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60.脱落者だらけの3次試験
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試験開始10分で、勇者試験の係員たちは忙しそうに歩き回っていた。
仲間がいる受験者の場合は、脇を突いたり、足を踏んだりして起こしてもらっていたが、徐々にそんな仲間もうつらうつらとしはじめ、遂にレッドトマホークやシャドーアローズの中にも脱落者が現れだしていく。
そして、我がギルドでも……遂に舟をこぎ出したのが……いた。
ジルーである。どうやら彼女は、こういう眠くなる授業への耐性がないらしく、目がうつらうつらとしはじめている。
オリヴィアは心配そうな顔をしながら彼女を見ると、肩をツンツンと突いて起こしていた。
「あ、ありがとうオリヴィア」
彼女はぱっちりと目を開けたが、また2・3分すると、うつらうつらとしはじめていた。
本当にこの睡魔授業は、眠りのアビリティでも仕込んであるんじゃないだろうか。
「……なあ、スティレット?」
『なあに?』
「この授業……絶対にアビリティが仕込まれてるよな?」
『それは確実だよ。見て……シャドーアローズの陣営』
シャドーアローズの陣営を見ると、すでに半分近いギルド員たちの目が重たそうだった。
試験会場の係員たちも、シャドーアローズ陣営の様子を虎視眈々と眺めており、どこかの段階で仕掛けようとしているのがわかる。
この動きは僕たちだけでなく、オリヴィアも関心を持っていたようだ。
「これは……そろそろでしょうか?」
『多分ね。というか、ギルド総出で森に罠なんて仕掛けてるからこうなるんだよ』
「徹夜明けと考えると……この試験はキツイな」
その直後に、ジルーは姿勢を崩してオリヴィアにもたれかかっていた。
「ジルー……ジルー……?」
オリヴィアは遂に、ジルーの耳をコショコショくすぐる行動に出た。もちろんジルーは「ひゃあ!」という変な叫び声を上げて起き、後ろの席にいたリック隊の面々が笑っている。
そういえば、アイラはずいぶん大人しいが……大丈夫だろうか。
視線を向けてみると、頬杖を突いたまま目を開けていた。もしかして……
「なあ、オリヴィアにスティレット?」
「なんでしょう?」
「アイラ……寝てないか?」
全員で視線を向けてみても、アイラは微動だにしなかった。
これにはリック隊長や、ウェアウルフのエドワードも驚きを隠せないらしい。
「す、凄いな……寝てる」
「まるでアイマスクでも付けているかのようだ」
まあ、たとえ寝てしまっていても、係員が近づいてきてカウントを終えさえしなければ、不合格にならないのがこの試験の特徴だ。
アイラは既に爆睡し、ジルーは再びうつらうつらとしはじめると、今度はエドワードが肩に手を乗せて彼女を起こしてくれた。
「ありがとう、エドワードさん!」
僕もエドワードやリックにお辞儀をすると、彼らは微笑んでくれた。
「礼には及ばんよ。厳しい試験だからこそ、お互いに助け合っていきたい」
その直後に、係員が一斉に10人も動き出した。
彼らは迷わずシャドーアローズのギルド員たちに近づいていく。試験開始から15分経った今では、シャドーアローズの陣営は大半が眠りに落ちており、係員たちにとっては格好の狩場となっている。
「おい、見ろよスティレット……狩人集団がハントされるぞ?」
『これは……見ものだね』
僕たちが見守る間、係員はマンツーマンという感じで、眠っているシャドーアローズのギルド員の前に立つと、1人ずつ確実に秒読みを開始した。
シャドーアローズを嫌っているギルドは多く、レッドトマホークも、インディゴメイルズも、アイアンメイスも、まだ元気なギルド員たちは、ニヤニヤと笑いながらその様子を眺めていた。
正直に言えば、僕からみても……メチャクチャおもしろい光景だ。
係員はこの2分ほどの間に、3次予選に来たアローズのギルド員19人全員を不合格しに、何事もなかったかのように試験会場の見回りを再開した。
今の段階で、すでに脱落者は192名。
3次予選に参加しているのは561名なので、すでに3分の1くらいは脱落したことになる。
【3次試験合格者に対する、各ギルドの待遇】
レッドトマホーク 臨時ボーナス、幹部候補生への昇格、派閥の発言力上昇
インディゴメイルズ 幹部候補生への昇格、査定の評価上昇
シャドーアローズ ギルドから特別年金支給、育てた師匠の査定上昇、本人の幹部候補生入り
アイアンメイス 出身教会の発言力上昇、幹部候補生入り、後輩への指導の仕事(奉仕)
フロンティアトリトンズ フェリシティーが喜ぶ、指名依頼が増える
カイト「トリトンズの場合、ギルドの取り分が少ないから、これだけでも十分に恩恵に預かれるんだよね」
仲間がいる受験者の場合は、脇を突いたり、足を踏んだりして起こしてもらっていたが、徐々にそんな仲間もうつらうつらとしはじめ、遂にレッドトマホークやシャドーアローズの中にも脱落者が現れだしていく。
そして、我がギルドでも……遂に舟をこぎ出したのが……いた。
ジルーである。どうやら彼女は、こういう眠くなる授業への耐性がないらしく、目がうつらうつらとしはじめている。
オリヴィアは心配そうな顔をしながら彼女を見ると、肩をツンツンと突いて起こしていた。
「あ、ありがとうオリヴィア」
彼女はぱっちりと目を開けたが、また2・3分すると、うつらうつらとしはじめていた。
本当にこの睡魔授業は、眠りのアビリティでも仕込んであるんじゃないだろうか。
「……なあ、スティレット?」
『なあに?』
「この授業……絶対にアビリティが仕込まれてるよな?」
『それは確実だよ。見て……シャドーアローズの陣営』
シャドーアローズの陣営を見ると、すでに半分近いギルド員たちの目が重たそうだった。
試験会場の係員たちも、シャドーアローズ陣営の様子を虎視眈々と眺めており、どこかの段階で仕掛けようとしているのがわかる。
この動きは僕たちだけでなく、オリヴィアも関心を持っていたようだ。
「これは……そろそろでしょうか?」
『多分ね。というか、ギルド総出で森に罠なんて仕掛けてるからこうなるんだよ』
「徹夜明けと考えると……この試験はキツイな」
その直後に、ジルーは姿勢を崩してオリヴィアにもたれかかっていた。
「ジルー……ジルー……?」
オリヴィアは遂に、ジルーの耳をコショコショくすぐる行動に出た。もちろんジルーは「ひゃあ!」という変な叫び声を上げて起き、後ろの席にいたリック隊の面々が笑っている。
そういえば、アイラはずいぶん大人しいが……大丈夫だろうか。
視線を向けてみると、頬杖を突いたまま目を開けていた。もしかして……
「なあ、オリヴィアにスティレット?」
「なんでしょう?」
「アイラ……寝てないか?」
全員で視線を向けてみても、アイラは微動だにしなかった。
これにはリック隊長や、ウェアウルフのエドワードも驚きを隠せないらしい。
「す、凄いな……寝てる」
「まるでアイマスクでも付けているかのようだ」
まあ、たとえ寝てしまっていても、係員が近づいてきてカウントを終えさえしなければ、不合格にならないのがこの試験の特徴だ。
アイラは既に爆睡し、ジルーは再びうつらうつらとしはじめると、今度はエドワードが肩に手を乗せて彼女を起こしてくれた。
「ありがとう、エドワードさん!」
僕もエドワードやリックにお辞儀をすると、彼らは微笑んでくれた。
「礼には及ばんよ。厳しい試験だからこそ、お互いに助け合っていきたい」
その直後に、係員が一斉に10人も動き出した。
彼らは迷わずシャドーアローズのギルド員たちに近づいていく。試験開始から15分経った今では、シャドーアローズの陣営は大半が眠りに落ちており、係員たちにとっては格好の狩場となっている。
「おい、見ろよスティレット……狩人集団がハントされるぞ?」
『これは……見ものだね』
僕たちが見守る間、係員はマンツーマンという感じで、眠っているシャドーアローズのギルド員の前に立つと、1人ずつ確実に秒読みを開始した。
シャドーアローズを嫌っているギルドは多く、レッドトマホークも、インディゴメイルズも、アイアンメイスも、まだ元気なギルド員たちは、ニヤニヤと笑いながらその様子を眺めていた。
正直に言えば、僕からみても……メチャクチャおもしろい光景だ。
係員はこの2分ほどの間に、3次予選に来たアローズのギルド員19人全員を不合格しに、何事もなかったかのように試験会場の見回りを再開した。
今の段階で、すでに脱落者は192名。
3次予選に参加しているのは561名なので、すでに3分の1くらいは脱落したことになる。
【3次試験合格者に対する、各ギルドの待遇】
レッドトマホーク 臨時ボーナス、幹部候補生への昇格、派閥の発言力上昇
インディゴメイルズ 幹部候補生への昇格、査定の評価上昇
シャドーアローズ ギルドから特別年金支給、育てた師匠の査定上昇、本人の幹部候補生入り
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