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早川静玖は戸惑っていた
幻聴
「今日はこのまま連れて帰りたいくらいだな。でも残念なことに今夜は実家に帰らないと行けないんだ。だから来週……」
そこまで言われてわからないはずもない。
静玖はぼんと音が出るくらいに顔を赤くして、それでもうなずいた。それで佑の一番になれるなら。
恥ずかしがる静玖を佑が抱き寄せると、静玖はその胸に顔をうずめた。
大きな手のひらが静玖の頭を撫で、落ち着かせようとしてくれているのに、静玖の顔はさらに熱を持ち、心臓が早鐘をうった。
しばらく抱き合ったあと、名残惜しい気持ちで佑を見送った静玖は目の前のコンビニに入った。
土曜日は朝からパチンコ店のバイトがあるため、朝食を買っていくのがお決まりになっていた。
慣れた足取りでパンコーナーへ向かうと新作のパンが目についた。
普段なら一番安いパンを買うのだがこの新作についつい手を出してしまう。
濃厚チョコチップ入りソフトフランスパン。
甘いものはそんなに好きではない静玖だが今日の気分は甘いものを欲していた。
それくらい、佑との、いや静玖にとって初めてのキスは気持ちを高揚させていた。
「……138円になります」
愛想のない店員の声を静玖は気にせず小銭を取りだし、ピッタリ138円を支払った。レシートと商品を受け取ると静玖は礼を言った。
「ありがとうございます」
田舎のコンビニでは店員もまた知り合いで静玖は礼を言うのが癖になっていた。
都会ではそんなことはしないのだと理解はしても習慣はやめられない。
佑との買い物でも礼を言うのを彼は笑って褒めてくれた。
田舎者だとバカにするようなことのない佑の愛情を感じて静玖は少し頬が緩んだ。
「シズク……」
さっき別れたばかりの佑の声が聴こえた気がした。
幻聴が聞こえるくらい、自分は佑のことを好きなのだと自覚すると恥ずかしくなって足早にアパートへの家路を急いだのだった。
静玖は帰宅すると、ファーストキスを思い出し、自分の唇に触れた。
手のひらと同じくらいに冷たい佑の唇がここに触れたのだと思うと、やっと落ち着いていた気持ちがまたはしゃぎだした。
来週には佑の一番になれるのだ。
これで誰ももう自分のことを存在感がないとか、地味だとか、蔑まれることもなくなるだろう。
静玖は小さく声をあげて笑った。
そこまで言われてわからないはずもない。
静玖はぼんと音が出るくらいに顔を赤くして、それでもうなずいた。それで佑の一番になれるなら。
恥ずかしがる静玖を佑が抱き寄せると、静玖はその胸に顔をうずめた。
大きな手のひらが静玖の頭を撫で、落ち着かせようとしてくれているのに、静玖の顔はさらに熱を持ち、心臓が早鐘をうった。
しばらく抱き合ったあと、名残惜しい気持ちで佑を見送った静玖は目の前のコンビニに入った。
土曜日は朝からパチンコ店のバイトがあるため、朝食を買っていくのがお決まりになっていた。
慣れた足取りでパンコーナーへ向かうと新作のパンが目についた。
普段なら一番安いパンを買うのだがこの新作についつい手を出してしまう。
濃厚チョコチップ入りソフトフランスパン。
甘いものはそんなに好きではない静玖だが今日の気分は甘いものを欲していた。
それくらい、佑との、いや静玖にとって初めてのキスは気持ちを高揚させていた。
「……138円になります」
愛想のない店員の声を静玖は気にせず小銭を取りだし、ピッタリ138円を支払った。レシートと商品を受け取ると静玖は礼を言った。
「ありがとうございます」
田舎のコンビニでは店員もまた知り合いで静玖は礼を言うのが癖になっていた。
都会ではそんなことはしないのだと理解はしても習慣はやめられない。
佑との買い物でも礼を言うのを彼は笑って褒めてくれた。
田舎者だとバカにするようなことのない佑の愛情を感じて静玖は少し頬が緩んだ。
「シズク……」
さっき別れたばかりの佑の声が聴こえた気がした。
幻聴が聞こえるくらい、自分は佑のことを好きなのだと自覚すると恥ずかしくなって足早にアパートへの家路を急いだのだった。
静玖は帰宅すると、ファーストキスを思い出し、自分の唇に触れた。
手のひらと同じくらいに冷たい佑の唇がここに触れたのだと思うと、やっと落ち着いていた気持ちがまたはしゃぎだした。
来週には佑の一番になれるのだ。
これで誰ももう自分のことを存在感がないとか、地味だとか、蔑まれることもなくなるだろう。
静玖は小さく声をあげて笑った。
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