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乙女ゲームから離脱したヒロインたち
しおりを挟む「バネッサが?私と結婚?何かの冗談かい?」
本人に目の前で拒否られるバネッサ。
「でも…でも…私を愛おしいって、忍んで愛でるのを許して欲しいって、いっぱい抱きしめてくれたではないですか?」
そんなことしたの?アレクさま⁈
恋心抱く妹なら…誤解するから。
公爵家の当主のお父様の目線も冷たい。
「えっ?それは…あまり人前で義妹を可愛がる訳にも行かないでしょう?婚約者はいるし…でも、リア一筋だよ?
魅力を振りまくアレクさまは、爽やかに悪ブレず、無邪気に笑う。
恐ろしい子…これで11歳なのか…
日本なら小5か6…
遊びたい盛りだろう⁇
アレクさまと私は、歳を重ねていた。
婚約した私たちは、他の婚約組よりかも…仲が良い。
とにかくアレクの異様さに…
一人ツッコミを入れるクローリアだが…クローリアの魅力も負けてはいない。
公爵家にいる令嬢なのだから。
そのことを本人おろか…
ヒロインたちは気がついていない。
周りの男たちは気がついているのに…
特にアレク皇太子は、ベタ惚れだ。
「皇帝陛下様は?嫁子とか言ってくれた!早く嫁に来いって!」
「あー!あれは、バネッサが帝国に嫁に来たいって言ったから、我が国に来てくれるのを待つ意味で言ったことばだよ。前後の会話からわかるだろう?その証拠に…父上たちはバネッサに似合う嫁入り先を探しているよ?」
前後の会話ってなんだ?
都合のいいところだけ受け取ったのか?
義妹ながら…よくやるものだ。
義妹は能力は高い方だ。
この誤解の元の恋心が無ければ、嫁に欲しがられることが約束されるほどの見栄えもある。
「そんな…早計過ぎたかしら、もっと時間をかけて既成事実を作っていたら…きっと…」
「既成事実!?辞めた方がいいよ!帝国では、女性からの行為は嫌われるよ?特に王家にそのような策略をしたら、その場で打ち首だよ?やだなぁ…私はクローリアの義妹を斬りたくないよ?」
わー!
打ち首⁇
帝国って…大国だけあるわ…野蛮だね!
バネッサもことの重大さがわかったようで、大人しくなった。
「無邪気な可愛さは愛おしいけど…策略とかは、遠慮しておくよ」
にこやかに笑ってバネッサにトドメを刺すアレクさま。
その笑顔にはいろんな算段が詰まっているようです。
見かけが良いだけで騙される女が多いのだろう。
特に幼い子には、この笑顔の裏は読めない。
「バネッサ…わかっただろ?あり得ない恋心を抱くには…10年いや20年は速いお相手だよ?バネッサにはお似合いの相手が何処かに居るのだから…姉さんのものを欲しがってはダメだよ?」
幼い子をあやすように、お父様はバネッサに諭す。
「アレクサンドロス皇太子殿下…本日はありがとうございました。幼い子の戯言に付き合っていただき…」
「いいえ、勉強になりました。私に魅力がない訳ではないことがわかりましたので…これからは、リアに一身に受け取ってもらいます」
「程々にお願いします」
私の泣き言が一言入って、お父様は執務室に戻り、バネッサはマナーの教師に連れて行かれた。
今回の話し合いは、マナーの教師に言われてつくったものだった。
マナーの教師が言うには…
「思いはサッサと断ち切ったほうがよい」
…らしい。
バネッサの教育を任せられるよい貴族の出のエリートだ。
伯爵家8男らしいです。
才能を発揮して、研究や教育に力を尽くしている凄い人です。
まぁ…後に、バネッサの婚約者なる人でもあるんだよね。
イケメンが…ロリ…に手を出した訳ではなく、バネッサが、この方をこれから10年は片思いして手に入れるのだから…
バネッサも中々やる。
そんな事はまだ知らない私だったが、バネッサは新しい教師に任せて、新しいメイドを育てるために、奴隷省に来ていた。
奴隷省は、法的に奴隷に落とされた人間を預かっている国の機関だ。
ここの奴隷は犯罪をして捕まった者や借金奴隷が主なのだが…
最近、身元不明な異世界人もやって来ていた。
軽い犯罪で捕まった異世界人は、奴隷にする事で国で預かっている。
奴隷にすれば、この世界の常識をタダで学べるからだ。
私が行儀見習いに出していたメイドは、最近異世界から誘拐されてきた少女だったことがわかり、私の力で異世界移転させて返した。
勿論、基軸が違わないように、誘拐犯である召喚士を捕まえて、召喚方法などを突き止めてから…少女は無事に戻って行った。
「お嬢様!すみませんでした!ありがとうございます!」
少女は喜んで帰ったが…かなり強いメイドに育ててしまっている…日本では、オリンピックでも活躍出来るだろう。
まぁ、魔法も使える…魔物と戦える女の子が…肉体強化ドーピングでオリンピックには出れないだろう。
年齢は、元の年に若返りさせました。
「聖魔法…便利だわ…」
