19 / 41
19.ウマ勇者、遭難の危機!
しおりを挟む
今回の戦闘で晴れてレベル10となった僕は、初めて近接戦闘力にボーナスポイントを使うことにした。
そういえば、初めて魔法戦闘力にポイントを振ったら、リッカシデン号が喋りはじめたし、狙撃戦闘力に振ってみたら背中に翼が生えてきたのを思い出した。
近接戦闘力に振ると、どんなことが起こるのだろう。
早速試してみると、見た目はあまり変化はなかった。
ふむ……魔法や狙撃に比べて、近接戦は地味なのだろうか。そう思っていると、僕の霊力が身体をコーティングし、特に腕周りの霊力が強くなっていることに気が付いた。
「こ、これって……!」
試しに調理用に持っていたナイフを左手で持ってみると、僕の霊力が刃先に馴染んで、その威力が上昇していることがわかった。
もしかして霊力って、服とか武器とかの性能を上げる効果があるのだろうか。
僕がキョロキョロとしていると、シャーロットが話しかけてきた。
「どうやら勇者さまも、霊力の使い方がわかったようね」
「もしかして、みんな……こういうことをしていたのかい?」
質問すると、彼女は頷いた。
「まあ、貴方みたいに、簡単に上達した人は初めてだけどね」
「そうなの?」
「ええ普通は、今のあなたのように使いこなすだけでも、2・3年は下積み修業をしないといけないくらいよ」
まさか、僕のボーナスポイントって、1ポイントが普通の冒険者の1年分の経験を得るということか。だとしたら……かなり優遇されている。
この調子でレベルアップすれば、ロドルフォやリッカシデン……には及ばなくても、フリーダと互角に戦えるくらいに強くなれるかもしれない。
まだまだレベルアップしたい。思いながら周囲を見渡すと、おや……僕は一体、どの方角を見ているのだろう。
わからなかったので、仲間に聞いてみることにした。
「どっちの方角がクレバスだっけ?」
そう質問すると、シャーロットも困り顔になって周囲を見渡した。
「そういえば、どこからきたんだっけ?」
「…………」
「…………」
「…………」
ベルタやマーチルに質問してみても、見当がつかないらしく、僕は恐るべきことに気が付いた。
これ、ひょっとして、遭難したのではないだろうか?
マーチルはすぐに、スィグワロス号を見た。
「ね、ねえ……帰り道、アンタならわかるでしょ?」
『……ヒヒーン』
確かにウマの嗅覚は人間の1000倍あるらしいが、スィグワロス号では人間の言葉を理解できないようだ。
そうなると、この中で、鼻が効きそうなのはマーチルだろう。
「マーチル。僕たちのニオイを辿って、街まで戻る事とか……」
「ごめん。あたしの鼻って、そんなに良くないのよ」
「シャーロットは?」
「私達が歩いたくらいでは、マナも本当に些細な変化しかしないわね」
ベルタを見ても、申し訳無さそうな顔をするしかないようだ。つまり、もう手詰まりということか?
いやいや、出来ませんでは済まされないぞ。何か手はないのだろうか。
仲間には一通り聞いてしまったし、僕自身にも解決できそうな力はない。
僕は再びスィグワロス号を見た。
「ねえ、もし……話が理解できるのなら、首を振るくらいの反応はして欲しい」
『…………』
「本当に困っているんだ……」
もしかしたら、このウマもユニコーンかもしれない。
一途の望みにかけながら真剣にお願いしてみると、スィグワロス号はなんと……
『ヒヒーン♪』
変顔をしてきた。
一同がしばらく黙り込むと、マーチルは頭を掻きながら言う。
「この仔に、期待するだけ時間のムダだよ。牧場の半額セールで売れ残って、7割引で買ったウマだもん」
「惜しいなぁ、体格は立派なのに……」
「うん。いろいろとツッコミどころ満載な仔なの……」
こ、こうなってしまったら……最後の手段だ。
後で色々と言われるのが嫌だから黙っていたが、リッカシデン号なら、ヒントくらいはくれるかもしれない。
意識を彼に向けてみた。
「…………」
『…………』
「…………」
『………ぐ~す~』
「…………」
シャーロットは、恐る恐るという感じで聞いてきた。
「ねえ、おウマさまは何て……?」
「……ぐ~す~ぐ~す~」
僕の答えを聞き、ベルタやシャーロットの表情が曇っていく。
「つまり、これくらいのことは自分たちで解決しなさい……ということですか……」
「そう……なるね……」
迷ったのなら【帰還石】を使えばいいじゃないかと思う人もいるだろう。だけどあれは、クレバス内部から、1階層の入り口まで戻る代物だから、今は持っていない。
これ、一体……どうすればいいんだ!?
そういえば、初めて魔法戦闘力にポイントを振ったら、リッカシデン号が喋りはじめたし、狙撃戦闘力に振ってみたら背中に翼が生えてきたのを思い出した。
近接戦闘力に振ると、どんなことが起こるのだろう。
早速試してみると、見た目はあまり変化はなかった。
ふむ……魔法や狙撃に比べて、近接戦は地味なのだろうか。そう思っていると、僕の霊力が身体をコーティングし、特に腕周りの霊力が強くなっていることに気が付いた。
「こ、これって……!」
試しに調理用に持っていたナイフを左手で持ってみると、僕の霊力が刃先に馴染んで、その威力が上昇していることがわかった。
もしかして霊力って、服とか武器とかの性能を上げる効果があるのだろうか。
僕がキョロキョロとしていると、シャーロットが話しかけてきた。
「どうやら勇者さまも、霊力の使い方がわかったようね」
「もしかして、みんな……こういうことをしていたのかい?」
質問すると、彼女は頷いた。
「まあ、貴方みたいに、簡単に上達した人は初めてだけどね」
「そうなの?」
「ええ普通は、今のあなたのように使いこなすだけでも、2・3年は下積み修業をしないといけないくらいよ」
まさか、僕のボーナスポイントって、1ポイントが普通の冒険者の1年分の経験を得るということか。だとしたら……かなり優遇されている。
この調子でレベルアップすれば、ロドルフォやリッカシデン……には及ばなくても、フリーダと互角に戦えるくらいに強くなれるかもしれない。
まだまだレベルアップしたい。思いながら周囲を見渡すと、おや……僕は一体、どの方角を見ているのだろう。
わからなかったので、仲間に聞いてみることにした。
「どっちの方角がクレバスだっけ?」
そう質問すると、シャーロットも困り顔になって周囲を見渡した。
「そういえば、どこからきたんだっけ?」
「…………」
「…………」
「…………」
ベルタやマーチルに質問してみても、見当がつかないらしく、僕は恐るべきことに気が付いた。
これ、ひょっとして、遭難したのではないだろうか?
マーチルはすぐに、スィグワロス号を見た。
「ね、ねえ……帰り道、アンタならわかるでしょ?」
『……ヒヒーン』
確かにウマの嗅覚は人間の1000倍あるらしいが、スィグワロス号では人間の言葉を理解できないようだ。
そうなると、この中で、鼻が効きそうなのはマーチルだろう。
「マーチル。僕たちのニオイを辿って、街まで戻る事とか……」
「ごめん。あたしの鼻って、そんなに良くないのよ」
「シャーロットは?」
「私達が歩いたくらいでは、マナも本当に些細な変化しかしないわね」
ベルタを見ても、申し訳無さそうな顔をするしかないようだ。つまり、もう手詰まりということか?
いやいや、出来ませんでは済まされないぞ。何か手はないのだろうか。
仲間には一通り聞いてしまったし、僕自身にも解決できそうな力はない。
僕は再びスィグワロス号を見た。
「ねえ、もし……話が理解できるのなら、首を振るくらいの反応はして欲しい」
『…………』
「本当に困っているんだ……」
もしかしたら、このウマもユニコーンかもしれない。
一途の望みにかけながら真剣にお願いしてみると、スィグワロス号はなんと……
『ヒヒーン♪』
変顔をしてきた。
一同がしばらく黙り込むと、マーチルは頭を掻きながら言う。
「この仔に、期待するだけ時間のムダだよ。牧場の半額セールで売れ残って、7割引で買ったウマだもん」
「惜しいなぁ、体格は立派なのに……」
「うん。いろいろとツッコミどころ満載な仔なの……」
こ、こうなってしまったら……最後の手段だ。
後で色々と言われるのが嫌だから黙っていたが、リッカシデン号なら、ヒントくらいはくれるかもしれない。
意識を彼に向けてみた。
「…………」
『…………』
「…………」
『………ぐ~す~』
「…………」
シャーロットは、恐る恐るという感じで聞いてきた。
「ねえ、おウマさまは何て……?」
「……ぐ~す~ぐ~す~」
僕の答えを聞き、ベルタやシャーロットの表情が曇っていく。
「つまり、これくらいのことは自分たちで解決しなさい……ということですか……」
「そう……なるね……」
迷ったのなら【帰還石】を使えばいいじゃないかと思う人もいるだろう。だけどあれは、クレバス内部から、1階層の入り口まで戻る代物だから、今は持っていない。
これ、一体……どうすればいいんだ!?
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
精霊に愛される(呪いにもにた愛)少女~全属性の加護を貰う~
如月花恋
ファンタジー
今この世界にはたくさんの精霊がいる
その精霊達から生まれた瞬間に加護を貰う
稀に2つ以上の属性の2体の精霊から加護を貰うことがある
まぁ大体は親の属性を受け継ぐのだが…
だが…全属性の加護を貰うなど不可能とされてきた…
そんな時に生まれたシャルロッテ
全属性の加護を持つ少女
いったいこれからどうなるのか…
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。
滅ぶ予定の魔王国ルミナ、実は全員が将軍級でした ~常識人の魔王アルト、血に飢えた国民に担がれて帝国を返り討ちにする~
雪野湯
ファンタジー
三百年続いた和平が終わり、魔族の小国ルミナは滅亡の時を迎えようとしていた。
人口五千、兵士百。相手は大陸最大の魔族帝国ヴォルガ。
魔王アルトは「降伏こそ最善」と覚悟していた――はずだった。
だが、民の反応は予想外だった。
「帝国ぶっ潰す!」「KO・RO・SE!!」
国民は全員、血に飢えた狂戦士。
老人も若者も、獣人もエルフもドワーフも、全員が将軍級の化け物揃いだったのだ!!
彼らの熱意を受け取り戦いを決断するアルトだが、いざ砦を攻めてみれば――帝国最強の五龍将すら一閃で両断。
帝国側は大混乱に陥り、ルミナの名は恐怖とともに広まっていく。
弱小国と侮られたルミナの反撃が、ここから始まる。
そしてアルトは知らない。
自分が率いる国が、世界最強の“狂戦士国家”だということを。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる