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第3.5話
第6話 ある日のワイの1日
そんなこんなでワイとエールは徴税執行部隊第18分隊と行動を共にする事となった。
そうである以上、これからは「お客様」という訳にはいかない。エールはまぁいい。エスキル隊長並みの戦闘能力という目に見えて役に立つ能力を持っている。しかしながらワイは・・・とはいえ、ここで置いていかれる=死である以上(まぁ彼らがそこまで薄情な事はしないにしても、万が一何かあった時はと考えるなら)、何でもいいので貢献しないといけない。少なくとも足を引くような真似はできない。現実的に何ができるかとか、やる前からできないと決めつけてやらない、という甘えは許されない。現代日本でヒキニーゲー廃であり、何かができるとは思えないが、それでもやる以外選択肢はない。できなければ死ぬ。実に簡単な理屈だ。
そうでなくとも、ワイは目下。彼らと別れた時、自身が死なない為に何としても料理をできるようにならないといけないのだ。
という事で、彼らから料理を学ぶ運びとなった。
現在、AM4:00ぐらい。ワイはビルイェルに起こされる。休息中である周りに配慮してはいるが、かなり強めに起こされた。考えるまでもなく、昨日はいろいろとありすぎたのだから、普通に寝ていたい所だが、彼らからしたらあの程度は日常茶飯事。あの程度の遭遇でノンビリ眠りこけている暇はないのだ。
「・・・ン・・・ンゴ・・・」
「そろそろ起きろ。仕事の時間だ」
「・・・? ほわ~い? ドユコト?」
ドスッ!
「ンゴ!!」
「寝ぼけてるんじゃねぇ。お前が料理を教えてくれと言ったんだろうが」
(そういえばそうだったンゴ……しっかし、何時かワカランけど、こんな時からって……)
ビルイェルがてきぱきと下準備を行いつつも、ワイに指示を出す。
「まぁ、多分。なんもできんのぐらい、みてたら分かるんで、とりあえずできそうなことからやってもらう」
割り振られた仕事は「火起こしと火の番」であった。
昨日の「おき」が残っているので、それ使う。さすがに火打石やら弓を使って摩擦熱で火を起こして・・・みたいな所まではいかない。
燃えカスとなったスエーデントーチの残骸。よく見ると炭の塊がいくつか転がっている。
まず、ビルイェルが火吹き棒を使って、注意深く、その炭に対して息を吹きかけ空気を送る。と、空気が送られている間、黒かった炭がやや赤みを増した色見に変わる。このような状態になっているのが「おき」である。
それを確認した後、そこにおが屑を軽くまぶし、同じように息を吹きかけ空気を送る。すると、おが屑が燃え出した。これで種火ができた。後は、これを消さないように注意しながら細木から順にくべていき、最終的には巻き割りで割ってある薪をくべて火起こしは終わる。
当たり前の話として、料理が終わるまで(厳密には暖も取っているので出立直前まで)火力の調整まで面倒を見る必要がある。
火力の調整をする時は、新たに薪をくべるか、火掻き棒を使い、物理的に燃えている薪と鍋との距離を開く。ガスコンロやIHコンロのような機能など望むべくもない。
しかも、防御魔法がかかっている上にカマクラ内とはいえ、やっぱり空気が冷たい。でも、火の回りは熱いぐらいに加熱される。現代でも冬場に料理する際、コンロで火を扱っていると、その目の前だけは熱い。こういうのはやった事がある者でないと分からない。外から様子を見ているだけでは分からない系の知見である。
(う、わぁ~、これ、大変すぎるンゴ……こんなんでよ~調理とかムリポ……)
まぁ、現代でもキャンプガチ勢であればこれと似たような事はやる。
ワイが火の扱いに四苦八苦している間、ビルイェルは昨日の残りのスープ系に適当な余り物を放り込みつつ、小麦粉を捏ねてパンを焼く作業をしていた。
そう。保存食などを使わないのであれば、最前線でも普通にパンを焼く。第二次世界大戦当時でも、各国軍隊は食肉用の牛やら豚やらを連れて前進している。
「・・・足らんな。そこに石うすあるんで、それで小麦粉作っといてくれ。それだったら火見ながらでもできるだろ」
石うす。ワイにとっては歴史の授業でかろうじて見たことがある程度の道具である。まぁ一応、それっぽい物を見つけて、よいしょ!!
