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56.3か月の時を経て……
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その後も、僕たちは修業を続けた。
オリヴィアやスティレットは、癒し手としての能力を上げるために病院や教会に出向することもあり、修行ばかりというわけでもない日々を過ごしている。
そして、試験期間もだいぶ近づいて来た日、オリヴィアは下を向いていた。
「ただいま……ん、どうしたんだいオリヴィア?」
彼女は自分の腹部を撫でていたが、僕を見ると表情を戻した。
「あなた……お帰りなさい」
「どうしたんだい。何か気になることが?」
「いいえ、何でもないのです……それよりも勇者試験が近いですよ。修練も大切ですが、万全の体調で挑めるようにしましょう」
なんだか、無理やり話を持って行かれたような気がしないでもないが、彼女の言うことも事実なので、頷くことにした。
「そうだね。今日は早めに就寝しようかな?」
「それがいいと思います」
オリヴィアと共にベッドに入ると、スティレットがじっと僕たちのことを眺めてきた。
シーズン的にも、コイツだって異性と一緒に居たいと思うかもしれない。余計なお世話かもしれないけど、ヒマな時に牧場とかを見て、良い牝馬がいないか探してみようか。
そして翌日。遂に勇者選抜試験の2次予選がはじまろうとしていた。
フロンティアトリトンズからは、僕、オリヴィア、スティレット、アイラ、ジルー、他5名が参加していた。
この冒険者街だけでも、1000人近いの冒険者が予選を受けに来ており、一同は試験会場となっているインディゴメイルズの入り口前に集まっていく。
様々なギルドから来た受験生が敷地内へと入って行くなか、グチも聞こえてきた。
「くそ……どうして俺たちが偽善者どものところまで来なきゃいけねーんだよ」
「本当だぜ、他の場所でやれってんだ」
スティレットは、そっと僕たちの耳元でつぶやいた。
『当然と言えば当然だけど、やっぱりレッドトマホークやシャドーアローズも参加してくるんだね』
「あの仲の悪さを考えれば……逆に凄いことだね」
間もなく、インディゴメイルズの事務所のドアが開くと、中からは筋骨隆々の戦士が出てきた。
「……ウォッホン!」
その咆哮のような咳ばらいを聞き、集まっていた参加者たちは一瞬にして静まり返った。
「この度、試験官として任命されたマッチョマだ。貴殿ら受験生は、勇者試験選考委員会の職員たちが見守るなか、正々堂々と日頃の鍛錬の成果を発揮してもらいたい!」
彼は受験生を見渡しながら言った。
「では、今年の第二次試験の内容を発表する……」
思わず生唾を呑んでいた。果たして……今年はどんな試験が行われるのだろう。
「今年の……大二次試験は……」
「…………」
「…………」
「霊力、肺活量テストだ!」
な、何だそれは……と思ったのは、僕だけではないようだ。
インディゴメイルズのメンバーは物々しい装置を数人がかりで運んできて、僕たちの目の前に置いた。
「な、なんだこの金属のバケモノは!?」
会場がざわつきはじめると、再び試験官マッチョマは言った。
「これは、フロンティア国の所有する霊力測定器だ。選考委員会が手入れ等を行って居るシロモノゆえ、我々ではどのような構造で動いているのかわからん!」
インディゴメイルズの敷地で行われている試験なので、仲の悪いギルドからはブーイングが起こりそうだったが、マッチョマの言葉にも説得力があったのか、どのギルドのメンバーも大っぴらに不満を口にしようとはしなかった。
「次の3次試験に上がれるのは、成績優秀者の上位100名のみだ。覚悟が決まった者から測定するがいい」
一番近くにいたレッドトマホークの戦士が装置の前に立つと、マッチョマを見た。
「……どうやればいいんだ?」
「精神を集中しながら、両手を合わせる」
「……こうか?」
その戦士が神経を集中すると、115という数字が装置のディスプレイに映し出された。試験会場はざわついていたが、戦士は首をひねりながらつぶやいた。
「……これって、高いのか?」
「まあ、ここで見て行けばわかる」
次の戦士が腕を振りながら装置の前までやってきた。
「次は俺様だな!」
「さっきの戦士と手順は同じだ。チャンスは1度きりだからよく集中するんだぞ」
「おう!」
2番目の戦士が神経を集中すると、78という数字が出てきた。
「うそ……こんなに低いの!?」
「チャンスは一度きりだ。次」
次にやってきたのは、農村出身の自警団の戦士という感じの若者だった。彼の数字は89。
さらに次の人は90。その次は女性で93。次は獣人で88。と次々と選考委員会の係員が数字を書き込んでいく。
しばらく眺めていた僕たちだったが、スティレットがゆっくりと動き出した。
「おお、次はお馬さんの登場か!」
『フロンティアトリトンズのスティレットだよ』
「よし、そこの計測器の前に立って、気を集中してくれ」
『わかった』
彼は装置の前に立つと、軽く息を吐いてから目を瞑った。
すると……
数字はなんと……328。
