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仮交際始めました
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事故的に犬塚さんの逸品を見せられた俺は、しばらく目に焼き付いたものがモヤモヤ脳裏から離れなくて苦労した……。
相手はあの後アッサリ犬になっちまって、もう話も出来ねぇし。
ーーフリスビーとか最低限のもんだけ入れて軽くしたランニングバッグを背負い、地下からエレベーターで上がりながらふと疑問が湧いた。
もしかしてワザと見せられた……? まさかそんな訳ねぇよな。
狭い箱の中で、足元のでっかいゴールデンレトリバーを疑いの目で見てしまう。
すると視線に気付いたのか、犬塚さんは堪らなく可愛い黒い目で俺を見上げ、手の甲をペロペロと舐めてきた。
あああ……っ!
こんな天使みてぇに可愛い犬がそんな露出狂みてぇな事する訳ねぇ……!
思わず跪いてひしっと抱き締めそうになったとこで、エレベーターは地上階についてしまった。
あーあ。
ビルから外に出ると、駅から皇居までまっすぐ通ってるだだっ広い通りを犬塚さんと歩いた。
空は雲ひとつないくらい晴れてるが、三月のせいか立ち並ぶ裸のイチョウ並木が少し寒々しい。
前方に石垣が現れ、大きな堀を渡ってしばらく行くと車道挟んで内堀側に色とりどりのウェアを着たランナーが走ってるのが見える。
手前の綺麗な噴水公園で軽く準備運動してから車道を渡り、左手に内堀と石垣、右手に公園を眺めながら反時計周りにランニングをスタートした。
東京のど真ん中とは思えねぇくらい緑が綺麗だし、周りもみんな走ってるしモチベーション上がるなぁ。
ヨーシ、走るぞー!
……と、やる気マンマンだったのは最初の5分から10分てところで……。
コースの北側に入り、竹橋渡ったあたりで緩やかな登り坂がダラダラと続き、景色も微妙に変わり映えがしなくなって、地味にキツくなってきた。
いかに普段運動不足かが身体に出ちまってる。
「ハァッ、はぁっ、犬塚さぁんっ待って……」
かなーり前方でワンッワンッと俺を励ます声が聞こえる……。
きッつ……いつまで続くんだこの勾配。
犬塚さんが爪でアスファルト蹴りながらタッタッと逆回りに引き返してくる。
ちょっ、逆走禁止だってば。
あっという間に彼がすぐ目の前に現れ、グルンと尻を向けると、犬にとっては早足くらいの足並みで俺を先導し始めた。
走らないの?みたいな感じでキラキラした黒目がこっちを振り返って、引き攣った笑みを返す。
うん、あの、俺一応走ってるんだよこれでも。
プレッシャーをヒシヒシ感じながらしばらく伴走して貰ってたら、後ろから他のランナーが近付いてくる気配がした。
はー、また抜かされる……と思っていたら、小柄なランナーが俺の隣に並んだ。
「わぁ~凄いカッコいいわんちゃんですね!」
鈴の鳴るような綺麗な声で突然話しかけられ、驚いて横を向く。
気づけばアイドルみてぇにキレイな二十代くらいの若い女の子が、走りながら俺に微笑みかけていた。
美人感の高いサラサラボブヘアーに、ピンクの迷彩柄タンクトップ一枚とレギンスっていう露出度高めの格好で、しかも胸がメチャクチャでかい。
それが俺の目の前でバインバイン揺れてて、完全に目が釘付けになった。
ウッワァ……完っ全に俺のタイプにどストライク。
「あはぁ……あ、ありがとうございますぅ……」
苦しかったのも忘れ、デヘヘ、なんて笑いながら頭を掻く。目の前の彼女がニッコリ笑い、揺れる髪からフンワリいい匂いが漂った。
女の子はコレだからいいよなぁ……!
「いつもここでワンちゃんと一緒に走ってらっしゃるんですかぁ?」
「あっ、いえっ、俺、今日が初めてでっ」
「そうですよねぇ~。いつものこの時間では見たことないなぁって思ってー」
いやはや、俺もいつも見られないようなモノを見せてもらってホントに眼福です。
やっぱ女の子のマシュマロおっぱいは最高……!
この世の宝なんじゃねぇ?
「それじゃ、お先にー」
「はぁい、それじゃまたー」
指を揃えて折りながらバイバイする。
すげー巨乳美人だったー……ここ、芸能人もちょくちょく走ってるらしいもんな。
こんな出会いがあんなら、これからもチョイチョイランニングに来るのもいいかも、なんてデレデレしながら走ってたら、思い出した。
俺、一応今デート中……!
しかも気が付いたら目の前に犬塚さんがいねぇ。
えっホントどこいったんだ。
いつのまにか置いてかれてた!?
「いっ、犬塚さぁん……!」
俺は情けなく叫んだが、返事が返ってくる事は無かった。
途中スタミナ切れで死にそうになりながらコースを一周回りきった場所で、犬塚さんはオスワリで待っていた。
「ぜっ、はぁっ、よかっ、た、犬塚さん、いたっ」
犬だと電話掛けるわけにもいかねぇーし、このままサヨナラになったらどうしようかと思ったよ。
ホッとしたのも束の間、目の前のゴールデンはこっちを見もしねぇでトコトコ歩き出した。
何だろう……様子がおかしい。
いつもの感じなら思いっきり尻尾振って出迎えてくれそうなのに、毛が逆立った尾は小刻みにフラフラしている。
心なしか目も泳いでる……というか、逸らされてる?
