魔眼の復讐者

山﨑キョウ

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23話

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『さあ!始まりましたダーングラウト納涼祭名物の闘技大会予選!!』

受付でエントリーを確認して控え室に入る。控え室まで司会の声が聞こえる。

『今回、司会進行を務めさせていただくのは私!お馴染みのメオっス。皆さんよろしくお願いするっス!』

猫の獣人のメオがステージの中心に立っている。

『なんとなんと!今日はダーングラウト王国辺境伯様のご令嬢、戦の薔薇!ライーネ様が来てるっス!キャアアア!!抱いてーー!!』

メオの他にもお姉様ーー!と黄色い歓声が聞こえる。

『さあさあ!前座はここまで…今から闘技大会予選を始めるっスよ!!』


「「「「「おおおおおおおお!!!」」」」」

『予選Aグループの見所はやっぱり優勝候補のガルさんっスね!ガルさんは狼の獣人でその立派な筋肉をした四肢で相手をなぎ払うっス。キャアアア!!カッコいい!!抱いてーー!!…予選Aグループの皆様は準備をお願いするっス』

ぞろぞろとAグループの控え室にいた俺を含め全員がバトルステージに上がる。

『予選Aグループ!ガラの悪そうな大男たちが出てくるっスね。怖いっス。おっとぉ?大柄な男たちにまぎれて1人ガキンチョがいるっスね』

ガキンチョって…俺のことじゃねーか!

『えー、彼は…初挑戦のジンという15歳の少年。おお!しかもあと残り昇格試験を受ければ第5級の冒険者になる期待の新人っスね。だがくじ運が悪かった!今回の大会は予選敗退確定か!?』

予選Aグループ8人がバトルステージに上がる。

『さあ!準備が整いました!!予選Aグループ!バトルゥゥ…スタートォォォ!!』


「行くぜぇ!オラオラオラ!」

『おおっとぉ!ガルさんが3人を吹っ飛ばしたぁ!!やはり誰も彼を止められないのかぁ!』

「グヘヘ、坊主くじ運がわ…る…」

「まず1人っと」

狼の獣人が一気に3人吹っ飛ばしてくれたおかげで注目が集まってやりやすい。

「ぐはぁ!」

「2人め」

チラッと狼の獣人を見ると魔力が右腕に集まっている。

「喰らえ!爆撃掌!!」

『出たー!ガルさん必殺の爆撃掌!バトルステージが爆発に包まれる!これはガルさんの勝利が……え』

「はい、終わり」

狼の獣人が残りを吹っ飛ばしてくれて良かった。あんまり注目をされず手の内がばれないで済んだ。
でも観客にサービスくらいしとくかな。

俺は拳を空に突き上げる。

「「「「「…おおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」

『すごい!すごい!!これは誰も予想していなかった、いやできなかった!!予想Aグループの勝者はまだ15歳の少年ジンだぁぁぁぁぁ!!!』

「「「「「「うおおおおおおお!!!!!!」」」」」」


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