺自身の周囲は、俺の記憶してる過去と全く変わらない世界だったはずだった。
クラスメイトも、教授も、授業のカリキュラムも……出会った時の会話ひとつすら、ちょっと不気味なぐらいに、前回と寸分違わずだ。
それなのに、司だけが何故こんなことになっている?
それでもって、俺はこの世界では彼とは全くの初対面なんだが、つい成り行きで家に連れて帰ることになってしまった。
だって、こんなボロボロの姿であの荒れた街に捨てていくなんて出来ない。
かと言って、身分証の司の住所に送り届けようにも、この頃の司は確か、新宿区内のマンションにオメガのキャバ嬢と同棲してたはず。
行っても時間帯的に出勤中で留守だろうし、留守じゃなかったとしても正直、きまずい。
何より、暴漢に襲われた場所から地理的に近過ぎるのも心配だ。
……という感じで、電車賃二人分払って、洗濯ネット入りのボロボロの大猫が今、膝の上にいるのだった。
寝たり暴れたりを繰り返す司を宥めすかして、都心から約一時間。
駅からも結構歩いた先にある自宅にようやく辿り着いたのは、またしても夜中の0時近くだった。
家に入ると、「のっぽの古時計」さながらのリビングの柱時計から、ボーン、ボーンと馬鹿でかい音が鳴っている。
司を抱いたまま頑張って手を使わずに靴を脱ぎ、俺は廊下と玄関の段差を登った。
来客応接用の我が家唯一の洋間に入り、防護ネットのファスナーを開いて、年代物の応接セットの古ソファに司をそっと下ろす。
司は時計の音で目を覚ましたのか、流石に起きていた。
彼は不思議そうに片目で俺を一瞥すると、一緒にソファに置いた俺のリュックを片手の爪でカリカリと引っ掻いている。
「……? ああ、服か。ちゃんと持ってきたよ」
リュックから司の服を取り出して、彼の目の前に置く。
すると、彼はその服を口に咥えて、ソファの座面からすとんと降り、背もたれの裏に入っていった。
……多分、人型になった時に裸を見られたくないのだろう。
「俺のことは気にしないで、ゆっくり着替えていい」
エアコンのスイッチを入れながら声をかけると、ソファの裏から、ニャーンと可愛い声で返事が聞こえた。
巨体に似合わぬその声のあまりの可憐さと、わざわざ隠れている奥ゆかしさに頭が沸騰しそうになった。
可愛い。余りにも、可愛い……。
いや、何を言ってるんだ俺は。
中身は浮気性のダメ男だぞ……。
頭を冷やすため、いったん部屋の外に出た。
一軒家の古家の宿命で、夜の廊下はほとんど外と変わらないほど寒々しい。
踏むたびにギシギシと音が鳴る床は芯から冷たくて、たちどころに体温が奪われる。
頭どころか全身が冷えた俺は、ビーズ暖簾をくぐって窓から隙間風の吹く台所に入り、古びた銅のやかんで湯を沸かし始めた。
司は猫舌だから、ぬるめの湯で入れる玉露が好きだったはず……。
来客用のお茶っ葉を急須に入れていると、いつの間にか、ラメ入り黒ジャケットとシャツを着た人型の司がキッチンの入り口に立っていた。
……しかも、何か、謎の動きをしている。
見れば、廊下との境目に下がっているジャラジャラのビーズ暖簾に無心にじゃれついていた。
そういえば、前の人生では、司が猫の時に飛びついて壊して、もう無くなってたっけ……。
「それはおもちゃじゃない」
注意すると、しゃらりと音を立てて垂れ下がったビーズを掻き分け、司が顔を見せた。
右目を眼帯で覆ってはいるが、白い滑らかな肌と、ガラス細工のような完璧に整った妖艶な顔立ち……。
幸いと言っていいのか、商売道具の顔には傷やあざは無いようだ。
だが、髪も肌も服も薄汚れてしまっていて、哀れを誘う。
本当はすぐに風呂に入らせたいけど、司の風呂嫌いには前回の人生でも手こずってるから、もう少しこの環境に慣れてからだな。
司の背丈は俺の知っている彼と変わらないけれど、背中まであった髪はまだ肩下くらいで短いし、若い分、少年のように頼りなく華奢に見えた。
「……お兄さん……見ず知らずなのに、助けてくれてありがとう……ええと、警察官さん?」
慣れない場所に連れてこられたせいか、俺が強面なせいか、司の顔は少し緊張しているようだった。
そりゃそうだよな、客として出会った訳じゃないし、謎の誘拐犯の可能性を疑われても仕方ない。
「……来年から警察官になる予定の、22歳の大学四年生だ。名前は、梶 貴弘」
「同じ年……!? もっとおっさんかと思ったよ……」
「相変わらずズケズケ言うよな……」
「相変わらず?」
「いや、こっちの話だ……。茶を入れるから、応接間で座っててくれないか」
年が同じだと分かると一気に安心したのか、相手はほっとしたような表情になった。
「……俺、熱い飲み物、飲めないんだけど」
「分かってる」
俺の返した言葉に、司が柔らかく微笑む。
黙ってると妖しいほどの美形なのに、誰でも彼のことを好きにならざるを得ないような、どこか無邪気な天使の笑み。
「……初対面なのに、なんで知ってるの」
「……ね、猫は一般的に猫舌なものだろ」
危ない危ない……。
ヒヤッとしながら、司の表情を盗み見る。
本当に、人型でも笑うと凄く可愛い……
「それにしても、広いお屋敷だね。お兄さん、さては結構なお金持ち?」
……くない!!
