48 / 81
天降る天使の希い
凍の月 その二 ♡
しおりを挟む
ソルーシュがこんなにはっきりと蒼鷹を誘うことははじめてだ。
どうしていいかわからない。とにかく寝台の上へと蒼鷹を押し倒すと、その帯を解いた。
「どうした?」
「そういう、きぶんです。だめですか?」
「だめというわけではないが……あ、っ」
不思議に思う蒼鷹の陰茎を取り出すと、当然まだそこには熱も硬さもなかった。
やわらかい感触を弄ぶように揉んでみる。
蒼鷹がやにわに声をあげ、気を良くしたソルーシュは更に力を強めた。
ぎゅっと締め付けてから、力を緩め、左右に振ると少しずつ芯を持ち始めてきた。
――いつも、どうされてるんだっけ?
自身がされているときのことを思い出して、先端に口づけた。
ふっくらした唇に、むにっと押し付けるとぴくりと反応を示した。
「ソルーシュ……?」
蒼鷹の困惑した声が、ソルーシュをむきにさせた。
そのまま口を開いて陰茎を一気に咥えた。
――これをこすればいいんだよね……?
酒のせいで思考は曖昧なソルーシュが、思いのままにその分厚い唇で、陰茎を激しく扱いた。
「まて、ソルーシュっ! あ、っ……! おいっ!」
拙すぎる動きに、微かに当たる歯。蒼鷹は思わず声を荒げ、ソルーシュの頭をつかみ、無理矢理引き抜いた。
――これではだめ? それじゃあ……。
口淫を拒まれたソルーシュは、今度は自ら寝衣を脱ぎ、その肢体を惜しげもなくさらけ出した。
膝立ちになり、その中心に身体を落とそうとしたが、当然、勃ち上がっていないそれが入るわけがない。
様子のおかしいソルーシュを見守っていた蒼鷹だったが、ソルーシュがぺたりと座り込み、目からボロボロと涙を零し始めたところで、静かに腰を起こし、その頬に手を当てた。
「ソルーシュ、私を見なさい」
嫌だと首を振るソルーシュだが蒼鷹の手は容赦なく、顔を固定し、鋭い瞳で覗き込まれた。
「何がそんなに悲しいのだ? 誰かになにか言われたのか?」
蒼鷹の腕ごと首を振った。
――なにが、かなしい……?
紅牡丹のように華やかなわけではない。
舜櫂のように知識があるわけではない。
峰涼や、墨夏みたいに蒼鷹を支えることもできず、紅希のように将来を期待されているわけではない。
結局ここでも自分が役に立たない人間であることが、ソルーシュは悲しかった。
「ワタ、シ……、やくたたず、いや……っ……。てがみ……あにうえ、に」
「役立たずなんてことはない、ソルーシュがいてくれるだけで私は――」
「だめ。王妃、……する。お仕事」
「王も王妃も飾りみたいなものだ。居てもいなくても国は回る」
「そうよう、仕事、大変……。ワタシは、何も……」
しゃくりあげながら、とぎれとぎれに言葉を紡ぐソルーシュに、蒼鷹がひとつひとつ答えるが、ソルーシュの心は晴れない。
滂沱に落ちる涙は、何度拭っても蒼鷹の手を濡らした。
冷えていく身体に、蒼鷹はひとつ、王妃の仕事を思い出した。
「なら、次の月の冬至祭の支度をするか? 紅牡丹がいつものように仕切る予定だったが、アレに教えさせよう」
「とうじ?」
知らない言葉に、ソルーシュの涙が止まった。
「あぁ。昼が一番短い日を無事に過ごせたことを祝う儀式だ」
「します、ワタシ、しますっ! 蒼鷹の、役に立ちたいです」
蒼鷹の上でソルーシュは飛び跳ねて喜んだ。
喜ぶ姿はかわいいものだが、身体の中心で揺れるモノにもつい目が行ってしまう蒼鷹は、苦笑した。
「そんなことをしなくても、十分役に立っているのだがな」
小さなつぶやきははしゃぐソルーシュには届かなかった。どんなことをするのか、自分は何をすればいいのか、矢継ぎ早に聞いてくるソルーシュの問に答えていく。
さっきまで悲しみにくれていたソルーシュが笑顔になる。一通り話終えると、蒼鷹が真面目な顔をした。
「ただ……あまり紅牡丹といっしょに居てほしくないのが本音だ」
「なにもありませんよ?」
「なにかあったら即刻紅牡丹を後宮から追い出してやる」
むしろ、蒼鷹と舜櫂は……と頭をよぎるが、ソルーシュはそれを呑み込んだ。
――今はなにもないのだから。
どうしていいかわからない。とにかく寝台の上へと蒼鷹を押し倒すと、その帯を解いた。
「どうした?」
「そういう、きぶんです。だめですか?」
「だめというわけではないが……あ、っ」
不思議に思う蒼鷹の陰茎を取り出すと、当然まだそこには熱も硬さもなかった。
やわらかい感触を弄ぶように揉んでみる。
蒼鷹がやにわに声をあげ、気を良くしたソルーシュは更に力を強めた。
ぎゅっと締め付けてから、力を緩め、左右に振ると少しずつ芯を持ち始めてきた。
――いつも、どうされてるんだっけ?
