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早川静玖は真面目だった
憧憬
早川静玖は真面目だった。
佑との約束である来週、つまりは五日後のの金曜日の夜のことを考えていた。
男同士のセックスについて知識がないわけではない。しかし未経験であることは当然で、彼とのそういう行為になにか準備をしなければと思った。
ネットで調べた結果、男性同士ではアナルを使うこと、そこは清潔にしておかねばならないこと、いきなり挿入出来るとは限らないこと。
アナルセックス自体、してもしなくてもいいらしいことはわかったが、静玖は真面目だった。
約束である金曜日。一度帰宅して戻ってきた静玖は、待っていた佑の車でレインボーブリッジを渡り、その先にあるオーガニックレストランで食事をした。
この後のことを思うと色鮮やかな料理も、まったく味がわからなかった。
「今日、泊まっていける?」
少し照れたような表情で問う佑に静玖はうなずいた。
佑のマンションに向かう車の中は、いつもなら今週あった出来事を話す静玖のおかげでうるさいほどなのに、うつむいたまま押し黙ったおかげで、静かだった。
はじめて来た佑の住むマンションは静玖が住んでいるアパートとは比べるまでもなく、それ以上に豪華なマンションだった。
入り口には木々が植えられ通りからは隔絶された世界になっていて、二つほど自動ドアをくぐり抜けた先には高い天井のエントランス。そこには制服を来た男性が一人。
「おかえりなさいませ」
「ただいま、彼は友人だから」
「かしこまりました」
まるで執事のようだと思ったが後から聞けばコンシェルジュというらしい。
静玖は管理人とは違うのかと思ったがそこは言わなかった。恐縮した面持ちで佑の後ろを付き従うように歩いた。
大理石の床に長い廊下は、コツコツという靴音が異様に響いて静玖の緊張感が増した。
エレベーターホールもまた広く、静玖には理解出来ない抽象的な大きな絵画が飾られていた。
エレベーターは最上階で止まり、そこからはもう別世界だった。広々としたリビング。その先にあるガラス窓からは都内の夜景が一望できた。
遠くかすかに見える東京タワーは修学旅行で行ったきりだが、静玖にとってはまさに東京を象徴するものだった。
「きれい……」
「毎日見てると飽きるんだけどね」
夜景を見惚れていた静玖の頭に佑の手が触れる。
少しひんやりとした大きな手。
ふわふわの頭を撫でる様子がガラスに映った。
いつも笑顔の佑の表情は少しこわばっていて、これからのことを予感させて静玖の胸はときめいた。
「シズク……シャワー浴びる?」
肩を抱き寄せる佑にもたれながら、静玖は首を振った。
「僕、浴びてきた、から。その、準備とか……あるし」
そのために講義が終わると一度帰宅していた静玖は恥ずかしかったが正直に答えた。
佑の手に力がこもった。そのまま佑の胸に埋められる。頭ごと掻き抱かれてその手がまた頭を撫でる。
「偉いね、シズク。うんと優しくしてあげる」
佑との約束である来週、つまりは五日後のの金曜日の夜のことを考えていた。
男同士のセックスについて知識がないわけではない。しかし未経験であることは当然で、彼とのそういう行為になにか準備をしなければと思った。
ネットで調べた結果、男性同士ではアナルを使うこと、そこは清潔にしておかねばならないこと、いきなり挿入出来るとは限らないこと。
アナルセックス自体、してもしなくてもいいらしいことはわかったが、静玖は真面目だった。
約束である金曜日。一度帰宅して戻ってきた静玖は、待っていた佑の車でレインボーブリッジを渡り、その先にあるオーガニックレストランで食事をした。
この後のことを思うと色鮮やかな料理も、まったく味がわからなかった。
「今日、泊まっていける?」
少し照れたような表情で問う佑に静玖はうなずいた。
佑のマンションに向かう車の中は、いつもなら今週あった出来事を話す静玖のおかげでうるさいほどなのに、うつむいたまま押し黙ったおかげで、静かだった。
はじめて来た佑の住むマンションは静玖が住んでいるアパートとは比べるまでもなく、それ以上に豪華なマンションだった。
入り口には木々が植えられ通りからは隔絶された世界になっていて、二つほど自動ドアをくぐり抜けた先には高い天井のエントランス。そこには制服を来た男性が一人。
「おかえりなさいませ」
「ただいま、彼は友人だから」
「かしこまりました」
まるで執事のようだと思ったが後から聞けばコンシェルジュというらしい。
静玖は管理人とは違うのかと思ったがそこは言わなかった。恐縮した面持ちで佑の後ろを付き従うように歩いた。
大理石の床に長い廊下は、コツコツという靴音が異様に響いて静玖の緊張感が増した。
エレベーターホールもまた広く、静玖には理解出来ない抽象的な大きな絵画が飾られていた。
エレベーターは最上階で止まり、そこからはもう別世界だった。広々としたリビング。その先にあるガラス窓からは都内の夜景が一望できた。
遠くかすかに見える東京タワーは修学旅行で行ったきりだが、静玖にとってはまさに東京を象徴するものだった。
「きれい……」
「毎日見てると飽きるんだけどね」
夜景を見惚れていた静玖の頭に佑の手が触れる。
少しひんやりとした大きな手。
ふわふわの頭を撫でる様子がガラスに映った。
いつも笑顔の佑の表情は少しこわばっていて、これからのことを予感させて静玖の胸はときめいた。
「シズク……シャワー浴びる?」
肩を抱き寄せる佑にもたれながら、静玖は首を振った。
「僕、浴びてきた、から。その、準備とか……あるし」
そのために講義が終わると一度帰宅していた静玖は恥ずかしかったが正直に答えた。
佑の手に力がこもった。そのまま佑の胸に埋められる。頭ごと掻き抱かれてその手がまた頭を撫でる。
「偉いね、シズク。うんと優しくしてあげる」
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