神様からのボーナスタイム

三谷玲

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たった一か月でも懐かしさを覚える

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「これって……!」
「インドの雑貨店で見つけたんだ。ショウイチの時代のものでしょ? お土産に買ってきたんだ」
「いや、多分それより後の機種かな。見たことないもん」

 渡されたのは角が潰れた箱に入った携帯ゲーム機。メーカーは日本で一番有名なあの会社だが、筐体は見たことがないものだった。

 それでも久しぶりに見たゲーム機に、ショウイチは心躍らせた。もちろん、この時代にもビデオゲームはある。VRに近い。スマコンで表示されるバーチャル空間をアバターで自由に動き回ることができる。

 最初は新鮮で面白かったが、ボタン操作に飢えていた。

「オレの子どものころにも似たようなのがあったけど、ソフトも必要なんだよね? 売ってるの買い占めてきちゃった」

 出てきたのは、赤と緑の配管工兄弟や、ショウイチが散々やりこんだ狩りゲーム。あといくつか、聞いたことのないタイトルが並んでいた。

「ありがとう! でもこれとバイトとなんの関係が?」

 さっそくショウイチは箱から取り出し、起動した。見慣れたロゴにたった一か月でも懐かしさを覚える。

「いまね、配信サイトでレトロブームが来てるんだ。オレも大好きでいろいろ見てるんだけど、レトロゲームの実況配信したら、人気出るんじゃないかとおもって」
「僕もよく見たな。でも、昔のゲームのなんてそれこそアーカイブにいっぱいあるんじゃない?」
「あるにはあるけど、画質が荒いんだよ。ね? 試してみようよ。オレも昔のゲームやってるとこ、見てみたいしさ」



 ショウイチがゲームを始めると、ノゾムだけじゃなくナカセまで見に来た。

「器用に動きますね」
「だよねぇ。ほら見て、いまモンスターを見ないで弓放ったよ!」

 こんなことで褒められて、少し照れ臭い。罠に掛けたモンスターの頭部を狙い、弱体化させると、再度罠に掛けて、捕獲してクリアだ。

「でもこれ、どうやって配信するの?」
「スマコンで自動録画されてるよ。それを編集して配信サイトにあげるだけ。あとは視聴回数に応じて、随時、個人口座に振り込まれる仕組みになってるんだ」
「随時? じゃあいますぐこれを――」
「まぁ待って。そのまんま上げたんじゃ、オレたちの会話もアップされちゃうから。編集はオレが教えてあげるからさ」
「プロに教えてもらえるなんて、ラッキーだね」
「任せて! 一気に稼いでシゲアキが喜ぶプレゼント用意しよう」
「その前に、お茶をご用意しますね。あまり根を詰めすぎては、お疲れになりますから」

 戻ってきたナカセが持ってきたのは、普通の紅茶よりもだいぶ赤い、ハイビスカスティーだった。
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