早速俺の財産を品定めするとは……!
「家は単なる親の遺産だ。埼玉のど田舎だし、資産的価値は雀の涙しかない」
「ふぅん、そうなんだ……俺はこーいうレトロな家、好きだけどなぁ。爪研ぎ場所多いし、隠れ場所いっぱいありそうだし……寒いのはちょっと嫌だけど」
廊下のあちこちに目をやりながら、司が応接間の方に戻っていく。
……それはそうだろう、と心の中で俺は呟いた。
司はうちの家が古いのをいいことに、削り倒されるかと思うくらい、全部の柱で爪研ぎしまくっていたからな……。
だが、今回はそんなことはさせないぞ。
こっそり心の中で覚悟を決めながら、人肌くらいのぬるさになるまで二つの湯呑みの間を行き来させたお湯を玉露の茶葉に注いだ。
十分に蒸らしてから、小さめの湯呑みに注ぎ入れ、ちょうど棚に入っていた高級・薄焼き薄味いわし煎餅と一緒に盆に載せて司の待つ応接間に戻る。
「どうぞ」
革張ソファに座った司の前のテーブルに菓子と茶を出すと、小さな猫耳のついた頭がぺこりと下がった。
「あ、どうも」
そう言って顔を上げた時、目の前に出された魚型の煎餅を見て、司は片方の目を輝かせた。
「これ、俺の大好物……嬉しい、ありがとう」
素直な感謝の言葉に、抑えていたはずの感情が乱される。
思わず固まっていると、司が首を横に傾げた。
「……でも、結構マニアックな菓子だから、このへんじゃ売ってないはずだけど。貴弘君も好きなの?」
……別に好きな訳ではないが、つい癖でストックをネット通販してしまった、とは言えない。
「う、うん。美味い上にカルシウムが取れる」
俺は誤魔化しながら、向かい側のソファに座った。
大きな洗濯ネットみたいな防護網を獣人医に借り、ぐっすり眠っている司をその中に包んで抱いたまま、俺は埼玉に帰る電車に揺られていた。
バリカンで刈られたのは目立たない尻や腹の方で、ところどころハゲが出来ている。
長毛種の毎日のブラッシングをサボると最終的にこうなってしまうという、典型的な末路だ……。
それにしても、おかしい。
ここ一ヶ月間……俺自身の周囲は、俺の記憶してる過去と全く変わらない世界だったはずだった。
クラスメイトも、教授も、授業のカリキュラムも……出会った時の会話ひとつすら、ちょっと不気味なぐらいに、前回と寸分違わずだ。
それなのに、司だけが何故こんなことになっている?
それでもって、俺はこの世界では彼とは全くの初対面なんだが、つい成り行きで家に連れて帰ることになってしまった。
だって、こんなボロボロの姿であの荒れた街に捨てていくなんて出来ない。
かと言って、身分証の司の住所に送り届けようにも、この頃の司は確か、新宿区内のマンションにオメガのキャバ嬢と同棲してたはず。
行っても時間帯的に出勤中で留守だろうし、留守じゃなかったとしても正直、きまずい。
何より、暴漢に襲われた場所から地理的に近過ぎるのも心配だ。
……という感じで、電車賃二人分払って、洗濯ネット入りのボロボロの大猫が今、膝の上にいるのだった。
寝たり暴れたりを繰り返す司を宥めすかして、都心から約一時間。
駅からも結構歩いた先にある自宅にようやく辿り着いたのは、またしても夜中の0時近くだった。
家に入ると、「のっぽの古時計」さながらのリビングの柱時計から、ボーン、ボーンと馬鹿でかい音が鳴っている。
司を抱いたまま頑張って手を使わずに靴を脱ぎ、俺は廊下と玄関の段差を登った。
来客応接用の我が家唯一の洋間に入り、防護ネットのファスナーを開いて、年代物の応接セットの古ソファに司をそっと下ろす。
司は時計の音で目を覚ましたのか、流石に起きていた。
彼は不思議そうに片目で俺を一瞥すると、一緒にソファに置いた俺のリュックを片手の爪でカリカリと引っ掻いている。
「……? ああ、服か。ちゃんと持ってきたよ」
リュックから司の服を取り出して、彼の目の前に置く。
すると、彼はその服を口に咥えて、ソファの座面からすとんと降り、背もたれの裏に入っていった。
……多分、人型になった時に裸を見られたくないのだろう。
「俺のことは気にしないで、ゆっくり着替えていい」
エアコンのスイッチを入れながら声をかけると、ソファの裏から、ニャーンと可愛い声で返事が聞こえた。
巨体に似合わぬその声のあまりの可憐さと、わざわざ隠れている奥ゆかしさに頭が沸騰しそうになった。
可愛い。余りにも、可愛い……。
いや、何を言ってるんだ俺は。
中身は浮気性のダメ男だぞ……。
頭を冷やすため、いったん部屋の外に出た。
一軒家の古家の宿命で、夜の廊下はほとんど外と変わらないほど寒々しい。
踏むたびにギシギシと音が鳴る床は芯から冷たくて、たちどころに体温が奪われる。
頭どころか全身が冷えた俺は、ビーズ暖簾をくぐって窓から隙間風の吹く台所に入り、古びた銅のやかんで湯を沸かし始めた。
司は猫舌だから、ぬるめの湯で入れる玉露が好きだったはず……。
来客用のお茶っ葉を急須に入れていると、いつの間にか、ラメ入り黒ジャケットとシャツを着た人型の司がキッチンの入り口に立っていた。
……しかも、何か、謎の動きをしている。
見れば、廊下との境目に下がっているジャラジャラのビーズ暖簾に無心にじゃれついていた。
そういえば、前の人生では、司が猫の時に飛びついて壊して、もう無くなってたっけ……。
「それはおもちゃじゃない」
注意すると、しゃらりと音を立てて垂れ下がったビーズを掻き分け、司が顔を見せた。
右目を眼帯で覆ってはいるが、白い滑らかな肌と、ガラス細工のような完璧に整った妖艶な顔立ち……。
幸いと言っていいのか、商売道具の顔には傷やあざは無いようだ。
だが、髪も肌も服も薄汚れてしまっていて、哀れを誘う。
本当はすぐに風呂に入らせたいけど、司の風呂嫌いには前回の人生でも手こずってるから、もう少しこの環境に慣れてからだな。
司の背丈は俺の知っている彼と変わらないけれど、背中まであった髪はまだ肩下くらいで短いし、若い分、少年のように頼りなく華奢に見えた。
「……お兄さん……見ず知らずなのに、助けてくれてありがとう……ええと、警察官さん?」
慣れない場所に連れてこられたせいか、俺が強面なせいか、司の顔は少し緊張しているようだった。
そりゃそうだよな、客として出会った訳じゃないし、謎の誘拐犯の可能性を疑われても仕方ない。
「……来年から警察官になる予定の、22歳の大学四年生だ。名前は、梶 貴弘」
「同じ年……!? もっとおっさんかと思ったよ……」
「相変わらずズケズケ言うよな……」
「相変わらず?」
「いや、こっちの話だ……。茶を入れるから、応接間で座っててくれないか」
年が同じだと分かると一気に安心したのか、相手はほっとしたような表情になった。
「……俺、熱い飲み物、飲めないんだけど」
「分かってる」
俺の返した言葉に、司が柔らかく微笑む。
黙ってると妖しいほどの美形なのに、誰でも彼のことを好きにならざるを得ないような、どこか無邪気な天使の笑み。
「……初対面なのに、なんで知ってるの」
「……ね、猫は一般的に猫舌なものだろ」
危ない危ない……。
ヒヤッとしながら、司の表情を盗み見る。
本当に、人型でも笑うと凄く可愛い……
「それにしても、広いお屋敷だね。お兄さん、さては結構なお金持ち?」
……くない!!
早速俺の財産を品定めするとは……!
「家は単なる親の遺産だ。埼玉のど田舎だし、資産的価値は雀の涙しかない」
「ふぅん、そうなんだ……俺はこーいうレトロな家、好きだけどなぁ。爪研ぎ場所多いし、隠れ場所いっぱいありそうだし……寒いのはちょっと嫌だけど」
廊下のあちこちに目をやりながら、司が応接間の方に戻っていく。
……それはそうだろう、と心の中で俺は呟いた。
司はうちの家が古いのをいいことに、削り倒されるかと思うくらい、全部の柱で爪研ぎしまくっていたからな……。
だが、今回はそんなことはさせないぞ。
こっそり心の中で覚悟を決めながら、人肌くらいのぬるさになるまで二つの湯呑みの間を行き来させたお湯を玉露の茶葉に注いだ。
十分に蒸らしてから、小さめの湯呑みに注ぎ入れ、ちょうど棚に入っていた高級・薄焼き薄味いわし煎餅と一緒に盆に載せて司の待つ応接間に戻る。
「どうぞ」
革張ソファに座った司の前のテーブルに菓子と茶を出すと、小さな猫耳のついた頭がぺこりと下がった。
「あ、どうも」
そう言って顔を上げた時、目の前に出された魚型の煎餅を見て、司は片方の目を輝かせた。
「これ、俺の大好物……嬉しい、ありがとう」
素直な感謝の言葉に、抑えていたはずの感情が乱される。
思わず固まっていると、司が首を横に傾げた。
「……でも、結構マニアックな菓子だから、このへんじゃ売ってないはずだけど。貴弘君も好きなの?」
……別に好きな訳ではないが、つい癖でストックをネット通販してしまった、とは言えない。
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2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。