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君に酔う
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「なあ、酔わん?」
初めての新幹線。慣れたデート。
君はいつもと同じように心配そうに目を細めた。
その目は真っ直ぐでいつも茶色に染まり、
透き通っていた。大丈夫だよ。
決まって私がそう笑うと
君はカッコつけるように姿勢を正してさ。
態度には出さないくせに顔にはよく出るから
またそこも愛らしいの。
「俺、通路側でも良かったんやけどな…
あ、ほらあれ見てみ!」
窓に青、緑、黄色。
目に映る色彩を私に共有する君が
子供みたいで可愛かった。
だから私はこの席が好きにさせられる。
初めての新幹線には君が隣にいた。
お喋りするのも、手を繋ぐのも、
二人で駅弁を食べるのも、場所が違うだけで
そこに君がいるのは慣れたことなのに
私はそれが凄く好きだ。
今日はいつもと違って髪が少しはねている。
不器用な君が想像できるのもまた可愛い。
「何見とん?」
君だよ、と私の返答に君は頬を赤らめた。
新幹線の中、
二人の手の上で巡り合わせた小さな世界。
かんかんに入ったお酒が重なり合った。
少し苦いお酒がいくつかの景情の上で調合された
甘酸っぱさと混ざりあっていた。
初めての新幹線。慣れたデート。
君はいつもと同じように心配そうに目を細めた。
その目は真っ直ぐでいつも茶色に染まり、
透き通っていた。大丈夫だよ。
決まって私がそう笑うと
君はカッコつけるように姿勢を正してさ。
態度には出さないくせに顔にはよく出るから
またそこも愛らしいの。
「俺、通路側でも良かったんやけどな…
あ、ほらあれ見てみ!」
窓に青、緑、黄色。
目に映る色彩を私に共有する君が
子供みたいで可愛かった。
だから私はこの席が好きにさせられる。
初めての新幹線には君が隣にいた。
お喋りするのも、手を繋ぐのも、
二人で駅弁を食べるのも、場所が違うだけで
そこに君がいるのは慣れたことなのに
私はそれが凄く好きだ。
今日はいつもと違って髪が少しはねている。
不器用な君が想像できるのもまた可愛い。
「何見とん?」
君だよ、と私の返答に君は頬を赤らめた。
新幹線の中、
二人の手の上で巡り合わせた小さな世界。
かんかんに入ったお酒が重なり合った。
少し苦いお酒がいくつかの景情の上で調合された
甘酸っぱさと混ざりあっていた。
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