「おっ! も!!」
「おいおい、頼むわ。それぐらい動かせてくれよ……」
根性で何とか火のそばまで石うすを動かし、火加減を見ながら小麦粉を作る作業に入る。
石うすとは、同じぐらいの大きさの円柱状の石によって上下の二段構造になっており、上部の取っ手を握って回す事によって間に挟まれた物体をすり潰して粉にする道具である。潰す物自体は上部にある穴から放り込み、加工された粉は石うすの周囲に落ちるので、それを回収する。石うす自体の重量で引き潰すので、当然、かなりの重量物である。
(うっげ!! おもた!! これ、やんの)
実際、力仕事とまったく縁のないワイからしたら拷問に等しい。それでも嘆こうが騒ごうがそれで許されるような甘い環境ではない。覚悟を決めてやるしかない。
まぁ、この手の重量物は一度動き出すと慣性の法則が働くので案外、動くようになるのはなる。それでも重労働なのに変わりはない。それも、ゲー廃ヒキニー生活をしていたワイにとっては地獄の労役である。
「ついでに明日以後の分もある程度作っておきたいんで、そのままやっといて」
(ぃぃぃ、いぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)
ごりごりごりごりごりごりごりごり
ちょっと目を離すと火勢が強すぎたり弱すぎたりなので、適宜、火かき棒やら火吹き棒やらで調整。
ごりごりごりごりごりごりごりごり
もう無心となって、そういう機械なんだと言い聞かせ、一心不乱になって石うすを回し続け・・・
とやっているうちにパンが焼きあがる匂いと共に他の者達が起床。ようやくこの苦行から解放されたのだった。
「あんのぉ~~~・・・」
「?」
「もしかして、これ、毎日・・・」
「明日の分は今日作ったんで、明日の粉ひきはやらんでええけど・・・まぁ、そうやな」
(ぐぎゃあああああぁぁぁぁぁ!! 昔の人、マジかよ!! こんなん時間がいくらあっても足らんやん!!)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
はい、その通り。料理1食分作るだけでもものすごい労力が必要。家事の手間暇は現代日本のそれと比べると平気で100倍ぐらいの仕事量になる。だからこそ、家族総出でできる部分は分業する。足りないものはマンパワーで解決していたのだ。
こういう所に時間がとられるから、余暇のようなものはほとんどなく、教育に時間を割くなどやりたくてもできないのだ。農民が農民という身分から脱出しようにも、そもそもがそれができるような条件が整っていなさすぎる。よくある「なろう系」であまりに軽視されすぎている部分である。たとえ魔法を学ぶためでも、働き手が1人取られる、というのは想像以上に厳しいのだ。
まぁ、日本でも第二次世界大戦直後ぐらいまではこのレベルだったんだけどなぁ……冷蔵庫、炊飯器、ガスの普及、上下水道の整備という条件が整ったのって高度経済成長期ぐらいであって、それまでは、川で水汲んでかまどでご飯炊いてるようなのが普通だったからなぁ……
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
朝食が終わり、ちょっと落ち着いたぐらいに出立準備が始まる。犬達をソリにつなぎ、戦士たちは鎧を着こむ。その間にウント老が防御魔法をかけて回る。
ワイも細々とした雑用を手伝う。
まず、使っていた食器類を洗う。水に関しては魔法の力でそこそこ自由に使えるので、リアルワールドのような節水術のような事までは考慮に入れなくともよい。
それが終わったら、皮袋製の水筒にお湯を入れていく。これは、湯たんぽ+飲み水の役割を持たせているからである。自然環境からは防御魔法の力で守られているとはいえ、このような部分で手を抜く事はない。
このぐらいの段階で火は消しても問題なくなるので、火を消し、燃え残った炭をトングを使って引っ掻き集めて壺に放り込み、他の荷物と共にソリに積み込んで、紐で結んで固定する。
いつ敵に襲われてもおかしくない関係で緊急発進する可能性もあるので最低限、失くしてはならないものは搭載している。とはいえ、常にギチギチに締めていては紐の方が持たない。もう少し言うなら、ギチギチに締めていても定期的に締め直さないとダメになる。
そのような事情により、荷物の搭載、及び紐で固定し直す作業は必須となる。
見様見真似で
(こんな感じでいいんか?)
ぐるぐる、ぎゅ!
