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第2章.妖精王
030縫.『ピント団』構想!
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キュルムの町の長老さんから衝撃のひと言を聞き、明らかにへこんでいるアカリ……
すると今まで堅く口を閉ざしていたニックが、高いトーンの声で軽快なジャブを繰り出しました。
「あのー、このままではあまりにもお姉ちゃんが不憫でねー。
なので母上のキョウコ様、そしてお姉ちゃんと2代に渡ってお供をさせてもらってるボクから言わさせてもらいまーす!」
そして、声のトーンを低くしてシリアスに言ってのけました。
「ハッキリ言って、潜在能力で比べたらお姉ちゃんの方が断然上だよー。」
「それは……この子の方がキョウコ様より能力値が高い、という事ですかな?
それとも、キョウコ様には無い能力をこの子が有している、とでも?」
何て言うか……アンタ達どれだけ “ キョウコ様LOVE”なんですか、とニックは思いながら……
「正直言うとボクもお姉ちゃんとは出会ったばかりなのー。
能力の程もまだ掴みかねてるのー。
だけど、ひとつだけ分かっている事がありまーす。」
ニックは更に長老さんの耳に近付き、小声で囁きました。
「お姉ちゃんは、『天界』の扉を開ける事が “ 出来る ” お方なんでーす。
長老さんならこの意味、分かりますよねー?」
「なるほど、確かにそれは大きな声では言えませんわな。
その言葉の意味の重大さ……よく身に染みて分かっているつもりじゃ。
何せ、ワシも “ あの場 ” に立ち会っておる1人なんじゃからのぉ……」
長老さんの言う “ あの場 ” とは、一体何なのでしょうか……?
ニックと長老さんは再び声のトーンをいつも通りに戻しました。
「では長老さん、ココをしばらく活動の拠点にしたいのですがー。」
「済まない、今は寝床と1日2回の食事しか用意出来ないんじゃ。
今の段階で、町の外から来た客人に出来る最大のもてなしなんじゃよ……」
アカリが首を傾げて聞きました。
「今の段階で……とは、どういう意味ですか?」
「実はの、最近ワープホールに緩みが生じておる様なんじゃ。
そのお陰で “ 次元の歪み ” が広がってしまって、モンスター達が前よりも大量に発生してしまっておるんじゃよ。」
どうやら、次元の歪みが出来てしまったのはそのワープホールという孔が原因らしいですね。
「その孔は、30年ほど前に起きたとある闘いが原因の一端であると言われておる。
それが『キュルミー大戦』と呼ばれるものじゃよ。
バトルで負かしたモンスターと主従関係を結ぶ事を “ テイム ” と言うんじゃが、テイムしたモンスターを駆使して闘いを挑む者を『獣着師』と言うんじゃ。
キュルミーの中でも特に秀でた能力を持つ少女は『白い巫女』と呼ばれ、今までも数100年から数1000年に1人この地上界に降臨するのじゃが……
30年ほど前に降臨なさった『白い巫女』がキョウコ様だったんじゃ。
『白い巫女』様はこの大戦を勝利に導き、英雄と称される様になった。
それからワシらは彼女を崇拝する様になり、この町を作ったんじゃ。」
お母さんの話をする時の長老さんの顔、嬉しそうですね!
自分の事の様に嬉しくなってしまいます。
「それで、そなたにお願いがあるんじゃ。
もしもキョウコ様が本当にそなたの母君なら、キョウコ様に再会出来たらワシらに顔を見せに来てくれんかの?」
アカリはニコッと微笑んで言いました。
「えぇ、そういう事でしたら喜んで!」
「しかし、あまり長くは待っていられんかも知れんぞい?
なぜなら最近、この大戦の時に出来た空間のヒビが新たなワープホールになり新たなモンスターを生み出しておるんじゃ!
その為に、商人達のの行商路が潰されたり商隊が襲われたりしてワシらの生活に深刻な影響を与えておるんじゃ。
だから、『白い巫女』様の意志を継ぎし者達が手と手を取り合う事にした。
それが5大陸を股に駆ける巨大商業ギルド、『桃兎団』構想なんじゃよ!」
「 “ ピント団 ” って……何なんですか?」
「ピント団、というのはじゃな……
中心メンバーは、キュルミーが着るきぐるみの “ 能力 ” こそ平和を導く力、と信じて疑わん者達じゃ。
だから、『白い巫女』様の着ていたきぐるみ、すなわちそなたが今着ておる “ キュイぐるみ ” を皆神聖視しておるんじゃ。
だからきぐるみの中でもウサギが最高位に位置付けられており、この土地の言葉でピント様って呼ばれておるんじゃ。」
はぁ……だからさっきワタシが着てるキュイぐるみを見て、皆さん異様なテンションになっていたんですね。
「そなたもあの中央広場の掲示板に貼ってあるモノを見たじゃろ?
あの『ピンクの兎のステッカー』こそ、ピント団の象徴なのじゃ。」
あ、そのステッカーはさっき長老さんが持っていたラム酒のビンにも描かれていましたね……
「あまり待てないっていうのは、周りの町村にもピント団構想を広め薦めておるんじゃが、どうやらこの構想に異を唱える者達がおるみたいなんじゃ。
主に盗賊団が中心らしいんじゃが、そいつらに利権絡みで損をする者達が複雑に絡み付いてあちこちで紛争を起こしておるらしいんじゃよ。
個人的なスキルだけで集団的な戦闘力を持たないワシらは、ジリジリと後退を余儀無くされておるのが現状なんじゃ。」
長老さんの話では、盗賊団などの敵対勢力に押され気味で困窮極まっているらしいですね。
何とかしてあげられないでしょうか……?
