世紀末な転移先で覇王に捕まりました〜この世界で生き抜くなんて無理っ!絶対無理っ!〜

三谷玲

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.争いごとなんて無理っ!絶対無理っ! 2

「おや? マナ様どうかされましたか?」

 扉から出てすぐ。緞帳のように天井からさがった布をくぐると覇王の間だ。
 すぐ横にあるハオのイスを見つけて近寄ると、声をかけられた。
 相変わらず頭からすっぽりボロ布をかぶった、サイがいた。

「サイは狩りに行かなかったのか?」
「わたしは狩りには向きませんので。なにか、ジジにされました?」
「あんなジイさんに? そんなわけないじゃん。なぁハオのイスのあれってシカの角ってほんと?」

 隣りにあるイスから伸びている角は、片方だけでも俺の背丈くらいある。

「えぇ。ハオ様の最初の獲物でしたね。冬の食糧のない時期でしたから、ひと月ほど飢えをしのげた懐かしい思い出です」
「ひと月分の食糧……。やっぱりすごいデカいの?」
「角だけでふたりがかりでしたね」

 象くらいか? うぅん、わからん!
 俺シカの角がどんな形かなんて知らなかったや。
 こんな枝分かれして枯れ木みたいだったかなぁ? 奈良にいるヤツとかこんな形してたら、観光客ケガしそう。
 結局答えはわからなかった。

 いや、ずっと気になってたんだよな。
 言葉が通じるってことはさ、こいつらが日本語喋ってるのか、言語チートなのか。
 もしかしたら、俺の知らないゲーム世界かも。
 シカが俺の知ってるシカなら、なんかわかるかも、って思ったけど、全然なんにもわからん。

「なにか気になることでもあるんですか?」
「あるっちゃあるんだけど……。そうだ、サイ。文字はある? 言葉を記号で表せる?」
「……わたしたちをバカにしてるんですか? 文字くらいありますよ」
「バカにしてるわけじゃないけどさ、ね、見せてくんない?」

 すこし不機嫌になったサイだけど、離れたところにある棚から本らしきものを持ってきた。

「とはいえ、読み書きできるのは限られた者たちだけです。ハオ様はもちろんわかりますが、ジジやそこにいる護衛たちには読めない者も多いです。できれば、みなが読めるようになればいいのですが、なにぶん、働かなければなりませんからね」
「勉強するより働けってことか」

 昔の日本の農村みたいなもんか。いや、それより厳しい生活かも。
 開いてもらった本にはたしかに文字が書かれている。
 ローマ字じゃなさそう。
 でもなんか見たことあるような、ないような。

「これはなんの本なの?」
「チーダの歴史をまとめたものです。歴代の覇王の右腕によって書かれた大切なものですよ」
「右腕? サイもハオの右腕なの?」
「わたしは、先代ロウ様のころからの右腕です」
「ロウってあの、ハオが殺した……」

 自分が仕えていた人を殺されて恨んだりしないんだろうか?
感想 1

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