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27.スライムとの戦い

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 僕とリットウシグレ号は、洞窟の中を彷徨い歩いていた。
 どうやら、このスライムたちは岩と擬態化できるらしく、入ってきたルートを完全にふさがれている。
「まいったな。これじゃあ袋のネズミだ」
「じゃあ、窮鼠猫を噛まないとね」

 リットウシグレ号が視線を向けると、そこには新たなスライムが近づいてきた。
 僕は剣を抜くと、剣先に指を触れてからスライムの身体に当てた。するとスライムは感電して大人しくなっていく。
「……直接これを、あの女に叩き込みたかったな」
「人質を取られている状態でやるのは危険かな? 地道に敵スライムの数を減らした方がいいと思う」
「なるほど」


 どうやら、スライムも僕の電気を受ければタダでは済まないらしく、シグレ号の見立てでは数時間は動けなくなるという。しかも、一度でも電撃を受けたスライムは恐怖を学習するらしく、僕の姿を見ただけでも怯えて身を隠すようになるのも期待できるようだ。
「ほら、また来たよ」
「キリがないな……」

 僕はそう言いながら、次々とスライムを感電させていく。
 さすがに低級のグリーンスライムだけあって、少しの電流でも気絶してくれるが、数が多いため何とも面倒だ。
「本当にお手軽にやっつけるよね。小生の魔法攻撃だったら、かなり手間がかかるよ」
「まあ、僕の数少ない特技だからね」

 ある程度倒していると、女神からの声が脳内に響いた。
【あともう少しで、努力ガチャを引けるようになりますよ】
「は、はぁ……」


 その言葉を聞いて、なんだかなぁ……と思ってしまった。
 雷系の魔法を練習するつもりはなかったんだけど、どうやら特訓の成果が出てしまったらしい。

 更にスライム退治を繰り返していると、本当にガチャが引けるようになってしまった。
「ありゃ……本当にガチャが引けるようになっちゃったよ……」
「まあ、これだけゲレゲレスライムを量産していれば、そうもなるよね」
「というか、何体いたんだろう?」

【グリーンスライム62体、レッドスライム12体、ホワイトスライム3体です】
「数えてたんかい!」
 そうツッコミを入れると、精霊こと神様の笑い声が聞こえてきた。
【そろそろ……と言いたいところですが、お客さんのようですね】


 足音の方向に視線を向けると、そこには先ほどのスライム使いが姿を見せたが、すぐにゲレゲレスライムと化した手下たちを見て愕然としていた。
「な、な、なに……なにこれは!?」
「お代わり!」

 相手が慌てているようなので、とっさにお代わりを催促すると、一緒になってシグレ号も一歩前に歩み出た。
「小生にもお代わり!」

「あ、アンタたち……調子に乗っているようだけど、それ以上バカなことをしてみなさい……あの2人が……」
「わかったから、お代わり!」
「そうそう、次のスライムをお代わり!」

「い、行きなさい……アンタたち!」
 スライム使いは笛を使ってスライムをけしかけてきたが、僕は1つずつ近づいてきたスライムを感電させた。すると、最初の数匹を倒した時点でスライムたちの動きは止まり、僕が追いかけて行ってスライムを感電させる形になった。

「か、か、雷使い……」
「ねえ」
 そう話しかけると、スライム使いはギョッとした様子で僕を見てきた。
「な、なに?」
「お代わり!」

 そう手を出すと、そのスライム使いは真っ青な顔をして一歩後ろへと下がった。すると追い打ちをかけるようにシグレ号もスライム使いを見下ろす。
「小生もお代わり!」

 どうやら、スライム使いは一見すると強そうに感じるが、手下のスライムを使い切ってしまうと途端に弱くなるようだ。抵抗する様子もなく言ってきた。
「あ、アンタたちが全部……やっつけちゃったでしょう!」
「まだあるでしょ?」
「そーそー、お代わり」


 その言葉を聞いたスライム使いは後ろに下がったが、あいにく背後は岩壁だ。
 すっかり僕たちに取り囲まれて、スライム使いは涙目になっていた。
「わかった。あの2人は解放する……だから虐めないで!」
「いや、まだいるでしょ? 冒険者チーム……」

 リットウシグレ号が鼻を大きく開きながら息を吹きかけると、スライム使いは「ひっ……!」という声を出した。
「なーんてね!」

 スライムの1匹が物陰からリットウシグレ号の脚元に忍び寄ると、シグレ号の脚先から電気が走り、スライムを感電させていた。
「見えてるから、小生たちウマの視野がどれくらいあると思ってるの?」

「ま、まさか……ウマの方まで……」
「まずは、メリィのローブを返して!」
「は、はい……」

【リューノたちに負け、悔しそうな魔女】


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