すると今まで堅く口を閉ざしていたニックが、高いトーンの声で軽快なジャブを繰り出しました。
「あのー、このままではあまりにもお姉ちゃんが不憫でねー。
なので母上のキョウコ様、そしてお姉ちゃんと2代に渡ってお供をさせてもらってるボクから言わさせてもらいまーす!」
そして、声のトーンを低くしてシリアスに言ってのけました。
「ハッキリ言って、潜在能力で比べたらお姉ちゃんの方が断然上だよー。」
「それは……この子の方がキョウコ様より能力値が高い、という事ですかな?
それとも、キョウコ様には無い能力をこの子が有している、とでも?」
何て言うか……アンタ達どれだけ “ キョウコ様LOVE”なんですか、とニックは思いながら……
「正直言うとボクもお姉ちゃんとは出会ったばかりなのー。
能力の程もまだ掴みかねてるのー。
だけど、ひとつだけ分かっている事がありまーす。」
ニックは更に長老さんの耳に近付き、小声で囁きました。
「お姉ちゃんは、『天界』の扉を開ける事が “ 出来る ” お方なんでーす。
長老さんならこの意味、分かりますよねー?」
「なるほど、確かにそれは大きな声では言えませんわな。
その言葉の意味の重大さ……よく身に染みて分かっているつもりじゃ。
何せ、ワシも “ あの場 ” に立ち会っておる1人なんじゃからのぉ……」
長老さんの言う “ あの場 ” とは、一体何なのでしょうか……?
ニックと長老さんは再び声のトーンをいつも通りに戻しました。
「では長老さん、ココをしばらく活動の拠点にしたいのですがー。」
「済まない、今は寝床と1日2回の食事しか用意出来ないんじゃ。
今の段階で、町の外から来た客人に出来る最大のもてなしなんじゃよ……」
アカリが首を傾げて聞きました。
「今の段階で……とは、どういう意味ですか?」
「実はの、最近ワープホールに緩みが生じておる様なんじゃ。
そのお陰で “ 次元の歪み ” が広がってしまって、モンスター達が前よりも大量に発生してしまっておるんじゃよ。」
どうやら、次元の歪みが出来てしまったのはそのワープホールという孔が原因らしいですね。
「その孔は、30年ほど前に起きたとある闘いが原因の一端であると言われておる。
それが『キュルミー大戦』と呼ばれるものじゃよ。
バトルで負かしたモンスターと主従関係を結ぶ事を “ テイム ” と言うんじゃが、テイムしたモンスターを駆使して闘いを挑む者を『獣着師』と言うんじゃ。
キュルミーの中でも特に秀でた能力を持つ少女は『白い巫女』と呼ばれ、今までも数100年から数1000年に1人この地上界に降臨するのじゃが……
30年ほど前に降臨なさった『白い巫女』がキョウコ様だったんじゃ。
『白い巫女』様はこの大戦を勝利に導き、英雄と称される様になった。
それからワシらは彼女を崇拝する様になり、この町を作ったんじゃ。」
お母さんの話をする時の長老さんの顔、嬉しそうですね!
自分の事の様に嬉しくなってしまいます。
「それで、そなたにお願いがあるんじゃ。
もしもキョウコ様が本当にそなたの母君なら、キョウコ様に再会出来たらワシらに顔を見せに来てくれんかの?」
アカリはニコッと微笑んで言いました。
「えぇ、そういう事でしたら喜んで!」
「しかし、あまり長くは待っていられんかも知れんぞい?
なぜなら最近、この大戦の時に出来た空間のヒビが新たなワープホールになり新たなモンスターを生み出しておるんじゃ!
その為に、商人達のの行商路が潰されたり商隊が襲われたりしてワシらの生活に深刻な影響を与えておるんじゃ。
だから、『白い巫女』様の意志を継ぎし者達が手と手を取り合う事にした。
それが5大陸を股に駆ける巨大商業ギルド、『桃兎団』構想なんじゃよ!」
「 “ ピント団 ” って……何なんですか?」
「ピント団、というのはじゃな……
中心メンバーは、キュルミーが着るきぐるみの “ 能力 ” こそ平和を導く力、と信じて疑わん者達じゃ。
だから、『白い巫女』様の着ていたきぐるみ、すなわちそなたが今着ておる “ キュイぐるみ ” を皆神聖視しておるんじゃ。
だからきぐるみの中でもウサギが最高位に位置付けられており、この土地の言葉でピント様って呼ばれておるんじゃ。」
はぁ……だからさっきワタシが着てるキュイぐるみを見て、皆さん異様なテンションになっていたんですね。
「そなたもあの中央広場の掲示板に貼ってあるモノを見たじゃろ?
あの『ピンクの兎のステッカー』こそ、ピント団の象徴なのじゃ。」
あ、そのステッカーはさっき長老さんが持っていたラム酒のビンにも描かれていましたね……
「あまり待てないっていうのは、周りの町村にもピント団構想を広め薦めておるんじゃが、どうやらこの構想に異を唱える者達がおるみたいなんじゃ。
主に盗賊団が中心らしいんじゃが、そいつらに利権絡みで損をする者達が複雑に絡み付いてあちこちで紛争を起こしておるらしいんじゃよ。
個人的なスキルだけで集団的な戦闘力を持たないワシらは、ジリジリと後退を余儀無くされておるのが現状なんじゃ。」
長老さんの話では、盗賊団などの敵対勢力に押され気味で困窮極まっているらしいですね。
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