ほのぼの生きますか

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溢れる魔物

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「何か?逆から来る人…多くない?」

ビューイさんに言われて、気のせいではないことを感じる。

自由都市に行く途中の道は、逆から来る人で、溢れていた。


「魔物も増えているように感じますね。何か起きているのかもしれない」

休憩中に、リーダーを呼ぶ。

ドロシーが情報を集めてきた。

「どうやら、迷宮が…100年に一度の魔物大放出になるみたいね。過去の大放出時に自由都市は、反壊滅状態になっているらしいの。だから、戦えない者は、逃げてきているらしいわ」

「反壊滅状態って…あそこは、優秀な冒険者が多い都市でしょう?」

「だから、壊滅はしなかったのでしょう…どうします?公演どころではないかと?」

「復旧には娯楽が必要よね…」

「どれくらいで、魔物が溢れるのだろうか?」

「どっちにしろ、引き返す資金は…私たちにはないのよ」

踊り子も音楽隊も、帰る気はなさそうだ。

「迷宮の魔物大放出が、どんなものかわかりません。護衛としては…守れる保証がありませんね」

俺は本音を言う。

正直、迷宮に近づくにつれて、禍々しい色が見えるようになっている。

恨みというより、悲しみに近い感情の渦だ。

「できるだけ、自由都市に行く方向でお願い」

「危険なら、置いていっても構わない」

ロゲスさんが、変なことを言っているが…置いていくなんてありえない。

「置いて行くなんてありえません。自由都市に着いても、安全が確保出来なければ、側に居てもらいます。何処かで死なれたら、こちらの気持ちが悪いです」

いつになく、厳しく言ったつもりだ。

「すまん。気持ちが焦っていた。マツリさんの優しいところは、わかっているつもりだ。迷惑は承知で自由都市に行くのだから…気がひけてな」

ロゲスが…しどろもどろになっている。

焦りは伝わる。

今回の公演に人生を賭けているのだろう。

「マツリさんの言う通りです。安全が確保出来なければ、護衛任務も終わりません。でも、この状態で…魔物の群れに体当たりは…結構無茶ですよ?馬車の台数を減らすか?護衛を増やすか?馬車一台に、護衛を4人は必要でしょうか?」

…どうしたらよいか?

経験が少ないので、判断がつきにくい。

でも、俺のスキルを全開に使ったら?

…案外、簡単に切り抜けられそうな気がする。

奢りだろうか?

判断ミスは、死につながる。

子供らには、そんな事を味合わせたくはない。

俺も…15に若返ったばかりだ。


「…相談できる人に相談してからで良いですか?今夜、次の町に着いた時に…話をまたしましょう」

俺は、時間をもらう。

「…情報屋と一緒に、情報を集めて来るよ」

ドロシーも、最後まで足掻いてくれるようだ。

「マツリさん…ドロシーさん…我儘言ってごめんなさい」

ビューイさんは、静かに頭を下げた。


俺は、お取り寄せスキルを使う。

勿論、ミュートさんに相談するためだ。

「マツリくん!ちょうど良かった!今、どの辺にいるの?」

待っていたかのように、ミュートさんが話しかけて来た。

「今は、ムレ村とクギャナ町の間です。自由都市の迷宮の魔物大放出の話を聞きまして…」

「…後、半分くらいなのね。間に合うかな?できるだけ早く着いて欲しいけれど…早馬で…3日ぐらいね。マツリくんが着けばいいのだから…うーん」

何やら悩んでいるようだ。

「ミュート!マツリに!!…って!ちょうど連絡していたのか?マツリに緊急依頼だ!!護衛の代わりは、幾らでも出す!早急に自由都市に着いてくれ!」

「…??どういうことですか?」

「マツリくんの精霊の力に…迷宮の大放出を止める力があるのよ。前回は、私が一番近くにいる精霊使いだったから…迷宮まで急いで行ったけれど…少し遅すぎて…被害が出てしまったのよ。今回は、マツリくんが一番近いわ!急いで自由都市に向かって!」

「わかりました。優秀な冒険者を格安で護衛任務につけてくださいね」

「その点は大丈夫だ。近くの町にいた、陽炎と呼ばれる冒険者チームがそっちに向かっている。合流したら、すぐにマツリは自由都市に向かってくれ!」


お取り寄せスキルなので、雑貨を少し買って、依頼書を受け取り陽炎チームを待つ。

「皆さん…済みません。もう一度集まってください」

みんなを呼び、説明をする。

精霊の事は話していないが…名指しの緊急依頼だ。みんなは何も言えない。

「一足先に、自由都市に向うことになりました。済みません。皆さんの安全が確保出来るように、あちらで動きたいと思います」

「仕方がないわね」
「マツリくんが居ないのは不安だけど…格安の優秀なチームが来るのでしょう?ラッキーだと、思うことにするわ」

「ご主人様?僕らは着いて行けるの?」

「すまない。急ぎ行かなくてはいけないから…後から来てくれるか?踊り子さんの護衛を頼む。クラさん…イキナリの事だが…子供らを頼めるかい?」

「ええ!こんな可愛い子供達を任せられるなんて、嬉しいわ。数日でしょう?任せて!」

しばらくすると、陽炎チームがやってきた。

彼らはベテランのS級冒険者だった。

安心して、仕事を引き継ぐ。



「では、お先に自由都市で待ってます!」




初めは、馬で走り抜けたが…ふと、スキルを応用してみようと考える。

「掛け合わせれば、瞬時の移動も可能なのでは?物は運べたのだから…世界知識の地図機能を使って…」

安全の為に、色々なスキルを重ねがけする。

乗せるだけ載せて、スキルを発動させる。

精霊や聖霊の力も借りる。



こうして、俺は自由都市の近くまで移動に成功した。
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