自分の能力にビックリだ。
だから…犯罪奴隷の中でも…怪我や病気で捕まった能力の高い者でも、私は回復が出来る。
勿論…若返りさせられるのも利点だ。
かなりの経験を積んだ者を手に入れられる。
奴隷省にいる犯罪奴隷には、最悪な悪党も存在する。
処刑すら出来ない脅威を奴隷紋を使って使役して、なんとか抑えている犯罪者だ。
私の狙いはその大犯罪者だ。
これから育てるには…時間がかかりすぎるので、元から強い者を手に入れることにしたのだが…
私は…異世界人を送り帰す作業に追われていた。
「何人いるの?」
「奴隷省で預かっていた異世界人は、58名です。医療機関にいる者を含めると…ザッと98名でしょうか?…28名帰したので…後は70名ですね」
お役人が飄々と答えた。
「えっ?計算が合わないようだけど?」
「たった今、他の部署から来た異世界人を含めて数えました。よろしくお願いします」
………
異世界から誘拐をしていた召喚士が、学会で召喚魔法を発表した途端に…異世界から誘拐されてきた異世界人が増えたらしい。
中には、日本に帰りたがらない者までいて…私は、疲れながら…午前中には殆どの異世界人を帰した。
残念ながら…残った異世界人には、雇いたいと思う人物はいなかった。
「俺が主人公だ!美少女ロリータ!最高!俺の嫁だ!!」
中には、勘違いして残った者もいたが…知らない振りをした。
男でも女でも、いい人材は欲しい。
アレクさまみたいな隠密部隊を持ってみたい願望もある。
私は、願望を叶えるべく…やっとで異世界人の波を乗り越えて、奴隷省の奥底にある…独房に向かう。
ちなみに、ここへはお金をかければ誰でも来れる。
ただ、大犯罪人を使役出来るかはわからない。
主になる者の能力次第だと思う。
大犯罪人を使役出来る人間が、そうそういる訳はないので、大犯罪人たちは居るだけで金食い虫扱いだが…こうして興味本位で来る金持ちもいるのだ。
お金をおとしてもらいたいのだろう。
私は自分の稼いだお金でここに来ている。
「よい出会いはあるかしら?」
私は、異世界から来ていた者たちのことはすっかり忘れて、今ここに来たばかりのように、清々しい気分で奥へと進んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
とある公爵のぼやき
妻が…娘を産んだ時は、本当に良くやったと褒めようと思ったが…あの女は、産んだ娘を一目で毛嫌いした。
男好きの女だった。
結婚したのは…辺境伯が…とてもよい人物だったからだ。
しかし、それは…無残にも裏切りによって終わった。
男と逃げたあの女には…罰を受けさせた。
今頃地獄に似た現実で嘆いているだろう。
そんな女にはまったく似なかったクローリアは、天才的な発想力と知識と力で、才覚を直ぐに表すと…周りから聖女とか…女神とか呼ばれることになる。
「誰に似たのだろうか?」
「公爵さまでしょう?王弟であられるのですから」
「義父上のあなたのように優しい子ですよ。辺境伯」
「私も…孫には甘くなる。母親が必要なのではないか?」
辺境伯に薦められるまま、私はクラリスと再婚した。
しかし、予想に反して、クローリアに母親が必要な時期は過ぎていて…クラリスの存在は私の慰めとなり、二人の子が生まれた。
バネッサとパレスだ。
バネッサは無邪気で、クローリアが普通の子のように育たなかった分だけ…甘やかして育てた。
パレスは、跡継ぎになるように育てた。
クローリアが隣の大国である帝国皇太子殿下と婚約が決まったからだ。
だが、二人はクローリアを見て育ったため、かなり賢い子になり、クラリスの身分から考えたら…聡明な子になったと言える。
だからこそ、油断していたのだろうか?
評判の良いバネッサが、事もあろうことに…姉のクローリアの婚約者の皇太子殿下に惚れてしまったらしい。
クローリアと自分をすげ替えて、アレクと結婚させて欲しいと駄々をこねられた時には…肝を冷やした。
クローリアとアレクサンドロスさまとの婚約は、政略的なものではない。
心底アレクサンドロスさまがクローリアに惚れ込んで望まれた婚約なのだ。
すげ替えられる訳がない。
だから、バネッサの再教育の為に、最強の教師を呼んだ。
学会でも有名な方で、お金をかけて、無理をして頼んだ。
それが良かったらしい。
バネッサは、再教育のおかげで、生まれ変わった。
…おそらく。
クローリアには、世話をかけた。
その分…クローリアのやる事には何も咎めやしない。
「自由にやってみなさい」
「ありがとうございます。お父様」
結婚したら…自由などないのだから…
今のうちの謳歌を楽しんで欲しい。
不憫ばかりかけてすまない。
クローリアがどうか幸せであることを祈らずにはいられない。
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