自身がされているときのことを思い出して、先端に口づけた。
ふっくらした唇に、むにっと押し付けるとぴくりと反応を示した。
「ソルーシュ……?」
蒼鷹の困惑した声が、ソルーシュをむきにさせた。
そのまま口を開いて陰茎を一気に咥えた。
――これをこすればいいんだよね……?
酒のせいで思考は曖昧なソルーシュが、思いのままにその分厚い唇で、陰茎を激しく扱いた。
「まて、ソルーシュっ! あ、っ……! おいっ!」
拙すぎる動きに、微かに当たる歯。蒼鷹は思わず声を荒げ、ソルーシュの頭をつかみ、無理矢理引き抜いた。
――これではだめ? それじゃあ……。
口淫を拒まれたソルーシュは、今度は自ら寝衣を脱ぎ、その肢体を惜しげもなくさらけ出した。
膝立ちになり、その中心に身体を落とそうとしたが、当然、勃ち上がっていないそれが入るわけがない。
様子のおかしいソルーシュを見守っていた蒼鷹だったが、ソルーシュがぺたりと座り込み、目からボロボロと涙を零し始めたところで、静かに腰を起こし、その頬に手を当てた。
「ソルーシュ、私を見なさい」
嫌だと首を振るソルーシュだが蒼鷹の手は容赦なく、顔を固定し、鋭い瞳で覗き込まれた。
「何がそんなに悲しいのだ? 誰かになにか言われたのか?」
蒼鷹の腕ごと首を振った。
――なにが、かなしい……?
紅牡丹のように華やかなわけではない。
舜櫂のように知識があるわけではない。
峰涼や、墨夏みたいに蒼鷹を支えることもできず、紅希のように将来を期待されているわけではない。
結局ここでも自分が役に立たない人間であることが、ソルーシュは悲しかった。
「ワタ、シ……、やくたたず、いや……っ……。てがみ……あにうえ、に」
「役立たずなんてことはない、ソルーシュがいてくれるだけで私は――」
「だめ。王妃、……する。お仕事」
「王も王妃も飾りみたいなものだ。居てもいなくても国は回る」
「そうよう、仕事、大変……。ワタシは、何も……」
しゃくりあげながら、とぎれとぎれに言葉を紡ぐソルーシュに、蒼鷹がひとつひとつ答えるが、ソルーシュの心は晴れない。
滂沱に落ちる涙は、何度拭っても蒼鷹の手を濡らした。
冷えていく身体に、蒼鷹はひとつ、王妃の仕事を思い出した。
「なら、次の月の冬至祭の支度をするか? 紅牡丹がいつものように仕切る予定だったが、アレに教えさせよう」
「とうじ?」
知らない言葉に、ソルーシュの涙が止まった。
「あぁ。昼が一番短い日を無事に過ごせたことを祝う儀式だ」
「します、ワタシ、しますっ! 蒼鷹の、役に立ちたいです」
蒼鷹の上でソルーシュは飛び跳ねて喜んだ。
喜ぶ姿はかわいいものだが、身体の中心で揺れるモノにもつい目が行ってしまう蒼鷹は、苦笑した。
「そんなことをしなくても、十分役に立っているのだがな」
小さなつぶやきははしゃぐソルーシュには届かなかった。どんなことをするのか、自分は何をすればいいのか、矢継ぎ早に聞いてくるソルーシュの問に答えていく。
さっきまで悲しみにくれていたソルーシュが笑顔になる。一通り話終えると、蒼鷹が真面目な顔をした。
「ただ……あまり紅牡丹といっしょに居てほしくないのが本音だ」
「なにもありませんよ?」
「なにかあったら即刻紅牡丹を後宮から追い出してやる」
むしろ、蒼鷹と舜櫂は……と頭をよぎるが、ソルーシュはそれを呑み込んだ。
――今はなにもないのだから。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
100
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる