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41話
しおりを挟む「自分勝手も度が過ぎる…殺すぞ」
全力の殺気を放出してパーティーを睨む。
「っ!す、すまん」
俺の殺気に怖気づき、リーダーであろう前衛の男が俺に謝ってきた。
「次は無い。そこの魔法使いも盗賊も…覚えておくんだな」
フードを被り直し、歩いていく。
ああ、イライラする。迷宮街に来てから絡まれすぎだ。俺の身長が、15歳の通常よりも低いのもあるけど、馬鹿が多すぎる。
「グルル!」
魔物もだ。相手と自分の力量の差ぐらいある程度は察しろ。
スワームウルフの群れに八つ当たり気味に突っ込む。
「今日はここまでにするか?外だともう夕暮れなはず」
スケルトンシーフの魔石を回収して、上を見上げる。
「そうするか」
階段がある方に歩いていく。
迷宮は行きも帰りも自分の脚だ。行きは調子が良くても帰りに無事じゃないと意味が無い。
帰り際を考えなく、疲労して殺される。迷宮の死因の上位にこれが入るらしい。
俺の場合、魔物が弱すぎて逆に疲れた。
「お疲れ様でした」
迷宮の入り口は出口にもなっている。
迷宮から出ると行きの時に俺の階級に驚いた職員がいた。
「ああ、そっちもな」
手に入れた魔石を売るためにギルドに行く。
迷宮街の方が迷宮があって魔石の入手が簡単だからダーングラウトよりも儲かってんのか?
いや、迷宮の外だと魔石以外の皮とか内臓も売れるし、どっちも同じぐらいか?
「魔石の売却にきた」
ギルドの受付に行き、魔石を取り出そうとする。
「ちょっと待ってください。どれ位魔石ありますか?」
取り出そうとすると受付に止められた。
「ああ、すまない。ここじゃ処理出来ない量だった。ざっと数えて40~50ぐらいなはず」
受付にやっぱりという顔をされて、別の受付に案内された。
「ここは階級が高い冒険者用の受付です。通常の冒険者よりも階段が高い冒険者様は持ってくる魔石の量が多いので」
受付は一礼して持ち場に戻っていった。
「お前が第3級も冒険者だって?」
案内された受付に居たのは怖いといった言葉が似合う、ドワーフの女性だった。
「あたしはマゼンダだ。あんたは?」
「ジンだ。よろしく」
「ジン…ね。お前何者だい?」
マゼンダが俺を値踏みするように見る。
「何者って、ただの15歳の少年だけど?」
少しふざけた様に言うとマゼンダは心底面白そうに笑った。
「ただの少年?冗談はよしな。ただの少年がそんなに強いわけない」
マゼンダはその豊満な胸の下で腕を組む。
「魔石、売りに来たんだろ?」
ここに来た目的を思い出し、魔石をアイテムボックスから出す。
「あ、そうだ。マゼンダに聞きたい事があるんだけど」
マゼンダが魔石を鑑定していた手を止め俺を一瞬見たけど作業を再開した。
「なんだ?」
「ドワーフの女性って見たことなかったんだけど、みんなマゼンダみたいに美人なの?」
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