「ぁぁぁ! ダンゴ結びだめぇ!!」
「ンゴ!?」
紐の結び方を知らない人がほぼ必ずやる結び方。結び目部分が団子のようになる結び方。手っ取り早く結べるのだが、ほどく時に非常に手間がかかる。
「まぁ、一発で覚えられるとは思えんけど、とりあえず見とけ」
非常に手慣れた手つきで、もやい結びで結んでいく。
「これだったら、こっちの出てる方の紐を引いたらすぐに解ける」
「・・・はぇぇ・・・」
「で、締める時は、こっちの紐を握って・・・」
手の力だけでなく、足の踏ん張りも使ってグッっと締められる。
「紐の結び方一つでもいろいろあるんやなぁ……」
引きニーの彼からしたら知らない事の連続である。
ふと他の戦士たちの出立風景を見ていると、スヴェン、ビルイェル、カールレはガチャガチャと鎧のパーツを細かな留め具を止めたり、紐で固定したりしているのだが、隊長だけはそのような行動をしていない。確か隊長も重装系の鎧を着ていたはずなのだが・・・
ワイの疑問は隊長が装備を始めた時、解消された。
「トラーゲン!!」
掛け声と共に、勝手に装着されていく装備類。これは、下手な特撮ヒーローの変身シーンバリのお手軽さであった。
(ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!! そんなんアリ!? こんなんニチアサヒーロー物まんまやん!! こんなきれいなお姉さんの変身シーンとか見ちゃったら、キッズと大友の性癖ブッコワレちゃうよ!!)
「アレ、便利だよなぁ。いつも思う」
「ち、ちょ・・・」
「でもたけぇんだよ。オレらでは買えん・・・ので、オレらは地道に装備や」
「悲しい格差社会だンゴ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「第18分隊、進発!!」
ここから先は昨日も経験している。陰鬱とした薄暮状態の雪原をただ前進する。ソリのホロから吹き込んでくる身を切るような寒風。どこか遠くから聞こえて来る何かの生き物の遠吠えの声。昼間にも関わらず、暗がりとほとんど変わらない、道なき道-ここ、恐らく、夏は小川ではなかろうか-。
そのような事をぼぉーっと思いながら小一時間程した時。ワイの体が悲鳴を上げ始める。
(・・・い・・・いたい・・・いった・・・)
そう。筋肉痛である。まぁ慣れない事をやっていたのも事実なので、少々、運動に自信あり、みたいな人でも、この瞬間はなると思われる。とにもかくにも、筋肉痛というのは、動かなくなってから1~2時間ぐらいすると「くる」もの。
えい
そんなワイをミンナがつつく。
「んごおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
クソガキの幼体、面目躍如といった所か。
(あんのクソガキ!! コロシテヤル!!)
突如、ソリが停止。このパターンは、恐らくスティグが何かを見つけたのだろう。
スティグの制止の合図と共に、皆が息を潜め、彼の一挙手一挙動を見守る。
「そこだ」
短弓から放たれた矢が影に潜んでいた何かに刺さる。瞬間、鋭い断末魔の叫び声と共に、小人-その者の本質が体を成すとは言うが、なんと言うか、本来ならかわいい小人、なのかもしれないが、悪意マシマシ、ネジくれ曲がった根性のような物を体全体で表現しているような形状であった-が転がり出てきた。
「うっげぇ!! なんなンゴ!! きもちわるい!!」
バレてしまっては仕方がない、とばかりに一斉に襲い掛かってくる小人たち。大きさ自体は30cm程度なので1体1体の耐久性は大した事がなさそうだが、とにかくすごい数だ。
「アンシーリーコート多数! 各自展開! 対処せよ!」
アンシーリーコート。いはいる「悪い妖精」の相称とでもいうべき呼び名である。細かく分類するならいろいろと特徴毎に分類し、各々の生態などを観察、研究する事も可能なのだろうが、そういうのは学者の仕事であって、最前線で戦い脅威を排除する戦闘要員の仕事ではない。もう少し言うのであれば「その情報、今、あいつを殺すのにいる?」みたいな情報に意味などない。こういう小さい奴が数で群がってくる系の敵は特に。