会場にいた戦士たちは、一斉にどよめいていた。
【2次試験の試験官マッチョマ】
オリヴィアやスティレットは、癒し手としての能力を上げるために病院や教会に出向することもあり、修行ばかりというわけでもない日々を過ごしている。
そして、試験期間もだいぶ近づいて来た日、オリヴィアは下を向いていた。
「ただいま……ん、どうしたんだいオリヴィア?」
彼女は自分の腹部を撫でていたが、僕を見ると表情を戻した。
「あなた……お帰りなさい」
「どうしたんだい。何か気になることが?」
「いいえ、何でもないのです……それよりも勇者試験が近いですよ。修練も大切ですが、万全の体調で挑めるようにしましょう」
なんだか、無理やり話を持って行かれたような気がしないでもないが、彼女の言うことも事実なので、頷くことにした。
「そうだね。今日は早めに就寝しようかな?」
「それがいいと思います」
オリヴィアと共にベッドに入ると、スティレットがじっと僕たちのことを眺めてきた。
シーズン的にも、コイツだって異性と一緒に居たいと思うかもしれない。余計なお世話かもしれないけど、ヒマな時に牧場とかを見て、良い牝馬がいないか探してみようか。
そして翌日。遂に勇者選抜試験の2次予選がはじまろうとしていた。
フロンティアトリトンズからは、僕、オリヴィア、スティレット、アイラ、ジルー、他5名が参加していた。
この冒険者街だけでも、1000人近いの冒険者が予選を受けに来ており、一同は試験会場となっているインディゴメイルズの入り口前に集まっていく。
様々なギルドから来た受験生が敷地内へと入って行くなか、グチも聞こえてきた。
「くそ……どうして俺たちが偽善者どものところまで来なきゃいけねーんだよ」
「本当だぜ、他の場所でやれってんだ」
スティレットは、そっと僕たちの耳元でつぶやいた。
『当然と言えば当然だけど、やっぱりレッドトマホークやシャドーアローズも参加してくるんだね』
「あの仲の悪さを考えれば……逆に凄いことだね」
間もなく、インディゴメイルズの事務所のドアが開くと、中からは筋骨隆々の戦士が出てきた。
「……ウォッホン!」
その咆哮のような咳ばらいを聞き、集まっていた参加者たちは一瞬にして静まり返った。
「この度、試験官として任命されたマッチョマだ。貴殿ら受験生は、勇者試験選考委員会の職員たちが見守るなか、正々堂々と日頃の鍛錬の成果を発揮してもらいたい!」
彼は受験生を見渡しながら言った。
「では、今年の第二次試験の内容を発表する……」
思わず生唾を呑んでいた。果たして……今年はどんな試験が行われるのだろう。
「今年の……大二次試験は……」
「…………」
「…………」
「霊力、肺活量テストだ!」
な、何だそれは……と思ったのは、僕だけではないようだ。
インディゴメイルズのメンバーは物々しい装置を数人がかりで運んできて、僕たちの目の前に置いた。
「な、なんだこの金属のバケモノは!?」
会場がざわつきはじめると、再び試験官マッチョマは言った。
「これは、フロンティア国の所有する霊力測定器だ。選考委員会が手入れ等を行って居るシロモノゆえ、我々ではどのような構造で動いているのかわからん!」
インディゴメイルズの敷地で行われている試験なので、仲の悪いギルドからはブーイングが起こりそうだったが、マッチョマの言葉にも説得力があったのか、どのギルドのメンバーも大っぴらに不満を口にしようとはしなかった。
「次の3次試験に上がれるのは、成績優秀者の上位100名のみだ。覚悟が決まった者から測定するがいい」
一番近くにいたレッドトマホークの戦士が装置の前に立つと、マッチョマを見た。
「……どうやればいいんだ?」
「精神を集中しながら、両手を合わせる」
「……こうか?」
その戦士が神経を集中すると、115という数字が装置のディスプレイに映し出された。試験会場はざわついていたが、戦士は首をひねりながらつぶやいた。
「……これって、高いのか?」
「まあ、ここで見て行けばわかる」
次の戦士が腕を振りながら装置の前までやってきた。
「次は俺様だな!」
「さっきの戦士と手順は同じだ。チャンスは1度きりだからよく集中するんだぞ」
「おう!」
2番目の戦士が神経を集中すると、78という数字が出てきた。
「うそ……こんなに低いの!?」
「チャンスは一度きりだ。次」
次にやってきたのは、農村出身の自警団の戦士という感じの若者だった。彼の数字は89。
さらに次の人は90。その次は女性で93。次は獣人で88。と次々と選考委員会の係員が数字を書き込んでいく。
しばらく眺めていた僕たちだったが、スティレットがゆっくりと動き出した。
「おお、次はお馬さんの登場か!」
『フロンティアトリトンズのスティレットだよ』
「よし、そこの計測器の前に立って、気を集中してくれ」
『わかった』
彼は装置の前に立つと、軽く息を吐いてから目を瞑った。
すると……
数字はなんと……328。
会場にいた戦士たちは、一斉にどよめいていた。
【2次試験の試験官マッチョマ】
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