「ごめん、遅くなっちまって……ほら、フリスビーしよ?」
誘ったのに、犬塚さんはグルウゥと喉から低い唸りを漏らしながら鋭い牙を剥き、プイとそっぽを向いてしまった。
相手はあの後アッサリ犬になっちまって、もう話も出来ねぇし。
ーーフリスビーとか最低限のもんだけ入れて軽くしたランニングバッグを背負い、地下からエレベーターで上がりながらふと疑問が湧いた。
もしかしてワザと見せられた……? まさかそんな訳ねぇよな。
狭い箱の中で、足元のでっかいゴールデンレトリバーを疑いの目で見てしまう。
すると視線に気付いたのか、犬塚さんは堪らなく可愛い黒い目で俺を見上げ、手の甲をペロペロと舐めてきた。
あああ……っ!
こんな天使みてぇに可愛い犬がそんな露出狂みてぇな事する訳ねぇ……!
思わず跪いてひしっと抱き締めそうになったとこで、エレベーターは地上階についてしまった。
あーあ。
ビルから外に出ると、駅から皇居までまっすぐ通ってるだだっ広い通りを犬塚さんと歩いた。
空は雲ひとつないくらい晴れてるが、三月のせいか立ち並ぶ裸のイチョウ並木が少し寒々しい。
前方に石垣が現れ、大きな堀を渡ってしばらく行くと車道挟んで内堀側に色とりどりのウェアを着たランナーが走ってるのが見える。
手前の綺麗な噴水公園で軽く準備運動してから車道を渡り、左手に内堀と石垣、右手に公園を眺めながら反時計周りにランニングをスタートした。
東京のど真ん中とは思えねぇくらい緑が綺麗だし、周りもみんな走ってるしモチベーション上がるなぁ。
ヨーシ、走るぞー!
……と、やる気マンマンだったのは最初の5分から10分てところで……。
コースの北側に入り、竹橋渡ったあたりで緩やかな登り坂がダラダラと続き、景色も微妙に変わり映えがしなくなって、地味にキツくなってきた。
いかに普段運動不足かが身体に出ちまってる。
「ハァッ、はぁっ、犬塚さぁんっ待って……」
かなーり前方でワンッワンッと俺を励ます声が聞こえる……。
きッつ……いつまで続くんだこの勾配。
犬塚さんが爪でアスファルト蹴りながらタッタッと逆回りに引き返してくる。
ちょっ、逆走禁止だってば。
あっという間に彼がすぐ目の前に現れ、グルンと尻を向けると、犬にとっては早足くらいの足並みで俺を先導し始めた。
走らないの?みたいな感じでキラキラした黒目がこっちを振り返って、引き攣った笑みを返す。
うん、あの、俺一応走ってるんだよこれでも。
プレッシャーをヒシヒシ感じながらしばらく伴走して貰ってたら、後ろから他のランナーが近付いてくる気配がした。
はー、また抜かされる……と思っていたら、小柄なランナーが俺の隣に並んだ。
「わぁ~凄いカッコいいわんちゃんですね!」
鈴の鳴るような綺麗な声で突然話しかけられ、驚いて横を向く。
気づけばアイドルみてぇにキレイな二十代くらいの若い女の子が、走りながら俺に微笑みかけていた。
美人感の高いサラサラボブヘアーに、ピンクの迷彩柄タンクトップ一枚とレギンスっていう露出度高めの格好で、しかも胸がメチャクチャでかい。
それが俺の目の前でバインバイン揺れてて、完全に目が釘付けになった。
ウッワァ……完っ全に俺のタイプにどストライク。
「あはぁ……あ、ありがとうございますぅ……」
苦しかったのも忘れ、デヘヘ、なんて笑いながら頭を掻く。目の前の彼女がニッコリ笑い、揺れる髪からフンワリいい匂いが漂った。
女の子はコレだからいいよなぁ……!
「いつもここでワンちゃんと一緒に走ってらっしゃるんですかぁ?」
「あっ、いえっ、俺、今日が初めてでっ」
「そうですよねぇ~。いつものこの時間では見たことないなぁって思ってー」
いやはや、俺もいつも見られないようなモノを見せてもらってホントに眼福です。
やっぱ女の子のマシュマロおっぱいは最高……!
この世の宝なんじゃねぇ?
「それじゃ、お先にー」
「はぁい、それじゃまたー」
指を揃えて折りながらバイバイする。
すげー巨乳美人だったー……ここ、芸能人もちょくちょく走ってるらしいもんな。
こんな出会いがあんなら、これからもチョイチョイランニングに来るのもいいかも、なんてデレデレしながら走ってたら、思い出した。
俺、一応今デート中……!
しかも気が付いたら目の前に犬塚さんがいねぇ。
えっホントどこいったんだ。
いつのまにか置いてかれてた!?
「いっ、犬塚さぁん……!」
俺は情けなく叫んだが、返事が返ってくる事は無かった。
途中スタミナ切れで死にそうになりながらコースを一周回りきった場所で、犬塚さんはオスワリで待っていた。
「ぜっ、はぁっ、よかっ、た、犬塚さん、いたっ」
犬だと電話掛けるわけにもいかねぇーし、このままサヨナラになったらどうしようかと思ったよ。
ホッとしたのも束の間、目の前のゴールデンはこっちを見もしねぇでトコトコ歩き出した。
何だろう……様子がおかしい。
いつもの感じなら思いっきり尻尾振って出迎えてくれそうなのに、毛が逆立った尾は小刻みにフラフラしている。
心なしか目も泳いでる……というか、逸らされてる?
「ごめん、遅くなっちまって……ほら、フリスビーしよ?」
誘ったのに、犬塚さんはグルウゥと喉から低い唸りを漏らしながら鋭い牙を剥き、プイとそっぽを向いてしまった。
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