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.遠征なんて無理っ!絶対無理っ! 19
「な、なんだよこれ……っ! ムラがあったんじゃなかったのか?」
「もう何年も前だ。人が住まなければムラはあっという間に荒地になる」
「だからって……」
残るのは燃えあと残るがれきの山、山、山……。それも風化してるのか、元がどんな形かも定かではない。
荒れているとは聞いていたが、もう少しムラの痕跡があるものだとばかり思っていた。
こんなのテレビで見た戦場よりひどい。
「ハオ様! マナ様! お早いお着きで」
俺が呆然とムラだったモノを見ていると、ギイががれきの山を避けながら走ってきた。
「あまりこちらにとどまるわけにもいかないからな。さっそくだが案内してくれ」
「へぇ。オラも正確な場所を覚えとらんで、昨日から探してやしたんですが、ようやく見つけやした。アレは、あの山のほうでやす」
ギイが手綱に手を掛けると、ハオの馬はおとなしくそれに従った。すごいいい子。首筋を撫でてやると、耳を横にした。
「どういうこと?」とハオに聞くと「喜んでいる」と教えてくれた。
もう一度撫でようとしたら、俺の首筋に何かが触れて、びくっと跳ねてしまった。
ハオに舐められた!
「なにすんだよっ!」
「喜ぶかと思って」
「馬と一緒にすんなっ!」
俺の怒りを感じ取ったのか、馬も鼻を鳴らした。
「おわ、びっくりしたっ! おふたかた、あまり馬の上でじゃれんでくださいな。オラが馬に蹴られやす」
馬の鼻息に驚いたギイにたしなめられて、なぜか俺が頭を下げる羽目になった。当然、ハオの頭には下げるという機能はついていない。呆れた顔をしたギイは「急ぎやせんと」と言って、歩き出した。
向かう先には結構な高さの山が見えた。
「あれ、登るの?」
「いえ、あの手前の森の入り口でやすよ」
「あ、ほんとだ。森だ! 俺こっちきてはじめて間近で見たかも」
そこには確かに森があった。面白いことに、山の中腹から裾野の荒地に向かい蛇行するようにして形成される不思議な形をしている。
「川でもあるの?」
「年に数回、湧き水が出るんでやすよ。その水のおかげで森が守られてると言い伝えられてるでやすよ」
「ふぅん。湧き水かぁ……」
大山とか丹沢とか、厚木周辺には山が多い。ダムだってあるから、もしかしたらわずかな水を蓄えてくれているのかも。何が理由でそれが湧いて出てくるのかわからないけど、それでも貴重な水が森を作ってるんだな。
地学に詳しければもっとわかるんだろうけど。あいにく俺にわかるのは、ここら辺のおおざっぱな地理くらいだ。
俺の実家はさらにこの先、大山を超えたあたり。
どれが、大山かわからないくらい山だらけになってるけど。やっぱり地表が隆起したのかなぁ……。
体感にして一時間くらい。比較するものがないから思ったよりも遠かった。
ようやくたどり着いた森の入り口に、それはあった。
木々の間に黒い柱のような石が、いくつも立っている。
ハオに馬から降ろしてもらってその石に近寄った。
……違う、これは建てられたものだ。
容赦なく照り付け始めてきた日光を遮り、木漏れ日が射す森の入り口。
ほんのわずかに涼しさを感じるのは、実際気温が低いのか、それともこの場所のせいなのか。
石に触れ、わずかなくぼみを感じて、確信する。
「ここ、お墓だ」
「もう何年も前だ。人が住まなければムラはあっという間に荒地になる」
「だからって……」
残るのは燃えあと残るがれきの山、山、山……。それも風化してるのか、元がどんな形かも定かではない。
荒れているとは聞いていたが、もう少しムラの痕跡があるものだとばかり思っていた。
こんなのテレビで見た戦場よりひどい。
「ハオ様! マナ様! お早いお着きで」
俺が呆然とムラだったモノを見ていると、ギイががれきの山を避けながら走ってきた。
「あまりこちらにとどまるわけにもいかないからな。さっそくだが案内してくれ」
「へぇ。オラも正確な場所を覚えとらんで、昨日から探してやしたんですが、ようやく見つけやした。アレは、あの山のほうでやす」
ギイが手綱に手を掛けると、ハオの馬はおとなしくそれに従った。すごいいい子。首筋を撫でてやると、耳を横にした。
「どういうこと?」とハオに聞くと「喜んでいる」と教えてくれた。
もう一度撫でようとしたら、俺の首筋に何かが触れて、びくっと跳ねてしまった。
ハオに舐められた!
「なにすんだよっ!」
「喜ぶかと思って」
「馬と一緒にすんなっ!」
俺の怒りを感じ取ったのか、馬も鼻を鳴らした。
「おわ、びっくりしたっ! おふたかた、あまり馬の上でじゃれんでくださいな。オラが馬に蹴られやす」
馬の鼻息に驚いたギイにたしなめられて、なぜか俺が頭を下げる羽目になった。当然、ハオの頭には下げるという機能はついていない。呆れた顔をしたギイは「急ぎやせんと」と言って、歩き出した。
向かう先には結構な高さの山が見えた。
「あれ、登るの?」
「いえ、あの手前の森の入り口でやすよ」
「あ、ほんとだ。森だ! 俺こっちきてはじめて間近で見たかも」
そこには確かに森があった。面白いことに、山の中腹から裾野の荒地に向かい蛇行するようにして形成される不思議な形をしている。
「川でもあるの?」
「年に数回、湧き水が出るんでやすよ。その水のおかげで森が守られてると言い伝えられてるでやすよ」
「ふぅん。湧き水かぁ……」
大山とか丹沢とか、厚木周辺には山が多い。ダムだってあるから、もしかしたらわずかな水を蓄えてくれているのかも。何が理由でそれが湧いて出てくるのかわからないけど、それでも貴重な水が森を作ってるんだな。
地学に詳しければもっとわかるんだろうけど。あいにく俺にわかるのは、ここら辺のおおざっぱな地理くらいだ。
俺の実家はさらにこの先、大山を超えたあたり。
どれが、大山かわからないくらい山だらけになってるけど。やっぱり地表が隆起したのかなぁ……。
体感にして一時間くらい。比較するものがないから思ったよりも遠かった。
ようやくたどり着いた森の入り口に、それはあった。
木々の間に黒い柱のような石が、いくつも立っている。
ハオに馬から降ろしてもらってその石に近寄った。
……違う、これは建てられたものだ。
容赦なく照り付け始めてきた日光を遮り、木漏れ日が射す森の入り口。
ほんのわずかに涼しさを感じるのは、実際気温が低いのか、それともこの場所のせいなのか。
石に触れ、わずかなくぼみを感じて、確信する。
「ここ、お墓だ」
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