わらわらと群がってくるアンシーリーコート達を前に、各々、火炎瓶のようなグレネードウェポンを用意し、それを投げつけて焼き殺す。もしくは聖別されたホーリーウォーター(聖水)でも同様の効果があるので、そのような物を使って初期対応。
その間にウント老がキャスト
ウント老、キャスト:つむじ風
これを利用してサイクロン式掃除機の要領で空中の1所に奴らをまとめ上げ、
ウント老 キャスト:ファイアーボール
直径20m程の火球が空中に炸裂し、巻き上げられた奴らを一気に消し飛ばす。
(・・・こう、ゲームとかでよく見るせいで「ファイアーボール」なんて大した事ないよな、とか思っとったけど、冷静になって考えてみたら、直径20mの火の塊とか、大概、メチャクチャやったんやな……6階建てのビルぐらいの火とかリアルでも見たことねぇ……)
相当数のアンシーリーコートが吹き飛ばされた後の戦闘は、ほぼ一方的な殲滅戦で終わる。何をどうやっても勝てないと悟った彼らは様々な捨て台詞を吐き捨てつつ、惨めに逃亡していった。
「なんか、エンカウント率、おかしい気がするンゴ」
「まぁ、この季節は魔界? 地獄? そういう感じの場所との接続が多いらしいんで、こんなもんだろ。逆に夏は野生動物に毛が生えた程度の奴らしか出んくなるし」
「ほ~ん、そんなもんゴかねぇ……」
そんなこんなで隊列を立て直し、前進を続けるが、さほど進んだ、という程進んだ感じもない状態で進撃停止。今日はどうやらこの辺で野営らしい。
「何か、ぜんぜん進まないンゴ……多分、10kmも進んでないぐらいな気が……」
「まぁなぁ……でも、こんな真っ暗な道、進むんかと言われるとなぁ……」
「それもそうだンゴねぇ……」
まず、ウント老がコテージの魔法で、大雑把に野営地を設営する。メインとなる大きなカマクラに、犬達(とウルリク)が休息+荷を積んでいるソリを入れておくちょっと小さめのカマクラが1つ。風呂とトイレスペースとなる更に小さなカマクラが1つ。それらが各々メインの大カマクラにつながるように配置されている。
隊長とスティグは周囲の索敵に出かける。ウルリクは例によって犬達をソリから外しつつ、ついでにできる事を黙々とこなしている。このタイミングでシカだかイノシシだかの肉を削っている辺り、恐らく、それが犬達の今日の食事になるのだろう。他の者達は氷を切り取ってカマクラの周りに積み上げ、簡易的な城壁を構築。
そんな中、ワイとビルイェルはカマクラの内装の設営~夕食の準備である。
カマクラの床。当然、雪の床では困るので、敷物を敷いていく。その際、中央部にスゥエーデントーチを立て、点火。暖と明かりを確保する。調理をする簡易暖炉やら簡素な風呂桶なども設置。この程度の作業とはいえ、現代日本のような軽くて丈夫な素材で作られた物ではない。普通に重くて不便な品ばかり、とはいえ、それしかない以上、それを使うしかない。結果として、かなりの重労働となる。
「・・・これ、毎日やるンゴか・・・こんなんで前進とか、ムリポ……」
「そうか? オレらからしたらこれが普通なんで、何も思わんけどな・・・ほら、それが終わったら、こっち来て火起こしだ」
「・・・へ・・・へいンゴ……」
簡易暖炉の方で火起こし。メインの鍋を掛ける場所と、もう1か所、小さな物を掛ける場所があり、両方に火をつける。ビルイェルはメインの鍋の方に水を入れ、何やら作業を開始した。
火おこしをしたぐらいでワイの仕事は終わらない。ビルイェルに「魚」と書かれている袋と皮の手袋を渡される。
「そん中に魚が入ってるんで、取り出して解凍しといてくれ」
なるほど。この小さい方の炉はその為にあるのかと納得しつつ、そのまま手を入れようとした時、
「素手はだめぇ!! ちゃんとその手袋使って! でないと、手に引っ付くぞ」
「!! ンゴ!!」
手袋を装着し、改めて手を突っ込み、掴む。確かに魚の形をした物が掴めた・・・が、感触からして、この袋の中に入りきるような大きさではないような……
えい、と引っ張り出す。と、1m級の立派な冷凍鮭がでてくる・・・明らか、袋の大きさ以上の一本だ。
「なんだ、『ホールディングバッグ』も知らんのか。GENDAI_NIHONって奴も案外、大した事ないな」
(いや、あの・・・こんなモンがあったら、流通革命起こっとるわ)
この冷凍鮭を網に乗せ、火加減を見ながら適宜ひっくり返し、柔らかくなるまでその作業を続ける。そうしている間に、ビルイェルはザリガニとか貝を取り出して解凍しつつ、下処理を行っている。
