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イケメンさんが旦那さんでした。
しおりを挟むあの私の問いから数秒。
それはあっという間でした。
まずイケメンさんにお姫様抱っこされた私はベットに優しくおろされた。
人生初のお姫様抱っこ。
30歳の私には刺激が強すぎるんですけど。
燕尾服の男性、執事さんみたいな人は素早く部屋から出て行く。
再び戻って来たと思えば、白衣のおじさんを連れてきた。
メイドさんは私にストールを肩からかけてくれる。
イケメンさんと白衣のおじさんが場所を入れ替わると、簡単な問診が始まった。
わからないことはわからないので全て正直に言った。
だからかそんなに時間も掛からずに終わると、白衣のおじさんは顎に手を置きながら、ふむふむと言っている。
いかにもお医者さんって感じ。
いや本物のお医者なのだけど。
「記憶喪失…というやつですな。」
お医者の問診結果は誰もが予想した通りの言葉だった。
「…記憶は戻るのだろうか?」
「そうですなぁ~。記憶がなくなるというのは治療が難しいのですよ。何かきっかけがあれば或いは…。」
そうか…と息を吐くように言うイケメンさんの顔は青いままだ。
「しかし奥様の場合、記憶が戻る可能性はほぼないと言ってもいいでしょう。」
そう言ったお医者さんにイケメンさんの顔色は更に悪くなる。
まぁお医者さんの意見には私も賛成だ。
私が転生する前までのリリアーナに何があったのかはわからないけど、リリアーナとして生きた今までの記憶が戻ってくるとは思えない。
よく分からない私の勘が言っている…気がする…。
それからお医者さんは執事さんたちと部屋から出て行く。
ベットの横に腰掛けたイケメンさんと2人きりになってしまった。
いやーもう本当に!
イケメンって苦手なのよ。息をするのもしんどいわ。
そっと私の手にイケメンさんの手が重なった。もうそれだけで心臓バクバグなのに微笑むように見つめられたら…もう、ねぇ。
「私の名はジェラルド・グロスター。リリアーナ、君の夫だ。」
イケメンさん、ジェラルドさんは覚悟したようにそう名のった。
「そして君の名前は、リリアーナ・グロスター。ラピスタニア侯爵家の一人娘だ。」
それからイケメンさんであり旦那さんのジェラルドさんは近況を話してくれたのだが。
その話しを聞けば聞くほど混乱していくのは、私の頭が弱いからだろうか?
確かに英語が苦手で100点満点中20点以上とったことはないけれど。
でもそれ以外の科目はずーと90点はとってた!
だからそこまで頭の弱い女ではないはず。
いやそんなどうでもいいことに現実逃避してしまいたくなるくらいには残念な女なのかもしれない。
現実逃避先が10年以上も前の学生の話しっていうのもね。イタイところよね。
ついつい私は両手で顔を覆ってしまうのだった。
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