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45.監獄の洞窟に到着
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リック隊の前には、人間や動物タイプのガイコツが5体。
うち2体と、ゴワス、リックが交戦しているが、更に3体がこちらに迫ってきている。
迎撃しようとしたとき……こいつらの本体は骨ではなく、こっちの瘴気なのではないかと僕は思っていた。
だから、自然と【レフトナイフ】を出していた。
そして、能力【カースキリング】を用いると、僕はレフトナイフをガイコツに向けて斬り下ろした。
もちろんだが、この攻撃は物理的な攻撃力は皆無に等しい。ナイフの刃先は骨を通過してしまうため、ただ腕を振っているようにしか見えないだろう。
しかし、瘴気を見ると全然違った。
ガイコツをまるで肉体のように取り巻いている瘴気は、真っ二つに切断されただけでは済まずに、全体が不安定になって表面部分から崩壊するように消えていく。
瘴気が崩壊していくと、ガイコツも立っている姿勢が維持できなくなったらしく、関節部分が次々と外れて、やがて地面に崩れ落ちた。
ゴワスや他のメンバーは、目の前の敵と戦うことに夢中だったようだが、リックは違っていた。
彼は驚いた様子で僕を眺めていたが、すぐに目の前の敵に注意を戻して戦いを再開している。僕もレフトナイフを消すと、すぐに次のガイコツに向かっていき、再びレフトナイフのカースキリングで瘴気を切断した。
2体の敵が減ると形勢は一気にこちらが有利になり、リック隊とオリヴィアの攻撃で、ガイコツたちは次々と崩れ落ちていった。
【???? 不明 年齢不明 種族:アンデッド クラス:不明 レベル14
HP 0/ 2208 LP 0/0 MP 45/ 72】
ガイコツに背中があるわけではないのだが一瞬だけ、瘴気が消滅する瞬間にこのようなデータが見えた気がする。本当に次の瞬間には、何も残らなかったので気のせいかもしれないが……
リックがこちらを見た。
「残骸とはいえ、アンデッドがまだ戦意を残していることもあります。くれぐれもご注意ください」
「わかりました。ご指導ありがとうございます」
この後も、何分かおきにガイコツが襲ってきたが、僕のやることは変わらない。
レフトナイフのカースキリングモードで斬りつけると、瘴気が一撃で崩壊するため、多少のMPと引き換えに敵の数を確実に減らせた。
このアンデッドを正面から潰そうとすれば大変だ。
かなりの腕力を持つゴワスが高威力の斧を使っても、1撃で200前後のHPしか削れないのだ。運が良ければ11回の攻撃で倒すことができるが、12回の攻撃に耐えるガイコツもいた。
そんななか歩くこと、おおよそ3時間。
僕たちは遂に、目的地である【シジフォスの洞窟】へとたどり着いた。
この森自体が、恐ろしいほどの瘴気を放っている場所だが、ここから先の洞窟に比べれば本当に中庭に過ぎないということを思い知らされるほど、ここから先の空間は雰囲気が違う。
「今回のクエストは、紫苔の入手……でしたよね?」
そう質問すると、リック隊長は頷いた。
「そうです。ついでに冬虫夏草も見つかったら持ってきて欲しいと言われています」
冬虫夏草か。
僕にとっては、虫に寄生する不気味なキノコでしかないが、あれは専門の知識を持っている人からすれば薬の材料となるらしい。
仲間たちが次々と洞窟に入って行くなか、最後尾を守るエドワードが訝しい表情をしたまま、鼻を引くつかせていた。
『どうしたんだい、エドワードさん?』
「おお……ユニコーン殿、何だか妙な臭いをかんじないか?」
『…………』
その言葉を聞いたスティレットは、鼻の穴を大きく広げて周囲を睨んだ。
『確かに……そうだね』
スティレットは少し考えてから答えた。
『……みんな、気を付けて……堕天使のにおいだ!』
堕天使という言葉を聞いた途端に、脳裏には……最初の晩と、そしてスティレットと会った後の晩の記憶がよみがえった。
確かに……僕は、あの女堕天使に会っている。
それだけでなく、その女堕天使は、洞窟の奥にしっかりと立っていた。
周囲の人間の動きは、まるで石像のように固まって、僕と……彼女だけがお互いを見合っているような状況になっていた。
「僕に、なにか用?」
そう質問をすると、女堕天使は薄ら笑いを浮かべながら言った。
「久しぶりに、アンタに会いたくなってね」
僕は別に会いたいとは思わない。
その言葉が喉元まで出かかるなか、堕天使は話を続けた。
「賭けをしない?」
「賭け……?」
いぶかしい顔をしながら聞き返すと、堕天使は微笑んだ。
「ズバリ、オリヴィアの本心よ」
「本心……?」
そう聞き返してみると、堕天使は頷いた。
「ええ、彼女は……貴方を選ぶか、それとも……これを選ぶか」