鮭が十分に解凍できたら、後は、鱗を取って皮をはぎ、頭を落として腹を割き内臓を取り、適当にブツ切にしてどんどん鍋に放り込んでいく。
そんな事をやっているうちに、外で作業をしていた者達が次々と中に入って装備を外していく。索敵を行い、周囲の安全を確認していた隊長達も合流し、風呂の時間となる。
順番は適当ではあるのだが、隊長とウント老、それからつい最近仲間となったばかりだが戦力的に有力なエールに関してはできるだけ時間が重ならないように配分。そうする事で、仮に敵襲があったとしても、いきなり戦力が低下する事を防いでいるのだ。そしてどのような順番だったとしても最後はウルリクとなる。
「必ず最後って、ちょっとかわいそうな気がするンゴ」
「いやぁ……あの人、狼男だからさぁ……毛がね……」
「ぁぁぁ……まぁ……言われてみれば確かに……」
「お前も適当な時に入っとけ。防御魔法で守られてるからっつっても、やっぱり入るのとそうでないのとでは疲れの取れ方が違うんで。まぁ、面倒っつんでサウナで済ませる奴もいるっちゃいるけどな」
「ンゴ……まぁワイは『ボトラー』まではいかんけど『風呂キャンセル界隈』ぐらいまではフツーだったんで……」
「・・・いいから入れ!」
「ンゴ!!」
半ば強制的に風呂に入る事となる。中は確かにサウナ状態なので、確かにしばらくここでいて、外に出るだけで「ととのう」のだろう。中央に日本の湯船と比べるならユニットバスのそれの半分ぐらいの湯船。下ではガンガンに火をくべているので、この影響でサウナとなっている。その近くに獣脂を固て作った石鹸(タキトゥスのゲルマーニアにもこのような石鹸を使っているという記述がある)が置かれており、これを使え、という事だろう。
部屋の隅っこの邪魔にならない場所に簡易的なトイレがあり、流す水は、恐らく、この湯船の水を使えという事だろう・・・確かに、普通の水桶では凍って使い物にならないだろうからこのような部分にも彼らなりの合理性を感じる。
(ふぃ~~~)
日本人であるからか、確かに、この瞬間は実に落ち着く。
(そういや、この湯って、エールたんや隊長さんも入ってるんだよな……)
ちょっとゆっくりできると、ふと、そのような思考が頭をよぎる。
(アカン・・・思わず想像してしまうやんけ……)
まぁある意味正常な反応である。
「なにを?」
「いやな、ここってな、エールたんとか隊長さんとかも使っとるんやな、と思うとな……こう……・・・!? ンゴおおおぉぉぉぉ!!」
ひょこっと現れたミンナを思わずグーパン!!
「ひぎゃああああぁぁぁぁぁ!!」
(あっ! ・・・やっちまったンゴ!!)
「うええぇぇぇ~ん!! ワイ君がイジメルよぉ~!」
ひらひらと出ていくミンナ。中で何が起こったかを察してか、
「ああ~、あんな。そいつ、火耐性あるからそこ担当やねん。そういや言っとかんと知らんもんな。悪い悪い」
そんなこんなで各人が風呂から出る頃には食事の準備が整っている。ザリガニ、貝類、サケのぶつ切、野菜類などが煮込まれた鍋を皆でつつく。
(なん、つうか。締めにゴハンが欲しくなるンゴ)
しかしながら、締めは、パスタ系の麺類であった。こればかりは仕方がない。
食事を終え(ビルイェルとワイは後片付けまでやらないといけないが)ると、しばしの自由時間となるのだが、この時点でワイは完全に力尽き、寝落ち状態となる・・・
・・・
コンコンコン! コンコンコン!
どれぐらいの時間が経ったのか? 突如、鳴らされる金属と棒の打ち合わさる音で叩き起こされる。
「敵襲!!」
どうも犬達が気配を感じ取り、ウルリクもそれを察知したようだ。
戦闘要員達は、次の瞬間にはもう戦闘モードに切り替わっている。
(うっげ! 冒険者、シンドすぎ!! こんなんが毎日とか、終わりすぎンゴおおおおぉぉぉぉぉぉ!!)
まぁ、思っていたのとは違う、というのはどんな世界でもそう変わらないもので・・・
ワイの戦いはつづく。
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とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!