きぐるみ♡女神伝

きぐるみんZ

文字の大きさ
39 / 50
第2章.妖精王

039縫.フィリルの願いです

しおりを挟む
 フィリルが自己紹介を済ませた後、先程から気になっていたんでしょう……
突然、くるっとアカリの背中に回り込んだんです!
そこで、ニックと初めて目が合います。
その途端……

『あ~~~っ!!!』×2

「久しぶりね、おニクちゃん!
 “ スナッサ峠 ” の神経沼で、キョウコ様とおニクちゃんに助けて貰って以来ですね。」

「『おニクちゃん』はやめてー!
フェンリルウルフの血が入ってるだけに、ジョーダンに聞こえなーい!」


イヤーっ!イヤーっ!


 ニックは、フィリルの周りでバタバタと羽根を全力で振り乱して右往左往。
アカリは、そんなフィリルとニックとのやり取りを唖然として見ています。

「ニックさん、フィリルさんと知り合いだったんですか……?
道理で、さっきからずっとワタシの背中に隠れていたんですね……!」

 フィリルは、そんなニックにニコッと微笑みました。

「大丈夫ですよ、おニクちゃん!
私、フェンリルウルフの血もうすーくしか受け継いでいませんから、『捕って喰ったり』なんて出来ませんよ!」

 そして、フィリルは長老さんに深く敬礼する事で感謝の意を示してこう言いました。

「キュルムの町の長老ジョセフ様、こうして無事にターゲットの確保について協力頂き、誠に有難うございました。
この者達に関しては……
キュルムの町に被害が出る前から、他の町村から同様の処罰依頼が来ておりました。
昔の栄華が忘れられないんでしょう……それ故の現当主の暴挙、憐れなものです。
いくつもの領域を跨ぐ為、5大陸を股に駆ける私達『ミントセキュリティサービス』が代理で処罰を与えたいのですが……
もちろん、被害に会われた町村が全て等しく満足頂ける結果になる様に最大限の努力を致します。
宜しいでしょうか?」

 長老さんは一礼をしてどうぞ、どうぞ、とリボンを付けるかの如く、フィリルに丁重にお願いしました。
長老さんとの話し合いも終わり、『グランプス』の一味は隊長のシルクさんを始めミントセキュリティサービスの男達に連行されて行きました。

「ありがとう、恩に着ます。
貴方が話の分かる方で大変助かります。」

 代表者同士の対談って、要はどこで話に折り合いをつけるかっていう『相手の腹の探り合い』だから……
いつも以上に神経がすり減って、大変なんでしょうね。

 コレを毎日続けている様なモノですから、長老さんもフィリルさんも、ホントご苦労さまです。

「さてと、堅苦しい事務的な会話はここまでにしましょうか……」

 フィリルが深くお辞儀をしながらその言葉を発して、ストレートを後ろでポニーテールに縛ってもう1つのモードである『にゃんモード』に変わりました。
そして、ふうっとひと息ついたその途端……

 ニッコリ笑った彼女の目が一本筋になり、ふにゃんと緩んだ口元はちっちゃい犬歯がキュートな “ にゃんスマイル ” になったんです!

……!!!

 その “ にゃんスマイル ” を見た瞬間……

「あ~~~っ!」

 アカリは思わず、大声を張り上げてしまったんです!

「えっと、アカリさんには取り合えず『初めまして!』って言えばイイかなぁ~?
それとも、『久し振りだね!』っていうべきなのかなぁ~?」


 そうなんです、実はフィリルの『にゃんモード』こそ……
先程の “ 深い闇 ” の底で、アカリのココロを救ってくれた「ネコ耳少女」だったんです!


「へぇ~、貴女が私の敬愛する英雄キョウコ様の娘さんだねぇ~。
確かに面影ある……っていうか、瓜二つじゃ~ん!」

 さっきまでのフィリルとのあまりの変わり様に、アカリは思わず胸がドキッとしてパチクリ目を丸くしてしまいました。

 か……可愛いです……
さっき見た凛とした立ち姿と比べると、あまりにギャップ有り過ぎで……
さすがのワタシも、萌えちゃいますよ!

 ニックは、フェンリルウルフの外見を知っているだけにフィリルの “ にゃんスマイル ” を見て思わずククッと笑ってしまいます。


 いくら人間らしい優しい顔つきでもー、こういう所でフェンリルウルフの “ 素 ” が出ちゃうんですねー。
恐らく本人は気付いてないんでしょうけどー。


「んっ、このニオイ!忘れもしないわぁ~!
……コレって、キョウコ様がお召しになった伝説のきぐるみじゃないのぉ~!」

 フィリルは、もふもふ尻尾をフリフリしています。
そんなフィリルの様子を見てアカリはうわぁ、と感心してしまいました。


 フィリルさん、ニオイで分かっちゃうんですね!
って言うか、1度ふにゃんってなるとココまで変わっちゃうんですか、このヒト……


「ねぇ、ひとつ私のお願いを聞いて欲しいんだけどぉ~。
私を……アカリさんの仲間に入れて貰えないかしらぁ~?」


















 うん、フィリルならまさに『渡りに舟』!
でも……
ミントセキュリティサービスの “ チーフマネージャー ” の肩書きは、どうするんですか?

「でも、今は待っててぇ~!
ミントセキュリティサービスに掛け合って、アカリさんに全面的に協力させるからぁ~!
モチロン、その時のパイプ役は私ねっ!」

 確かに、フィリルと一緒なら……
これから先、ミントセキュリティサービスに護られながら冒険が格段に進めやすくなりますね……

でも……

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【完結】悪役令嬢ですが、断罪した側が先に壊れました

あめとおと
恋愛
三日後、私は断罪される。 そう理解したうえで、悪役令嬢アリアンナは今日も王国のために働いていた。 平民出身のヒロインの「善意」、 王太子の「優しさ」、 そしてそれらが生み出す無数の歪み。 感情論で壊されていく現実を、誰にも知られず修正してきたのは――“悪役”と呼ばれる彼女だった。 やがて訪れる断罪。婚約破棄。国外追放。 それでも彼女は泣かず、縋らず、弁明もしない。 なぜなら、間違っていたつもりは一度もないから。 これは、 「断罪される側」が最後まで正しかった物語。 そして、悪役令嬢が舞台を降りた“その後”に始まる、静かで確かな人生の物語。

処理中です...