堕天使はそう言いながらポケットに手を入れた。
【堕天使(角や翼は隠すこともできるようだ)】
うち2体と、ゴワス、リックが交戦しているが、更に3体がこちらに迫ってきている。
迎撃しようとしたとき……こいつらの本体は骨ではなく、こっちの瘴気なのではないかと僕は思っていた。
だから、自然と【レフトナイフ】を出していた。
そして、能力【カースキリング】を用いると、僕はレフトナイフをガイコツに向けて斬り下ろした。
もちろんだが、この攻撃は物理的な攻撃力は皆無に等しい。ナイフの刃先は骨を通過してしまうため、ただ腕を振っているようにしか見えないだろう。
しかし、瘴気を見ると全然違った。
ガイコツをまるで肉体のように取り巻いている瘴気は、真っ二つに切断されただけでは済まずに、全体が不安定になって表面部分から崩壊するように消えていく。
瘴気が崩壊していくと、ガイコツも立っている姿勢が維持できなくなったらしく、関節部分が次々と外れて、やがて地面に崩れ落ちた。
ゴワスや他のメンバーは、目の前の敵と戦うことに夢中だったようだが、リックは違っていた。
彼は驚いた様子で僕を眺めていたが、すぐに目の前の敵に注意を戻して戦いを再開している。僕もレフトナイフを消すと、すぐに次のガイコツに向かっていき、再びレフトナイフのカースキリングで瘴気を切断した。
2体の敵が減ると形勢は一気にこちらが有利になり、リック隊とオリヴィアの攻撃で、ガイコツたちは次々と崩れ落ちていった。
【???? 不明 年齢不明 種族:アンデッド クラス:不明 レベル14
HP 0/ 2208 LP 0/0 MP 45/ 72】
ガイコツに背中があるわけではないのだが一瞬だけ、瘴気が消滅する瞬間にこのようなデータが見えた気がする。本当に次の瞬間には、何も残らなかったので気のせいかもしれないが……
リックがこちらを見た。
「残骸とはいえ、アンデッドがまだ戦意を残していることもあります。くれぐれもご注意ください」
「わかりました。ご指導ありがとうございます」
この後も、何分かおきにガイコツが襲ってきたが、僕のやることは変わらない。
レフトナイフのカースキリングモードで斬りつけると、瘴気が一撃で崩壊するため、多少のMPと引き換えに敵の数を確実に減らせた。
このアンデッドを正面から潰そうとすれば大変だ。
かなりの腕力を持つゴワスが高威力の斧を使っても、1撃で200前後のHPしか削れないのだ。運が良ければ11回の攻撃で倒すことができるが、12回の攻撃に耐えるガイコツもいた。
そんななか歩くこと、おおよそ3時間。
僕たちは遂に、目的地である【シジフォスの洞窟】へとたどり着いた。
この森自体が、恐ろしいほどの瘴気を放っている場所だが、ここから先の洞窟に比べれば本当に中庭に過ぎないということを思い知らされるほど、ここから先の空間は雰囲気が違う。
「今回のクエストは、紫苔の入手……でしたよね?」
そう質問すると、リック隊長は頷いた。
「そうです。ついでに冬虫夏草も見つかったら持ってきて欲しいと言われています」
冬虫夏草か。
僕にとっては、虫に寄生する不気味なキノコでしかないが、あれは専門の知識を持っている人からすれば薬の材料となるらしい。
仲間たちが次々と洞窟に入って行くなか、最後尾を守るエドワードが訝しい表情をしたまま、鼻を引くつかせていた。
『どうしたんだい、エドワードさん?』
「おお……ユニコーン殿、何だか妙な臭いをかんじないか?」
『…………』
その言葉を聞いたスティレットは、鼻の穴を大きく広げて周囲を睨んだ。
『確かに……そうだね』
スティレットは少し考えてから答えた。
『……みんな、気を付けて……堕天使のにおいだ!』
堕天使という言葉を聞いた途端に、脳裏には……最初の晩と、そしてスティレットと会った後の晩の記憶がよみがえった。
確かに……僕は、あの女堕天使に会っている。
それだけでなく、その女堕天使は、洞窟の奥にしっかりと立っていた。
周囲の人間の動きは、まるで石像のように固まって、僕と……彼女だけがお互いを見合っているような状況になっていた。
「僕に、なにか用?」
そう質問をすると、女堕天使は薄ら笑いを浮かべながら言った。
「久しぶりに、アンタに会いたくなってね」
僕は別に会いたいとは思わない。
その言葉が喉元まで出かかるなか、堕天使は話を続けた。
「賭けをしない?」
「賭け……?」
いぶかしい顔をしながら聞き返すと、堕天使は微笑んだ。
「ズバリ、オリヴィアの本心よ」
「本心……?」
そう聞き返してみると、堕天使は頷いた。
「ええ、彼女は……貴方を選ぶか、それとも……これを選ぶか」
堕天使はそう言いながらポケットに手を入れた。
【堕天使(角や翼は隠すこともできるようだ)】
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