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31話
しおりを挟む飛び級試験とは、盗賊のアジトの壊滅だった。人を殺す経験をしろって事だろう。
この試験は3級クランの炎龍の咆哮が協力してくれる事になった。
クランとは簡単に説明すると冒険者の集まり。
炎龍の咆哮はそれを3人家族で結成している。
「おー、待たせたな。俺は炎龍の咆哮のクランマスターのカインだ。よろしくな」
「そして妻のクルスだ。今回はジン君の飛び級試験の監督をする事になった。よろしく頼むよ」
ドワーフのカインさんとエルフのクルスさんか、珍しいな。
「そして俺がお前の1歳年上で先輩冒険者のランダだ!」
「俺はジンです。今日はよろしくお願いします」
カインさんとクルスさんに向かってお辞儀する。
「おい!なんで俺の方を見ないんだよ!!!!」
「うるせぇよ、喚くな。お前は初対面の俺に高圧的だし、よろしくって言われてないし、うるさいし、俺よりも強くないし、敬う必要ないだろ」
ギルドが用意してくれた馬車に乗り込む。
「落ち着けってランダ、ジンスマンな。こいつはお前が羨ましいんだよ」
「父さん!!」
ランダ、うるせぇ。
馬車に揺られ、進んでいるとクルスさんがこっちを見てるのに気づく。
「どうしたんですか?クルスさん」
「いや、盗賊の住処を攻める前にいろいろと戦い方とかを教えて欲しいんだ。味方の出方を知っていれば私も魔法が打ちやすい」
「ああ、クルスさんは火魔法がメインでサブが雷魔法ですもんね。いいですよ」
「おい!なんでお前が母さんの得意魔法知ってんだよ!」
クルスさんと俺の癖とか話そうとすると会話を聞いていたランダがまた突っ掛かってきた。
「いちいちうるせぇな。調べたに決まってんだろ。味方の出方を知っていて得するのは俺も同じなんだよ」
つっても昨日の今日だしあんまり詳しい情報は集んなかったけど。
「まずカインさん。カインさんは自分の種族の特徴を生かした大斧で、相手の的を自分にしぼらせて味方をフリーにする戦い方。クルスさんは高火力の火魔法と出が早い雷魔法を状況に合わせて使い分ける魔法使い」
これが2人の集まった情報で、次はランダ。
「ランダの情報とかはたくさん集まったぞ。「親の七光りランダ」。それは3級クランで1番弱いランダの二つ名で、戦い方は後先考えず片手剣1本で敵に突っ込んでいく。毎回カインさんかクルスさんがフォローに回る。そもそもお前が4級冒険者なのが納得いかないって同じ級の冒険者とかに言われている」
「随分と良く調べられたじゃねーか。そんで?自分の事はよ」
「俺はこの大振りのナイフと投げナイフでヒットアンドアウェイが基本です」
「その色が違う右目は?」
クルスがさっきから見ていた右目の事を聞いてくる。
「魔眼です。身体強化と少し目が良くなって夜目が効く程度です。一応魔力の流れが見えます」
「皆さん!敵襲!魔物5体!」
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