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2件目 冒険者になりました!

4.初めてのクエストな件。

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次の日、廃屋で休んだ私はまっすぐ冒険者ギルドに向かうとクエストボードの前に立った。
白等級の依頼はやはり採取や雑用が殆どで討伐系は数えるほどだ。
そんな中で私が目をつけたクエストは『ホーンラビットの討伐』。
ランクアップポイントも高めで討伐系の中でも報酬が良い。
他のスライムやゴブリンの倍近くある。
まぁ、それだけ危険なのだろうけど。
私は迷わず依頼書をクエストボードから剥がすと受付に持って行った。

「お願いします。」

「はい。ホーンラビット5体の討伐ですね。冒険者カードの提示をお願いします。」

そう言われて私はカードをカウンターに置いた。

「はい。確認しました。クリア条件はホーンラビット5体を討伐し証拠に角を5本納品です。多めに倒した場合は上乗せで報酬とランクアップポイントを差し上げますよ。
期限は明日のギルド閉館まで。達成したらこちらまで報告へ来てください。」

受付嬢がそう言って依頼書に判子を押すと私にカードと共に手渡した。

「報告時はカードと依頼書の提示もお忘れなく。
それでは、いってらっしゃいませ。」

そう言って受付嬢がお辞儀する。
私はギルドを後にして外へと向かった。
グリングラス大平原と呼ばれる草原にはスライムやゴブリン、ホーンラビットが多く出現する。
ゴブリンのみ好戦的で相手側から仕掛けてくるがスライムとホーンラビットはこちらが攻撃しない限り大人しい。

「キキ、ホーンラビットの群れを探して。出来れば巣が近いと良いかも。」

「了解~♪」

そう言ってキキが飛び立つ。
ホーンラビットの巣は木の根本にある穴ぐらだそうだ。
この草原にはいくつか木が生えておりその近くにホーンラビットが多い。
巣の近くなら仲間を助けるために巣にいるホーンラビットも戦闘に参加してくるから一気に沢山倒せる。

「マスター、初戦闘になりますが問題はないとは思いますが一応、ヴァンパイアの使える血操術はヴァンパイアとしてなくてはならない物です。
自らの血液と引き換えに強力な技を扱えます。
血操術は3つに分けられ、血闘術、血魔術、血強術となります。
マスターならどれも扱えるでしょうから説明は不要でしょうが強敵相手には迷わず血をお使いください。まぁ、今回の敵は使わなくても勝てるとは思いますが。」

ココが言った。
ヴァンパイアとしての戦闘術である血操術はヴァンパイアらしく血を扱う。
上手く扱えばかなり強いが下手だと自分の血を失うだけになってしまう。
私は使ったことこそないが300年分の知識と経験があるためどう使うかも分かるし体が覚えている。
まぁ、ホーンラビット相手には使わないけどね。

「ここから3本先の木の下にホーンラビット3、木の根本に巣があるそうです。」

ココが言った。
ここから100メートル程の距離がある。
よく見るとそこには薄桃色の毛並みで垂れた耳、白い角を持ったウサギが3体程いる。
大きさとしては普通のウサギと変わらなそうだ。

「おっけー。イージスっ!」

私が言うと地面に赤い魔法陣と共に黒い盾が現れた。
流線型な5角形の盾で大きさは150cm程だ。

「いっくよ~シールドバッシュ!」

私がそう言って100メートルを一気に駆け抜けるとホーンラビットに向かって盾を振りかざした。
するとホーンラビット3体が同時に吹っ飛ばされて倒れると動かなくなった。
すると、すぐに巣から5体のホーンラビットが飛び出してくる。

「シールドタックル!」

私がそう言って盾を構えてホーンラビットに突っ込むと5体纏めて吹っ飛んで動かなくなった。
巣の前に戻ったが出てくる気配が無い。
どうやらこれで全部のようだ。
私はホーンラビットの死体をストレージに仕舞うと次の巣へと向かおうとした。
すると、辺りが一瞬暗くなった。
気になって空を見上げると空には大きな赤い竜が飛んでいる。
あれはレッドワイバーン!?
確か山岳地帯にすむ竜でここからかなり距離があるはず。
それがなんでこんな平原に。
ってまずい!
あのレッドワイバーン街の方へ飛んで行ってる。
私は急いでレッドワイバーンを追いかけた。

    
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